第7話 ~1枚の写真~
■成分・ この物語は作者自身の身に起こった事を忠実に盛って作成されています
■効能・ 本製品は、暇な時間の緩和に効果を発揮するアレですよアレ。
■用法・ 容量・本製品は1日1ページ位を目安に御使用ください。
■注意・ 用法・容量をキチンとお守りください。もし、次の症状があった場合は直ちに使用を避け一部の症状が現れた場合、医師とご相談下さい
目の充血、目のかすみ 眠気 破壊衝動 狂喜乱舞 作者への誹謗・中傷(ここ重要)
第7類医薬品.?
この日、オイラは大学の教室で仲の良い友達と話をしていた
それは他愛のない昨晩放送されてたテレビの内容
俗に言う怪奇現象を題材にした特集番組だった
話しの最中、友達は『今度、自分も番組に、自分が映した心霊写真を応募して見ようかな?』なんて事を言い出した
その時のオイラは深く考えるまでも無く、その友達に『そんな写真があるの?。だったら今度その写真を見せてよぉ~ん』なんて頼んでみたりしてみた
オイラの発したその言葉に快く“OK”サインを出してくれる友達
早速とばかりにその写真を見せてくれる
見てみると、そこに写っていたのは何気ない日常を写した一枚の写真だった
どうやらこれが例の心霊写真だったらしい
特に不思議な点は無い
大きな四角いテーブルとテレビ、あとは人物が一人映っているだけ……
『どれが霊なんだ?』
オイラの言葉に友達は意気揚々と写真のある一角を指差した
指し示す場所には一台のテレビが置いてある
それはごく普通のテレビであった
おかしな点を上げればそこに薄っすらと女の顔らしき物が写り込んでいた点か?
白黒の影の薄い女がこちらの方をジッと窺う。そんな写真だった
「これってただ単に誰かの姿が反射して写っただけじゃないの?」
オイラが疑問を投げかける。
すると友達が、「馬鹿言え!。こんなデカい顔した奴がいるか!。」と、言い返す
確かに言われてみれば写っている顔は前に居る人物よりも大きく見えた。いや、確実に大きい
何せ画面いっぱいに白い顔が浮かび上がっていたのだから
「だったら、テレビが付いていたんだろ~。」
「この時、テレビは消してあったんだよ。」
友達がなおも反論してくる
だが、そのような会話を続けていると、オイラとその友達との会話が余程騒がしかったのであろうか?
やがて周囲にいた連中も何事かと集まり始めてきた
「何の話をしているんだ?」
「いや、コイツが心霊写真を撮ったっていうもんだから・・・」
声をかけてくるクラスメイト達
そしてオイラは友達の見せてくれた写真をそいつに見せてやることにした
すると――
「もっと良く見せてくれよ!!」
「あっ、俺も俺も・・・」
周囲の連中が更に集まり始めた
奴らも暫くは写真を眺めていた。
だが――
「ねぇ、これってただ単にテレビが付いていたんじゃねぇ?」
オイラと同じ質問をしてきた
「ちげ~よ。テレビは消えていたんだよ!!」
友達が反論する
「だったら誰かの影が映り込んだとか?」
「こんなデケェ~顔の奴はいねぇよ!!。テレビに顔が映りきっていねぇじゃねぇか!!」
友達と集まって来た連中とでまた同じ会話の応酬が始まる
そしてオイラは邪魔にならないようにと少し席をズレることにした
だが、しばらくすると――
「どうしたの?」
「何々?」
再び人の輪が広がってきた
オイラはまたしても席をズレる
邪魔をしてはいけないからな!!
そして再び始まる討論会
哀れである。友達はとっても哀れである
時々聞こえてくるのは誰かが発した質問だろうか? 同じ会話の応酬である
そして友達の罵声
それにしてもと思う
友達に味方が一人もいないのは何故だろうか?
つまり誰も信じては居ないのである
かくいうオイラもあまりこの手の写真は信じていない派だったりする
だが見ている分には結構楽しい
オイラは正面を見ながらも心は常に友達の方を向いていた
そして皆はさっき同様、同じ質疑を繰り返している
一方のオイラと言えば、暇になった
写真の周囲には多くの人だかり
その様子を横目で見ながら、する事と言えばもう少し席をずれる事くらいか……
こうして人垣の中心では写真についての議論・検討会が何度も繰り広げられていた
「もしかしたらこれは合成なのでは・・・」
そんな言葉も聞こえる
オイラは「めんどくさい会話になっているなぁ~」と思いながらも楽しみ続ける
だが……友達は……
「そんな訳ねぇだろ!!。そんな面倒な事しねぇよ!!」
罵声が聞こえた
「では、光の屈折による・・・」
「それは、さっきも言った!!」
どうやら様々な質疑応答が繰り広げられるようだ
それにしても、友達の声が段々と大きくなっている
だが、見ている分には楽しいな
オイラは顔では無表情を装いながらも、心の中では大いに笑い転げていた
そして事のついでに暫く皆の様子を観察してみる
写真について言い争っている者たちがいる
これは解りきった事
だが、よくよく観察してみれば持ち主そっちのけで言い合っている連中と友達を中心にして言い争っている者達がいる
どうやらグループは2つに別れたようだ
友達の方は悲惨だった
誰かが何かを言うたびに必死になって反論している
哀れだわ~……見ててホント哀れだわ~……
周りに奴の味方は居ない
それを見て楽しむオイラ
“人の不幸は蜜の味”と言うがまさしくその通り
甘露、甘露――
もちろん表情には出さないが心の中では笑い転げ回っている
だが、ついにおかしな事を言い始める奴が現れた
「よし、検証してみよう!!」
爆笑した。ただし、心の中でである。そして友達も半分切れている
「するかよ!!。何が『よし』だ。家まで来る気か!!」
全くもってその通り
友達の声も、これはこの日一番の大声だった気がする
しかし馬鹿な奴もいたものだ
検証って、まさか本気でそいつの家まで押しかけて調べるのかよ!!って突っ込みたい
だが、時が過ぎるのは早いものである
次の講義があるのだ
その為、この場はいったんお開きになった
思い思いの場所に散ってゆくクラスメイト達
その場に残されたのはヘロヘロになった友達の姿
友達は疲れ切ったのか席に突っ伏している
そんな友の近くへオイラはさりげなく戻っていく
しかし楽しかった。実に楽しかった。高々、写真の一枚でこんなに時間がつぶれるとはなぁ~
そんな事を思いながらオイラは友達に声を掛ける
「今度、他にもあったら見せてくれ」
「見せる訳ねぇだろ!!」
友達が切れた
きっと友達には何か良くない事でもあったのだろうか
可愛そうに……友達は大いに荒れていた
そして最も哀れなのは誰一人として、決してこの写真を心霊写真として取り扱わない点だろう
見ててホント、哀れだわ~
オイラは心ニコニコ
流石は理工系クラス。皆、頭が固くて理屈っぽい。かく言うオイラも人の事は言えないのだが…
そんな事を思いながらもオイラは友達の方へと話しかけた
「処でさぁ、これ何て言う番組に応募するのさ?。この……心霊写真?」
「出す訳ねぇだろ!!。もう、応募する気失せたよ!」
あ~ぁ、楽しかった しかし残念でもある
応募しないのか……
オイラは思う
この友達の心が荒すさんでしまった原因はやっぱり心霊写真にあるのだろう
心霊写真って怖い物だなぁ~。持っているだけで呪われる
そしてゴメン!。オイラは見ていて楽しかった
さて、次の講義の準備でも始めるか……
こうして一枚の写真をめぐる話し合いは終わりを告げた
その後、この友達から心霊写真の話を聞く事は無かった
友達の心に深い傷跡を残して心霊写真騒動はこうして幕を閉じたのであった
いや、ホント何時思い出してもアイツ哀れだったわ・・・(笑)




