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第12話 ~悪霊払いに必要な物~

■成分・ この物語は作者自身の身に起こった事を忠実に盛って作成されています


■効能・  本製品は、暇な時間の緩和に効果を発揮するアレですよアレ。


■用法・ 容量・本製品は1日1ページ位を目安に御使用ください。


■注意・ 用法・容量をキチンとお守りください。もし、次の症状があった場合は直ちに使用を避け一部の症状が現れた場合、医師とご相談下さい

目の充血、目のかすみ 眠気(スリープ) 破壊衝動(バーサーク) 狂喜乱舞(コンフュージョン) 作者への誹謗・中傷(ここ重要)


第12類医薬品.?

 ―――ある夏の日の晩―――


 オイラは道路の片隅で数名の仲間達と共に会話の話に花を咲かせていた


 それは下らない日常話。


 他愛のない雑談を唯々繰り広げるだけの暇つぶし


 そんな話をしているオイラの頭の中に〝フッ″と昨晩見ていたテレビ番組が思いだされた


 話のネタとしては丁度いいのかもしれない


 そう思ったオイラは早速皆に昨日の特番の話を振ってみる事にした


「ねぇ、昨日の怪奇特集の特番見た?。」


「おっ、見た、見た!!」


「けど、あれは胡散臭い物ばかりだったねぇ~」


「合成っぽいのも結構あったんじゃねぇ?」


「最近はCGポイのも多いからなぁ~」


 やはり皆もこの手の話は好きだったと見える


 そんな時だった―――


「近くの神社にでも肝試しに行かねぇ?。」


 唐突に何をとち狂ったのか、仲間の一人が変な事をいい出した


「おっ、良いね。良いね・・・。」


「行こうよ!」


「決まりだな!!」


(何が?)


 それに賛同する仲間達


 こうしてオイラ達は近くにあるという神社へ肝試しをする事となってしまったのであった


 肝試しをするには辺りも暗くなって来ていたし丁度いい時間帯といえよう


 話によればこの神社の裏手では過去に自殺者がでたという曰く付きの神社だと言う


 案内されるがままに通る道筋は進むにつれ街灯がその数を減らし周りは段々と暗闇へと包まれゆく


 鳥居の前まで来る頃には、周囲にある明かりが僅かに一か所だけとなっていた


 それ以外の明かりは遠くの方で僅かにポツンと光っているのが見えるだけ


 明かりは神社の入口である鳥居を照らし出すように設置されていた


 周囲にある木々は月明かりさえ遮り辺りを暗闇の世界へと変貌させる


 オイラはここに来て、夏だというのに妙な寒気さを感じ初めていた……


 あの世とこの世の境界線―――


 この場所に立っているとそんな場所に立たされているような奇妙な気持ちになってくる


 お化けが出ると言われても思わず納得してしまう程の気配がここには漂っていた


 奥の方まで見通す事の出来ない暗闇


 それは、まるで人の侵入を拒んでいるかの様でもあった


 闇と静けさだけが支配する世界


 そっと境内に足を踏み入れたならば静まり返った周囲からは小さな獣達の息遣いを僅かに感じとれた


 時折、木の上で羽を休めている鳥達の翼の音がバサバサと聞こえてくる


 暗闇に何か潜んでいそうな……そんな感じにさせてくる境内であった


 オイラ達は肝試しをするにあたってどの様に肝試しをするかと言うのを入口である鳥居の下で話し合い始めたのであった


 この神社はそんなに大きくはない


 行って帰って来るだけではすぐに終わってしまう


 だからその為にどうするべきかと言うのを話し合いによって決めようという事になった


 そして、いくつかの意見を取りまとめたルールが決定した




 ―――― ルール ―――――


 その1、境内では走らない


 その2、社に付いたら参拝用の鐘を1回鳴らす


 その3、3分程その場に待機した後、参拝用の鐘を鳴らして歩いて戻ってくる


 その4、肝試しの順番はジャンケンによって決定し一人づつ行う事とする


 追記=なお、何が起こっても当方では一切責任を負いません・・・(笑)


 ――――――――――――――




 以上が皆で話あった結果だった


 ルールに従い皆でジャンケンを始める


 そして厳選なるジャンケンの結果オイラの順番は2番目となった


「行ってくるわ~!」


 一番手がオイラ達にそう声を掛けるとさっそく境内の奥へと入ってゆく


 皆が見守る中、奥へ進んでゆく奴の後ろ姿がやがて暗闇に呑まれて……そして消えていった


 待つ事、暫く―――


カラ~ン!!


 参拝用鐘の音が小さく一回聞こえてきたのが分かった


 その後もしばらく待っていると―――


カラ~ン!!


 再び鐘の音が聞こえてきた


 やがて暗闇の向こう側から何食わぬ顔で戻ってくる友人


 彼の顔に不安や恐怖と言った感情はまるで見て取れない


 そして次はオイラの番であった


ゴクリッ!!


 オイラは生唾を一飲みすると、覚悟を決めるかの様にして境内の奥へと歩みを進めた


 まだ、この暗闇に目が慣れていない


 石畳の上を進むにつれ目の前の景色が闇色、一色に染まっていった


 鳥居から離れるにつれて辺りは段々とその深い闇の色合いを増し、緊張と不安感が膨れ上がって行く


 友達の話によれば皆が居る鳥居から参拝用の鐘がある所までは直線で6、70メートル程位だという


 辺りは高い木々によって遮られ、まるで光を通さない


 それはこの場所を深い暗闇の中へと誘いざなうあの世への通り道のであるかの様な錯覚を引き起こさせた


 暗闇の中を転ばぬようにと石畳の上を慎重に歩いて行く


 この時、再びオイラは何か言いようの無い寒気を感じていた


 奥に何かが潜んでいるかのような……


 そんな感覚―――


 言いようのない不安がオイラの心を支配してゆく


 一人であったら絶対にこんな所には来ないであろう暗闇に閉ざされた真夜中の神社


 そんな事を思っていると


くしゅん!。


 突如、オイラの口からくしゃみが漏れ出た


(誰かがオイラの噂でもしているな!)


 オイラはそう思いながらも慎重に奥の暗闇へと歩みを進めていった


 暫く進むと静まり返った暗夜の中に薄っすらと社が現れてきたのが見てとれる


 ここまでくればある程度、闇に眼も慣れてくるというもの


 オイラは走り出したい気持ちをグッと堪え、社の前まで歩いていく


 参拝用の鐘と賽銭箱が見えてくる


 オイラは社の前まで到着するとそっと軽く手を合わせ神に向かって一礼を始める


 何だか肝試しの為だけに騒がしくするのは罰が当たりな気がした為だ


 オイラは目の前に垂れ下がっている太い荒縄を握りしめ、仲間に合図を送る為に参拝用の鈴を一回だけ『カラ~ン!』と鳴らした


 瞬間―――


 ぞくっ……


 何故か言いようの無い寒気を感じた


 それはまるでオイラの周りの空気が一瞬だけ下がった様な……そんな気がした


 後ろを振り返ってみる


 しかし何もない!。誰も居る筈などなかったのであった


 あるのは暗闇だけ……


 突如―――


バサバサバサバサ・・・


 暗闇の奥から木の枝で羽を休めている鳥達の翼を打つ音が聞こえた


 その音にビックリと肩を震わす


 オイラは平常心を取り戻すためにと不安に押しつぶされそうにならないよう眼を瞑る


 そして心の中を落ち着かせていった……


 オイラは逃げ出したい気持ちを必死に抑えると、ルールに従い3分程ここで待つ事にした


 暗闇の中、シーン……と静まり返る境内


 夏と言う事もあってかまとわりつくようなべた付いた湿気を肌で感じる


 オイラは不安感を紛らわすために腕を組みながら社の前を行ったり来たりを繰り返していた


 そして腕時計を見れば三分が経過した……


 特に何も起こらない


 オイラは再び参拝用の鐘の前に立った


カラ~ン―――!!


 鈴を鳴らす


ぞく、ぞくっ・・・ 


 何か再び言いようの無い寒気がオイラを襲った


 それと同時に何か“ズシリ”と肩の辺りに誰かが圧し掛かってくる様な重圧感


 思わず走り出したい衝動に駆られる


 しかしオイラはそれを意思の力でグッと我慢すると踵を返してもと来た道へと戻っていった


 歩いていると、やがて見えてくる明かり


 その下にスタート地点であった鳥居も見えてきた


 オイラが到着すると仲間達が快く迎えてくれる


 オイラはこの時、この長くて短いような気がする肝試しが終わったんだ!。とようやくホッと一安心した瞬間であった


 あの時感じたゾクゾク感と肩の重みはまだ消えてはいない


 しかしオイラは何事も無かったかの様に皆の前では空元気を出して誤魔化していた


 暫く時間も経ち、一通り肝試しを終えた仲間達は気が済んだのかやっとその場で解散という事になったのであった


 家に着く頃にはオイラはどうかしてしまったんじゃないかと思うくらいに体がだるい


 夏だというのに妙な寒気さと倦怠感、肩の辺りは何かがのしかかっているかのように重みを感じる


 家にまだ母上が起きていたのを確認すると、オイラは今日一日の出来事を母に語り聞かせたのであった


 寒気や倦怠感、そして肩の辺りに感じる重み


 オイラは“良くないものがうつったのでは?”と母上に言ってきかせた


 居間のテレビを見ながら静かにオイラの話を聞いてくれた母上


 すると突如、母上が席を立ちあがった


 〝何だ?″と、思うと戸棚の中からゴソゴソと何か小さなものを取り出してくる


 母上は『早く寝なさい!』といってそれをオイラへ差し出してきたのであった


 渡された物を見てみる。


 そこには!!


 葛根湯――


 かっこんとうと掛かれていた漢方薬……


 親よりそっと差し出された葛根湯。効能の所にはこう書かれていた


 効能:発熱、倦怠感、悪寒、頭痛、肩こり、等々・・・


 オイラは渡された漢方薬を飲み干すと自室の布団で横になってみせる


 横になり、天井を見渡しながら考える


 悪寒?


 確かにあっている


 倦怠感?


 無くもないな……


 肩こり?。肩のだるさから来る肩への重みと言った処か?


 良くないものがうつった……。風邪か!!


 そう思いながら目をつぶった


(いや、何か違わなくねぇ~?)


 しかし、真の恐怖はむしろこれからだったと言っても過言ではなかろうか


 それは翌朝……。“夏風邪は馬鹿が引く”と、親から教えられた事だ


 その時、親の口が何故か笑うように歪んでいたのは気のせいだったであろうか……


 その答えは未だ判らないままである 


 多分気のせいだ!


 オイラは今でもそう思っている


 そして皆にも教えてやりたい


 肝試しには葛根湯を……


今日は寒い!

冬だというのに風邪を引きそうだ・・・

あっ!

いいのか・・・

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