エイプリルフール
夕日があらゆるところへと反射しオレンジ色に染まる。人気のない道を歩く二人の白のカッターシャツがだんだん黒から橙色に変わっていく。
手は繋がず、一人は自転車を押して。いつものように振る舞い、一人は学生カバンを持って、夕日に背を向けて歩いていた。
「好きです」
「ん?」
突然話が始まり、聞き取れずに学生カバンを持った少女は自転車の車輪から隣の少年へ目線を移した。それを見た少年は、一度少女を見てから反対方向へ目線を流したが、意を決したように少女を見つめ直した。
「俺、先輩のこと、好きです」
言い終わったあと、少年は照れた様子で整った短い髪をぎこちなく触った。少女は少し考える様子をしてから頷いた。
「エイプリルフールだからってそういう嘘は大概にしてよ〜」
思わず苦笑いをかます少女。それを見た少年は思い出したように首をかしげた。
「あっ、そういえば今日エイプリルフールだったっすね、」