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第4話 ~処置室~

■成分・ この物語は作者自身の身に起こった事を忠実に盛って作成されています


■効能・  本製品は、暇な時間の緩和に効果を発揮するアレですよアレ。


■用法・ 容量・本製品は1日1ページ位を目安に御使用ください。


■注意・ 用法・容量をキチンとお守りください。もし、次の症状があった場合は直ちに使用を避け一部の症状が現れた場合、医師とご相談下さい


目の充血、目のかすみ 眠気スリープ 破壊衝動バーサーク 狂喜乱舞コンフュージョン 作者への誹謗・中傷(ここ重要)


第4類医薬品.?


 あれは、確か――


 夕方だというのに日差しはまだ高く、ジトジトとした、ある夏の出来事


 オイラが遊びを終えて帰宅してきた時の事だった


ピチョン……ピチョン……


 どこからか聞こえる水の音


 よく聞けば、それは家の中から微かに響く


 湿気を含んだ空気と一緒に家の奥から父親がノソリと姿を現した


「帰ったのか、あれの処理、お前がやっておけ」


 父親がぶっきらぼうにオイラに指図する


 そして指を刺したその先には――

 

 生臭い臭を放ちながら無残な姿を晒しだしていた数々の屍であった


 無残に部屋の片隅へと放置されている屍達


 それは瞳が大きく見開かれ、ただだらしなく口を半開きにしていた。そしてその屍は血を流し、死臭を周囲に振りまいていた


 どの屍も皆一様にして無残な姿を晒していた


 何事かであろうか。


 大きく見開かれた瞳はまるで何かをオイラに訴え掛けてきている様で、


 背筋に悪寒が走った


 親父は言いたい事だけを言い終えると、またすぐさま部屋の奥へと引込んでいく


 後には死骸だけが残されていた


「はぁ~、気が重い!!」


 オイラは溜息を吐き出しつつも作業をする為、家へと入る


 そこで早速とばかりに処置室での準備にかかった


 まずは作業台をセットし死骸をバラす為の道具を出していく


 後は道具を軽く水で洗い、刃物を取り出す


 肉厚の刃物を骸の体に入れていった


 幾つの死骸を処理しただろうか、日も落ち辺りは段々と暗くなり始めていた


 薄暗くなった部屋で血に染まった手を見ながら黙々と作業を進めるオイラ


 感じていた生臭さも鼻がマヒしてきたのかあまり感じなくなる


 暗く静まり返った部屋の中……


 どこかで――


パシャ……パシャ……


 水の弾ける音がしてきた


 それは暫くの間、断続的に響き渡った


 ここでオイラは改めて気が付いた


 屍はどれもかもが少し濡れている


 無残に濡れた死骸の数々


 そのことに体が少しブルリと震える


 それはまるで自分達はここに居るんだよ、バラさないで……と訴えかけてきているようだった


 オイラはその音を誤魔化すかの様に処置室の蛇口を大きく開いた


シャー!!


 勢いよく水が流れる


 すると今度は


ウォ~、ウォ~……


 何処かで不気味な唸り声がした


 だがこの場には誰も居ない


 まるで亡者のような鳴き声


 不気味な唸り声にオイラは思わず死骸の顔を覗き見た


 死骸は只々、大きく見開かれた瞳をこちらへ向けるだけだった


 だが、その大きく開いた口元からは何故か唸り声を上げている様にも感じられる


(気持ち悪い!!)


 そしてオイラの背後からは何かがゆっくりと此方へと迫って来るのを感じた


 気配に嫌なものを感じる。だが、怒りのような物も感じるのは何故だ?


 悪寒にも似た冷たい風が背後からスゥーと吹き抜けた


 気のせいか処理室の温度が一瞬、冷えて行くのを感じる


 だが――


ガタン!


 すぐ脇で響くラップ音にも似た小さな音


 背後から感じる微かな気配


 オイラは「気のせいだ!!」と心に言い聞かせながら、この得体の知れない感情を押し殺す


 しかしオイラは振り返った


 どうしても気になったからだ


 だが、誰もいなかった


「あれ?」


 所詮は気の所為だったと再び刃物を手に取り気合を入れ直して作業を進める


 そして最後の工程……


 一通りの作業を終えて“ホッ”と一安心


 だがまだ死骸は残っている


 ある死骸は切り刻んだ


 またある死骸は火で焼いた


 処理した死骸を液体に漬け込んだ物もある


 大まかな作業は終了した


 ホッと胸をなでおろす


 そんな時だった


ウォ~、ウォ~……


 またしても不気味な呻き声


 オイラはその声の原因を確かめるべく、処置室の扉を勢いよく開け放った


 そこに居たのは……

 

 親父!!


 オイラは声を掛ける


『父親、晩飯のおかず出来たよ~』

 

 録画しておいたテレビのスポーツ観戦をしながら「ウォ~」と雄叫びを上げ続けている親父


 クーラーの効いた部屋で酒を片手にいつの間にか《処置室=台所》にあったつまみを食べてる


 背後に迫った気配はコイツか……


 今晩のおかずは刺身に焼き魚に魚の煮つけ


 まったく、自分で釣ってきた魚位、自分で捌けって言うんだ!


 心の奥から再び怒りが湧き上がる


 だが親父はどこ吹く風


 オイラは怒気の含む声で親父に忠告する


「海釣りの道具、水洗いしないと傷むよ」


「あぁ、それならとっくに洗ったぞ~」 


 少しむかつく親父の姿。その後、家族皆も帰ってきて今晩のおかずは魚中心になった……


 自分の釣って来た魚位、自分で捌けと思ってしまう


 頭来ていたから全部一遍に捌いてやった……


 今日のオイラはちょっぴ怒り顔


 こうして今日も何事もなく平穏無事に終わりを告げた


 ちなみに手、生臭いです……

この作品は過去に短編小説として掲載された物を加筆・修正し連載物として変態した作品です


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