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転生王女は元男の子  作者: いでりん
25/36

23 学校へ行こう

ホントゴメンナサイ。

ハンセイシテマス、ハイ。

「それでは、今後の予定をお話しします」


 ハンナについて行った先の部屋で、これからしなければならないことを大雑把に説明された。

 

「まず、ミサーナ様には学校に行っていただきます」

「学校ですか?」

「はい、学校というのは、子供達が勉強する場所だと考えておけば大丈夫です。そして、その学校へ入学できる年齢は十歳からなのでミサーナ様には丁度いいくらいですね」


 学校、なんとも懐かしい響きのする単語だ。まさか転生しても縁が切れないとは驚いたが、元々嫌いな場所ではなかったし、この世界の授業にも少し興味がある。


「どんなことを勉強するんですか?」

「内容は……そうですね、算術や歴史、あとは魔法、それと神学が少しですかね。ああ、それと、敬語は使わないでください。わたしが叱られるので」


 面白そうなのは歴史と魔法くらいだろうか。算術は苦戦するとは思えないし、神学に関してはサッパリ分からない。神様にはあまり興味がないというのも理由だが、面白くはなさそうだ。

 それより、敬語を使われると叱られるというのはどういうことだろうか。


(そういえば、王宮で下手に出るなって言われた気がする)


 多分、自分よりも立場が上の人に敬語を使わせるのは、メイドの心得とかそういうのに反するのだろう。多分。


「一応、途中からの編入になるので試験があります。まあ、有って無いようなものですが、軽く勉強をしてもらいます。アルフェル様の娘として恥ずかしくない成績を取らないといけませんから」

「何の勉強をするの?」

「急に馴れ馴れしくなりましたね……まあ、構いませんが。勉強については、算術と歴史、神学だけで充分でしょう。魔法に関しては、イーガス様達からお墨付きをもらっていましたから、学校では困りませんよ」

「そうなんだ」


 イーガスは兎も角として、あの三人には一方的にボコボコにされた記憶しかないが、少しは認めてくれていたらしい。


「編入は来週で、勉強は明日からです。なので、今日はゆっくりと休んでください。それと、今日からはこの部屋で寝泊まりしていただきます。必要なものがあれば、いつでも声をかけて構いません」


 ハンナの言葉を最後にして、取り敢えずの説明は終わった。




 そして、一週間後。

 ミサーナは学校に来ている。

 編入試験に関しては、楽勝だった。小学校で習う算数なんて欠伸が出るほど簡単だし、新しく覚える歴史に神学も、地獄の化学や物理に比べれば、軽すぎる。あの程度なら、一夜漬けでも問題はなかっただろう。そして、魔法の試験は、中級魔法を使えるかどうか。これも楽勝だ。伊達に何年も魔法を練習していたわけではない。まあ、仮に落ちても裏口があったらしいので、全く問題はない。


 そんなわけで、無事に学校に通うこととなった。クラスについては、一学年につき一クラスしかない。生徒がいない学年もあるそうだ。それだけでも、魔族の人材不足が窺える。

 とは言え、数が少なくても緊張するのは変わらないらしい。現在は教室の扉の前で先生に紹介されるのを待っている状況だが、なかなか呼ばれない。だんだんとお腹が痛くなってきた。


「では、ミサーナさん、入ってきてください!」


 呼ばれてしまった。気は進まないが、いつまでも突っ立っているわけにもいかない。意を決して、中に入った。


「……失礼しま「お前がミサーナか!!」


 早速出鼻を挫かれた。というか、いきなり失礼すぎじゃないだろうか。恨みを込めて声がした方向を睨むと、そこには目つきの悪い少年がいた。


「おい!聞いてんのか!?お前がミサーナかって聞いてんだよ!」


 なんだコイツは。

 幾ら十歳の男の子とはいえ、少しヤンチャすぎないだろうか。正直に言うと、相手をするのは面倒だ。昔から、こういうタイプは苦手だったし。ただ、相手をするしかないのだろう。数少ないクラスメイトなのだから。


「おい!」

「………………そうだけど、だったら何?」


 大人しく返事をすると、少年の口角がニィッと上がった。


「やっぱりそうか!お前、アルフェル様の娘なんだろ?」

「……だから?」

「お前、アルフェル様の娘のクセに、命令一つこなせなかったらしいな!アルフェル様の娘とは思えない不出来な奴だって、父上が言ってたぞ!」


 どうやら、ミサーナの事は子供にも知れ渡っているらしい。但し、悪い意味で。

 何一つ間違った事は言われていないが、結構腹が立つ。しかし、言い返せることがないのも事実。


「フン、あのアルフェル様の娘なのに、言い返しもしないのね。どんな子かと思っていたら、とんだ腰抜けだわ」


 ミサーナが黙っていると、今度は別の人から声をかけられた。見てみると、女の子だった。可愛いと言うより、綺麗な顔立ちをしている。なんか、女王様っぽい。


「また言い返さないのね。やっぱりあなたはアルフェル様の娘に相応しく……」

「そこまでになさい。授業を始めますよ。ミサーナさんの席は一番後ろです。早く座りなさい」


 そこまで言って、漸く先生が仲裁に入った。大人しく従って席に座る。その途中で、他の生徒達にも見下されたような眼で見られた。ミサーナの評価は、全員一致で底辺のようだ。


(これは、しんどそうだなぁ)


 これからの学校生活を想って、ミサーナは小さくため息を吐いた。

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