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勇者の再誕とその悲劇

チェリアの、アイリスの、リンドウの、蓮華の、カンナの、シノノメの、皐月雨の、クレアの、イルムの体から出たそれらがキッシュの体だったものに吸収されていく…


そして、その光は…神魂の欠片から放たれた光は、キッシュだったものを別の形へと変えていく。それは、そう……



「ソレイユ…じゃと………」


「葵……どうして兄さんの体からあんたが………」







はいはい、タイランマッキー改めタイランキッシュです。タイヤキって略してくれて結構です、うぐぅ。


頭ガリガリされて気が付いたら支配しておりました。ここまで計画通り……だったんですが、あれはもうキッシュじゃないって体が暴走して葵になってしまったん。え、訳が分からないよ…ってわけでもなかったりする。


神魂の欠片……って誰の魂の欠片だって話ですよ。当然神のって事になる。で、女神になったのは誰かって話…つまり、黒幕は最初から俺たちをずっと見ていたんだよ。10に分かれた魂の欠片から………


俺とロリ魔王、ハゲガエルとドエムゴン。腹黒雪女とポンコツロボに金髪アレカレ…それと謎の死神精霊で9つ。最後の1つこそ本体であり、今こうして顕現する事となったラスボスという事である。


本来なら箱庭に行って云々があったのだろうけど、クレアが探偵を別ルートで攻略したが為に計画が狂ったので出てきたといったところだろう。だが、その計画すら狂わせてやろうとする存在である、神に喧嘩バーゲンセール中なオイラの事が許せなくなったんじゃないかな。ぶっちゃけ、病んでるわ…タイヤキぴんちですん。でも、もうゴールするしかないよね。



『オデ、オマエラダオズ…ダオジデゴノゼガイノガビニナル……』



そして、餅にカビ生やして回るんや。後、チーズとかにカビ生やしてやるん…あ、オイラはカマンベール嫌いやった。チェダーチーズが好みなん。え、濁音が酷過ぎて新たなる神になるって聞こえたと。



「あなたみたいな…りゅーちゃんを食べる怪物が神になんてなれる訳がないっ!」



それが狙いに決まっとるやないか。案の定現人なのかどうかは分からないけど自称神の葵が激昂したん…仮面は何処ですか?


まあ、計算外の勇者爆誕はさておくとしてオイラはもうタイヤキでありキッシュじゃないん……料理じゃないぜよ。後、怪物って言われるのは構わないんですが、おまいさんも怪物級だと思うん。え、これ特撮だったのけ?


まあ、どうでもええですわ。これでオイラが倒されたら大団円になるん……でも、終わった後は2周目が待っておるん。え、そんなのありませんよだって…ああ、殲滅したいん。



『オマエガイヴデネエ……マダダリネエ……ガラダ…ガラダヲヨゴゼ……』



とりあえず、クレアは別として面倒そうな野郎だけは道連れにしとかないといけないと悟りましたん…未亡人寝取りは許容範囲内ですが寝取られはあかんねん。


というわけで、シノノメと皐月雨には退場してもらおうと思うん。世界の異物は少ない方がええですわ…1つ分の陽だまりの中に居るべきは俺でもシノノメや皐月雨でもないん。


唯一味方になってくれた義妹の幸せを願う桐生柳あにの最期の遺志やねん。それに、男の嫁は要らんわ…性転換出来ないこの世界に災いあれなんよ。


何か、マジで神になって性転換薬を作り出そうかとも思えてきたっす。まあ、そんなの作ったところで神になったなら要らねーけど。


だからこそ、現人神になった勇者ソレイユは何がしたかったんでしょうかねーって思う訳ですん。その答えはオイラ知らなくても構わないんですねん。死んだ先の事なんて知らない方がきっと幸せだわいな。






ただ一撃………シノノメと皐月雨に向かう怪物に相対したソレイユはその力を奮った。あやつの持つ剣は神をも斬り伏せた最強の剣であるのじゃからな。


「これで、これで終わり…わたしの長い戦いも。帰るべき場所も……」


『…………ガラダヲ………ガラダッダラダラッダラったって言うの面倒くさいんなー、もう。オデノカラダハボドボドなのは分かってるん」



それは間違いなくキッシュの口調だった。わらわたちは根本的なところで間違えたのじゃと理解してしまった……



「最初から最後まで戦う事なんて間違いなん。醜い争いは悲劇しか生み出さない……誰かを幸せにする為にとか、誰かを守りたいとか、そんな綺麗事を理由にしてもやっている事は殺人でしかない。アバターは所詮紛い物であって、桐生柳はとっくの昔に……葵が居なくなった瞬間に最早死んだも同然だったん。いや、分かってるんだろ……キッシュが桐生柳だけでない、日向葵の意識によって歪められた別の存在であると。だから、最初から何もかも間違っていたんだと。そして、俺の中の桐生柳はとっくの昔に日向葵に愛想尽かして嫌っているんだわ。この、裏切り者の嘘つきがっ!」



その怨念の言葉と崩れていく体を目にしたわらわたちはどうする事も出来なかった。わらわの力は既に使ってしまっており、再び使えるにはまだ時間が足りぬ。足りたところで、上手く使える自信など無い。どうしてこうなったのじゃ…



「りゅーちゃん…そんな……そんなの………」


「俺はりゅーちゃんじゃない。キッシュくんです…いえ、タイヤキです。愛してくれてありがとうって言って朽ち果てるだけのモンスターです。え、エースとかいうババアには興味無いわ…いくら釘○病でも限度はあるべや」


「りゅーちゃん……」


「だからタイヤキだっちゅうに。ろっと、そろそろおやすみグッな時間なん……最期に呪詛吐くん。この忌まわしき世界に怨念をなん。では、サラダバー」



そんなふざけた事を言いながら、再びキッシュはその体を失った。2度ある事は何とやら……あやつなら、また戻って来れるじゃろうと楽観視しておくとするのじゃ。但し、全員そう思わないのは仕方ないのかもしれぬ。






はい、タイヤキです。ただ今、黄泉の国への移動中ですん。だから戒名はキッシュでオナシャス。


スカル化した時とは異なり、死んでも意識がある………つまり、そういう事ですん。ほら、『死神探偵の黙示録』を内包してるんですわ、この世界。だから、導入部でオイラはここを「魔銃」ではなく「死銃」と誤認していた……というより、オイラの中のソレイユたんが思いコンダラなんですよね。だから、試練の道をど根性で行こうと思うん……機械魔法という精神スキルあるし。


これから向かうべき場所は黄泉の国ではなく、その先にある界王せ……なんでそんなところにあったんやろ。まあええのん。オイラは最後の勇者の面会権を求めてここへやってきた……正直、チェリアたちだけでは真意に辿り着いてねぇんすよ。


考えてもみてください。勇者サイドの裏ストーリーになるのがゲーム中のシナリオだったわけです…が、箱庭では敵対していたのは偽装された勇者一行…つまり、箱庭の裏ストーリーである勇者の仲間としての戦いは最初から始まっていたとも言えるんす。


まあ、残念ながら故人とは会えなかった……はずなんですが、例外が精霊族の怨霊、リア充殺しのカスミなんですよね。


さて、ここらで『死神探偵の黙示録』のおさらいしておこうと思う。


当然ながら主人公は探偵であり、いく先々で事件に巻き込まれるというよくありがちな不幸体質である……実際にそんな探偵居たら利用されると思う。


で、ストーリーとしては短編からなるもので『洋館編』『孤島編』『夜行列車編』と、それらをクリアした後に解禁される『学園編』『温泉旅館編』『遊園地編』の6つがある。


そして、全員犯人はヤス…ではなく、毎回変わるヒロインなわけです。推理なんて無かった。あったのは無駄に強い戦闘と意味の分からないミニゲームですん。わけが分からないよ…


で、裏ストーリーでは各ヒロインに憑いていた者の正体…つまり、リア充殺しのカスミというオイラたち並みの同志の正体が明かされ、リア充主人公を倒す為に更なるわけが分からないミニゲームをやっていくという理不尽ストーリー……


つまり、リア充主人公になりかけてたオイラはカスミの敵認定受けてるんやねん。だから、死ぬしかないじゃないって事で消滅しました…が、葵が登場は予想外だったん。


ならば、そこまでしてクレアが力を授かった残りカス出涸らしカスミに会いに来たかといえば……



「さあ、オイラの当てずっぽうかつ超適当な真実のじいちゃんは名にかけて1つと言っている。真の黒幕はカスミという怨霊の皮を被ったベビーサタンな葵に食われた元女神だと。さあ、姿を見せろなん」


「ど、どうしてそれがバレてしまったのですか……」



超適当なこと言ったら目の前に白いワンピース着た幸薄そうな女が現れた……ロリじゃないからただの駄肉神ですわ。滅すべし、ただのババア。探偵の時は少女だったというのに……ロリ守護霊フラグ木っ端微塵ですやん。


まあええねん。葵だったら絶対に叶えてくれない願いを叶えてくれるなら神でも悪魔でも青い狸にでも魂売り渡すつもりだったし。


さあ、偽勇者と意義ありそうな法廷バトル繰り広げるべや………あ、裁判長の閻魔さん不在ですわ。真夜中にサイト見なきゃあかんと思う。いや、地獄に流したいのは居ないけれども。


どうせ誰も居なくなるし構わないんすよ。みんなみんな生きていくんだ、嫁でもない人生を。


残念なのは、仲間が活路開いてくれたとかじゃなくて勝手に死んで見出した死地に至る道で勇者ではなく村人の戦いなところなんすよね…


まあ、ラスボス戦を始めましょうか。おそらく、史上最も低レベルなラスボス戦を…

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