第8話 ~通らぬ道~(前編)
■成分・ この物語は作者自身の身に起こった事を忠実に盛って作成されています
■効能・ 本製品は、暇な時間の緩和に効果を発揮するアレですよアレ。
■用法・ 容量・本製品は1日1ページ位を目安に御使用ください。
■注意・ 用法・容量をキチンとお守りください。もし、次の症状があった場合は直ちに使用を避け一部の症状が現れた場合、医師とご相談下さい
目の充血、目のかすみ 眠気 破壊衝動 狂喜乱舞 作者への誹謗・中傷(ここ重要)
第8類医薬品.?
これは小学生の頃の御話
塾からの帰り道
この日は一人、帰路についていた
日は既に落ち、辺りは既に暗き闇へと包まれていた
塾での勉強を終えたオイラは急いで自転車置き場に向かって駆け出すと、そのまま乗り込み慌てて帰る
辺りを見渡せば、月より差し込める僅かな光がオイラを包むかのように照らし出していた
いつもの通り道、いつも通り過ぎるだけの帰り道
だが、この日はいつもと違っていた
それはいつも一緒に帰っていた筈の友人達の姿が今は一つも無いという事だった
理由は至って簡単
皆、私事があったり病欠したりと実に様々
珍しくも皆そろって今日は誰も居なかっただけなのである
だからこそ今日は一人で帰る事となった
オイラが一人、自転車を漕いでいると、ふと道路脇にある小さな通り道に気が付いた
それは方角的に見ればこの小道を使った方がよほどの早く帰れそうではある
だが、少し気になる点もある
それはこの道が本当に近道になるのかという点だった
途中で曲がっているかもしれないし、もしかしたら行き止まりかもしれない
こればかりは、行ってみなければ分からない
普段であれば、これは無視するであろう小道だ
だが、今日だけは違う
何故なら今日は誰も居ないのだから
たとえ近道では無かったとしても何処からも文句は来ない
オイラは迷うことなく自転車のハンドルをその小道へと切っていた
自転車が細い小道を走り抜ける
今やオイラを照らし出すのは自転車からのライトだけ
月明かりは建物の影に遮られて入ってこない
街灯もなく、暗い夜道をひたすら自転車からのライトだけを頼りにひた進む
近道になればいいなと勝手な期待を胸に、オイラは意気揚々と道をつき進んだ
焦る必要はない。
道は真っ直ぐ一本道、迷う事など何も無いのだから
しかし、やがて漂ってきた御線香の匂いにオイラは「何故に?」と頭の中に疑問符を浮かべた
そして、あの光景が広がっていた
そこは墓地だった
「あっ、墓地……ボッチだけに墓地!!」
なんてどうでもいい下らないギャグを言ってみる
だが、どこからも反応はない
それはそうだろう。今は一人、誰もいない
もしかしたらそれは自身の気を紛らわす為の行為だったのかも知らない
オイラは明かりのない墓地を抜けるという行為に少しおじけづきながらも……「え~い、ままよ!!」と墓地の中へと突き進んだ
だが、やはり夜の墓地というの不気味なもの
僅かに差している月明かりだけがオイラの救いか
かと言ってこれで十分な光量を保っているかと言えばそうともいえない
周囲は薄暗いまま、不気味なシルエットを醸し出している
自転車のライトも頼りとはなるが、それは前方を照らすのみでである
ひっそりと静まり返った場所に佇む数々の墓石群。そしてそこに微かに線香の匂いが立ち込める
「何かが出てきそう……」
オイラは『ゴクリ!』と、唾を飲み込んだ
その時、オイラの体を生暖かい風が舐め回す様に過ぎさって行った
墓地という、シチュエーションに少し心をざわつかせるオイラ
だがまぁ、たかだか墓地。今更、引き返す訳にもいかない。
そう思うとオイラは覚悟を決め、墓地の中を突き進んでいった
当然のことながら墓場に街灯らしきものは無い
静まり返った墓地の中では時折吹き抜ける風が墓石の後ろに立て掛けられていた卒塔婆をカタカタと鳴らす
そしてそこにある影はまるでまるでそこに人が居るように見えてしまう
右を向けば墓地、左を向けばやはりそこにあるのは墓地
違う点を上げれば大小様々の墓石群がある事だけしか言えない
オイラは薄暗い暗闇の中をジッと目を凝らしながら周囲の様子を窺ってみる
だが、何かが見える訳でもない。オイラに霊感などというものはないのだ
不気味さだけが募っていく
そして――
墓地の出口が見えてくる
「やったー」
オイラは心の中でガッツポーズを決める
ホッと胸を撫で下ろし一安堵
これでかなりの近道になった筈だった
不気味ではあったが少し嬉しい……ウキウキ気分
その時だった!!
不意に感じる誰かの視線
思わずその視線の方へと目を向けた
だが、誰もいなかった
それに……そこは……
そこは大道りに面した植え込みの中だった
墓場の出口から少し離れた帰り道とは真逆の方向
何か不安を急き立てられる……そんな気がする
「なんかヤバイ!!」
この時のオイラは何だか嫌な感じがした
オイラは前を向くと、そのまま急いで家へと帰宅する
家へと到着してみて何か感じるモヤモヤ感
(何だ、このモヤモヤ感は・・・)
疲れた様に体がずっしりと重い
オイラはその感じが何か分からぬままこの日の一日を終えたのであった
今日も夕方から仲間と共に塾での勉強
この日の帰りはどうしようか?
そんな事を考えている
そう思うには理由があった
それは今回は前と違って皆がいるからだ
墓道ルートは却下だろうか?
だから今日は近道は使えない?
一応、皆へと相談してみる
すると、そのうちの一人が……
「え?。あの道は、俺はヤダよ! だって、あの道は墓地の中を通り抜けなきゃならないじゃないか!」
どうやら友達もあの近道の事は知っているようであった
けれどオイラは食い下がった。何故なら大幅のショートカット。時間の短縮は十分に魅力的だ
しかしその友達は絶対に嫌だとの一転張り
頑なに断り続ける友達
何かあるのだろうか?。そんな思いが先立つ
その時、そう言えばこいつの家はあそこからかなり近かったなぁ~。なんてことを思い出した
その事に少し疑念を抱いたオイラはその友達の様子を伺ってみた。のだが……どこも変わった様子はない
その事に違和感を感じながらも、その日は仕方がないかと、近道はあきらめる事にした
結局この日はいつものルートか……
こうしてこの日は大回りしての帰路につくのであった
しばらくたったある日
この日も塾からの帰り道―――
今日は奴がいなかった
奴とはかたくなに近道を断り続けた友達の事である
それは只単純にその友達が風を引いて今日はお休みというだけ
他の仲間共々、近道ルートで帰らないかと提案してみる
すると、他の仲間達は意外とすんなりと話が通った
(しめしめ……)
オイラは颯爽と先頭を自分の自転車で走りながら、他の友達へとその道まで案内をする
「こっちだぞ!!」
帰宅途中にある細い道へと友達を誘う
前にも通った一本道ルートだ。迷う必要などあるものか!!
だが、この道もよくよく考えてみれば相も変わらず暗くて細くて不気味である
何か出そう。ちなみに何かとは、間違えてもゲロなんかでは無い!!
オイラはそんな事を考えながらもワイワイと騒ぎながら、他の仲間たちと供に墓地の中へと足を踏み入れたのであった
やはり墓地の中は不気味である もちろん通っただけでは何事も起こらない
気になる点と言えば墓地特有の不気味さと線香の香くらいだろうか?
そんな事を思いながらも、そのまま仲間と共に向こう側の大道りへと抜け出る
やはり墓地だからと言って特に何か出る訳でもなかった
気にしすぎなのだ
しかし!!
再び、感じる謎の視線
瞬間!!
オイラは『向くまい!』と、思いながらもその視線に耐え切れず、思わずあの通りの方を振り返ってしまった
すると――
男がジッと此方の方を窺っていた




