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第10話『トゥルーへの答えを探して』

・2021年9月21日付

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 楽曲も終盤辺りに差し掛かり、残りとしては30秒といった具合だろうか?


 リズムゲームの場合、終盤で発狂ゾーンが存在する譜面も存在し――それがトラウマになっているプレイヤーも多い。


 何故にトラウマになるほど――と言われると、色々な部分で疑問が出るかもしれないだろう。

リズムゲームをプレイした事すらない人間に対し、発狂譜面がどれ位脅威なのか――と説明するのも難しい。


 ただ一つ言えるとすれば――集中が途切れると大変な事になる事だろうか。


【終盤辺りのプレイでブーストがかかるプレイヤーもいるな】


【格ゲーでスロースターターと言うプレイヤーは稀にいるだろうが、リズムゲームでそれをやると手を抜いていると思われかねない】


【ゲームによっては、序盤でゲージを減らすとリカバリーが難しいゲームもある。それを踏まえると、集中力が途切れるとアウトと言われるな】


【リズムゲームが初心者にお勧めできないジャンルなのは、こういう理由もあるだろう】


【しかし、これは――?】


【ARゲームでも純粋にリズムゲームをプレイする機種もある。しかし、大抵はリズムゲーム要素が不必要だったりするゲームもあるな】


【ARゲームにおけるリズムゲームと言う位置づけが、ある意味でもWEB小説ではやり物以外を書くと言う縛りプレイに近い】


【そう言う物なのか?】


【そう言う物だろうな――多分】


 実況のコメントでもリズムゲームの要素を無理やり入れたようなARゲームの傾向には――どう反応すればいいのか分からないのが多数のようだ。


 リズムゲーム要素のあるARゲームが増える状況に対し、批判的な意見もある。そうした意見はネット炎上したり、まとめサイトで煽りの材料に使われかねないだろう。


 そうした事もあって、あえて言わない事を決めていた――と言うよりも暗黙のルールでSNS上では言わないと言うのが都市伝説のように広まっていたようでもある。



 残り30秒を切った辺りで、出現するターゲットの量は20%増しのように――。この状況を冷静に対応できる人物は、初プレイの様なプレイヤーでは無理だろう。


 しかし、それを適切に対応しているプレイヤーが二人いる。片方はアガートラームなのは分かるとして、もう一人はアルストロメリアだった。


【このマッチングでは、スコアが急上昇しているのが――あの二人と言うのか?】


【アガートラームは分かるとして、アルストロメリアは――】


【一体、何が起きればこうなるのか?】


【超展開と言われても文句言えない状況になって――】


【ボスが弱い訳ではないだろう。単純に発狂エリアで他のプレイヤーが足止めされているのかもしれない】


 コメントは、かなり的確である。二人だけが発狂エリアを的確にクリアしている状況を見れば、一目瞭然だ。


 二人だけがダントツのスコアには――納得できていない視聴者もいそうだが、二人の動作は明らかに他のプレイヤーのそれとは違う。


【しかし、他のプレイヤーは? どう考えても適当にプレイしているだけでは――?】


 あるコメントに気付き、カトレアは早足で運営本部へと急ぐ。あと100メートル位で到着するとARバイザーには表示されている。


 しかし、その100メートルも彼女にとっては『残り100メートル』ではなく『まだ100メートル』位の感覚なのだろう。


【これは、どう考えてもマッチポンプじゃないのか?】


【マッチポンプだとすると――あの二人はどうなる?】


【どちらにしても、あの二人は被害者になるのではないか? 残りプレイヤーの動きは明らかに変だ】


 コメントにも何か深刻な物が見えている可能性がありそうと思い始める。カトレアの表情に焦りが見え始めるが、焦っても状況が好転する事はない。


「これほどの実力が出ると、他のプレイヤーが捨てゲーをしないか不安になってくるか――」


 運営本部に到着したカトレアは、本部に入って早々にアガートラームのマッチング映像を――自分のARガジェットに連動して表示する。


 そして、他のプレイヤーの動作がおかしくなっている事にも気付き――該当プレイヤーを警戒するようにカトレアは指示を出す。


「このマッチングでオンライン状態のプレイヤーを――即座に警戒するように!」


 彼らの正体がネット炎上のブラックリスト登録者やコンテンツ炎上のバイトに加担している一般人もありえるだろう。


 カトレアの真剣な表情からも、彼らが先ほどのサーバールームに現れた勢力の仲間である事は思いたくないが。


「一体、何が起きている?」


 運営本部の男性スタッフも、カトレアの深刻そうな表情を見て――詳細を聞きだそうとするのだが、語ろうと言う流れではない。それに加えて――カトレアは別の意味でも何かを隠している。


 一連のネット炎上事件、過去に起きた事件――それを思わせる便乗事件が起きるのではないか――そう周辺スタッフも考えていた。


「こちらとしても――ARゲームが、また超有名アイドルの便乗宣伝や経験値稼ぎモンスターのように使われるのは我慢できないのです――」


 遂にカトレアが重い口を開く。事情説明をしなければ、信じてもらえないと言うのであれば――話すしか選択肢はないのだろう。


「また超有名アイドルか――こちらとしても、マッチポンプにARゲームが使用されるのは勘弁願いたいが」


「マッチポンプで済めば――こちらも、ここまで急ぎはしません。仮に実験場として使われていたら――バッドエンド一直線でしょう」


 カトレアの発言は、周辺のスタッフを凍りつかせるほどにはメタ発言と言える物だった。

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