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妹が見聞きした世界の真実っぽい何か

シノノメ、皐月雨、カスミ……初代勇者メンバーが知っている事はチェリアが知ってる事と大して矛盾は無かった。まあ、そりゃそうですよ。


もうそろそろネタバレしてもええよね。この世界の終わりの始まりと始まりの終わりのお話です。



「兄さんは分かってるんでしょ。異世界から人間の力によって召喚された剣の勇者の正体とその末路については」


「オンドゥル星のお姫様がアルビノ化して腹パンしてきたん。そんなの分かっとるん…」


「はぐらかさない。それといい加減普通の話し方にする…」



口うるさいのは変わらんのん。仕方ないだろ、思考にノイズ入るようになってるんだし…まあ、真面目モードになるか。


この世界の終わりの始まりは魔族と人間のありきたりな戦いだった。


そして、ありきたりな展開で召喚されたのがソレイユ・フルールと名乗る痛い少女、日向葵ひなたあおい…後に親が離婚して母方の姓・水立を名乗る事になる残念星人にして桐生柳の婚約者であったというわけですよ。


で、勇者ソレイユさんは元気に旅しながら道中で出会うわけですな。まさかり担いだロリ魔王に…で、魔族の一部を含めた人種の一部を操る真の魔王を倒すべく目的変更して仲間を増やしていくわけですよ。


神を裏切り人種の為にと戦う事を選んだM字ハゲの天使ハゲガエル。魔物を統べる王ドエムゴン。妖怪の頭目初代自虐蓮華。機械人の元祖ロボ。亜人の中の亜人である双子星の双子娘。精霊族のノータリン…酷いパーティメンバーだな、マジで。


そして、そんな酷いパーティメンバーは己の体の一部を対価に魔王ことクソ女神を倒す神器であるオンボロ武器を手に入れたわけですよ…んで、ロボとノータリンの犠牲の上で世界に平和が戻りました。めでたしめでたし…


で、終わってれば俺たちはここに居ませんがな。女神が改心してアホの子たちは願いを叶えて貰える事になった。その願いは至極簡単…元の世界へ戻してと願う太陽の勇者に対して女神が履行不能と言いやがったわけですよ。何やら、世界線を越えていくのは世界を滅ぼすだのふんだらもんだら言ったそうで。


それにブチ切れた太陽の勇者は女神を吸収合併して必殺の死んじゃえバインダー発動。世界を滅ぼす事になって、残りの勇者たちが楔となって世界を本に閉じ込めて破壊を免れました。めでたしめでたし…という結末を迎えるわけです。


でも、勇者たちは太陽の勇者に対して必ずしも反感を持ったわけでは無い。むしろ、女神と融合して暴走する一方で自らを封じたのも彼女だったという結末。


だから、チェリアたちはソレイユの願いを歪んだ形で叶えようとした。女神の封印解除に始まり、特定の人をアバターに転生させる事を主とした…皮肉にもそれは人間がソレイユに課した事と同じようなものなわけでして…



「だから、あたしは兄さんをこっちの世界に連れてきた奴らを許さない。葵を兄さんから奪ったこの世界だって、葵自身だって…」


「いつからそんなブラコンになってしもたんやろ……いくら実妹じゃないからって引くわー」



いや、魂は実妹なんでしょうけども。まあ、世界中が桐生柳を笑い者にしても笑い者にしなかったのがみずきという妹だけだったわけですよ……え、親ですか。大爆笑でしたわ、マジで。


まあ、クレアの気持ちは分からなくもなくもなくもなくなく…どっちやねん。ハゲガエルから聞いた時は思わず人間滅しようとしましたからね…警察署や役所なんて無くなった。


人間に対する意識だってマイナスですわ。だからほら、今のところ嫁に人間は居ませんよ。双子嫁だってエルフとドワーフと天使や悪魔などなどの超混血らしいし。だから小さいし薄いんですよ…



「でも、だからってそれで争う理由になんてならないだろ。恨むのは勇者メンバーでもなければこの世界でもない。むしろ、感謝しているくらいだ……少なくとも、こちらの世界、この体には信頼してくれる奴らが居る。あんな敵しかいない世界で生き続けただけより遥かにまともな人生を送っているんだぞ、俺は」


「兄さん…それ本気で言ってるの?」



本気じゃなきゃ言えんではないか。こんな事を思いたくないが、もしかしてチェリアは贖罪で俺の嫁をやってくれてるんじゃないかって感じる時だってあるさ。でも、嘘は無い。アイリスもリンドウも蓮華もカンナもイルムだって本気じゃなきゃ……


でも、それが全て俺にのんのん語を植え付けたように神魂の、アホ娘の影響であったならと思うわけで。それでも、嫁が出来たのはお陰かもしれないという…やなっさんはアホ娘の所為で嫁どころか女友達も出来なかったけどな。その分二次元の嫁は三桁は居たわけですが…ハハッ。



「嘘言っても仕方ないじゃないか。正しいか間違っているかなんて些細な事だ…それに、俺は女神を倒して願いを叶えて貰えば全部解決すると思っている。少なくとも、お前やアホの子みたいな安易な考えでは導き出せない因果律の崩壊をする事が可能だ」


「訳分からない事言ってないで、兄さんは選ばなきゃいけないのよ。ここでどっちを選ぶか。あたしたちの手には3つの欠片がある。そっちには…」


「6つ…そして、残りの1つは女神ソレイユ自身。あれ、イルムの分が無いじゃないか。俺のをやろう」



ポーイっと神魂の欠片をイルムに渡す。スカル化した時にパージされとったんや。つまり、やったねキッシュくん、嫁枠が増えるよって事だ。そして、俺は完全なる村人Aと化した。だからって世界には影響なんて無い…え、消えるかもしれないって。それがどうした…むしろアバター多いこの世界でそう易々と消えたりしないっしょ。何処ぞの団長じゃあるまいし。



「ご主人、これ…」


「さすがに死んでる精霊の勇者からなら殺してでも奪い取れるけど、妹とか義理双子とかからは奪えんから仕方ないじゃないか。それで我慢しろ」



別にチートの恩恵がなくても構わないんですがね。むしろ、その欠片は少なくとも守りたかった奴に与えた女神の温情な訳ですよね。だったら、俺はそれに値しないと思う…だって、既に2回死んでますし。その時点で該当しないんじゃないでしょうか。



「兄さん、こちらに分け前渡してどういうつもりよ。この子を構成してるさすおにはあたしのものなのよ…兄さんを裏切る事だって簡単なのに」


「嫁にプレゼントして何が悪い。それに、お前と俺の目的は同じなはずだ。女神を殴りにいく…お前もそのつもりなんだろ?」


「………違うわ。それも無いとは言わないけれど、あたしは全てに怒っているの。言ったでしょ、兄さんが死ぬ事に加担した勇者たちも許さない。でも、兄さんはそこまで望んでいないでしょう…だから、せめて歯向かうものは倒す。それだけよ」


「ハム買うのを倒すなんてハム業界に何か恨みでもあるんか?」



クレアが呆れた目を向けてくる。真面目な話なんてめんどっちいんなー。いつまでも出来るもんじゃないし…むしろ、ふざけている方がオイラらしいん。キッシュである事を受け入れてるんだからこれくらいでないと。



「だいたい、お前の隣にいるシノノメと皐月雨自体がその恨むべき対象であるのを忘れとろうもん。協力するのは勝手だが、アレアとカレアに大してお前ら何がしたいんね…」


「そんなの決まってるじゃないか。俺は憎いんだよ…アレアという自分自身が。ソレイユの時に感じた憎しみを、俺が今度はクレアにさせてしまった。ただ、俺はソレイユを大切な人と再会させたいだけだったのに、その結果があんな形であった事が許せない」



シノノメが怒りの形相で告げた独白…まあ、その気持ちは分からなくもない。典型的なお節介したら、人が1人黒焦げになった上に巻き込まれたのもいて何してたんだろと醒めたわけですね。


皐月雨も語りはしないが同じような事を考えているのか頷いているわけだし……とりあえず、自分で自分を殴って融合合体するつもりなんだろうな。え、融合したら正拳突きとか電気技とか思い出すんやろか。でも、オイラにはそんな半身ないから魔力解放くらいしか出来そうにないよ。まあ、現時点でも出来るんですが。



「つまり今のアレカレは敵だと、協力して女神を殴りにはいかないというんだな?」


「兄貴、さすがにアレカレって略して欲しくないんだけど…」



そうは言われてもアレアがシノノメでカレアが皐月雨で、みずきがクレアでオイラが村人Aなわけで…ややこしやーややこしやーなん。


ややこしいいえば女神もそうなん。探偵をクリアしてないオイラが箱庭に辿り着けるのか分からなくなってきたわけだし………………まさか、残り1ヶ月の中で真の箱庭裏ストーリーに辿り着くにはパーティ調整とか必要だったとかいう展開ですか?


つまり、ここでクレアを仲間に入れないと箱庭裏ストーリーが未解禁のまま…だが、敵対しなければアレカレの事とか嫁の動向が変わってくる。もはや死銃とはなんだったのかって展開なん。いや、真エスカリボルケインで無双するつもりでいたけれども。鎧でぶっ放す予定だったけども…



「クレア。提案があるん……協力して欲しいん。一時的で構わない。女神とか葵とかソレイユの件は置いておいて………オラ、銃をぶっ放して剣で斬り裂いて女顔のアバターになりたいんや。アバター容姿変更アイテムとか持ってないんか?」


「いや、ないから」


「性別変更アイテムでも構わないぞっ!」


「いや、ないから」



残念、イフォルマくんの女体化計画は完全に頓挫した……女神を倒したら4つ目の願いに加えてやろうかなとも思えてきた。4つも叶えるかは分からないけどな

。え、まだ諦めてなかったのかって……ロマンを簡単に諦めたらそこで人生終了ですがな。



「なら仕方ないん…もう1つ、賭けをしようじゃないか」



オイラは懐に忍ばせておいたリボルバー式の拳銃を取り出す。なーに、簡単なロシアンルーレットやん。



「俺が勝ったら神魂の欠片を寄越せなのん。俺が負けたら、1つだけ願いを聞こうジャマイカ…というわけで勝負なん」


「まだ受けるとは言って…」


『カチッ、カチッ、パン、カチッ、カチッ…』


「さあ、クレアの番なん」



白々しい目で4人が見てきとるん。ええ、ヘッドショットかましましたよ自ら。というか、大したダメージ受けんかったん……ヘッドショットとはいったい。まあ、計算通りなんですがね。ここで嫁をムッコロさんと命令されても聞くだけなん。叶えるとは言ってないんなー。


あ、普通の防御力の奴は真似したらあかんのん。脳みそばーんになるから…え、普通はやらないだって。普通なんてつまらないものさ。


さあ、願いを言うといい。

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