ヒトがヒトである為に、ヒトがヒトでなくなる為に
マスターたちと散開し別れた直後、手筈通りに現れた白の国の白カビと対峙する事になった。否、引き寄せられたと言った方が可能性としては適切な程確率が高い。
「見つけた…地の鎧のコア。利用価値が無いと思って手放したのが間違いだったわ。でも、天からの啓示があった…あんたの持つ神魂の欠片ってのがワタシの願いを叶えてくれるってね」
「解。神魂の欠片にそのような能力はありません。仮に欠片が全て集まった時にそのような力を発揮するのであればそれを使うべきはマスターです」
「マスター……あの邪魔な障害でしかなかった紫の国の女王を倒してくれた操り人形のキッシュの事ね。でも、もう必要無いわ……嫁を自称する連中に逃げられた時点でキッシュを改造して正真正銘の操り人形にして世界を牛耳る計画が狂ってしまったけれど、他の人間を改造する事で補えたんだもの。でも、ぬかったわね……まさか、世界を救った英雄が世界を滅ぼすなんて」
目の前の白カビは自らを世界の中心か何かと勘違いしている可能性1200%……更にその思考は胸部に埋め込まれたカンナのかつてのコアによって増幅されている模様。つまり、チェリアが語るゲーム時代のマスターの行動パターンを完全に模倣しているという可能性は高い。
ですが……
「否、世界を滅ぼしたのはあなたです。多くの人間を殺め、機械人のみを是とする世界を作った時点でマスターの救った世界は既に廃れました。その世界に終止符を打つ事でマスターは世界を救おうとしているだけです………真なる英雄となる為に」
きっとマスターは英雄なんて目指してはいない。マスターが目指すのはそんなものではないというのは前から感じていた……ただありのまま生きているだけ。
そして、カンナはそんなマスターと共にありたい……それと同時に1つの不可解なバグが生まれた。
「そんなマスターを操り人形にしようとした白濁女王も世界と共に終止符を打たれるべきなのです」
それはきっと、怒りという感情。
◇
話をしよう。あれは今から36万…いや、もっと前の字数だったか。まあいい、言ってみたかっただけだ。
カンナは苦戦とまでは言わないが、悶ブランの攻撃を凌いでいる……そら、互いに遠距離射撃ばかりしていたらそうなるわな。スイカバーで突撃する事も無く、悶ブランが胸からミサイル放つわけでもなく砲撃ばかりして互いを牽制している………まあ、カンナにその戦法を叩き込んだのはオイラですし、悶ブランが取り込んだコアのデータもおそらく支援及び火器重視後衛回復型の当時のオイラの戦法を元にしたものだと思うん。つまり、戦○道みたいなもんですね…え、違う?
どちらにしても膠着状態なん。他の嫁たちは観戦しているし……なして?
まあ、ノルマとか憂さ晴らしとか色々あるんじゃないかな。嫁編入試験って感じでもなさそうだし……まあ、そんな事やってたら好感度だだ下がりですけどね。好感度上げる為に徹夜で運動会ですよ?
話を本筋に戻そう。何故オイラがキャノンアーマーを装備してジ○キャノンな感じな戦いを強いられていたかは前に語った…んじゃないかな。あいつは話を聞かないからな。あいつって誰やねん。
カンナはその器、コアは悶ブランブランに。一方、地の鎧の一部とコアはカンナのものとなれば絶対無敵ライジンカンナの完成ですん。
だが、カンナは他の嫁共々勇者の一角、鎧の勇者である。更に肉体改造しているんだから生身でも地の鎧と同等の力を持たせているはずなんじゃないかな…だが、使いこなせていないという結果がある。鎧は元より体自体を。
だから夜に寝床で運動会せにゃいかんのだ…まあ飯野くん。ガシガシ改造中の天雷地の鎧を装着すれば勝てるさ。3タイプ可変のスペシャルな……え、ヴァリ○ンじゃないよ、テ○ガだよ。テイクミーハイヤーだよ。
元の防御重視の地の鎧、攻撃重視の天の鎧、速度重視の雷の鎧…そして、黄蘭の鎧と合体する事で真なる橙将軍の鎧「鳳梨」となるのでがんす。パイナップル読むな、ほうりって読め…おばけ違うぞ。むしろ、黄蘭壊れる予定無かったのに無駄な機能を付けてしまった気がするん。最初のロボが壊れてから2号ロボが出るのが定番というのに。まあ、フリーサイズだから普段はオイラが使っても構わないん。
というわけで、早速着込むん。粉々コアを混ぜ込んでるから動く設定なん。プラ粉みたいなものと思えばええん……多分な。
◇
砲撃戦を入って早数十分。向こうの弾は未だに尽きる様子が無い。こちらは無尽蔵にエネルギー弾を作り出せるので類似した能力があるのだろうと推敲する。
それと同時に、カンナ自身の体内……いや、意識下で改竄されていくものを感じとっていた。それは怒りと哀れみ、喜びと楽しさ…そして恐怖。それと無数の負の感情によるもの……
「お前たちが居なければ、お前たちが逃げなければこの世界もあの人も手に入れられたのにっ!」
距離があるにも関わらず、罵倒する声はよく通っている。機械人だからという特性だと考察する。それと同時に負の感情がまた1つ増えていく……マスターのコアを宿しておきながらマスターを否定するその根性が気に入らない。
「解。万が一、世界も黒いのも手に入れられたところであなたは孤独です。マスターの苦しみをそのコアから感じ取れなかった時点であなたは何も理解していない。大切なものを大切だと考える事すら出来なくなったあなたはもうゴミ屑以下のボロットです」
「黙れっ!」
「……なんか、ぷるぷるしそうな展開なん。でも、突入するならオイラの胸に来ればええねん。あ、駄肉はお断りなん」
突然、マスターが弾の飛び交う中心部に降ってきた。体に見慣れぬ…でも、よく知った鎧を纏って。
「………そ、それはまさか……」
先に反応を示したのは白い方。だけど、それを遮るようにマスターは語る。
「そうなん。お前の愛しい木偶人形の成れの果てパウダーたっぷりの新型地の鎧なん。マークツーなん…でも、オイラはフルアーマーマークスリーが好きなん。というわけで………俺の嫁には嫁らしく、敵には敵らしく相応しい姿になってもらおうじゃないか」
その瞬間、マスターが身に付けていた鎧が2つに分かれ、1つはカンナに…もう1つは白濁女王の身に纏わり付いてきた。
「輝き煌めく皇帝の鎧なん…え、虎はおらんのん。後、悶ブランの方は余ったゴミ屑から作ったレプリカなん。つまり、ノリで重たいだけの足枷なん」
そうマスターは言うが……同じようなものを嫁と認めてくれたカンナと害悪でしかない白濁女王とが身に纏う事に納得はいかない。
きっと、これが嫉妬………
◇
この街はいつも瞳悲しくて〜なん。鎧と重しをそれぞれに渡したらカンナが「やめてよね、本気を出したあたいに悶ブランが叶うはずないじゃない」モードに入ったん。つまり、本気を出したって事ですね…良かった良かった………よね?
地の鎧及びレプリカから移植したビーム砲合計8つに加えて元々の手持ち砲でフルバーストっぽい全力射撃によって悶ブランの周囲が蒸発したん。まあ、奴は蒸発しなかったんですけどね。与えた重しの素材がまあまあ良かったからです。え、地の鎧は使ってませんよ……余剰パーツは他の嫁行きなん。
所詮余り物で作り上げた鎧なのにあの防御力……オイラが作ったからですねという事で納得しようと思う。理解は出来ない。したくもない…だから、あの機能を始動させたん。
とにかく、腹にビーム砲を取り付けなくて良かったと思う事にしよう。蓮華と被るから飛び道具無かったのも良かった良かった………土台な黄蘭は分離出来るんやけどね。トゥヘアーみたいに人格変わってないか心配なん。
「あははは、私は無敵。最強よ、最強。この鎧さえあればもう何も怖くないわっ!」
一方、一番ええ装備じゃないのにマミるフラグを建設し始めた悶々建設の女社長はどうしてああなったんか訳が分からないよ………ああ、あれか。厨二か。
最強を自称するのは勝手なのであるが、ムッキーってしそうな第5夫人が居るのはいただけない…というわけで悶ブランにはもう1つのプレゼントを与えようと思うん。嫁たちの鎧には無い特別な機能なん。
「速攻魔法発動『男のロマン』。この魔法は女性にはあまり理解されない男のロマンを任意の相手に発動する。俺はこの魔法を悶ブランに使用……指定ロマンは『任務了解』。自爆乙なん」
まずは胸当てが悶ブランの胸を抉る…安心してください。入ってますよ偽乳特戦隊…たぶんな。まあ機械だから大丈夫だ、モーマンタイなん。
更に、重しの鎧「鬼灯」の内部からの自爆攻撃によって奴の体はボドボドになってしまうん。いくら外側が強くても中身消失する本家本元からの流れなんだから仕方ないと思うん。
それにほら、この世界は機械仕掛けの鉄の処女ですから。
「な、なにを……や、やめ……ギャァァァァァァァァァァ…………」
鎧の中から悲鳴が聞こえていたけど静かになったんなー……残ったのは飛んできた胸当てだけなん。リョナ注意なん……中に誰も居ませんけど何か入ってますよ。おお、コアいコアい。
「マスター……何故、カンナに倒させてくれなかったのですか?」
「愚問なん。かつての自分の物であり……カンナがカンナである理由を取り戻すのに理由なんて要るかいなのん」
奴は大変なものを盗んでいきました…オイラとっつぁんじゃないから氷の剣みたいに奪い返しても問題ナッシングなのん。え、冥府行くんじゃないかって……生き地獄なら既に体験済みなん。
とりあえず、見せられないよな胸当てから母を2つもぎもぎした。片方は浄化するとして、オラのコアはカンナに…というか「鳳梨」に装着するん。頑○無結晶みたいなものなん。胸飾りに取り付けるけど鎧越しだから感触は確かめられへんのん。残念なん…
とりあえず、あっちにはもう片方のでええよね。浄化するし……後、「鬼灯」は放置なん。中に誰も居ないし所詮は置物なん……せめてもの墓標扱いなん。かつての相棒だったわけだから少しくらい同情してやるん。金はやらんけど。
「さあ、戻るん。俺たちの戦いはこれからなん」
「マスター、それはどういう事ですか。回答を望みます」
「真のラスボスはまだまだおるん…人間というラスボスなん」
最初に言った通りなん。この世界には8つの勢力があって、最後の勝者決めるまで終わる事は無いん。つまり、最後のNPCな老いぼれが倒れないとクリア扱いにならんのん。まあ、老人虐待は趣味じゃないから負けたと言ってもらえればおしまいなんですけどね。
ついでだから、「鬼灯」の横に他のNPC連中の墓も建設してやるん。勿論、イロモノ鎧なん。簡易椅子に座らせておくん…いつか、新たな鎧装士が現れた時に戦乱が始まるん。シャッ○ル同盟ですね、主人公は神にも魔王にも凡骨にもなれるんですね…違います。
とりあえず、ついでに少し多めに作って大喜利みたいに並べておくん。9体も作るの面倒なん…廃墟に使えそうな材料探しに行くか、老いぼれの合体巨大ロボでも分解するん。戦隊物なら大量に合体しとるから何とかなるやろ…ならなければ、宜しい戦争だなん。
「了解。マスターの為にラスボスを排除します」
「はい?」
再び放たれるフルバ…思いだけでも力だけでもどうにもならない事ってあるよね。資金繰りとか悪辣夫婦の適当な脚本演出とか……とりあえず、不可能を可能にする暇は無かったん。まあ、矛先が他の嫁に向いてたら話は別だったん。
この日、この世界の人間さんは滅亡しましたん……世間知らずの嫁の全力全開によって。たったったらたったたなん…チェリアたちにフルボッコされるの間違いないんなー。私はバカ貝を食いたい…貝あんま好きじゃないけど。




