第二十七章 あらすじと人物紹介
★第二十七章 混迷 あらすじ
ロークは家族に真意を偽り、レーチカ市の国会議員宅で情報収集を始める。
ファーキル、アミエーラ、セプテントリオー、サロートカはアミトスチグマに渡り、ラクエウス議員らと共に平和の為の活動に参加する。
少年兵モーフらは、国営放送のアナウンサーとFMクレーヴェルのDJと共にゲリラ放送を実行する。
クルィーロたちは父の社宅に身を寄せたが、テロの情報を耳にし、首都の脱出を試みる。
◆一行目は呼称。
用語と地名は「野茨の環シリーズ 設定資料」でご確認ください。
【思考する梟】などの術の系統の説明は、「野茨の環シリーズ 設定資料」の「用語解説07.学派」にあります。
★登場人物紹介
■移動販売店見落とされた者■
二月にゼルノー市でテロと空襲に遭い、ネモラリス国営放送ゼルノー支局に一時身を寄せる。
三月にレサルーブの森を抜けて北ザカート市を経由してラクリマリス領に入り、ドーシチ市で魔法薬作りの為に数カ月滞在。ラクリマリス領の都市を通過し、ツマーンの森を抜ける新道で魔獣に追われて北ヴィエートフィ大橋を渡る。
夏の間、アーテル領ランテルナ島に隠された別荘に滞在。そこはネモラリス人の有志武闘派ゲリラの拠点だった。
しばらくゲリラの手伝いをして過ごしたが、秋の始まりに袂を分かち、地下街チェルノクニージニクに移動。大容量の【無尽袋】を手に入れ、王都ラクリマリスに【跳躍】した。
ファーキルと針子のアミエーラは王都ラクリマリスに留まり、他の十人はネモラリス島に魔道機船で渡った。
王都ラクリマリスから、ネモラリス共和国の首都クレーヴェルに移動し、帰還難民センターに身を寄せる。
星の道義勇軍の三人は港で別れ、トラックで移動。レーチカ市に潜伏。
◆湖の民の薬師 アウェッラーナ 呼称は「榛」の意。
湖の民。フラクシヌス教徒。髪と瞳は緑色。
隔世遺伝で、一族では唯一の長命人種。外見は十五~十六歳の少女(半世紀の内乱中に生まれ、実年齢は五十八歳)
実家は、ネーニア島のゼルノー市ジェリェーゾ区で漁業を営む。
星の道義勇軍のテロで、入院中の父を殺され、他の家族や親戚は行方不明。
ゼルノー市ミエーチ区にあるアガート病院に勤務する薬師。
半世紀の内乱中、医療従事者から癒しの術を断片的に教わっていたが、平和になってから改めて大学に通い、系統立てて学習し直した。
使える術の系統は【思考する梟】【青き片翼】【漁る伽藍鳥】【霊性の鳩】
魔法薬だけでなく、食糧調達の面でもみんなの命綱。
首都クレーヴェルの帰還難民センターに身を寄せていたが、クルィーロの父と共に西門付近にある社宅へ移動する。
薄手のコートを着用。裾や袖に力ある言葉の刺繍が入っている。【耐寒】などちょっとした防護の術が掛かっている。
真名は「ビィエーラヤ・オレーホヴカ・リスノーイ・アレーフ」
◆アビエース 呼称は「樅/船/槍」の意。
湖の民。フラクシヌス教徒。髪と瞳は緑色。常命人種。
アウェッラーナの兄。【漁る伽藍鳥】学派の術を修めた漁師。ゼルノー漁協所属の漁船「光福三号」の船長。
開戦前まで、ネーニア島のゼルノー市ジェリェーゾ区で漁業を営んでいた。星の道義勇軍のテロ直後から、妻子と甥たちと共に行方不明。
◆パン屋の青年 レノ 呼称は髪の色と足が速いことからついた「馴鹿」の意。
力なき陸の民。フラクシヌス教徒。十九歳。濃い茶色の髪の青年。
ネーニア島のゼルノー市スカラー区にあるパン屋「椿屋」の長男。
両親と妹二人の五人家族だった。
パン屋の修行中。仕事柄、料理が得意。食べられる雑草に詳しい。勉強はあまり得意ではない。
テロと戦争で店と父を失い、妹と親友たちと共に助け合って避難生活を送る。
力なき民にも使える術の存在を知り、少しでも魔法を使えるようになりたいと思っている。
妹たちを守る為、ソルニャーク隊長と少年兵モーフから銃の扱い方を教わる。
ネーニア島の北ザカート市内の拠点で、武闘派ゲリラの後方支援として呪符職人の手伝いをした。職人であることを理由に実働部隊には加えられなかった。
王都ラクリマリスを経由して首都クレーヴェルに移動。帰還難民センターの【明かし水鏡】で父の死亡と母の存命を知るが、母の居場所は不明。
首都クレーヴェルの帰還難民センターに身を寄せていたが、クルィーロの父と共に西門付近にある社宅へ移動する。
移動販売店見落とされた者の店長。
◆ピナティフィダ(愛称 ピナ) 生まれた時期に咲いていた花の名が呼称。
力なき陸の民。フラクシヌス教徒。中学生。二年三組。濃い茶色の髪。
レノの妹、エランティスの姉。しっかりしたお姉さん。家事全般が得意。
その時その場で必要なことの教えを乞い、それを理解し、実践できる判断力と行動力のある少女。
幼い頃からパン屋の手伝いをしていたので、クッキーを作るのが上手く、商売のコツも心得ている。
針子のアミエーラに裁縫、呪医セプテントリオーに力なき民でも使える呪歌【癒しの風】を教わる。
首都クレーヴェルの帰還難民センターに身を寄せていたが、クルィーロの父と共に西門付近にある社宅へ移動する。
◆エランティス(愛称 ティス) 生まれた時期に咲いていた花の名が呼称。
力なき陸の民。フラクシヌス教徒。小学生。五年二組。濃い茶色の髪。
レノとピナティフィダの妹。アマナの同級生。真面目で大人しい性格。
兄と同じで勉強はあまり得意ではなく、うっかり失言しがち。
母やピナティフィダに教わって、家事や店の手伝いをしていたので、少しならパンやクッキーを作ることができる。
針子のアミエーラに裁縫、呪医セプテントリオーに力なき民でも使える呪歌【癒しの風】を教わる。
首都クレーヴェルの帰還難民センターに身を寄せていたが、クルィーロの父と共に西門付近にある社宅へ移動する。
西門から首都を脱出する際、爆発に巻き込まれ、片足の足首から先を切断する重傷を負った。
◆工員 クルィーロ 呼称は「翼」の意。
力ある陸の民。フラクシヌス教徒。工場勤務の青年。二十歳。金髪。
パン屋の息子レノの幼馴染で親友。ゼルノー市スカラー区在住。
隔世遺伝で、家族の中で一人だけ魔力がある。魔法使いだが、修行をサボっていた。使える術の系統は【霊性の鳩】が少しだけ。
機械に興味があるので、ゼルノー市グリャージ区のジョールトイ機械工業の音響機器工場に就職。
両親と妹のアマナとの四人家族だった。
ランテルナ島で、呪医セプテントリオーに防禦魔法【不可視の盾】と呪歌【癒しの風】を教えてもらった。
薬師アウェッラーナの手伝いで、魔法薬の素材の下拵えを行う。
基地襲撃作戦からの帰還直後、武闘派ゲリラに襲われたアミエーラを助けた。
王都ラクリマリスを経由して首都クレーヴェルに移動。帰還難民センターの【明かし水鏡】で母の死亡を知る。本社の社宅に身を寄せる父と再会を果たした。
首都クレーヴェルの帰還難民センターに身を寄せていたが、父と共に西門付近にある社宅へ移動する。
アウェッラーナが教え子からもらった最下級の【耐寒】【耐暑】【衝撃緩和】などの防護の術が掛かったマントを譲られた。
◆アマナ 生まれた時期に咲いていた花の名が呼称。
力なき陸の民。フラクシヌス教徒。クルィーロの妹。金髪。
小学生。五年二組。エランティスの同級生。ゼルノー市スカラー区在住。
家のお手伝いを積極的にするいい子。勉強家。
音楽と魔術の融合に興味があり、【歌う鷦鷯】学派の解説書などを読む。
針子のアミエーラに裁縫、呪医セプテントリオーに力なき民でも使える呪歌【癒しの風】を教わる。
首都クレーヴェルの帰還難民センターに身を寄せていたが、父と共に西門付近にある社宅へ移動する。
◆パドールリク 呼称は「狗鷲」の意。
力なき陸の民。フラクシヌス教徒。クルィーロとアマナの父。金髪。
ゼルノー市スカラー区在住。会社員。出張が多い。テロと戦争が始まった当時は首都クレーヴェルに出張中だった。
力なき民だが、半世紀の内乱中は呪符で戦っていたので【急降下する鷲】呪文を幾つか知っている。
◆お針子 アミエーラ 呼称は「宿り木」の意。
陸の民。キルクルス教徒。十九歳の女性。金髪。青い瞳。仕立屋のお針子。
リストヴァー自治区のバラック地帯在住。泥棒が同情するレベルの赤貧。
工員の父親と二人暮らし。祖父母と母と弟妹は病死。弟妹はみんな幼い頃に亡くなり、人数も憶えていない。
魔力はあるが、魔法が使えない。
母方の祖母が力ある民で、隔世遺伝で魔力を持っているが、魔法を教わっていないので何もできない。
ドーシチ市の屋敷で、湖の民の薬師アウェッラーナに自分が何者か明かし、祖母の手帳を見せた。
力なき民のフリをして、このままキルクルス教徒として生きるか、信仰を捨て、魔術を教わって力ある民として生きるか迷っていたが、王都ラクリマリスで大伯母カリンドゥラと出会い、力ある民であることを受け容れて、大伯母と共に暮らす決心をする。
鍋や食器、非常食、祖母の手帳三冊、仕立屋の店長から預かった大伯母カリンドゥラ宛の手紙などを所持。
王都ラクリマリスで大伯母カリンドゥラに会い、移動販売店と別れて大伯母と行動を共にする。
ラクエウス議員らの直接の武力に依らずラキュス湖南地方に平和を取り戻す活動に協力、アミトスチグマに移動する。
仕立屋の店長にもらった魔法のコートと肌着も所持。【耐寒】などの術で少し身を守ることができる。
魔法の肌着、【魔除け】の護符、自分で作った薄紅色のTシャツ、夏用のズボンを着用。
自治区では、魔術的な真名を名づける習慣がない。アミエーラは父が付けた名。
母が秘かに付けた真名は「イフェイオン・ユニフローラム・ステルラ・カエルラ」
◆少年 ローク 呼称は「角」の意。
力なき陸の民。商業高校の男子生徒。十七歳。ディアファネス家の一人息子。
ゼルノー市セリェブロー区在住。家族とは相容れなくなり、家出する。
ネーニア島のリストヴァー自治区外で暮らす隠れキルクルス教徒。
両親は、キルクルス教徒の信者団体役員で、祖父は相談役をしている。
祖父はこの辺りの隠れキルクルス教徒を束ねる司祭のような立場だった。
祖父や両親を卑怯だと思いつつ、その庇護に甘えていた自分を恥じている。
毎週、休日の礼拝に参加させられ、その後の報告会で、自治区で暮らすキルクルス教徒の様子も聞かされてきた。
信仰繋がりで知り合ったベリョーザたちとは、家族の手前仕方なく仲が良いフリをしているが、表面的な付き合いに留まる。
中学校で仲良くなったヴィユノークたちとは、家族に知られないようにこっそり友達付き合いを続けていた。
祖父たち自治区外の隠れ教徒と、自治区の過激派が結託して、テロを計画していることを知りながら、漫然と放置してしまった。
保身に走り、後悔しがち。
ソルニャーク隊長とメドヴェージには、当初からキルクルス教徒であると見抜かれていた。
戦う為、ソルニャーク隊長に銃の扱い方を教わる。
武闘派ゲリラのアクイロー基地襲撃作戦に加えられ、管制塔襲撃部隊の一員として戦った。
呪医セプテントリオーに力なき民でも使える呪歌【癒しの風】を教わる。
友達のヴィユノークが作ってくれた【魔除け】の護符、【魔道士の涙】を所持。アウェッラーナの教え子からもらった【不可視の盾】の手袋を左手だけ装備。
戦争を終わらせる為、レーチカ市に避難した家族の許へ行き、隠れキルクルス教徒の議員らの情報収集をする。
■星の道義勇軍■
◆少年兵 モーフ 呼称は「苔」の意。
力なき陸の民。キルクルス教徒。年齢は本人も知らず十五~十六歳くらい。
星の道義勇軍の少年兵。リストヴァー自治区のバラック地帯出身。
アミエーラの近所のおばさんの息子。
祖母と母、足が不自由な姉とモーフの四人家族だった。父は大火以前に事故で亡くなっている。
貧しさ故に最終学歴は小学校中退。
工場などで下働きをして生活費を稼いでいた。貧しい暮らしに嫌気が差し、家出してキルクルス教徒の団体「星の道義勇軍」に入った。
自治区の外に出て外の暮しを知り、フラクシヌス教徒や魔法使いと共に避難生活を送る内に考えが変わる。
ネモラリス人の武闘派ゲリラに銃の扱い方を教えた。
武闘派ゲリラのアクイロー基地襲撃作戦に加わり、陽動部隊の一員として警備員オリョールと共に戦った。
基地襲撃作戦からの帰還直後、武闘派ゲリラに襲われたピナティフィダを助けた。
魔道機でネモラリス島に渡り、首都クレーヴェルでフラクシヌス教徒たちと別れた。
現在は、星の道義勇軍の生き残りに加え、葬儀屋アゴーニ、国営放送のジョールチ、FMのDJレーフと行動を共にする。
◆隊長 ソルニャーク 呼称は「雑草」の意。
力なき陸の民。キルクルス教徒。星の道義勇軍・第三小隊の隊長。モーフたちの上官。四十代半ばのおっさん。
知識人。冷静な判断力を持つ。
星の道義勇軍は本来、テロ集団ではなく、自治区の生活向上を目指す信者団体だった。
キルクルス教徒だが、狂信はしていない。自爆攻撃には否定的。
陸の民らしい大地と同じ色の髪に、彫の深い精悍な顔立ち。空を映す湖のような瞳は、強い意志と知性の光を宿している。
半世紀の内乱以前は、自治区外に住んでいた。内乱終結後、家族と共に自治区に移住した。
両親は農業技術者として、自治区西部の開拓を指導し、緑地を整備して住民に解放した。
両親は殺され、弟は二人とも途中で捕まり、殺された。
唯一人生き残った隊長は、当時十六歳。バラック地帯に身を隠し、工場で働いて暮すようになった。
ネモラリス人の武闘派ゲリラに銃の扱い方を教えた。
武闘派ゲリラのアクイロー基地襲撃作戦では、管制塔襲撃部隊の指揮を執り戦った。
当初からファーキルがアーテル人で、ロークがキルクルス教徒であると見抜いていたが、黙っていた。
魔道機でネモラリス島に渡り、首都クレーヴェルでフラクシヌス教徒たちと別れた。
現在は、星の道義勇軍の生き残りに加え、葬儀屋アゴーニ、国営放送のジョールチ、FMのDJレーフと行動を共にする。
◆元トラック運転手 メドヴェージ 呼称は「熊」の意。
力なき陸の民。キルクルス教徒。星の道義勇軍の一兵士。おっさん。
リストヴァー自治区のバラック地帯出身。
以前はトラック運転手として、自治区と隣接するゼルノー市グリャージ区の工場を往復していた。
仕事で大怪我をして、ゼルノー市ジェリェーゾ区にある中央市民病院に入院したことがある。
入院中に妻子を亡くし、キルクルス教徒の団体「星の道義勇軍」に入った。
少年兵モーフを目に掛け、我が子のように可愛がるが、不器用な愛情表現はモーフにあまり伝わっておらず、鬱陶しがられている。
歌が上手い。みんなに「国民健康体操」を教える。
手先も器用で、蔓草細工を作り、街で食糧などと交換する。手仕事の職人として、クロエーニィエと意気投合する。
ファーキルがアーテル人で、ロークがキルクルス教徒であると見抜いていたが、黙っていた。
魔道機でネモラリス島に渡り、首都クレーヴェルでフラクシヌス教徒たちと別れた。
現在は、星の道義勇軍の生き残りに加え、葬儀屋アゴーニ、国営放送のジョールチ、FMのDJレーフと行動を共にする。
■ネットとリアルで活動する者■
◆ファーキル 呼称は「松明」の意。
力なき陸の民。キルクルス教徒。男子中学生。十五歳。魔術マニア。
アーテル共和国北部、ヴィエートフィ大橋の袂にあるイグニカーンス市在住。
ぱっとしない外見で大人しく、学校ではいじめられている。
頭はそこそこいいが、親と同級生からは蔑ろにされていた。
違法に接続したインターネットで、国内外の情勢と魔術について知って行動を起こす。僅かな荷物と闇で手に入れたタブレット端末だけを持って、単身、ネーニア島に渡った。
危険故に他国の報道機関も立ち入らない廃墟に足を踏み入れ、写真をSNSにUPし、空襲被害の惨状を伝える。
ネモラリス共和国の北ザカート市付近で、移動販売店見落とされた者の一行と出会い、以後、行動を共にする。
王都ラクリマリスで移動販売店の者たちと別れ、ラゾールニクらと共に情報支援活動を行う。
アーテル共和国人だが、ラクリマリス王国のグロム市民であると偽るが、当初からソルニャーク隊長と運転手メドヴェージには気付かれていた。運び屋フィアールカと呪符屋のゲンティウス店長は元より知っているが、口外していない。
呪医セプテントリオーに力なき民でも使える呪歌【癒しの風】を教わる。
コートとマフラー、【魔道士の涙】と呪文をまとめた手帳を所持。
呪符屋にもらった魔法の手袋は、右が【退魔】、左は【不可視の盾】の術を使う為の補助具。
各種SNSなどのアカウント名は、全て「真実を探す旅人」で統一している。
アーテル共和国が報道しない真実を伝える為なら、命を捨てても構わないと思っている。
真実を伝える為に、ファーキル自身は身元を偽り続けると言う矛盾を抱える。ソルニャーク隊長とメドヴェージには当初から嘘を見抜かれていた。
移動販売店の面々と別れた後、改めて、ラクエウス議員らの「直接の武力に依らず、ラキュス湖南地方に平和を取り戻す活動」に情報支援員として参加する。
◆情報ゲリラ ラゾールニク 呼称は「露草」の意。
力ある陸の民の男性。金髪。露草色の瞳。印象の薄い地味な顔立ち。
ネモラリス人の有志ゲリラ。アーテルの市井に紛れ、情報収集を行う。
武闘派との情報伝達の不備で甚大な被害が発生した反省から、時折、治療拠点に派遣されるようになった。
魔法使いだが、タブレット端末を使いこなし、インターネットに詳しい。
現在はラクエウス議員らと共に、直接の武力に依らず、湖南地方に平和を取り戻す活動に参加している。
◆運び屋 フィアールカ 呼称は「菫」の意。
湖の民の女性。二十代半ばくらいに見えるが、長命人種なので実際にはかなりの高齢。使えるものは何でも使う強かな女性。
ランテルナ島の地下街チェルノクニージニクにある呪符屋を拠点にしている。
魔法使いだが、タブレット端末を使いこなすなど、科学文明にも馴染んでいる。
かつては、ネーニア島の南ザカート市のパニセア・ユニ・フローラ神殿に仕える神官だったが、半世紀の内乱中に神殿が焼失。王都ラクリマリスの神殿に身を寄せ、内乱終結後しばらくして聖職者を辞めた。
魔法に頼らねば生きて行けないラキュス湖地方では、無用の争いを招くキルクルス教の教えは不要だと主張。
現在はラクエウス議員らと共に、直接の武力に依らず、湖南地方に平和を取り戻す活動に参加している。
◆市民病院の呪医 セプテントリオー 呼称は「北極星」の意。
湖の民の男性。髪と瞳は緑色。フラクシヌス教徒。長命人種なので若く見え、外見は三十代前半くらい。
ゼルノー市立中央市民病院に勤務する唯一の呪医。【青き片翼】学派の術を修め、主に外科領域の治療を担当。
説得に応じ、アゴーニと共にランテルナ島にあるゲリラの隠れ家に身を寄せていたが、ある事件をきっかけに袂を分かつ。
スニェーグに王都ラクリマリスに来るよう言われたが、先にゼルノー市の様子を見に行く。
移動販売店見落とされた者の一行に【不可視の盾】や呪歌【癒しの風】などを教えた。
武闘派ゲリラと袂を分かった後、ラクリマリス領への移動中、リストヴァー自治区に立ち寄る。
クフシーンカ店長に託された針子のサロートカと共に、ラクエウス議員・針子のアミエーラ宛の手紙を携えて自治区を出る。
シェラタン当主に協力を求められたが拒絶し、ラクエウス議員らの活動に参加する。
実年齢は四百歳以上。ラキュス・ラクリマリス王国時代から生きている。
ラキュス・ラクリマリス王国時代は、王国軍の軍医だった。クロエーニィエと同じ騎士団に所属していた。
元・フナリス群島の島民。ラキュス・ネーニア家の遠縁の分家。半世紀の内乱中に一族を殺され、「ラキュス・ネーニア」の家名は捨てた。
現在はラクエウス議員らと共に、直接の武力に依らず、湖南地方に平和を取り戻す活動に参加している。
◆葬儀屋 アゴーニ 呼称は「火」の意。
湖の民の男性。髪と瞳は緑色。フラクシヌス教徒。長命人種。【導く白蝶】学派の術を修めた葬儀屋。
口は悪いが人情に厚く、割と面倒見がいい。
死は誰にでも平等に訪れるので、なるべく分け隔てなく遺体の処理をしたいが、優先順位をつけざるを得ない場合もあり心苦しく思っている。
説得に応じ、セプテントリオーと共にランテルナ島にあるゲリラの隠れ家に身を寄せた。
アーテル本土の拠点を破壊されてからは、オリョールたちの身を案じつつ、その手伝いや食糧の調達をしていたが、ある事件をきっかけに袂を分かち、どこかへ【跳躍】した。
武闘派ゲリラと袂を分かった後は、単独で情報収集に奔走。アミトスチグマやアーテル、ネモラリス島などを転々とする。
クーデターを機に首都クレーヴェルを脱出、レーチカ市内に潜伏中のところを、星の道義勇軍の三人と出会い、合流した。
商売柄、服には【魔除け】や【退魔】などの呪文を刺繍してある。自前の魔力が尽きない限り、この服を着ている間は常時、それらの術が葬儀屋を守っている。
実年齢は五百歳以上。ラキュス・ラクリマリス王国時代から生きている。軍医時代のセプテントリオーを噂で耳にしていた。
現在は、星の道義勇軍の生き残り、国営放送のジョールチ、FMのDJレーフと行動を共にする。
■無所属■
◆ラキュス・ネーニア家の当主 シェラタン
湖の民の女性。長命人種。フラクシヌス教徒で湖の女神派。ネーニア家の当主。
ラキュス・ネーニア家は、旧ラキュス・ラクリマリス王国時代、陸の民の王家ラクリマリス家と共同統治を行っていた。
共和制移行時に下野して一般国民となり、半世紀の内乱で国が分割された後もそれは変わらず、公式の場に姿を見せなかった。
【贄刺す百舌】学派の術を修めた儀式魔術の管理者。
開戦後、アーテル空軍の大編隊を迎撃するなどネモラリス政府軍に協力していたが、クーデター勃発後、王都ラクリマリスの大神殿に身を寄せ、世間から姿を隠す。
呼称のシェラタン・ラキュス・ネーニアは広く国民に知られている。
呼称のシェラタンは星の名「合図」に由来する。
家名のラキュスは「湖/水/墓」の意だが、この地方では、湖の女神の涙の神話から「涙」の意も持つ。ネーニアは「歌/呪文/悲歌/挽歌/子守唄」の意。
■アミエーラの身内■
◆フリザンテーマ 呼称は「菊」の意。
力ある陸の民。フラクシヌス教徒。アミエーラの祖母。クフシーンカの幼馴染で親友。
【歌う鷦鷯】学派を修めた呪歌の歌い手。
力なき陸の民でキルクルス教徒の夫と結婚。内戦終了後はリストヴァー自治区に移住した。
自治区では、魔法使いであることを隠す為、知り合いのいないバラック地帯で生活した。
アミエーラが幼い頃に死亡。
◆カリンドゥラ 呼称は「金盞花」の意。
力ある陸の民。長命人種。フラクシヌス教徒。
アミエーラの祖母フリザンテーマの姉。仕立屋の店長クフシーンカの幼馴染。
外見はアミエーラにそっくり。百歳近いが、長命人種なので外見は二十歳そこそこ。
【歌う鷦鷯】学派を修めた呪歌の歌い手。歌手としての芸名は、ニプトラ・ネウマエ。「浄め水」「旋律」の意。
半世紀の内乱前にプロデビューした。主に聖歌や古典を歌うソプラノ歌手だが、近年は歌謡曲のカバーもする。
武力に依らず終戦を目指すグループに協力。王都ラクリマリスの神殿などで慈善コンサートを行い、難民支援をしている。
自宅は仕事の都合で、ネモラリス島の首都クレーヴェルと港町レーチカ市の二カ所にある。
■ロークの関係者(隠れキルクルス教徒)■
◆アコニート 呼称は「トリカブト」の意。
ロークの祖父。ディアファネス家の家長。力なき陸の民。
ゼルノー市セリェブロー区在住の隠れキルクルス教徒。
正式な司祭ではないが、ゼルノー市周辺の隠れキルクルス教徒を束ねる司祭のような立場で、毎週日曜には、自宅で礼拝を行っていた。
アーテル・ラニスタ連合軍の空襲後、行方不明だった。現在は息子夫婦と共にレーチカ市の国会議員パドスニェージニクの屋敷に身を寄せている。
◆コーレニ 呼称は「根」の意。
ロークの父。父のアコニートに頭が上がらない。力なき陸の民。
ゼルノー市セリェブロー区在住の隠れキルクルス教徒。
ゼルノー市周辺の隠れキルクルス教徒の信者団体役員。
リベルタース国際貿易ネモラリス支社の貿易部門の部長。仕事で培った人脈を駆使し、ネモラリスの政財界に隠れキルクルス教徒のネットワークを構築した。
息子のロークとベリョーザを結婚させたがっている。
アーテル・ラニスタ連合軍の空襲後、行方不明だった。現在は妻と父と共にレーチカ市の国会議員パドスニェージニクの屋敷に身を寄せている。
◆ベリョーザ 呼称は「白樺」の意。
力なき陸の民。女子高生。
ゼルノー市ミエーチ区アエス町に住む隠れキルクルス教徒。
信仰の繋がりで、ロークのディアファネス家と家族ぐるみの付き合いがある。
ロークの婚約者。親同士が決めた縁組を喜んで受け容れている。致命的なドジっ子。
星の道義勇軍のテロ後、一家全員が行方不明だった。
現在は、家族揃ってレーチカ市の国会議員パドスニェージニクの屋敷に身を寄せ、私立カエシアス学園の高等部に通う。
◆スーベル 呼称は「コルク樫」の意。
力なき陸の民の男性。茶髪。ロークの父と同年代。
ネモラリス島第二の都市レーチカ市に隠れ住むキルクルス教徒。星の標レーチカ支部長。
私立カエシアス学園の理事長。力なき民の子供向けの私立校。幼稚舎から大学まで、魔法を使わずに生活できるよう、カリキュラムを組んである。
◆星の標リャビーナ支部長
力なき陸の民の男性。
リャビーナ市に隠れ住むキルクルス教徒。倉庫会社社長。高速船を所有。
■自治区民■
◆仕立屋の店長 クフシーンカ 呼称は「睡蓮」の意。
力なき陸の民。キルクルス教徒。一人暮らしの老婆。九十歳以上。気前がいい。
リストヴァー自治区の団地地区で、仕立屋を経営している。
アミエーラの祖母フリザンテーマの親友。ずっとお互いに助け合ってきた。
自治区選出の国会議員ラクエウスの姉。議員への繋ぎ役として一目置かれ、顔が広い。
初夏からは、ラクエウスの支持者らと共に、大火に見舞われたバラック地帯の生存者の生活再建の支援活動を始めた。
自治区を訪れた湖の民の呪医セプテントリオーに三十年来の秘密を明かし、弟のラクエウスと針子のアミエーラに宛てた手紙を託す。
「星道記」の技術書部分を含む聖典を針子のサロートカに託し、自治区から送り出す。
キルクルス教の聖典の内、星道記の後半を修めた「星道の職人」の資格を持つ。
◆サロートカ 呼称は「甘草」の意。
力なき陸の民。キルクルス教徒。仕立屋の針子見習いの少女。大地の色の髪。
リストヴァー自治区のバラック地帯の生き残り。大火で身寄りを失くし、教会に身を寄せていた。
正直者で信仰心が厚い。無学な自分をよく弁えており、あまり役に立てないことを気に病んでいる。
クフシーンカ店長に「星道記」の技術書部分を含む聖典を託され、ラキュス湖地域の真実を知る為に呪医セプテントリオーと共にリストヴァー自治区を出る。
ラクエウス議員らの直接の武力に依らずラキュス湖南地方に平和を取り戻す活動に協力、呪医セプテントリオーらと共にアミトスチグマへ移動する。
◆司祭
力なき陸の民。キルクルス教徒。四十代前半の男性。
リストヴァー自治区の東教区(バラック地帯)の教会の責任者。
団地地区在住で通勤だった為、大火に巻き込まれずに済んだ。
自治区内の弱い人々をいかに守るかに腐心している。
◆新聞屋
力なき陸の民。キルクルス教徒。三十代後半の男性。
リストヴァー自治区の聖光新聞の専売所の責任者。
仕立屋のクフシーンカやラクエウス議員と懇意にしている。
◆区長
力なき陸の民。キルクルス教徒。五十代半ばの男性。
リストヴァー自治区の団地地区在住。自治区の区長。
半世紀の内乱中は銃を執って戦った。
キルクルス教原理主義を標榜する「星の標」のリストヴァー支部団長。
タブレット端末を密輸。
インターネットでアーテル、ラニスタと秘かに通じ、武器の調達などをしている。
◆酒屋
力なき陸の民。キルクルス教徒。五十代半ばの男性。
リストヴァー自治区の団地地区在住。区長の腰巾着。
半世紀の内乱中は銃を執って戦った。
キルクルス教原理主義を標榜する「星の標」のリストヴァー支部の幹部。
◆工場長
力なき陸の民。キルクルス教徒。六十代半ばの男性。
リストヴァー自治区の農村地区在住。
半世紀の内乱中は銃を執って戦った。
キルクルス教原理主義を標榜する「星の標」のリストヴァー支部の幹部。
地区内の「星の標」に資金援助している。
■国会議員■
◆両輪の軸党の党首 アサコール 呼称は「ポプラ」の意。
力ある陸の民。男性。フラクシヌス教の少数派、岩山の守護神スツラーシの信者。ネモラリス共和国の国会議員。野党中道派の「両輪の軸党」の党首。
与党多数派の方針に異を唱え、議員宿舎で軟禁生活を送った。外部と連携して蜂起。議員宿舎を脱出した。
アミトスチグマの支援者の許へ身を寄せ、難民キャンプの運営や情報発信などに携わる。
有志との連絡を密にし、第三国発信のニュースによる情報操作と、経済工作でアーテルに打撃を与える。
現在はラクエウス議員らと共に、直接の武力に依らず、湖南地方に平和を取り戻す活動の中心的な役割を担う。
◆与党の若手議員クラピーフニク 呼称は「鷦鷯」の意。
ネモラリス共和国の国会議員。与党「秦皮の枝党」所属。
古参議員の方針に異を唱え、議員宿舎で軟禁生活を送った。
両輪の軸党の蜂起に乗じ、ラクエウスと共に宿舎を脱出。音楽仲間スニェーグの許に一時、身を寄せる。
その後、ラクリマリスの王都郊外に跳び、ラクエウスとは別行動。
直接の武力に依らず、湖南地方に平和を取り戻す活動に参加し、王都郊外の支援者の許でネモラリス難民の支援や情報収集を行う。
呼称は子供の頃、歌が好きだったことに因む。
◆ゼルノー市選出の国会議員 イーヴァ 呼称は「柳」の意。
力なき陸の民。女性。今期、無所属から秦皮の枝党に変わった。
信仰は異なるが、選挙区が隣接する為、ラクエウス議員とは旧知の仲。
アーテル・ラニスタ連合軍の空襲後、所在・安否共に不明。
◆秦皮の枝党の議員パドスニェージニク 呼称は「雪の花」の意。
力なき陸の民。男性。隠れキルクルス教徒。
レーチカ市在住のベテラン国会議員。リベルタース国際貿易から企業献金を受ける。
人脈が広く、多数の議員らが屋敷を出入りする。教育関係にも顔が利く。
ネモラリス各地の隠れキルクルス教徒と付き合いがあり、アーテル・ラニスタ連合軍の空襲後、隠れキルクルス教徒を家族単位で複数保護している。
■リャビーナ市民楽団■
◆国会議員 ラクエウス 現在の呼称は「罠」の意。
力なき陸の民。キルクルス教徒。九十歳を越える老人。
リストヴァー自治区選出の国会議員。クフシーンカの弟。
幼い頃に竪琴の才能を見いだされ、家族と離れて寄宿学校で本格的に音楽を学ぶ。若い頃は、ラキュス・ラクリマリス交響楽団の竪琴奏者として音楽を生業としていた。
半世紀の内乱中に妻子を失った。
自治区への移住後、交響楽団時代の人脈を駆使して国会議員となった。
リストヴァー自治区の生活向上の為に命を懸けて尽力する老議員。
魔哮砲の使用継続に反対を表明し、首都クレーヴェルの議員宿舎に軟禁された。
両輪の軸党の蜂起に乗じ、クラピーフニクと共に宿舎を脱出。スニェーグ宅に匿われる。
女装してリャビーナ市民楽団に紛れ込み、罹災者支援コンサートに出演する。
直接の武力に依らずラキュス湖南地方に平和を取り戻す活動に参加、アミトスチグマに移動する。
ネモラリスの国会議員として、非公式に難民キャンプの視察を行った。
アイドルグループ「瞬く星っ娘」を脱退した四人に歌の指導をする。
若い頃の呼称ハルパトールは「竪琴奏者」の意。変装時の呼称、ハルパトーラは「竪琴奏者(女性)」の意。
◆スニェーグ 呼称は「雪」の意。
力ある陸の民。白髪の男性。ラクエウスよりほんの少し年下の老人。
リャビーナ市民楽団のピアニスト。クラピーフニク議員の協力者。
午前中は大きな音楽教室の外部講師、午後は飲食店でピアノの生演奏。割と忙しい。毎日に張りがあるからか、髪こそ白いが、実年齢よりずっと若やいで見える。
老婦人シルヴァの親戚で、ランテルナ島に隠された別荘の場所を知っている。
◆オラトリックス 呼称は「祈る者」の意。
力ある陸の民の女性。六十代半ばくらい。
リャビーナ市民楽団のソプラノ歌手。【歌う鷦鷯】学派の術者。クラピーフニク議員の協力者。
情報操作と拡散の一環として、ネモラリス共和国内で里謡調査を進める。
■首都クレーヴェルの関係者■
◆DJ レーフ 芸名は「獅子」の意。
力ある陸の民。男性。金髪。フラクシヌス教徒。
FMクレーヴェルのDJ。二十代前半くらい。
FMクレーヴェルは、半世紀の内乱前からある老舗のFM放送局。本社スタジオは、首都クレーヴェルの樫の木通りに所在する。
クーデターの戦闘に巻き込まれ、家族と住まいを同時に失った。
ネモラリス政府軍が放送局を押さえるどさくさに紛れ、局の車でスタッフ数名と共に首都を脱出した。
ウーガリ古道の休憩所で出会った星の道義勇軍らと行動を共にする。
◆アナウンサー ジョールチ 呼称は「ドングリ」の意。
力ある陸の民。男性。黒髪。フラクシヌス教徒。
国営放送の首都クレーヴェル本局のアナウンサー(実は、声だけ第一章「005.通勤の上り坂」から登場)
数年前から、調査報道の一線からは退いている。五十代前半くらい。
クーデターの戦闘に巻き込まれ、本局のスタジオから命からがら脱出した。個人でも報道の使命を果たすべく、首都内部を【跳躍】で移動しながら情報収集。
DJレーフの車に拾われ、ウーガリ古道の休憩所で出会った星の道義勇軍らと行動を共にする。
報道人の使命を全うする為なら命も惜しくない。
◆雑貨屋のおばさん
力ある陸の民。長命人種の女性。赤毛。フラクシヌス教徒。肉屋の従妹。
首都クレーヴェルの西門付近にある商店街の裏通りの雑貨屋。クーデター後、入荷が滞って商品がなくなり、営業休止中。
家族が国道八号線の自爆テロに巻き込まれ、長命人種の息子が一人だけ生き残ったが、重傷。
半世紀の内乱中、酷い目に遭わされたので、キルクルス教徒が嫌い。
治療を条件に、薬師アウェッラーナたちを地下室に匿う。地下室は半世紀の内乱の直前に作られ、親戚の店と繋がっている。出入り口の扉すべてに【認証】が掛かっており、力なき民には開けられない。
◆ドージェヴィク 呼称は「雨合羽」の意。
力ある陸の民。長命人種の男性。赤毛。外見は少年だが、半世紀の内乱初期の生まれで実年齢は七十代。
首都クレーヴェルの西門付近にある商店街の裏通りの雑貨屋の息子。クーデター後、入荷が滞って商品がなくなり、営業休止中。
クーデター勃発後、他の家族と共に仕入れと身内の安否確認の為、北地区へ行った際、国道八号線の自爆テロに巻き込まれた。一人だけ生き残ったが、身動きできないレベルの重傷を負った。
半世紀の内乱中、酷い目に遭わされたので、キルクルス教徒が嫌い。
◆肉屋のおじさん
力ある陸の民。長命人種の男性。赤毛。フラクシヌス教徒。雑貨屋の従兄。
首都クレーヴェルの西門付近にある商店街の肉屋。
半世紀の内乱と今回のクーデターで家族の大半を失った。現在、行き残っているのは末の娘夫婦と、雑貨屋の従妹とその息子だけ。
娘夫婦は常命人種で、外見は雑貨屋より老けているが、実際の年齢は雑貨屋の息子よりも年下。
半世紀の内乱中、酷い目に遭わされたので、キルクルス教徒が嫌い。
娘夫婦の治療の礼として、エランティスの足に【防腐】と各種守りの術を掛け、魔物をを寄せつけない処理をする。食肉用の術なので、人間の一部にどのくらい有効か不明だが、一カ月程度はいける筈。
◆肉屋の末娘
力ある陸の民。常命人種の女性。赤毛。フラクシヌス教徒。末娘。
首都クレーヴェルの北門付近にある商店街の肉屋。
半世紀の内乱と今回のクーデターで家族の大半を失った。内乱終結後に結婚し、独立して実家とは別の店を開業した。
店舗兼自宅は、ネモラリス政府軍とネミュス解放軍の戦闘に巻き込まれて全壊し、行き残ったのは老いた夫婦のみ。
半世紀の内乱中、酷い目に遭わされたので、キルクルス教徒が嫌い。
◆肉屋の娘婿
力ある陸の民。常命人種の男性。黒髪。フラクシヌス教徒。
首都クレーヴェルの北門付近にある商店街の肉屋。夫婦で店を切り盛りしていた。
店舗兼自宅は、ネモラリス政府軍とネミュス解放軍の戦闘に巻き込まれて全壊した。子供たちは独立して別に暮らしていたが、今回のクーデターに巻き込まれて亡くなった。
■アミトスチグマの関係者■
◆国会議員 ジュバーメン 呼称は「援助・協力」の意。
力ある陸の民。男性。フラクシヌス教の少数派、岩山の守護神スツラーシの信者。
アミトスチグマ夏の都選挙区の大物国会議員。脂っこいおっさん。
ネモラリス共和国の「両輪の軸党」の党首アサコールとは信仰繋がりで意気投合し、アミトスチグマの難民キャンプ運営などに力添えしている。
◆協力者
湖の民の女性。アミトスチグマの夏の都在住のお金持ち。
ラクエウス議員らの直接の武力に依らずラキュス湖南地方に平和を取り戻す活動に協力。彼らに住居と食事を提供し、活動拠点として使わせている。
商社の役員で、湖上封鎖が解消されないと貿易が滞って困ると言う経済的な理由もあって、ラクエウス議員らに力を貸している。
◆記者 シレンティウム 呼称は「沈黙・吉兆」の意。
力ある陸の民の男性。七三に分けの黒髪。眼鏡。四十代半ば。
湖南経済新聞の国際部記者。背広をきっちり着込み、見るからに「会社員」と言った風貌。特ダネ大好き。
■瞬く星っ娘/平和の花束■
◆アルキオーネ
力なき民。女性。十八歳。アーテル人。
アーテルのアイドル歌手「瞬く星っ娘」のリーダー。長く艶やかな黒髪。勝気な目をした少女。
メローペが魔物に襲われてから、アーテル共和国の二重規範に嫌気が差し、コンサートで暴露。「瞬く星っ娘」の引退を宣言した。
元護衛の女性が手引きし、ラゾールニクらの協力でアミトスチグマへ逃れた。
現在は、ラクエウス議員らの許に身を寄せ、音楽ユニット「平和の花束」のリーダーとして活動している。
◆エレクトラ
力なき民。女性。十七歳。アーテル人。
アーテルのアイドル歌手「瞬く星っ娘」の一員。土色の髪の少女。
メローペが魔物に襲われてから、アーテル共和国の二重規範に嫌気が差し、コンサートで暴露。「瞬く星っ娘」の引退を宣言した。
元護衛の女性が手引きし、ラゾールニクらの協力でアミトスチグマへ逃れた。
現在は、ラクエウス議員らの許に身を寄せ、音楽ユニット「平和の花束」として活動している。
◆タイゲタ
力なき民。女性。。十六歳。アーテル人。
アーテルのアイドル歌手「瞬く星っ娘」の一員。麦藁色の髪の少女。眼鏡を掛けている
メローペが魔物に襲われてから、アーテル共和国の二重規範に嫌気が差し、コンサートで暴露。「瞬く星っ娘」の引退を宣言した。
元護衛の女性が手引きし、ラゾールニクらの協力でアミトスチグマへ逃れた。
現在は、ラクエウス議員らの許に身を寄せ、音楽ユニット「平和の花束」として活動している。
◆アステローペ
力なき民。女性。十六歳。アーテル人。
アーテルのアイドル歌手「瞬く星っ娘」の一員。金髪の少女。年齢の割に豊かな胸。
メローペが魔物に襲われてから、アーテル共和国の二重規範に嫌気が差し、コンサートで暴露。「瞬く星っ娘」の引退を宣言した。
元護衛の女性が手引きし、ラゾールニクらの協力でアミトスチグマへ逃れた。
現在は、ラクエウス議員らの許に身を寄せ、音楽ユニット「平和の花束」として活動している。
■ネモラリス政府軍■
◆ネモラリス政府軍将軍 アル・ジャディ・ラキュス・ネーニア。
湖の民の男性。フラクシヌス教徒で湖の女神派。
ネモラリス政府軍を統括する。半世紀の内乱後に就任した。
長命人種。実年齢は五百歳余り。外見は、四十代後半から五十代前半くらいに見える。精悍な顔立ち。
半世紀の内乱後の情報インフラの不備で、アーテル・ラニスタ連合軍及びキルクルス教団との情報戦に敗北したことを認めた。インターネットの重要性に気付き、その普及と国民教育の必要性を痛感している。
気さくな人柄で、気軽に一兵卒のルベルを食事に誘った。
前任のウヌク・エルハイア将軍の遠縁の親戚。
呼称のアル・ジャディは星の名「殺人者」に由来する。
湖の女神の血を引く名門、ラキュス・ネーニア家の分家。
◆ルベル 呼称は「赤」の意。髪の色からそう呼ばれる。
陸の民の男性。フラクシヌス教徒。実家はネモラリス島北東部のウーガリ山中にあるアサエート村。
ごつい体格で厳つい顔。黙っていると「怒ってるの?」と聞かれやすい顔立ちのせいか、恋人などは居ない。
ネモラリス政府軍の魔装兵。兵学校を卒業して数年の若者。
ネーニア治安部隊の隊員だったが、テロ鎮圧作戦中に戦争が始まり、急遽、水軍の守備隊に転属させられる。
軍用魔道機船に乗り組み、見張りとして空襲の警戒にあたる。末端の兵卒。【飛翔する蜂角鷹】学派の術を修め、偵察などを主な任務とする戦闘員。
魔哮砲が何なのか気掛かりで、この戦争に関する報道発表などの情報を精査していた。
アーテル軍の攻撃を受け、魔哮砲が行方不明になった後は捜索に加わる。
ムラークの遺言に従い、魔哮砲を止める決意を固める。
クーデターが起こったが、国民とは戦いたくない。
軍服は魔法の鎧。
◆アシューグ 呼称は「吟遊詩人」の意。
陸の民の男性。フラクシヌス教徒。長命人種。
ネモラリス政府軍の魔装兵。【歌う鷦鷯】学派の術を修めた呪歌の歌い手。若く見えるが三百年程の軍歴がある大先輩。
普段は儀式魔術の要員として、司令本部に詰めている。
魔哮砲の制御符号を教えられ、捕獲部隊に加えられた。
サカリーハ付近の森に隠された研究所から資料を回収する任務で、ネミュス解放軍と見られる武装勢力と戦闘になり、命を落とす。
◆セカーチ 呼称は「斧/切断機」の意。
陸の民の男性。フラクシヌス教徒。
ネモラリス政府軍の魔装兵。【思考する梟】学派の術を修めた衛生兵。
剣技に長けている。魔哮砲の捕獲部隊に加えられた。
◆シクールス 呼称は家名で「援軍」の意。
陸の民の男性。フラクシヌス教徒。長命人種。
ネモラリス政府軍の幹部。【渡る白鳥】学派の術を修めた陸軍将補。
剣術に長け、若い頃は魔獣討伐隊の一員として活躍した。
シクールス家は、ラキュス・ラクリマリス王国時代には貴族だった家系。半世紀の内乱で没落。現在、一族の一部はネモラリス領に居る。グロム市にあった本家の屋敷は人手に渡り、ホテルとして活用されている。
■ネミュス解放軍■
ネモラリス共和国の首都クレーヴェルでクーデターを起こし、国会議事堂と議員宿舎、FMクレーヴェルを除く放送局を手中に収めた。
政府軍との戦闘を継続する傍ら、市民の懐柔を図る。
◆ウヌク・エルハイア将軍
湖の民の男性。フラクシヌス教徒で湖の女神派。長命人種。
旧ラキュス・ラクリマリス共和国軍設立から半世紀の内乱末期まで、軍を統括していた。百戦錬磨の軍人。
半世紀の内乱中は、人種に関係なく、ネモラリス島に住む湖の女神派の信徒をキルクルス教徒の攻撃から守った。内乱末期に家族を喪い、「守る者が居なくなった」と引退。
ネモラリス共和国とアーテル・ラニスタ連合軍との戦争中、現政権の横暴に立ち向かう為、「ネミュス解放軍」を組織し、決起した。
呼称のウヌク・エルハイアは「蛇の首」の意。
湖の女神の血を引く名門、ラキュス・ネーニア家の分家。
■ネモラリス人の有志ゲリラ ネモラリス憂撃隊■
◆警備員 オリョール 呼称は「狗鷲/勇士」の意。
力ある陸の民の男性。髪と瞳は明るい土色。
医療産業都市クルブニーカの製薬会社に雇われていた警備員。
元は森へ素材の採取へ行く薬師の護衛だった。【急降下する鷲】学派を修めた魔法戦士。
現在は、ネモラリス人の有志ゲリラに参加し、ランテルナ島を拠点にアーテル領内で破壊工作を行っている。
武闘派ゲリラのリーダー的な立場だが、何となく流れでそうなった為、本人にはあまり自覚がない。
アーテル本土の拠点を破壊されてからは、ネモラリス領の北ザカート市の廃墟に移動。森林地帯で魔獣などを狩り、呪符や魔法の道具の素材を集め、武力を蓄えていた。
アクイロー基地襲撃作戦では、陽動部隊の一員として少年兵モーフと共に戦う。
作戦からの帰還後、ピナティフィダとアミエーラを襲ったゲリラを殺害。呪医に宣言した通り、シルヴァが勧誘したゲリラの生き残りをジャーニトルとクリューヴを除いて始末した。
その後、ネモラリス憂撃隊を組織し、アクイロー基地襲撃作戦について犯行声明を出した。
◆ゲリラ兵 ジャーニトル 呼称は「門番」の意。
湖の民の男性。緑髪で緑の瞳。科学文明についてはあまり詳しくない。
元は森へ素材の採取へ行く薬師の用心棒だった。【急降下する鷲】学派の術を修めた魔法戦士。
ネモラリス人の有志ゲリラ。アーテル領内で破壊工作を行う。
アーテル本土の拠点を破壊されてからは、ネモラリス領の北ザカート市の廃墟に移動。森林地帯で魔獣などを狩り、呪符や魔法の道具の素材を集め、武力を蓄えていた。
アクイロー基地襲撃作戦では、管制塔襲撃部隊の一員として戦い、負傷した。
◆ゲリラ兵 クリューヴ 呼称は「嘴」の意。
力ある陸の民の男性。使える術の系統は【霊性の鳩】。
ネモラリス人の有志ゲリラ。アーテル領内で破壊工作を行う。
負傷して拠点で伏せっていた所をセプテントリオーに助けられた。戦闘に不向きだと自覚してからは、物資の調達など後方支援に専念する。
アーテル本土の拠点を破壊されてからは、ネモラリス領の北ザカート市の廃墟に移動。森林地帯で魔獣などを狩り、呪符や魔法の道具の素材を集め、武力を蓄えていた。
アクイロー基地襲撃作戦では、陽動部隊の一員として戦い、重傷を負った。
◆手伝いの老婦人 シルヴァ 呼称は「森」の意。
力ある陸の民の女性。老婆。スニェーグの親戚。
ネモラリス人の有志ゲリラ。親戚に「難民支援」と称して別荘を提供してもらった。負傷者の看護と別荘の管理、情報収集や物資の調達などを担当。
ランテルナ島の無関係な寝たきり老人宅を情報収集の拠点と定めた。
老人の世話をしつつ、市井の噂話やアーテル領内で発行される新聞や雑誌で情報収集。また、ネモラリス共和国内やアミトスチグマの難民キャンプなどで、武闘派ゲリラに参加する者の勧誘活動も行う。
▼各勢力の行動指針など




