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逃亡した悪役令嬢は隣国で踊る戦乙女と呼ばれています。  作者: 聖願心理
第2章 魔王討伐をするようです。/第1節 踊る戦乙女の里帰り
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2 こうなったらなんでもやります

 さて、魔王が復活した翌日。私はロワイエさんの元を訪れていた。


「エイリーさん。ひとつお尋ねしたいことがあるのですが」

「はい、なんでしょう?」


 ロワイエさんが真剣な顔とういより、あきれたような疲れたような顔をして話を始めた。その表情だと、どんな話が切り出されるのか、全く想像がつかないんだけど。


「……昨日、どうして来なかったんですか?」


 じり、と少しばかり殺気がこもった恨めしそうな目でロワイエさんは見てくる。

 こ、これはかなり怒っているぞ。


「……てへっ」


 流石にまずかったかなぁ。

 そんなことを考えながら、私は昨日のことを思い出す。


 昨日、魔王が帰ってから私は宣言通り二度寝をした。ぐっすり眠れたなぁ~、となんて起きて窓の外を見てみると、空は赤くなっていた。そりゃよく眠れたわけだわ。

 で、その私が寝ている間にロワイエさんから、連絡精霊(アンゲロス)が届いていて、至急来てください、というものだった。

 まあ、もう夕方だし明日でもいっか。な~んて思って、私はまた眠りについた、というわけ。おしまい。


「てへっじゃないですよ、何してたんですか?!」

「寝てました」

「は?」

「いやだから、寝てたんですって」


 こういうのは嘘吐いちゃだめだ。堂々と本当のことを言うんだ。


「どうしてですか?」

「どうしてって言われても、眠かったから?」


 それ以上の理由ある?


「どうして魔王が復活したのに、呑気に眠れるんですか?!」

「……眠かったから?」


 魔王が復活しようがしまいが、関係ないでしょ。眠かったんだから。

 私、魔王に安眠妨害されたの! 被害者なの!


 そんな私を見て、ロワイエさんは絶望が垣間見えるあきれた顔をし、はあああああと深いため息を吐いた。

 そこまでしなくていいじゃん! 睡眠は人間の三大欲求だよ?!


「魔王が復活して呑気に眠れるのは貴女だけですよ」

「そうですかね?」


 絶対他にもいるはず!


「そうです。まあ、いいです。過ぎてしまった事は仕方ないんですから」

「ですよね~」

「エイリーさんには常識が通用しないことを、忘れないようにしておきます」

「それは酷いです?!」


 常識くらいはわきまえてます! 私は常識人です!、なんては言わないけど、常識は通用する!


「それで、本題に入りましょう」


 やっと本題か~。まあ、流れからすると魔王関係だよね。


「エイリーさん。貴女、魔王に戦線布告したそうですね?」

「ええ、しました。あいつをぶっ倒すと決めました!」


 あの魔王は私が倒すんだから。安眠妨害した上に、小娘とかもっと美人だと思ってたとか言うし! こっちが会話に付き合ってあげてたのに、飽きたとか行って帰りやがるし! それに何より私の安眠妨害するし!


「そうですか、頼もしいです」

「でもどうして、ロワイエさんが知ってるんですか?」

「噂で聞きました」

「噂……?」

「ええ、踊る戦乙女(ヴァルキリー)が魔王を討伐するっていう噂が国中どころか、他国にまで広がっています」


 おかげで国民の皆さんはそんなに混乱に陥ってないんですよ、とロワイエさんは微笑んだ。


「はい?」


 どうしてそんなことになってるの?

 私が魔王を倒したいのはぶっちゃけ私怨だよ? 国民の皆さんを守るためではないよ?


「そんなわけですから、これから貴女は忙しくなります」

「……そんなの聞いてない!」


 私怨で魔王を討伐するって言っただけなのに、どうしてこんなことになった?


「国王陛下からお呼び出しです。本当は今日にでも、と思ったんですけど、仕方ないので明日です」

「それでも急ですね?!」

「魔王が復活したんです。呑気にしてる時間はないですよ」

「そんなのは知ってます!」


 私はあの腹黒国王に会いたくないだけです!!


「知ってる人は魔王が復活した日、一日中寝てません」

「しょうがないじゃん! だって眠かったんだもん!」

「それを胸を張って言えるところが凄いです」


 ロワイエさんはそうして、またため息を吐いた。

 そんなにため息吐かないでもらえます?

 睡眠が馬鹿にされてるみたいで嫌だ。


「とにかく、明日は国王陛下と謁見します。これは確定事項です。国王陛下にもそう伝えてあります」

「はあああ?!」


 仕事が早いぞ。これだからできる男は嫌なんだ。


「いつものように冒険者省に迎えが来るそうなので、寝坊しないでくださいね?」


 ……寝坊しちゃおうかなぁ。すっぽかしちゃおうかなぁ。


「来なかったらどうなるかわかってますよね?」


 にこりとロワイエさんは微笑んだ。それは悪魔のような笑みだった。


「あ、それともなんなら冒険者省(ここ)に泊まります? 宿泊するのに必要なものは全てそろってます」


 何でそろってるの?! 恐ろしいね?!

 文無しの冒険者とか遠方からやってきた冒険者を泊められるように整えているだけだよね? 残業のために整えているわけじゃないよね?!


「どうしますか、エイリーさん」


 ロワイエさんは笑みを崩さず尋ねてくる。

 怖いから、その笑い方やめない? 私、いつものロワイエさんの方が好きだよ?!


「お断りします。自分で起きます……」

「寝坊しませんか?」

「はい。誓います」

「言いましたからね?」

「わかってます!」


 ああもう、行けばいいんでしょ行けば!

 こうなったら何でもしてやりますよ!


「ではよろしくお願いしますね」

「はい。これで終わりですか?」


 私は疲れてつい、そんなことを聞いてしまった。こっからの流れなんて、どうなるかなんて少し考えればわかるのに。


「はい。お話は以上です。ではさっそく、マナーの勉強をしましょうか」

「え?」

「昨日たっぷり寝たので、体力は有り余ってますよね?」


 ロワイエさん、意外と根に持ってるわぁ……。

 今日は逆らわない方がよさそうだなぁ……。



 こうして、私はロワイエさんといつものようにお勉強を始めたのだった。

ロワイエさん、あんた大変だな。同情するよ……。

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