24 特訓
学校に通い始めてから、一週間が経った。
友達は、まだできていない。と言うか、できる気がしない。
好感度がゼロどころかマイナスの状態でスタートして友達を作れるのは、コミュ力が限界突破している人だけである。少なくとも、ミサーナには無理だった。
まあ、まともに話したこともないのに見下してくるような友達はお断りなので、ミサーナ的にはあまり問題ない。が、ひたすらにぼっちというのは結構堪えるので、学校に行きたくない今日この頃である。
それはさておき、魔人族の国に来て一週間になるが、勉強は捗っている。魔法に優れた種族だけあって、魔法に関しては知らないことがぼろぼろ出てくる。
例えば、この世界の魔法は割と自由が利く。
『火矢』の魔法。これは名前の通り火でできた矢を飛ばす魔法だが、別に矢しか飛ばせないわけではない。簡単に言うと、『火矢』の魔法で『剣』を飛ばすこともできる。
もっと言えば、鉈でも鎌でも鞘でも弓でもペンでも本でも、なんならぬいぐるみでもいい。とにかく、形を造るだけの魔力と制御力さえあれば、なんだろうが火で造って飛ばせる。つまり、矢よりももっと飛ばすのに適した物を飛ばすこともできる。
そして、弓矢よりも強い遠距離武器と言えば、勿論、皆様ご存知『銃』である。
という訳で、早速試してみることにする。
まぁ、構造なんかは知らないが、先を尖らせて螺旋回転を加えておけばいい筈だ。多分。
ちなみに場所は、この町唯一の訓練場にきている。あまり広くないし、的も粗末……というか丸太ではあるが、その代わり殆ど人も来ない。こういう実験の時にはピッタリな良い場所だ。
「じゃあ、ちょっとやってみますかね」
そう言って魔法を展開するミサーナ。
(とりあえず、形は円錐状を尖らせておけば大丈夫。後は螺旋回転させればいい筈。大きさは……小さめがいいかな)
ゆっくり形を整えた結果、非常にそれっぽい形にはできた。
「なら、後は真っ直ぐ飛ばせば完璧だね」
そして、小さな炎の弾丸が丸太に向かって放たれ、そのまま貫いた。
「あれ?なんか違くない?銃弾って当たった場所が爆けるイメージなんだけど……あれはスイカだから?その辺の勉強とかしたことないんだよねぇ……もうちょっと調べておけばよかった……」
その後もしばらくは試行錯誤を繰り返したが、全く上手くいかない。そして、的になっていた丸太がボロボロになり、そろそろ限界かと思われた頃、ようやくミサーナが一つだけ閃いた。
「なんで爆発してたんだろ?爆薬でも仕込んでたとか?でも流石にそれは無理だろうし……」
そこまで考えてふと気付いた。
「うん?よくよく考えたら全然無理じゃないな」
むしろ、とても簡単だ。
これは『銃』ではなく『魔法』なのだから。銃なら爆薬を仕込めば暴発するかもしれないが、魔法ならそんなことにはならない。銃弾の魔法に仕込むのは爆発させる魔法だ。暴発など有り得ない。
「当たった瞬間爆けるのは少し違うから、ギリギリ貫通しないうちに爆発するように仕込むと……よし、イケる気がする」
魔法で大切なのはイメージである。だからこそ、剣に魔法を纏わせるという無茶も可能だし、銃弾の再現もできる。なら、その程度の仕込みは大した問題にならない。
ミサーナが暝目し、そのイメージに沿って魔法が発動される。そして、その勢いのままに炎の弾丸が宙を駆けた。
その結果、周囲に爆音を撒き散らし、ただでさえ壊れかけていた丸太が、完璧に粉砕された。
「わぉ」
想像以上の威力に、ミサーナの口から変な声が漏れた。
「いやぁ……思ってた通りだけど、流石にこれはないわー。思ってた火力の倍は出てるし……こんなの迂闊に使えないよねぇ……」
それはそうだろう。ボロボロであったとは言え、先程まで原形を保っていた丸太は完全に砕け散り、多少の木屑が残っているだけで、後は炭か灰と化している。
生物に使うには、少々オーバーキルが過ぎる魔法だ。
「まぁ、普段は貫通させとけばいいか。緊急時とか無機物にだけ爆発させよう」
おそらく、それが一番確実な対処法だろう。
普通に使うには強すぎるが、緊急時にそんなことを言っている暇はない。それこそ、火力はあればあるだけ良いのだ。
「あ、そうだ、せっかくだし名前を付けよう。そうだなぁ……貫通する方は『ファイアバレット』って言うのは安直過ぎかな?ま、誰かに言うわけでもないし、別にいいや。
じゃあ、爆発する方は……安直に付けるなら『プロージョンバレット』とか?ダサいな……よし、じゃあ、『爆裂弾』でいこう。考えるの面倒いし」
そうして、今後ミサーナが大変お世話になる魔法が完成し、雑に名前が付けられるのであった。
本文内に入れ忘れたのですが、「魔人族」と言うのは、魔族側から見た自分たちの名称です。なので魔族と特には変わりません。




