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転生王女は元男の子  作者: いでりん
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15 街の観光

 ミサーナが王宮を出て、三日目。

 ようやく街に辿り着いた。

 空を飛んで移動していたのに、これだけ掛かるとは思わなかった。


 とりあえずは街に入ろうと思ったが、衛兵のような人に止められる。


「君、名前は?歳は?女の子が街の外で何してたの?」


 すごい勢いで聞かれた。

 まあ、当然だろう。

 ゴブリンがうろついているような森に、十歳くらいの女の子が一人。

 怪しすぎる。


(名前はどうしようかな?ミサーナは使えないだろうし、ともはできれば使いたくない。じゃあ他に…)


「おーい、聞いてる?自分の名前、わかる?」

「はい!え、えーと名前ですよね」

「そうだよ。迷うようなことじゃないでしょ」

「で、ですよね。えーと、名前は」

「名前は?」

「る、ルナ。ルナです。歳は十歳」


 由来は簡単。

 前世の名前は朋、朋は月を二つ並べた文字だ。

 その月から取って『ルナ』

 そのまんまだ。正直、苦しすぎる。

 ミサーナ……ルナとしても苦肉の策だったのだが、他に思いつかなかった。


「ふーん。それで、街の外で何してたの?」

「た、旅を少々」

「女の子が一人で?荷物も持たずに?」

「は、はい。あの、私魔法が使えるので!」


 ルナがそう言うと、衛兵は驚いたような顔をした。

 王宮では当たり前になっていたので忘れていたが、この世界では魔法使いは貴重な存在なのだ。


(確か、五千人に一人だったかな)


「魔法?本当に使えるのかい?」

「本当です」

「ふーん、まあいいか。それで、身分証とか持ってる?」

「持ってないです」

「それだと、税金として銀貨一枚必要になるんだけど、払える?」

「はい、払えます」


 それくらいなら払える。

 だが、アイリにお金を貰えなければこれも払えなかったので、アイリ様様だ。


『収納』に入れておいたお金から、銀貨を一枚だけ取り出し、衛兵に渡す。


「よし、確かに受け取った。

 それでは、ハリピアの街へようこそ!」


 そう言って門を通してくれた。

 ここから奥に見える街はかなり立派だ。




「あ、そういえばこの国の名前って知ってますか?」

「むしろ、そんなことも知らないのか?帝国って言えばわかるだろう。この国の名前は、『シヴァ帝国』だよ」

「わかりました。ありがとうございます」


 当初の予定通り、国からは出られたようだ。

 レオンのいる国でもないようなので、完璧と言ってもいい。もしここが王国の同盟国だったりすると、すぐに旅立たなければならなくなる。


 ただ、それも大丈夫だったので、これでようやくのんびりできそうだ。


 そんなことを考えながら、ミサーナ改めルナはハリピアの街へと入った。










 街に入ったルナが最初に目指した場所は、食事処だ。森にいた時はマトモなものを食べれていなかったので、とりあえずは何か美味しい物を食べたかったのだ。




 だが、肝心の食事処が見当たらない。

 さっきの衛兵に聞いておけば良かった。


 今更悔やんでも仕方がないので、大人しく街の人に聞いてみる。

 話しかけたのは、三十代後半くらいの女性だ。


「あの、すいません。ご飯が食べられる場所、知りませんか?」

「ご飯?食事処なら、大通りを真っ直ぐ行けば幾らでもあると思うよ」

「ありがとうございます。今日街に来たばかりだったので」

「そうなのかい、まだ小さいのに大変だね。宿はこの通りの端っこに良い所があるから、親に教えてあげな」


 親切な女性にお礼を言ってから、大通りに向かった。


 軽く歩いてみると、確かに色々なお店が出ていた。

 その中の、魚が書いてある看板のお店に入ってみる。










 美味しかった。

 メニューはお米なしの焼き魚定食という感じで、お米の代わりにパンが付いていた。

 値段は銅貨七枚。

 相場はわからないが、銀貨を一枚出してお釣りが銅貨三枚だったので、銀貨一枚で銅貨十枚分の価値だというのはわかった。

 それだけでも、十分な収穫だ。


 とりあえずお腹は満足したので、次は宿を目指す。

 場所は、先程の女性が言っていた所だ。

 他のお店にも行ってみたいが、アイリに貰ったお金を無駄遣いするわけにはいかないので、今日はそれで終わりにする。




 宿に着いた。

 中に入ると、十歳くらいの女の子が出迎えてくれた。ルナと同い年くらいだろうか。


「あ、いらっしゃいませ!お泊まりですか?」

「はい、お願いしたいんですけど、部屋空いてますか?」

「大丈夫ですよ。一泊銀貨二枚、朝、夜の食事付きです。食事無しだと銀貨一枚になりますけど、大丈夫ですか?」


 一泊銀貨五枚くらいは持っていかれると思ったが、思いの外安かった。

 ただ、この宿の住み心地もわからないので、一旦は様子見にする。


「えーと、じゃあとりあえず一泊お願いします。食事付きで」

「はい、夕食は後一時間くらいで出来ますので、それまでお待ち下さい」

「わかりました」


 結構な時間が空いてしまった。

 ルナとしては、特にやりたいことがある訳でもないので、身分証を作りに行く。

 向かう場所は冒険者ギルドだ。


これ、観光なんですかね?

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