第11話 ~迫りくるゾンビ~
■成分・ この物語は作者自身の身に起こった事を忠実に盛って作成されています
■効能・ 本製品は、暇な時間の緩和に効果を発揮するアレですよアレ。
■用法・ 容量・本製品は1日1ページ位を目安に御使用ください。
■注意・ 用法・容量をキチンとお守りください。もし、次の症状があった場合は直ちに使用を避け一部の症状が現れた場合、医師とご相談下さい
目の充血、目のかすみ 眠気 破壊衝動 狂喜乱舞 作者への誹謗・中傷(ここ重要)
第11類医薬品.?
のどかな田園風景を見渡せる大きな土手の上
オイラは苦しみの表情を浮かべながらひたすら走り続けていた
時折、背後から感じてくる圧迫感に後ろを振り返りながらも一生懸命に足を動かす
何故なら止まる訳にはいかなかったから……
止まったらお終いなのだから……
息は途切れ途切れになり、足の脹脛ふくらはぎがパンパンになって悲鳴を上げる
鼓動は激しく心の臓が張り裂けそうであった
(もう、限界だぁ~)
だが、オイラはこの辛い走り込みを止める訳にはいかなかった
何故なら、その背後で蠢く影達にあった
背中からはヒシヒシと強烈な視線が感じとれた
苦しみに耐えながらオイラは再び背中を振り向く
オイラは今亡者の群れに追われていたのだ……
そして――
(まだだ、まだ止まれない・・・!!)
もう、どれくらい走っていたのであろうか
未だに奴らはオイラの背後を追いかけてきていたのであった
そう、アレは突如としてやって来た――――
本来であれば高校授業を受けている時間帯
しかし奴らは突如、このオイラの平穏な日常を壊したのであった
頭の中によぎるのはオイラの気の良い仲間達の姿
この逃走劇が始まったばかりの頃にいた数名の仲間達だ
だが今は周りを見渡してもオイラと一緒に走っている仲間達はもういない
思い起こせば奴らと交わした最後の言葉が脳裏をよぎる
この逃走劇が始まって間もなくして仲間の一人が苦しそうにオイラに声を掛けてきた
「先に行ってくれ!!」
少し小太りの仲間がオイラを気遣うようにそう叫でいた
オイラの前で苦しそうな顔が更に歪んでゆく
まだ余裕のあるオイラと違って奴は既に限界近くの様子であった
そんな奴の言葉に周りの皆も堰を切るようにして同調し始める
誰もが皆、奴と同じそうな苦しい顔をしていた
誰もかもが苦しさは一緒だった
皆の顔に諦めとも悟りとも似た悲壮感が垣間見える
「そうだ!。俺達を置いて先に行ってくれ!!」
あれは誰の言葉だったろうか?
次々と声を掛けてくる仲間達
「俺等と共に犠牲になる事は無いんだ!!。足の速いお前が俺等と一緒に居る事は無いんだよ。」
「お前ならきっと・・・」
「早く行ってくれ!!」
そんな言葉をかけてきた仲間達はもう居ない
オイラは仲間達の言葉に甘えその場を立ち去ってしまったのだから……
背後を蠢くゾンビ達の仲間に等はなりたくはないという思いもあったのかもしれない
オイラは迷いもせず、彼等を置き去りにしてその場を去っていったのだから
仲間達の姿を思い浮かべると奴らの暖かい言葉に今でも胸の中が熱くなってゆく
あいつらの犠牲を無駄にはできない!!
仲間達を置いて一人先へと進んでしまったのだからその責任として何としてでもオイラだけでも無事に……
でなければあいつらも浮かばれないだろう
再び思い出す奴らの笑顔
(恐らく、あいつらもう駄目だな・・・)
オイラは奴らの熱い言葉を胸に秘め今もなおも走り続けた
いつ果てるとも知れない終りなき道筋
「あっ、犬のフン・・・。」
走りながら視界の片隅に映る犬の糞
しかしオイラは走り続けた
奴らの為に……
「あっ、また犬のフンが見えた。」
そしてオイラは力ある限り走り続けた
カラカラに干からびた犬のうんこが風に乗ってコロコロ転がる
(あいつらはどうなったかなぁ・・・)
今更心配などしても偽善と言われるだろう
しかし心配せずにはいられない
(あいつら犬のウンコ踏んづけて大変な事になっていれば面白いのに・・・)
心配事が募る
(それとももう駄目かぁ~?。終わっちゃったか~。ケケッ・・・。)
背後にいるゾンビの群れを見ながら思いをふける
オイラと離れた時点ではまだ無事だった。しかしきっと、今頃はもう……
(ぷっ!。ざまぁ~ねぇな~!!)
オイラは見知らぬ土地を駆け抜けた
必死に走りながら心の隅では取り合えずあいつ等を心配してみせる
未だしつこくオイラの背後を追いかけてくるゾンビ達
苦しくっても寂しくっても暖かい言葉を掛けてくれる仲間はもう居ない……
どの位走り続けたであろう
土手の脇にあった結構大きな公園が見えた
端っこではいまだ元気そうな人達が目につく
何故かその姿を見てオイラはホッと一息つく事ができたのだった
直感したのだ!!
あそこまで行けば全てが終わる。あそこまで行けば大丈夫だと……
オイラは苦しみより開放されるべく、最後の力を振り絞って走り出していた
彼等の脇を駆け抜けてゆく
そして……
『ゴォォォ――――――ル!!』
(終わった・・・!!)
へとへとになったオイラの体中から力が徐々に抜け落ちていっているを肌で感じる
そして、今日は年に一度の校内マラソン!!
ゴールを果たした奴らが次々とゾンビ顔の様な青白い顔から血色の良い人の姿へと変貌を遂げて行く
やがて休憩しているオイラの下へと仲間が次々やって来た
「どうだった?」
「危なかったけど大丈夫だったよ・・・」
オイラの言葉にニッコリ微笑む仲間達
どうやら仲間達は皆無事だったようだ
(チッ・・・)
と、言うのもオイラの高校では時間内に走り終えないと放課後に居残りマラソンをさせられ残りの分を走らさせられる
土手の各場所にあるポイントへ所定時間内に到着しないと残りの分を走らさせられるのだ
その為、ラジオ体操宜しく。皆、首からカードをぶら下げてのマラソン大会となる
各ポイント毎に判を押してもらいながらのマラソン
オイラのカードは途中、紐からカードが外れてしまい手に持ちながらのマラソンだったのでとても邪魔だったのを覚えている
数日後の学校での放課後では―――
校庭を走らさせられる生徒達が姿が目についた
顔を見れば皆が皆ゾンビの様な顔をしている
苦しみに歪む奴らを見ながらオイラは思っていた……
(おや、大変だねぇ~。)
嫌みを言いたくなるのをオイラは気合と根性で我慢する
しかも、この平穏な日常を壊すこの学校イベントはどうにも好きになれそうもない
そんな事を思いながらオイラは苦しみもがく生徒達をあとにしてそっとその場を静かに離れていくのであった……
う~ん。11話か・・・。良くここまで書けたと自画自賛してみたり・・・
誰にも読まれてなさそうだけど・・・




