そして無から始まる新しい世界
遠き山に陽が落ちて寒くなってきたので、焚き火の前で暖をとる。だんだんだだん…スクランブルダッシュで接近してきた嫁たちのパンチは痛かったん。でも、オラは涙を流さないん…男の子だもん。涙以外のものは流れましたが……
「まったく……お主もじゃがお主の作ったものもとんでもないのじゃ」
「でも、ご主人の言う通り巨大なロボがあったわけだし……下手したら隙を突かれて危なかったのはこっちじゃない?」
魔王嫁を説得しようとするペット嫁は若干魔王嫁より背が高くなって居た……もうすぐ手を出さないと旬が終わりそうなん。それは困る……
さて、嫁たちの諍いはさておきおいどんは浄化と最終調整中なん……なんか、400年越しに再会をした仲間の修理シチュなん。え、この後過去に行って母ちゃんの足切断回避させるんやろか……あれはヒントあっても小学生には回避不可なん。むしろ、名前すら知らんかったわ。
それはともかく、缶詰の夕食も微妙なん。一応、寝泊まり出来るキャンピング戦車があって良かったね。最早全ての生命体が消失してる時点で野外プレイしても恥ずかしくないもん、パンツでも恥ずかしくないもん状態なんですけどねー。
「どちらにせよ人間は老い先短い生き物です。そして、鎧を使って戦うこの世界の人間は居ない方が得策なのです…悲しい事です、僕太です」
「そんな事を言っても許される事ではないのじゃ」
「解。マスターは常日頃から世界平和には人類の滅亡は不可欠とお考えでした。それを実行したに過ぎません」
「パパ…矯正されるべき」
アイリスが実行犯ではなくこちらを睨みつけてくるん…怖くないけど。でも、生き地獄体験すれば分かると思うん。世界平和を願いながらも呪いを吐くのが人間なん。むしろ、人間が少ないというのは生きていけない理由でもあるん…偽善事業の介護でどうにかなってただけで悶ブラン一行が本気を出せば敗北していたはずなん。かろうじて抑止力となる合体ロボがあったから免れてただけで…………まあ、デコイだったんですけどね。コアとか付いてなかったもん。
それに女神の事を考えると敵対する可能性のあるものは排除しておくべきなのです。困りものですって事なん…前の世界では唆されたイナゴの急襲があって結果オイラが白骨化してしもたん。ありがちな骸骨アバターに変身出来ずにただの返事出来ない屍にクラスチェンジしたん……それを繰り返したら嫁たちの精神が壊れるん。
加えて、この解体して鎧と化したロボたちが勝手に動き出す可能性だってあったん。何処ぞの作画崩壊みたいに足を全員で受け止める展開とか要らんのん。とりあえず、カラー戦隊5人分とロリ女王、老いぼれや全ての機械人及び人間さんの墓標として9つ作ったん。ノリノリで墓を作るとか気が狂っとるん、ワイ。今頃気付いたかとか言うな。
ところで、こちらを恨めしそうに見ながらも鎧に慣れようとしている健気なドラスラ嫁とキツネ嫁。それとカンナの3人はコアが2つな訳ですよ。一方、魔王嫁と勇者嫁とペット嫁はコアが1つ………この差をどうしようかと悩んでしまう。まあ、本人はあまり気にしとらんのですが。重装だから仕方ないってのもあるし…
まあ、その辺りはどうにかなるん。まだまだ改造すればええだけやねん。さて、その話は置いておくとして…この世界の再生をしなきゃいけないと思うん。さすがに壊してさようならじゃ後味が悪いと思うんなー…そものそも、何処かのキングオブ心さんが言っていたんじゃありんせんか。人間さんも自然の一部だから壊したら馬に蹴られてラブラブ拳されっぞ。体にハート型の穴は開けたくないんなー…
というわけでそろそろ、スキル習得タイムに行きたいと思うん。いつもの大運動会なんなー…でも、雰囲気が悪過ぎる。新世界のアダムとイヴになろうではダメなん。おそらく首絞めて気持ち悪いとか言われるん…そんなプレイはするつもりないんなー。
「とりあえず、首絞めプレイ以外の気持ち良い事をするん。難しい事はそれから考えればええんなー」
「おぬしという奴はいつもいつも…少しはこの状況が分かっておるのか。この世界は滅んだんじゃぞ。わらわたちがそれを行ったのじゃ…どういう事か考えるのじゃ」
「………手を伸ばしてみよう、夢に触れるまでなん。一度滅んだならまた生まれ変わればええんじゃないかなかな。それが出来る方法をチェリアは知ってると思うん。俺がこの体に宿ったようになん」
「そ、それは…」
別にレベル云々とか関係無いと思うん。時を戻す魔王の力も素体となる天使の体も神魂を隠すスライムも世界を分ける自虐のキツネも要らんのん。なら、残るのは何ぞや…奇怪な機械の力でっしゃろ。他の勇者の能力や役割は俺の復活には関わってへんらしいし、精神コマンドで再動とか復活とかさせたん違うかと思うわけですよ。あれ、ドエムゴン何もしてないじゃんか。
「だから、カンナを嫁として扱ってオイラがスキルゲットすればどうにかなると思うん。ましてや、精霊に天使に竜に妖怪スキルもあるん。合わせれば生命体の復活か新たな生命体作るとか出来なくなくもないと思うん。オラ、新世界の神になるべや」
「マスター、既にマスターは女神より多くの殺戮を行なったと推定します」
「別に何処ぞの寝取り主人公みたいに後から不殺思考に走るつもりなんて無いん。むしろ、女神以上の存在にならなきゃ勝てないと思うん」
「変なところで張り合う必要はないのじゃ…」
他の嫁たちもチェリアの言葉に賛同してコクコクと頷いとるん。え、キラキラするのあかんのん……オイラ、この世界で英雄じゃなくて神様としてもてはやされたいん。そして、ドールズ作らねば不完全燃焼なん。
まあ、神なんてどうでもええんやけどね。人間さんは他の世界から引っ張ってくればどうにかなるし、元々機械人を作り直す材料は余り気味なはずなん……そもそも、共存出来ないからこんな事が起こるん。肌の色やら髪の毛の色で戦争が起きる世界出身の中でも、その肌や髪の毛の色問わずバカにされてきたオイラなん。共存出来ないなら棲み分ければええん…オイラは自宅という世界で余生を過ごしたん。だから、棲み分けに人間さんの滅亡はあって良かったねって思う事にしよう。
そもそも、上に立つなんて事を考えた悶ブランは誰より人間らしかったかもしれんのん。むしろ、人間よりも人間らしかったんじゃないかしらん。
だからこそ、レッタにこのコアは相応しいかもしれんのん……あんな性格になったら嫌やから調教するけど。あ、そういえばろくにボカ○を調教しないまま死んでしもたんなー。オイラ、来世はミュージシャンになって巨大な衣装纏って千○桜振り回して死神ヒロイン義妹にするん。
「どうして忍者や死神は最初のヒロイン嫁にせんのん?」
「そんな事知らぬのじゃっ!」
最初のヒロインが知らないと言ったから、今日はハーレム記念日なのん。まあ、最初のヒロインって場合によってはもう1人の主人公扱いだから仕方ないよね……ライバル関係にならないだけマシと思う事にするん。オイラ、来世は12人くらい義妹に恵まれる人生送りたいんなー…よし、オラは決めた。この世界で兄神になるん。12人の女の子型機械人作って国統治させるん…レッタは神の代行者扱いにして崇め奉られる宿命なん。そして、偽妹が加わって戦いが始まりそうで怖いわ。
まあ、そんな事はさておいて……ドリモゲイルムと温泉でも掘削しようと思うん。砂埃まみれでペロペロすんのはちょっと抵抗あるん。砂糖ならええんやけどな…虫歯になるっちゅうに。
◇
「……解。マスターはおそらく把握しています。この世界が誰の望みで生まれたのか。そして、真の望みが何であったのか……だからこそ、カンナは人間の消滅を実行しました。この記憶に残るクロバーの遺志があなたとは異なる未来を望んでいたように」
キッシュがイルムと共に風呂を作ってくると出て行ったので、カンナには真意を聞いておきたかったのじゃ。クロバーが人間を皆殺しにしてまで守りたかったもののため…それがこんな事態を引き起こしたのではないかと。結果、その通りであったというわけじゃ。
ならば、わらわはその結果を強くは否定出来ぬ。わらわも人間の消滅を願っていたのじゃ……それを拒んだのはあやつの最後の願いであったからであり、報われなかった結果で今があるのじゃ。
わらわは未だに全てを伝えてはおらぬ。じゃが、キッシュには少しずつではあるが伝わるように話しておる。その真実に辿り着いた時……間違いなくわらわは、わらわたちは切り捨てられるじゃろう。いや、わらわだけかもしれぬが。
「…どちらにしても、わらわはこれ以上先程の事は咎めぬ。キッシュも言うてあったのじゃろう…人間がラスボスだと。あんな巨大なものを見せられて否定なぞ出来ぬ。不意打ちは1度で十分じゃ」
「ママがそう言うなら…同じ」
「まあ、あの人たちも完全な味方ってわけじゃなかったですもんね…利用しようとしていたという点では意に沿うか沿わないかの違いだけでしたし……キッシュさんが操り人形になるか賛同者になるかの違いだけで」
「わ、わっちもそう思います。それにそもそもあんなロボットがあったのに戦わずにいた時点で不自然です…いくら歳を重ねていたとはいえせいぜい7、80年程度です。まだまだ若いのに戦わないのはおかしいです」
「解。人間はその歳では若いとは言われません。最も、ロボットを動かすためのコアを秘蔵していた時点で虚言を宣っていた事実に変わりはないので粛清対象です」
さらっと人間滅ぼしたの肯定しておるの…まあ、未来は無かったのじゃから仕方ないと割り切っておくのじゃ。むしろ、そもそもの原因に…即ち、クロバーの消滅と歪んだ機械人の思考という不可解な現象の元凶が不明な以上、この世界が滅ぶのも仕方ないものであったかもしれぬ。いや……この世界を含めた全てが滅んで当然とあの時思ったではないか。
「どちらにせよ、いずれ答えは出るのじゃ……」
全て滅ぶか、それ以外か。のぅ、ソレイユ……ある意味、お主の望んだ結果となったこの世界を見て、お主はどう思うのじゃろうな?
◇
「とりあえず、温泉マークの下にバケツ書くん。カップはあかんのん…滅亡後ハーレムタイムってバンドを作ろうと思うん」
「ご主人、意味分かんない」
オイラも分かんないから大丈夫なん。イルムがあちこち穴ボッコフルボッコにしてるけど湯が出ないん…油田は出たけど欲しいのはこれ違うん。けど、ガソリンに使うから保存するん…ガソリンで動くロボットがあってもええんやで。でも、精製方法が分からんのん…悔しいですん。
「それよりご主人。あたし成長したんだからそろそろ手を出してくれても良いんじゃない?」
「神魂が新たに手に入るまでは我慢しるべや。アイリスみたいに襲われたらやばいんなー。今はまだかろうじてペット扱いになってるから見逃されてるはずなん。でも、あいつは嫉妬深いからやったら中に誰もいないか確かめに来そうなん」
悲しみの向こうへと送られるのはオイラだけで十分だと思うん。え、首だけ海外旅行するんですかオイラ?
「…ご主人。どうしてこんな回りくどい事してるの…ご主人の、ご主人だけならさっさと女神のところ行けるでしょ。それをわざわざ…」
「それを聞くかい、おっかさんなん。いくら強かろうと独りよがりでは勝てないものがあるんすよ。それを何より知っているのはお前さんじゃありんせんか。それに、いきなりラスボスと戦ったら封印されてしまうのがオチなん。それで変態の体を借りてお前が欲しいとか言わないかんのや」
「今でも十分言ってる気がする」
それは本能のままに従って生きとるだけなん。でも、やみのまには興味あるん。え、使い方違うって…わざわざ指摘してくれるなんてお疲れさんってことね。キッシュの変態教室は始まりませんよ、あしからず。
湯じゃなくて油が出るこの世界で、オイラは油爺爺になって高温の油で女神を揚げるまで妄想した。つまり、普通に魔法でお湯出して入った方が早いんなー。湯船の工事するん。岩盤掘削なんよ…使い捨てなのに無駄な労力かかるんなー。オラ、次生まれ変わったら水棲生物になりたいん…ペンギンでええわ。
どちらにしても、こうなっていたかもしれないこの真の世界を忘れてはあかんのん。むしろ、虐げられた世界はこうなれって思った事何回もあるん。
はてさて、作られた世界とこの世界たち…そして今の状態。更にこれから先の世界……どれが望んだ結果でどれが現実でどれがウ○ダドンドコドーンでどれが嘘だと言ってよバ◯ニィかは知らんのん。え、嘘ばかりだって…嘘がまことになって悲しみの向こうへと辿り着けるんやろ。え、違う?
それはともかく、今になって悶ブランの気持ちも少しだけ分からなくもなくもなくもなくもフォーチュンなん。もし力やら名誉やら富やら権力やら地球破壊爆弾があったなら人類最後の1人になるまであいつを捜し続けていたかもしれんのん。え、独裁スイ◯チって何?
とりあえず、大量の油は次の世界で使おうと思うん。戻って風呂でババンバするんなー。そろそろ嫁たちの話も終わっとるはずやし。はてさて、どんなプレイで楽しませてくれるのやら、ぐへへへへ……なんて事は考えてねーです。ちょっとしか。




