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オケアノスオブイースポーツエリア  作者: 桜崎あかり


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第11話『セカンドステージ』その2

・2021年9月22日付

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 どれ位の時間が経過したのかは不明だが、時計アプリでは午後1時30分の表示――あれだけの事があったのにあっという間である。


 しかし、昼飯を食べているような暇もないと言うよりも――ゲームフィールドで食事は取れないだろう。それこそ、ログアウトの必要性があった。


『あと1ステージ――』


 既にステージ3へ突入していたランスロットは、既にクリア候補と言っても過言ではない。


 しかし、優先すべきはアイテム収集なので――ボスは後回しにしている可能性が高いだろう。


『どちらにしても、ラスボスは目の前――アイテム回収が先に――?』


 次のアイテム回収を考えていた中で、ランスロットのARバイザーにあと5分のタイムリミット表示が出る。


 しかし、ランスロットは自動的にタイムチャージされるようにしており――その点は問題ないのかもしれない。


 さすがに自動引き落としは不可能なので、ワンクッション置かなければタイムチャージはされないようだが。


『どちらにしても、完全クリアをして他のメンバーもまとめてログアウトされる訳ではないが――』


 ランスロットが懸念していた事、それは自分が先にクリアすれば他のプレイヤーも強制終了される可能性だった。


 WEB小説のVRMMO物だと、そう言ったケースが存在するのだが――これはARゲームである。あり得ない話ではないのだが――。



 同時刻、フードコートでラーメンをすすっている女性がいた。ラーメンと言っても普通の醤油ラーメンであり、特に特徴的な個所はない。


 一緒に餃子とミニチャーハンも頼んでいるので、おそらくは――。他にも何人かのスタッフが入れ替わりでお昼を取っているので、ここはスタッフ専用と思われがちだ。


 しかし、このエリアのフードコートは一般にも開放されているのが――オケアノスが単純なARゲームフィールドではないと言う証拠かもしれない。


「全ステージクリアするのは問題ないが――タイムアタックとは違う」


 ランスロットの映像を運営本部とは別の場所で見ていたのは、賢者姿のカトレアである。


 今の彼女は若干遅めの昼食を取っていた。フードコートに置かれているセンターモニターでランスロットのプレイを見ていたのである。


「ゲームである以上、クリア不能はあってはならない。だからと言って難易度を難しくするのも――理想の難易度ではないだろう」


 プレイヤーの意見も重要だが、ARゲームはアイテム課金制のソシャゲとは全く違う。ビジネスと言う個所で成立させる為に、アーケードゲームの様なクレジット制を採用していた。その意味は、他のプレイヤーも分かっているはず。


「こちらも、赤字を出す訳にはいかない事情がある――」


 ARゲームで重要な事を、冷静に――さらりと言ってのけてしまう。それが、カトレアと言う人物なのだろうか。


 彼女はゲーム開発者ではあるが、あくまでもビジネスを優先しているような――。しかし、ビジネスを優先してプレイヤーを無視しては本末転倒だろう。そのさじ加減を彼女は分かっている。


「我々もオケアノスと言うフィールドを維持する為に、色々とアイディアを出しているのだ」


 カトレアは――運営とは別に思う所があった。運営側は儲かれば何をしてもよいと言う事は行わない。


 それをやっては芸能事務所AとJがやっている炎上マーケティングやリアルウォーと過去に言われていたネット炎上事件の二の舞だ。


 だからこそ――彼らは別の手段でARゲームを広めようと考えており、それがオケアノスにおけるイースポーツプロジェクトだったのである。


 後に『オケアノスオブイースポーツ』と呼ばれる長期プロジェクトは――ここから始まったのかもしれない。



 アルストロメリアは何とかボスエリアのゲート前に到着するが、今度は扉が開いている。どうやら――既にボスは倒されたのか、それとも――?


「誰もいない――?」


 アルストロメリアが周囲を見回すと、フィールドの形成が不安定にも見えた。一体、ファンタジートランスで何が起きているのか?


 周囲は先ほどのフィールドよりも広いように見えるが、半径30メートル前後――といった具合である。


 5メートル位、走って突入したと同時に――何者かがCG演出で出現した。文字通り、出現と言った方が正しいような演出で。


『ここで待ち伏せすれば、奴が来ると思っていたが――違ったか』


『ヴァーチャルアイドルとか――芸能事務所AとJはアフィリエイト系まとめサイトすら利用して、世界を混乱させようと言うのか?』


『我々は違う。まとめサイトを全て掌握する芸能事務所AとJの悪しき野望は――打ち砕く』


 目の前に現れた赤、青、黒と言うカラーリングの三体のアバターは、明らかにファンタジートランス由来のアーマーではない。


 それに加えて、そのデザインは何処かの動画投稿サイトに出ていた動画投稿者を思わせる――意匠を持つ。


 おそらくは、バーチャル動画投稿者と言う少し前に流行したジャンルをモチーフとしたアバターかもしれない。


 しかし、このアバターは何者なのか? 仮にボスだとしても、リズムゲームにストーリーと言う概念があったのか分からないだろう。


 一部の作品には深いストーリーが設定された作品もあるし、イベントでストーリーが語られるゲームも存在する。


 しかし、明らかにネット炎上やマッチポンプ、コンテンツ流通、炎上マーケティング、超有名アイドル商法――そうした話題に触れたWEB小説やナマモノ小説を題材にするとは思えない。


 つまり――あのアバターは第三者による刺客と考えるのが理想的なのかもしれない。


「芸能事務所? 一体、何の冗談を――」


 アルストロメリアは、この状況に動揺している。何故、自分がネット炎上を元凶にされなくてはいけないのか――。


 アフィリエイト系まとめサイトを巡るネット炎上は、今までも様々なWEB小説で書かれているだけのフィクションではないか?


『我々もプレイヤーだ。貴様のプレイを見ていれば、プロゲーマーかぶれのプレイヤーだと言うのはすぐに分かる』


「プレイヤー? ファンタジートランスは、あくまでもマッチング以外の要素はソロプレイではないの?」


『ボスバトルの段階で気付かなかったのか? このゲームが最初から多人数プレイ前提のFPSやMMORPGベースだと言う事を』


「やっぱり、あの時のバトルは――」


 三体のアバターの内、赤のアバターは怪盗をモチーフにしたアーマーを装着しているのだが――。その人物の声は男性だと分かった。


 しかし、素顔はARバイザーで隠れていて正体不明なのは間違いないだろう。


『こちらとしては、芸能事務所AとJに破向かうコンテンツを片づければ――』


 問答無用で赤のアバターが何もない空間から50センチほどの長さのショートソードを展開し、それを右手に持って振り下ろそうと考えていたのだろう。


 しかし、彼の台詞が全て終わる前に何者かの攻撃が――ショートソードを弾き飛ばして生成されたと思ったと同時に消滅した。


『シナリオブレイカーだと!?』


『どういう事だ? このフィールドはジャミングされていたのでは――』


 青と黒のアバターも唐突な人物が出現した事には驚いていた。自分達の背後ではなく、唐突に三人とアルストロメリアの中間と言う位置に――。


 極めつけて言えば、シナリオブレイカーの出現方法も三体のアバター同様にCG演出である。テレポートと言う類がARゲームにあるかどうかは不明だが、ご都合主義にも程があった。


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