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すべて ひとしい ひとつの花  作者: 髙津 央
第八章 北へ

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159/3502

0159.荷物の搬入出

 トラックに戻ると、工員クルィーロの他、高校生のロークとパン屋のレノも荷台に上がって、太いコードを束ねる最中だ。

 ソルニャーク隊長とメドヴェージのおっさんが、束ねたコードを二巻ずつ抱えて国営放送ゼルノー支局の廃墟に入る。

 小学生二人の姿は見えない。


 「お兄ちゃん、ティスとアマナちゃんは?」

 「トラックの前にある小さい破片を片付けてもらってるんだ」

 「後、重い機材ばっかだから、君らもそっち手伝ってくれよ」

 クルィーロとレノが答えると、ピナはトラックの前に回った。湖の民の薬師(くすし)もそちらを手伝いに行く。


 残った少年兵モーフは、レノとロークからコードを一巻ずつ受け取り、放送局へ取って返した。

 何故、魔法使いのクルィーロが場を仕切るのかわからない。だが、隊長とおっさんが何も言わずに従うので、モーフも黙ってそれに(なら)った。



 そうやって、コード、アンプ、スピーカー、マイクなどを次々と運び出し、イベントトラックの荷台がほぼ空になった。

 小部屋に近いスピーカーが一機だけ、ネジで床に固定されて動かない。

 「ま、こんくらいでいいだろ」

 金髪の魔法使いは、ツナギの袖で額の汗を(ぬぐ)って荷台を下りた。

 スピーカーの他、床置き型の照明も四つ残る。


 「会議室にあった折り畳み式の長机、あれを四つ入れましょう」

 「そんなの持ってって、どうすンだ?」

 少年兵モーフは、(こら)え切れなくなって魔法使いの工員に聞いた。


 魔法使いの工員クルィーロが荷台を指差して答える。

 「床に直接置いたんじゃ、たくさん積めないだろ?」

 「普通は、中に荷物を整理して積める棚や台車があるんだがな」

 メドヴェージに補足され、モーフにも何となく想像がついた。

 「机を棚の代わりにするんだ?」


 「うん。脚同士をガムテープで固定して……」

 脚をがっちり固定して、長机四台を一体化する。

 荷物は段ボールや袋に収納して、机の下には重い物、上に軽い物、天板下の棚には細かい物を置く。

 荷物を取り出しやすく、落ちた時に危険がないようにそう積むのだと言う。


 ベッド代わりの長椅子も、同様に二脚ずつ一体化する。

 「椅子ベッドは、ギリギリ二台は乗せられるかな」


 モーフが(うなず)いてみせると、魔法使いの工員クルィーロは、少年兵の肩をポンと叩いて作業を促した。

 魔法使いに気安く触られたが、特に嫌悪感はない。

 理由はわからないが、今は目の前の作業を急いだ。

☆ベッド代わりの長椅子……「0110.廃墟を調べる」参照

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野茨の環シリーズ 設定資料
シリーズ共通設定の用語解説から「すべて ひとしい ひとつの花」関連の部分を抜粋。
用語解説01.基本☆人種など、この世界の基本
用語解説02.魔物魔物の種類など
用語解説05.魔法☆この世界での魔法の仕組みなど
用語解説06.組合魔法使いの互助組織の説明
用語解説07.学派【思考する梟】など、術の系統の説明
用語解説15.呪歌魔法の歌の仕組みなど
用語解説11.呪符呪符の説明など
用語解説10.薬品魔法薬の説明など
用語解説08.道具道具の説明など
用語解説09.武具武具の説明など
用語解説12.地方 ラキュス湖☆ラキュス湖周辺の地理など
用語解説13.地方 ラキュス湖南 印暦2191年☆「すべて ひとしい ひとつの花」時代の地図と説明
用語解説19.地方 ラキュス湖南 都市☆「すべて ひとしい ひとつの花」時代の都市と説明
地名の確認はここが便利
用語解説14.地方 ラキュス湖南 地理☆湖南地方の宗教や科学技術など
用語解説18.国々 アルトン・ガザ大陸☆アルトン・ガザ大陸の歴史など
用語解説20.宗教 フラクシヌス教ラキュス湖地方の土着宗教の説明。
用語解説21.宗教 キルクルス教世界中で信仰されるキルクルス教の説明。
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