11 モンスター図鑑
めっちゃ説明会です
そしてまた、二年の月日が流れた。
ミサーナは八歳になり、魔法や剣も調子が良く、身長も伸び盛りで全体的にいい感じだ。ただ一点を除いては……
最近、とても忙しい。
前までは、勉強以外の時間は自由時間だったのに、八歳になって社交というものが追加された。
これがとても面倒くさい。色々な貴族が来るのだが、全員の名前を覚えておき、話しかけられたら、それに付き合わなければならない。
そもそも、週二でパーティーとかおかしくないだろうか。
もしミサーナが内向的なタイプだったら、発狂していたかもしれない。
そんなわけで、やらないといけないことが増えて、魔法の練習と読書の時間が削られている。それでも、剣の練習時間だけは絶対に削らない。前に一日休んだだけで、色々と大変だったのだ。
それはさておき、最近よくレオンが遊びに来る。前までは、半年に一度程度しか来なかったのに、月に一度は来るようになった。
アイリによると、婚約はほぼ確定したらしいので、そういうことなのだろう。
ただ、そうは言っても、関係自体は変わっていない。相も変わらず、フォウルの勝負をする以外は特に何もしない。他にするのは、食事か雑談程度だ。ちなみに、フォウル勝負にはまだ負けていない。
それから、話は変わるのだが、この間図書室で図鑑を読んだ。これがなかなか面白い。
その名も『モンスター大図鑑』
そのまんまだが、王宮の図書室にある本なだけはあり、色々なモンスターが事細かく記されている。
最初のページには『ゴブリン』が載っていた。この世界には、ゴブリンがいるらしい。図鑑によると、緑色の子供の様な背丈をした不細工なモンスターと記されていた。
やっぱりゴブリンは緑色らしい。ずっと気になっているのだが、何故緑色なのだろう。もしかすると、葉緑体でも持っているのかもしれない。
そんな事を妄想しながら読むと非常に楽しかった。
他にも、オークやオーガ、スライムなどのメジャーなよく聞くモンスターも載っていた。
それと少し驚いたのは、この図鑑に魔族が載っていたことだ。魔族、モンスターとして扱われているらしい。
見た目に特徴はなく、魔法を無詠唱で使えるかどうかでしか、判断できないと書いてあった。ただしそれは、普通の魔族の場合のみで、吸血鬼や悪魔などは見た目で識別しやすいらしい。
吸血鬼の特徴は、目が赤く鋭い牙を持ち、銀や太陽の光に弱い。
悪魔は場合は、そもそも人の形をしていない。牛の顔をした化け物だったり、蝙蝠のような翼を持っていたりと、見た目でわかる特徴が多い。
総じて強いそうなので、出会ったら死を覚悟しなければならないそうだ。
できれば会いたくないものではあるが、前世でサブカル文化に慣れ親しんだミサーナとしては、どうしても見てみたいと思う気持ちが捨てられない。
そして、出会おうと思うと王宮を出なければならなくなる。
それは構わないのだが、この国での自立する平均年齢は十歳らしい。それ以下だと、何をするにも保護者の許可が必要になる。
つまり、今ミサーナが王宮を出たとしても、十歳までは仕事も出来ない、そうなると生活が出来ない。
流石にそれでは意味が無いどころか、ただの自殺にしかならないので、成人とまでは言わないが、せめて十歳までは待たなければならない。ちなみに、成人年齢は十五歳だ。
神様には、自立出来る年齢までの生活は保証してもらった。だが、数字は出さなかったので、具体的な保証が終わる年齢が分からない。
おそらくは十歳だと思うが、あの神様が地球を基準に考えていた場合、自立は成人として捉えている可能性もある。
その場合はどうなるのだろうか。保証の定義が分からない。多分、自分の意思で出て行こうとする場合は、保証から外れる気がする。
しかし、よくよく考えると、基準も定義も関係ないことに気づいた。保証から外れなくとも、出て行った時点で自分の力で生きて行かないといけないことには変わりないのだから。
(よし、十二歳で出て行こう。それくらいなら丁度いい筈。それに備えて今から準備だ)
そう、決めた。
少し時間飛ばし過ぎですかね?




