第23話 ~帰り道~
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■効能・ 本製品は、暇な時間の緩和に効果を発揮するアレですよアレ。
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■注意・ 用法・容量をキチンとお守りください。もし、次の症状があった場合は直ちに使用を避け一部の症状が現れた場合、医師とご相談下さい
目の充血、目のかすみ 眠気スリープ 破壊衝動バーサーク 狂喜乱舞コンフュージョン 作者への誹謗・中傷(ここ重要)
第23類医薬品.?
これはオイラが中学生の頃の出来事
オイラを含めた家族一行は、ゴールデンウィークとあってか朝早くから出かけることにした
心は既にウキウキ、わくわく――
栃木県にある日光にまで出かける事にした
だが、この時のオイラは気づいてはいなかった
この旅行が後にどのような結果をもたらす事になるのか
その答えは、話を読めばおのずと明らかになる事だろう
連休初日
オイラは家族と一緒に一路、日光にある中禅寺湖を目指して車を走らせていた
車に揺られる事しばし
ついにオイラ達はイロハ坂の入口ともいえる山のふもとまでたどり着いた
長い道のり
だが、時間はまだ朝とも言える時間帯
思っていたより早くつくことに成功したオイラ達
後は坂を上って観光を楽しむだけだ
ヒヤッホ~
気分が高揚するぜ
だが――
事態はそんなに甘くはなかった
そこでオイラ達が目にしたもの
それは、休日を楽しみに出かけるという愚者の群れ
「イロハ坂の手前だというのになんだ、この異様な車の数は」
そんな言葉が思わず出てしまうほどの数だった
かく言うオイラ達も同じ穴のムジナであるには違いないのだが
その後も車はまるで進まず遅々としたもの
その、あまりの遅さに文句の一つでも言いたくなる
『もう、お家へ帰りたい――!!』
それが正直なオイラの感想だ
思わず心の中で叫んでやる
ついでに運転席に目をやれば、母の目も既に死んでいた
『南無三・・・』
母上、大丈夫かなぁ?
心配だが今は母上だけが頼りだ
何故なら、母以外車を運できる者がいない
だからオイラはせめてもの思いで心の中で念仏だけでも唱えてやろう
『かんじ~だい、ぼ~さつ~』
そんな馬鹿な事をしている間にも車はどんどんと押し寄せてくる
後ろを振り向いてみれば既に八方ふさがりの状況
逃げ場は絶たれたのだ
「まじかよ?」
思わず愚痴ってみたくなった
だが、そうしたところで何も状況は変わらない
抜け道すらも残されていないこの状況でどうすればいいというのだ
絶望感すら覚えてくる
こうしてオイラたち一家は、一路イロハ坂めがけて突入する事になるのだが
そこからは正に苦行とも言っていい道のりだった
待てど暮らせど進まない道のり
暫くすれば「もう、歩いた方が早いんじゃないか!!」と叫びたくなるほどの状況
だが現状、ここで車を乗り捨てていく訳にもいかないというのが現実
だから待つしかない
どのくらいの長い間、車に揺られていたのだろうか
いや、揺られているなんておこがましい
何せ車は殆ど進んでいない
進んだと思ってもすぐ止まる
進むよりも待っている時間が長い位だ
その繰り返し
時間だけが無駄に過ぎていく
やがて――
ついに……ついに、オイラ達の瞳に希望の光が見えてきた
やった~。ついにオイラ達はついにたどり着いたのだ。
この、天竺へ……
じゃなかった
中禅寺湖へ……
拍手喝采
ドンドンドン、パフパフパフ……
その時の感情を何と表現したらよいのだろうか
『ドンヨリ……』
そう表現した方がピッタリ
だって――
何故なら辺りは既に真っ暗だったから
日は既に沈んでいた
オイラの気も沈んでいる
何故によ?
解せんのだよ!!。
泣いても喜んでも、笑っても叫んでも、押し寄せるのは絶望感ばかり
この酷い現実に打ちひしがれながらオイラは『世の中はそんなには甘くないな』という感情をかみしめる
まさに『呆・然・自・失!!』とは、この事だ!!
「おかしい、おかしすぎるだろ……。なぜ、坂の手前に来た時は朝だったのに、もう夜なんだよぉ!!」
愚痴ってみたが現状は変わらない
明らかに観光する時間帯ではない
だからこそむなしさがこみあげてくる
今は現状を受け入れるという事しかないのか
今や辺りを照らす光は車の灯す赤いテールランプのみ。
いや、後は宿の灯す明かりや土産屋の灯す明かりくらいはあるのか。
とにもかくにも既に夜で暗い
そんな時、母が「どこかに泊まって行こうか?」となどと提案してきた
希望が灯る
だが、ここでオイラは少し考えた
「どこに?」
咄嗟に言葉が口からこぼれる
考えてもみてくれ
辺りの渋滞は尚も続いている
これだけ混雑した状態で果たして宿が取れるのかという疑問が浮かんでくる
恐らくだが考えることは皆一緒の筈
だからそれを考えると気が重くなる
母上にその事を伝えると母上も、「やっぱりそうだよねぇ~。」と同意してくれる
分かっていたなら言わないでくれよ
これだけ周りが渋滞していて宿なんて取れる訳がないんよ
結局、オイラ達家族は止まることなくそのままトンボ帰りをするという羽目となった。
何と虚しいゴールデンウィークの過ごし方だろうか
観光に来たのに観光することもなく来てはすぐに再び帰るという虚しさ
これぞ馬鹿な休日の過ごし方。
しかし、オイラたちの絶望はここで終わらない
何故なら帰り道を見れば分かる事だろう
「まじかよ……!!。オーマイガーだ!!。また、あの苦行を再び味わへというのか」
渋滞している帰り道を見て、絶望感が押し寄せてくる。
だが、母はここで一つ、希望の提案をしてくれた。
それは最短距離で帰るのではなく、迂回をとって大回りをして帰ろうという案だった。
何という最適解なんだろうか
思わず神に祈りを捧げたくなるでは無いか
『神に祈りを!!』
「このまま帰っても大変そうだから、少し大回りして帰るよ!!」
母がハンドルを空いている方向の道へと既に切る。
だがここで不思議な事がある
それは――
道を見て思う
何故、この道はこんなに空いているんだ?
オイラ達を乗せた車以外、他に車がまったく見当たらない
その状況に疑念が湧く
しかしオイラはここで考えた。
「渋滞しているよりいいじゃないか」
そう、考えることにした
そして、これがこの後に続く不思議な出来事の始まりに過ぎないとは
オイラを含めた家族一行はまだ、知る由もなかった
車は進む
どこまでも――
「しっかし……他の車が全く見えないなぁ~。」
オイラの呟いた疑問は当然、隣にいる母上の耳にも届いている事だろう
「本当に、どうしてだろうねぇ~」
母もオイラの疑問に当然のように答えてくれる
本当にこの道は不思議なほど他の車が見当たらない
何故に?
それでも車は進んでいく
道は全てが闇に支配されていた。
これは山道だから仕方がない事
月が照らしだすわずかな明かりと車の照らし出す白いライトの明かりだけが頼りだ
暗くなった道をひたすらに突き進む
少し不安になってきた。
未だに他の車は見当たらない
しかたがないのでオイラは『ホェ~。』と暗闇の中を見つめながら景色を楽しんでいる
真っ暗でほとんど何も見えないけどね
やがて、走る車のライトに照らされて、青い標識の文字が目に飛び込んできた
『戦場ヶ原』と書かれた白い文字。
どうやらここは戦場ヶ原を通過するルートのようだ。
良く知らんけど・・・
『戦場ヶ原』、それはなんとも不穏な響きだろうか。
周囲を見渡すと、雰囲気だけで闇から何かが出てきそうな気配がする
武者か?
落ち武者か?
鎧を着こんだ武者の姿が見える
まぁ、気のせいなんだけどね。
なにも見えへん!!
しかもまだ、戦場ヶ原へはついてすらいない筈だ
これは恐怖見たさの好奇心なのだろうか。
ワクワク
暫くすると山の中だというのに平地が続いていた
ここが戦場ヶ原か?
そんな時!!
突如、赤い光がオイラの目の中に飛び込んできた
前方を走る車からいくつかの連なったテールライトの赤い光が目に入る。
「良かったよ。……他にも車がいたよ。」
オイラはここでやっと一息いれた
精神的な安堵を覚える
あれだけ混雑していたのに同じような考えを持った者が居ないだなんてあり得ないのだ
同類が居た事に思わずホッとする
あとは前を走る車のケツを追い回せばいいだけの話
車は下り坂とあってか当たり前のようにブレーキを踏んだ時に見える赤いテールライトが目に入る
後は無事、それを追いかけ麓までたどり着けばよいだけ。
実に喜ばしいことだ。
母もそれをみて一安心したのか目で見て分かった
最後尾を走る車の赤いライトにはすぐにたどりついた。
この後のオイラの役回りとしては見守り隊だな
こうして、オイラたちは最後尾を走る最後の車となった。
後続車は見当たらない
母は取り残されまいと必死に目の前に見える光を追いかけていた
気持ちは分かる
事故など起こさないでほしい。
オイラはまた、周りの景色でも眺めて時間を過ごす
やがてふと、オイラはある疑問に直面した。
それは視線を再び前へと戻した時の事
その瞬間、オイラは首を傾げた
何かがおかしい……おかしい
原因は分からない
確かに違和感だけがオイラを襲う
最初はその違和感が何であるか分からなかった。
だが、時間が経つにつれオイラはある事に気が付いた
それは何故だか前を走る車のライトの数が減っていたに他ならない
「あれ?。気のせいか?」
数を数え間違えていたのだろうか?
いや、そんな事はないはずなのだが
オイラは考える
それとも何処かに脇道があってその脇道へと逸れていったのだろうか
初めはそう、思う事にした
疑問が尽きない事態ではある
だが、答えは出ない
結論としては、もしかして単純に脇道を見逃していただけなのかもしれない
そう、思った。
暗くなった道のりで、オイラはまたしても視線を脇へとそらした
暫くしてまた視線を戻す
前を向いた
そして・・・
「あれ?」
前方を走行している光の数がまたしても少し減っていた。
「やっぱり、おかしい……。おかしいぞ。気のせいじゃない」
オイラは母の様子を伺う。
母は相も変わらずで、暗い夜道で道を見失わないように前方の車が灯すライトに集中している。
「ここは下手に話しかけない方がいいのかも・・・」
オイラは母に話しかけるのをあきらめた
事故ったらたいへんだし
「気のせいだ・・・」
そう、心の中で言い聞かせる
しばらくすると――
やっぱりライトの数が減っていた
まるで狐につままれた感じだ
その時、何故かオイラは『狐の嫁入り』という怪異話を思い出した
それは・・・恐らく、よく知られている怪異話だとオイラは思う
よく晴れた日に雨が降る、という話もあるが、そちらではない
無数の怪火(狐火)が提灯行列の様に連なって見える。という現象だ
だが、そもそもの話、怪異なんてある訳がない
寝ぼけた人が見間違えたのさ
オイラは気を紛らわすために車内に音楽をかけ始める
いくつかのボタンを押して車の真ん中に搭載しているカーオーディオを操作していく
車内に音楽が流れ始めた。
ここでやっと一息
そこで前方を見た時――
またしても前を走る車のライトが明らかに減っていた
ほんの少しだけとなった赤い光
「やっぱり、おかしい!!。」
次々に数を減らしていく赤い光
一本道しかないのに他の明かりは何処へ行ったというのか。
オイラの心臓がトクンと高鳴る
その瞬間だった!!
前方を走る車のライトがまたしても減った
目の錯覚ではなかった
ライトの数が減って、減って……
やがてすべての光が無くなった時
オイラ達の目に映るのは暗い夜道と不気味な森の木々達であった
先程まで見えていた赤い光は何処へ行ったのか
暗い夜道を走るというのはまるで暗闇そのものに吸い込まれて行きそうな恐怖がある
時間は静かに過ぎていく
母は前のめりになって暗い夜道を走り抜けていく
やがて――
街の明かりが見えた時、母はフッと息を吐き出した
これで終わり、終わりだ
そう思ったオイラだったが――
だが、恐怖はこれで終わりではなかった
山道は……
抜けたと思ったけど他の道も意外と混んでたんだよ!!
怖いだろ!!
だが、あの混雑を思い浮かべればかなりましな方だった
こうしてオイラ達は無事、家へと帰り着いた
今でも時々思い出す時がある
それはあの、前を走る車の光が何処へ行ったのか
それは――
それは――
何だと思う?
これは、前を走っていた光が突然目の前に迫った時に分かった事だ
その瞬間、恐怖がオイラの全身を駆け巡る。
「そうか!!。そうだったのか・・・」
その時は思わず声に出してしまったほどだ
全てを納得したオイラ。
その後の恐怖と言ったら……
まぁ、どうでも良いか
あれからしばらくして
今でもたまに思い出す事がある
それは、あの時の出来事だ
いい加減にネタ晴らしをしよう
ただ単に前を走る車が止まって後続車に道を譲って後ろへと回っていただけ
ね、びっくりしたよねぇ~
要は他の車は先頭を走るのを嫌がっただけなのだ
後ろを振り向いた時など思わず二度見してしまった程だ
最後尾を走っていた筈なのにいつの間にか後ろには白い光の列が
誰も暗い山道の先頭など走りたくないという事か
だから他の車は少しでも広い道に出た瞬間に前の後続車へと道を譲る
後はその繰り返しだった
実際、オイラも前の車が突然ウィンカーを出した時、なぜにここでウィンカー?。と、不思議に思ったものだ
脇道もないところに急に止まりだす前方車両
一瞬、脇道でもあるのかと周りを見渡してしまった程だ
因みにだが・・・
オイラも運転する母に気を使い『他の車同様に脇に寄ったら?』と提案してみた。
だが、それを母は断じて拒否
何が母をたきつけたのか、母は先頭を譲らず、只ひたすらに山道の先頭を走り続けた。
坂道だったこともあり結構スピードが出ていて恐怖だった
暗かったしで更に結構怖かったと記憶している
あれ以来、我が家ではゴールデンウィークに旅行へ行くのは禁忌となった。
「どこかへ出かけよう。」と、いうと「お前、正気か?。」という顔をする
今更ながらに酷い体験だった
あぁ……あれは本当にひどい旅行だった
また、あの恐怖を味わいたくはない
これがこの度起きた旅行の真相であった
オイラは思う――
ゴールデンウィークのご旅行は計画的に!!
チャン、チャン……
ネタがネェ~




