下 帰還
お久しぶりです。刺猟です。
なんとかしっかりと下も完成させました。
今回はあまり期待せずに読んでください。
何故かは後書きで説明致します。
とりあえず今回もお付き合いください。
それでは後書きで
俺の父はいったい何人の人を撃ったのだろう。
茜と一緒に、倒れた村人の元へ来たのだが…息はあるのに死んだように眠った人が50人以上はいた。
「こりゃどうなってやがんだ?」
そこで茜は村人に手をかざし、何かを確認している。
「魔法が使われてる。」
そう言われて俺は村人達に異変がないかいろいろ見てみた。
「もしかしてこれじゃないか?」
村人の首のあたりに小さな尖った針のような物が刺さっていた。おそらく父さんがあの時撃ったのはこれだったのだ。
「うん、このトゲがみんなの生気を吸い取ってるんだ。」
「でも父さんはそんな事して何をするつもりなんだ?」
「もしかすると…時哉!今すぐみんなからこのトゲを外して!」
あまりにもすごい形相で言われたものだから俺は少し固まってしまった。
「なにしてんの!早く!」
「あ、おう!」
俺は夢中で村人達に刺さっているトゲを外した
「治癒の魔法」
どうやら村人達の奪われた生気を戻しているらしい。
だが、確実に生命力は戻ってるはずなのに村人たちは目覚めない。
「時哉、吸い取られた生気の集まってるところがある。今からそこに行くよ。付いて来て。」
俺は茜に促されるままそちらに付いて行った。
とても暗い森の最深部には廃屋と化した薄気味悪い館があった。
「まさかとは思ったけど…本当にここだったのね…」
「こんな所に何があるんだ?」
「あなたのお父さんがいるわ。そして私の母、先代黒の魔女も…」
ここが黒の魔女が封印されている所なのか。
ん?じゃあ母さんに会うのが目的の父さんがここにいるってことは…?
いや、考え過ぎか。
「中に入ろ。」
「ああ、分かった。」
館の中は、魔法も使えないし霊感もない俺にでも感じ取れる程嫌な空気が漂っていた。
「おい、茜 どこに父さんが居るんだ?」
俺がそう聞くと彼女は何も言わずに書斎らしき部屋へ行き、本棚に魔法を唱えた。
そうすると本棚が消え、足元に地下への入り口が現れた。
「これは…隠し部屋ってやつか。そんな厳重な所ってことはやっぱり父さんは黒の魔女が目当てで…?」
「多分そう。何故かはやっぱり聞いてみるしか無いみたい。」
俺たちは地下への長い長い階段を下り始めた。
あまりに長かったので、俺は聞き忘れていた質問をいくつか茜に聞いた。
「そういえば、最初に元の世界から俺を呼んだのはお前なのか?」
「うん、そうだよ。魔法まで使ってあの施設の近くまで移動させたの。」
「やっぱりそうだったのか。いつも通りの道を通ってたのに変な道に出ておかしいと思ったんだ。」
次の質問だ
「あと、救うのはこっちだけじゃなくて向こうの世界もだろ?何が起こってるんだ?」
「向こうはこっちほどじゃ無いけど、地下研究所にいた生物が向こうに転移しちゃったってくらいね。」
「それって大丈夫なのか?」
「こっちから戻るべきものが戻れば、あっちからも戻ってくる。」
戻るべきもの それはつまり俺や父さん、そしてあの研究所のことだ…
ってことは世界を救うためには元の世界に戻らなきゃいけないのか…まあ、仕方ない。茜と約束してしまった限りは最後までやらねば。
そして、最後に一つ確認したいことがあった。
「ちなみに茜って今いくつなんだ?」
「女の子にいきなり歳を聞くなんて失礼だよ?…最近10歳になったよ。」
10歳…見た目からしてもっと大人だと思ってたが…まさかの小学生程度の年齢だったとは…
ついでに今ここで初めて言うが、俺は15歳だ。うん、犯罪ではない…大丈夫だ。
聞きたいことを全て聞いたところでちょうど良く黒の魔女が封印されているであろう部屋に着いた。
「覚悟はいい?」
この時、彼女が言った覚悟とは多分最後の真実を知る覚悟はできているかという事だったと思う。
「ああ、いいぞ。開けよう」
二人で扉に手をかけ、同時に開けた。
俺たち二人はこの時にはもう、お互いの関係に気付いていたと思う。
「ん?誰だ!……また君か 私を邪魔するのは!そして…魔女か…」
父さんはまだ気付いてないのか…ならこっちから言ってやるまで
「村人を苦しめて何をしようってんだ!父さん!」
「は?どういう事だ?」
やはり分かってないようだ
「俺は!お前の息子だ!時継!」
「なっ⁉︎お前は時哉なのか⁉︎」
「ああ、そうだよ。なぜここまで俺を放置したんだ。」
「分かった。全てを教えようじゃないか…時哉」
そう言って父さんは喋り始めた。
「私は幼い頃に一度、この世界に来たことがあった。ある日突然飛ばされてね。不思議だったよ。この世界は魔法が全てなのだから。無事に元の世界に戻ってからはこの世界のことで頭がいっぱいで、ここの研究を始めたのさ。」
今、初めて父親のやっていた事を知った。そんなことをしているとは流石に想像もできなかった。
「妻と一緒になってからは共同で研究をしていたんだが、10年前のあの日一度だけここと向こうが繋がった。そしたら、手違いで当時妊娠していた妻だけがこちらに来てしまった。それを、妹を心待ちにしていたお前になんて説明していいか分からずそのまま…」
10年だから俺が5歳の時だ。そこまで詳しいことは覚えてないが、まさかそんなことで放置されただなんて…
「今まで本当に申し訳なかったと思っている。だから今日までお前のために頑張ってここまできた!明日からは家族でもう一度暮らせるぞ!」
「それはつまり…母さんを見つけたってことだよな?」
「ああ、もちろんだとも!ここに封印されている黒の魔女こそが私の妻で、時哉 お前とそこの魔女 茜の母親だ!」
やっぱりそうだったのか…皆目見当は付いていた。
だが、いざ真実を知るとどうにも受け入れ難い。悪事を働いた魔女が母親で、今まで俺を助けてくれた茜が、俺の妹だなんて…
「じゃあなんで!お母さんはこっちへ来て、村で暴れたりしたの!」
茜が父さんに向かってそう叫んだ。
「お母さんが暴れたせいで!私は今までこんな思いをして生きなくちゃいけなくて…」
今まで溜まっていたものが溢れ出すかのように茜は怒りや憎しみの感情をあらわにした。
「茜も本当にすまなかった。しかし、この世界で生き残るのにそれしか道が無かったんだ。」
「どういうこと?」
「ここは魔法の世界だ。魔法が使えんとやっていけん。だから魔力を身につけるたった一つの方法、悪魔に魂を売るしか無かったんだ。それで魔法が制御できなくなった母さんはそのまま…」
父さんや母さんがやってきた全ての事は、俺や茜のための事であった。しかしそれが裏目に出てしまい、結局は辛い思いをさせてしまう結果になっていたのだ。
「さあ、そろそろ母さんが復活するぞ。」
「お母さんを封印を解くつもりなの⁉︎」
「ああ、そうだ。嬉しくないのか?これからは家族で過ごせるんだぞ。」
「村人たちは元に戻るの?」
「そんなわけ無いだろう。」
父さんからその言葉が発せられた時には俺は体の自由が利かなくなっていた。
「ど、どういうこと?」
「気付いてると思っていたけれど…私の娘は魔法に関してはやっぱりダメダメね。」
その時の声は多分黒の魔女だったと思う。
この辺は少し記憶が曖昧である。
何故なら…
「お母さん…お父さんを操っていたのね…」
「それだけじゃないわ。たった今、時哉も」
「うそ⁉︎時哉!目を覚まして!」
その時、俺は茜に言われた言葉が聞こえなかった。
そのまま訳も分からず両親の方へと歩いて行った。
「さあ、時哉 今日からこの世界で、私達だけのこの世界で、新しい生活を始めましょう。」
ダメだ、やっぱり俺には世界を救うなんてことはできないんだ。魔法さえ…使えれば…
「本物の黒の魔女に使える魔法は、これだけ…
抹消の魔法」
その声が聞こえた瞬間、俺や父さんは正気に戻った。それどころか母さんまで悶えている。
「そして、これで終わる。あるべき者を在るべき所へ
帰還の魔法」
茜がそう唱えると俺と父さんと母さんの足下に魔法陣が描かれた。
まさか、俺ら3人だけ帰すつもりか…⁉︎
「茜!」
父さんも状況を察したのかそう叫んだ。
「一年だ!」
「え…?」
「あと一年でここと元の世界の繋がりは切れる!そのあとは十年待たなくてはいけなくなる!だからそれまでに、お前も帰ってこい!」
「…ありがとう、お父さん!」
そのままあの時と同じような眩しい光に俺たちは包まれた。
そう、帰還するのだ。
茜を一人置いて…
はい、というわけで異世界からのお土産 下 帰還でした。
はい。すいません。続きます。最後書いてたらあまりのボリュームの多さに、心が折れて最後だけ別にしようと思いこんな形に…
というわけで次回予告
エンディング 土産
次こそ完結です。
ではまた次回の前書きで




