第11話『セカンドステージ』
・2021年9月22日付
細部調整
アルストロメリアが数分ほど散策をするが、目立ったようなポイントを発見できない。
ステージは全部で3ステージあり、それを全てクリアすればコンプリートと言う事らしいのはヘルプで確認した。
しかし、次のステージへ進もうにも矢印の誘導に従うだけでは――スコアが上昇する事はないだろう。
その一方で、迷子になって時間切れも――あり得るかもしれないが、実際に迷子で時間切れのプレイヤーもいるらしい。
レビューで炎上するのも――こうした不親切さに対して揚げ足取りか芸能事務所のアイドルコンテンツを神化させようと言う流れかもしれないが。
真実を探そうにも――今のタイミングでは、色々と都合が悪すぎる。時間切れになりたければ、探すのもありだが――そこまでして収穫があるとも思えない。
【お金をもらって炎上レビューを書くような連中もいる以上、何を信じていいのか分からなくなるだろうな】
【そして、そのお金を出しているのが芸能事務所AとJと言う事か?】
【ソレは分からない。もしかすると、その2台芸能事務所に恨みを持った芸能事務所かもしれないだろう】
【様々な情報が錯綜し――真相が分からなくなっている】
【単純にまとめサイト依存が招いた大事件と言えるだろうな】
ネット上でも、様々な情報が錯綜している。何が真実で何がフェイクニュースなのか見極めずに情報を拡散した結果だ。
こうした混乱に乗じて、芸能事務所AとJがタダ乗り宣伝を行い神化を目指している――と言うのが、WEB小説で題材にされている小説のよくあるパターンだろう。
アルストロメリアは矢印の指示に従う形で道を歩いていくのだが、その時は遂にやってきた。
《間もなくチャージされた時間が切れます。クレジットを入れてください》
これに関しては、どうやって補充をすればいいのか教えてもらうべきだった。ゲーム中にコインを入れられるような場所があるとも考えられない。
それこそ――シュールな光景なのは確実だ。そこで、アルストロメリアはヘルプをチェックしたのだが――。
「電子マネーが使えそうだけど――」
支払い手段に電子マネーの記載がある。しかし、電子マネーはメーカーによって規格が違うので大丈夫なのか――と言う部分があった。
それでも手元に財布がある訳でもないし、取りに戻るにしてもコンテナエリアはどこなのか――と言うのもある。
最終的には電子マネーで支払おうと考えるのだが、どうやって――と思う。
《ただいま5000円分の電子マネーが残っています。200円を支払い、延長しますか?》
この表示がARバイザーに表示される事自体もメタと言うか――ある種の依存症対策なのかもしれない。
異世界トリップは小説での話だが――そう言った物に対して本気で考えている結果として、こうした現実に引き戻す演出等が用意されているのだろう。
さすがにスーツが消滅したら、全裸になるような事はないが――他にも現実に引き戻すような演出は存在するらしい。
「さて、チャージするにも暗証番号を――」
アルストロメリアが電子マネーで時間をチャージしていた頃、次々とボスキャラを撃破するプレイヤーの情報が入ってくる。
ビスマルクも実際に撃破していたようだが、その他にもガングートも撃破済みらしい。他にもプレイヤー名が出てきたが、アルストロメリアには興味がないようだ。
とにかく、ビスマルクとガングートは注視する必要性があるだろうが――。
《暗証番号を確認しました。200円分のチャージを行います――》
この部分の演出は何とかならなかったのか――とアルストロメリアも困惑はするが、こればかりは仕方がない。
ゲーム依存症のような症状が問題になり、それがARゲームやイースポーツの勢いにも影を落としているのだ。
そうした問題をクリアして、市民権を得てこそのARゲームである――と言うのがオケアノス側の考えらしい。
確かに、オケアノス側が様々な闇とも言える部分を徹底的に洗い出し、犯罪に悪用されないように考えている事は評価に値する。
しかし――それだけで本当に大丈夫なのか? アルストロメリアはプレイヤーの意見を放置して進められているような計画に――疑問を抱く。
単純に芸能事務所AとJによって炎上マーケティングのターゲットにされ、オワコン化しては元も子もない。それを恐れて、規制ばかりを強化しているようにも見えなくないだろう。
「一体、ARゲームで何が起きているのか――」
様々な部分で疑問は出てくるが、今はステージ2のボスエリアへ急ぐ方が先だろう。ARバイザーに表示されたマップを手掛かりにして、彼女は先へと進む。
その一方で、既にステージ2のボスを攻略したと言う情報も飛び込んでくるが――そのプレイヤーとは、まさかのランスロットだった。
おそらくはアイテム収集のついででボスを撃破した――と言う感覚だろうか。この人物が、何故にファンタジートランスへ姿を見せたのかは――憶測の情報でしか存在しない。
その為か、プレイヤー側がランスロットに接近しようと言う事はしなかった。逆にランスロットを知らない人物ならば、物珍しさに近づくだろう。
明らかに重装備のアーマーでスピードが必要とされているような楽曲もクリアしているので、コツを知りたいと言うのもあるのかもしれない。
『ここにもいない――』
男性ボイスに変換された声――明らかに何かの事情を持っている可能性は否定できないだろう。
『一体、何処にいるのか――アルテミシアは』
ランスロットの探しているのは、アルテミシア。
ゲームのラスボスと言う位置づけらしい事はサイトでも明言されているが――何処にいるのかは明らかにされていない。
単純にステージ3のボスなのでは――と言う話はネット上でも拡散されているのだが、ソース不明の情報が独り歩きしている可能性もある。
それを踏まえて、ラスボス以上の事は下手に拡散しないように――とARゲームプレイヤー内では有名だった。
「なるほど――アルテミシアを探しているのか」
センターモニターを見ていたのは、ある男性である。彼がどのような目的でモニターを見ていたのかは不明だ。しかし、ランスロットの姿を見て何か思う部分があったのは事実だろう。




