123 まさかさかさまの展開
更新できなくて、すみませんでした。
今月末締め切りの作品を書いてたんですが、間に合わないと悟ったので、諦めました。
今日からまた頑張るので、よろしくお願いします。
そんなわけで、神頼みならぬ勘頼みで、私たちはまっすぐ森を進んでいく。
モンスターの数は増える一方だが、私の魔法で一瞬で消えるので何の問題もない。やっぱ、聖魔法って楽だわー。
「大分奥に進んできたよな」
「そうだね」
今、どのくらいの位置にいるのか確認するためにマップを開く。
時間が経っているはずなのに秘宝が見つかる気配がしないのだ。今日は空振りな気がしてならない。
そんなことを思いながら、マップを見ると。
「何で?!」
予想外のことに私はついつい声を出してしまう。結構でかい声、出たよね?
「いきなりどうしたんだ?」
やっぱり声は大きかったらしく、ファースたちは揃って驚いていた。ごめんなさいと思うけど、それ以上に驚きが勝っていたので仕方ない。
「……メリッサとチェルノがいるんだよ」
「本当か?!」
ファースも同じように驚いたので、私がおかしいわけではないと証明された。
そりゃ、誰だって驚くでしょ。こんな危険な森に同じタイミングにいるなんて。しかもチェルノはついこの間、大怪我をしたばっかりなのだ。
「メリッサとチェルノって、この間の秘宝探しで会ったって言ってた奴らか?」
「そう」
グリーには、女子会で根掘り葉掘り細かいところまで教えたので(しつこく聞かれたのだ)、メリッサとチェルノのことはよく知っている。
「エイリーの知り合いか?」
「うん。最近仲良くなったの」
メリッサたちの存在を微塵も知らないレノはそう尋ねてきた。
「じゃあ、様子を見に行った方がいいな」
「そうだね。メリッサたちの周りに魔物が集まりつつあるし」
マップをちらりと見ると、メリッサたちを中心に魔物が集まって来ているのだ。このまま放っておいたら、地下迷宮での二の舞になりかねない。この間は早めの治療とファースの秘薬のおかげで助かったが、今度はどうなるかわからない。
「急ごう」
そう言って、私たちは走り出した。
* * *
そんなに場所が離れていないのもあり、私たちはすぐに着いた。
幸い、メリッサたちは魔物に囲まれることも襲われていることもなく、無事だった。
「メリッサっ! チェルノっ!」
そう、彼女たちの名前を呼んだ時だった。
――――メリッサとチェルノの手に握られているものに目がいったのは。
メリッサの手には豪華そうな盾が、チェルノの手には細かい模様の刻まれた槍があった。
どちらも新人の冒険者が持てるような代物ではない。私でも手を出すのを躊躇うような、見た目だけで高級品だとわかるそれは。
直感的にそれが、マスグレイブの秘宝であると悟ってしまった。
ファースたちの表情を横目で見るが、彼らも何かに気がついた驚きと怒りが混ざった表情を浮かべていた。
「エイリーでしたか」
なんともないように、笑顔を見せるメリッサ。
「どうかしましたか?」
「どうかしましたかって、それ本気で言ってるの?」
「え?」
「とぼけないでよ。それ、マスグレイブの秘宝でしょ」
私が荒々しく言うと、メリッサの顔から笑顔が消える。
「……バレてましたか」
「どうしてそんなことしたの?!」
メリッサたちはそんなことを好んでするようには、少なくとも私には見えなかった。
きっと訳ありなのだ。そう、信じたい。
「そんなことって、王城へ忍び込み、秘宝を盗み、至るところに秘宝を放置していたこと?」
チェルノが淡々と事実だけを述べる。
確かに、魔法の効かない砂の国の民の彼女たちには、王城の罠は子供騙しみたいなものだろう。私の予想は残念だが、当たってしまった。『犯人は砂の国の民なのでは』というやつは。
「他に何があるんだ!」
怒りもろに出した、がさつなグリーが怒鳴りつける。
だが、メリッサもチェルノも迫力に押されることなく、悠々とそこに立っている。まるで、もっと怖いものを知っているような感じで。
「だよね。なんでって? 理由を聞いてどうするの?」
「動機を知れば、和解に繋がるだろう?」
「和解……? 笑わせないでくれないか」
ファースの答えをチェルノは一蹴する。
どうして、和解を考えないんだろう。理由がわかれば私も協力するのに。
彼女たちからは、どうしても無理しているような、悲しさに溢れるような、そんな雰囲気を感じられるので放って置けない。
「チェルノ、興奮し過ぎよ」
「姉さん」
「……私たちは、和解する気はありません。ですから、秘宝取り戻したいのであれば、力づくしかありません」
芯の通った声で、表情で、メリッサは言ってのけた。覚悟はもう既に決まっていた。
彼女たちは魔法が効かないというアドバンテージがあるとはいえ、秘宝を盗み出した技術と実力を備えている。普通の新人の冒険者ではないということだ。もっとも、“新人”というのも怪しいんだけど。
「……勝てると思ってるの?」
それでも私に、私たちに勝てるわけがない。
「その通りです」
メリッサもそれは重々承知のようだ。だが、譲る気はなさそうだ。
「大人しく降参したら?」
「しません。私たちには私たちの理由があるんです」
「じゃあ、どうするの? 私たちに勝てるの?」
「勝てるかどうかはわかりませんが、やれることはやります」
そう言って、メリッサは呪文を唱え始めた。
「召喚に応じよ、アゾットっ!」
実体を持たない武具を召喚する物理魔法だ。
魔法を使えないはずのメリッサの手には、黒く透けた剣が握られていた
「どうして?!」
「そんなの教えるわけないでしょう!」
そう言って、メリッサは盾を片手に剣を振り上げた。
どうやらこれは、戦うしかないらしい。
と言うわけで、戦闘スタートです。
まあ、エイリーのことをわかってきた読者さまには結果なんて見えてそうですけども。




