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第三話 ー 会議中に

説明会が続きますm(_ _)m

「この世界は、所謂“剣と魔法のファンタジー“な世界よ。 ゲームでよくある感じ」


 ややアバウトだけど、フィサさんが答える。

 ゲームはやった事がないからわからない。


「まぁ、お前さんの持つ力のようなものがありふれてて、それが魔法って呼ばれててな。それから魔物がいて、剣やら数多くの魔法やら何やらでそいつらに立ち向かうって感じだ」

「魔物と凶器や超常現象で戦う!?」


 素直に驚く事しか出来ない。

 魔物がいて、魔法(超常現象)があって、凶器で戦う。

 だから皆物騒なもの身に付けてたんだ……。


「職業の意味とかも、すぐに慣れるよ!」


 レミーちゃんが明るい声で言った。

 そういえば皆名前の他に何か名乗っていた。

あれが職業かな?



 次に、“チーム“について。

 これは「一緒に戦う仲間の集まり」のようだと聞いて、すぐに理解出来た。



「“スクシスタンツ“というのは…?」


 一瞬、静かになったような気がした。


「……簡単に言うと、一つの職業を極めまくったと言われる人の事で、あまりに強すぎて、殺戮行動を繰り返しているとされている、避けられている人間の蔑称よ」


 静かにフィサさんが回答する。


 酷い、そんなの言い掛かりじゃないか。

話だけで、殺戮なんて見た事もないのに。


 ボクの表情から察したんだろう。


「……悪い噂でね。こればかりは違うと思ってほしいわ」


 当然だ。

 ボクは信じない。


 そして、突進して来た人達の言動。

 ようやく納得がいった。


 ………蔑称。 何となく彼女が身近に感じたのも、避けられている彼女達の“寂しさ“に、孤独だったボクはどこかで同調していたのかもしれない。


「そしてーー」


 フィサさんが続ける。


「その蔑称、“スクシスタンツ“と呼ばれる程の異端者とされている存在。 要するに、私達ね。 私達が名乗っているチーム名が、」


 彼女は一呼吸おいて、


「“リンク・ウィング“よ。」


 つまり、ここにいる皆が、異端者と呼ばれる存在ーー。


「……ごめんね、こんなチームに入らせて。 でも、殺戮だけは誤解しないで」

「もちろんです! でも、何でそんな噂がーー」



 ジリリリリリ!



 突然響き渡る、警報音のような謎の音。

 するとぱっとレミーちゃんと僕以外の人は椅子から立ち上がった。


「イギ、レミー、あなた達は待機!」

「りょーかい!」「え、は、はい!」


 よくわからないけれど、ボクとレミーちゃん以外の皆は神妙な顔をして凶器……、いや、武器を持って出入り口へ向かって走っていく。

 何が起こったんだろうか。

 すると、出入り口から声が聞こえてきた。


「おい、スクシスタンツ! ウォーターを出せ!」

「アシンにヘビン、いい加減にして。 もちろん断るわ。 使うだけ使って捨てるのでしょう?」

「精霊もいないし貴重なのよ。 貴重なのだから捨てる訳行かないじゃない」

「レミーの件だって都合よかったじゃない!」


 口論になっているのだろうか、あのフィサさんが声を張り上げている。

 少し近づくと、


「イギ」


 レミーちゃんが声を掛けてくる。


「今は出入り口から離れて。()()()()()()



「私達、あなた達の相手はしてられないの」

「黙れ! 俺達だって鍛えてんだ、なんなら勝負するか? スクシスタンツさん?」

「戦うつもりもねぇよ。 もう二度と来んな!」


 ゴゼの声も、二人に届いた。


 そこへ、バシンっという音が響く。


「クロフト!」


 フィサが慌てて体勢を崩したクロフトを支える。


「何だァ、またこの紫髪の坊やか。 誰かが叩かれそうになると、いつも庇ってやる紳士な坊やさんよ。 ほれ、痛いか?」

「………………仲間の為なら、こんな痛み、大した事ではありません」

「いい坊やだ事。 そうして毎回傷を負っているのよね、あなた」


 クスクス、と笑っているのは女性だった。

 クロフトはバシンと頭を再び叩かれる。


「(レミーちゃんも狙われている……? 前からなのか? それに叩くだなんて、酷い……)」


 詳しい状況はわからないが、疑問と苛立ちを隠せないイギ。

 それを察したのか、レミーが再度彼に声を掛ける。


「イギ、今は押さえて。 あたしも狙われてる。 連中、こうやってよくここへ来るの。 今回はイギが目的みたいね」

「(ボクの水操ウォーター……この世界ではやはりとても珍しいのか。 でも何でそこまで……? それに、レミーちゃんも狙われているって……?)」



 バタン!



 疑問だらけで口を開こうと思ったら、大きな音がして、フィサさん達がこちらへ戻って来た。


「やっと帰ったか……。 ったく、レミーやイギの気持ちも知らないで、ふざけんなよな」

「皆、いつもありがとね。 クロフト、傷を見せて」


 レミーちゃんはクロフトさんに近付き、叩かれた傷を癒していた。


「そんな事まで出来るんですか!?」


守ってくれたのに、ボクって奴は……。


「すみません、ありがとうございました」


慌ててお礼を言って、頭を下げる。


「いいのよ。 いつもの事だし、仲間を売るなんて事は絶対にしたくないから。 私達が好きにやってる事よ」


 ボクは感動のあまり、だだーと涙を流した。


「ど、どうしたの!?」

「もう、皆さん優しすぎます」


 涙を拭うと、不意に再度レミーちゃんの治癒能力が目に留まる。


「レミーちゃんも狙われてるんですね」

「ええ。 ……本当に酷い話よ。 実力のある回復魔導士クレリックだからって……」

「?」


 ボクにはフィサさんの言葉の最後の方がよく聞こえなかった。


「ーー会議に戻りましょう。 皆、席に付いて」


 フィサさんがそう促す頃には、クロフトさんの治療も終わっていた。





「話の途中でごめんなさい。 それじゃあ最後に、あなたの力について説明するわね」

「はい」


 一番の謎だった。フィサさんは神妙な表情でそれを口にする。

鋭い方は既に気が付かれていらっしゃるかも……?

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