真赤な炎の誓い…いや、近い近い
オレの後を追って来たのは赤の国のコキノさん…ううん。だったものと言った方が良いかもしれない。その顔には祖国を焼かれた時にあった憂いの表情は無かった。
あるのは、そう……
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す…」
狂気だけだった。そこには、既に国を憂うかつてのつよさは微塵も無かった……とはいえ、狂ってしまった気持ちは分からなくもない。もし、あの時キッシュさんが生き返らなかったら、オレもこうなっていたんだろう。全てを憎み、恨み、怒りに飲み込まれて…
『説明しよう。コキノは単なる改造手術で狂っただけでいっぱい殺すけなんなー…今夜はいっぱいペロってやるん。それはさておき、つまりノ○ヒコなんなー。決して、怒りとか悲しみでこうなったんとは違うん。ロボったのでもバイオったのでもないんでげね。こんなヤンデレ要らんし…ドラスラ嫁よ、楽にしてやるんでげね。それが唯一の救いたい。救いたいそのヤン顔と思うなら尚更たい…オラは救わなくても構わんけれど。顔と体のアンバランスさは良くないし…病んだコアとか要らないもん』
突然、キッシュさんの声が聞こえてきた。周りを見回すけど姿は遠くに見える。未だに地の鎧と戦っている…まあ、何かをして声が届くのだろうと察しはつくけど説明されても理解は出来ないと思う。
そして、楽にしてやるという意味は理解したくないけ出来てしまった。それが正しいかどうかはともかく、説得や懐柔なんて出来ない事も何となく分かる。でなければ、キッシュさんがそんな事を言うはずが無い…と思う。
コアすら要らないというのだから、その真意全ては分からないけれど手加減して倒すというわけにもいかないと思う。いくら相手が今は弱いとはいえ後で復讐された時に誰かを失ってはいけない。
オレは鞭を構える。正直、鞭でどうこうなる相手じゃないのは分かっている。だからこそオレは早速肩のアーマーパーツを鞭に取り付けた。
◇
『ぐがぁぁぁぁぁぁぁ』
「足なんて飾りですん。偉い人には分からないんですん…え、ここは宇宙じゃないから必要だって。そうかもしれぬ」
地の鎧の足をばっさり切り落としたん。ゴゴゴ以外にも発音出来た方に驚きなんなー。むしろ、痛覚あるんかと…明らかに幻痛だと思うんだ。これがドエムゴンなら喜んでだとも思う。どーでもええんやけど。
さてさて、次のパーツは優しい優しいドラスラ嫁の為に海老反りして双頭のドラゴンモードになれるブーツを作ってやるんや…え、腰痛めるだけだろって。軟体だから大丈夫だろ、たぶんね。
そもそも、嫁の中で攻撃力低い上に殺戮とか不向きなのがリンドウなわけですよ………正反対なイルムに根こそぎ持っていかれたんと違うんですかね。え、リンドウって魔人なん?
て事は、オラはサターンなん。せがたなん……だから、オラはてつを派だというに。誰がもじゃもじゃやねん。
そんな事はどーでもようがす。足パーツを叩いて叩いてドラゴンチックに整形しましょ、そうしましょ。
そんな事しつつも音声でリンドウとコキノの戦いを状況把握してますん。狂った赤いのはいっぱい殺すけ継続中なん……だから、ヤンデレ嫌いなん。揚げるパンも欲しいっちゅうに。
それに、リンドウと若干キャラ被ってるんや。胸抉って再利用したろかとも思わなくはないもののヤンデレはいただけないん。そんなキャラ2人も3人も要らんねん。
さてさてさてさて、ブーツを形作っておまけの材料合わせてレッグフライヤーにしてみたん。揚げたみたんなー…え、フライヤー違いだって。細けぇ事はいいんだよ。早速リンドウに向かって飛ばすん…きちんと狙い定めないと頭入れ替えさせるみたいになるから気をつけねばねば。
あー、ナゲット食べたいん。あんまり好きじゃないけど。
◇
「言っていたじゃないですか。好きな人と…アスルさんと一緒に居たいって。幸せになりたいって…なのに、今どうしてこんな事になってるんですかっ!?」
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れっ!」
あまりにも強過ぎた鞭の一撃にコキノさんの鎧と体の一部は粉々に砕けた……かなり手加減したつもりだったのに、ここまで壊れるとは思っていなかった。
でも、片手片足を失いながらも正気を取り戻しはしないその姿を見ていると本当に救いは無いのかもしれないと思えてくる。
だけど、オレがキッシュさんを失っていたとしたら同じようになっていたのだろう。あの時、手立てが無ければ…だからこそ同情は出来る。出来るけどその為に裏では酷い事を元々していたという事実は消せない。
だから………
「コキノさん……生まれ変わって、もう一度幸せになってください。それが今のオレに出来る唯一の救いです」
オレは対の鞭を構える。キッシュさんに頼み込んでどうにかして直してもらうから、今はただ安らかに………
その刹那、コキノさんを塊が貫いた。それは、コキノさんを粉々に砕いてオレの目の前で止まった。
「え、あ………」
『生まれ変わってまた巡り会うん。神様に恋してないけどこんな別れが来るとは思わなかったとかは無しなん。追加パーツ制御用のコアとしてコキノは生き続けるのだぁ』
「だぁじゃないですっ!」
キッシュさんに頼むとか考えたオレがバカだったと一瞬で理解した。この人、コキノさんを元の姿に戻すとか考えてない。
『だぁじゃなかったらアッポーなん。新コキノの必殺技は間違いなくキックなん…え、特攻の方が強いって。まあ、ブーツは投げ捨てるものなんなー。コアさえあれば何度でも蘇らせるん。コキノは滅びぬって事なん…胸が抉れていれば救いはもっとあったん。顔が好みならギリギリセーフでも良かったん。でも、オイラ寝取りは嫌いなん……』
キッシュさんが酷い……いつもの事だけれど。
『でも、リンドウがどーしても相棒が欲しいというなら止めはしないん。オイラはオートマの免許しかないからアクロ○ッターは無理だから仕方ないん。原付の愛車とか萎えるだけなん…でも、リンドウにとっての相棒という存在には免許も許しも要らんのんやで。寝取りは嫌いだからそれ以外なら友情深まるのは構わないん。そのうち友情合体してグレートリンドラゴンになっても構わんのんやで』
つまり、キッシュさんがカンナさんを作ったようにオレがコキノさんを作り直すのは構わないという解釈でいいんだろうか…
◇
リンドウのイメージカラーが赤ならば、被ってるコキノは要らない……とも思えるが、赤の被りなんてありきたりなんや。タイム○ンジャーでもあったん。まあ、その場合は最初の赤に強化パーツ渡してご臨終なんですが。え、転勤していった赤も居るって…知らんがな。
きっと真面目なドラスラ嫁は色々悩んでると思うん。でも、深い理由なんてあんまり無いんや…ただ、コキノの素体が欲しかったからコアあった胸を抉って爆弾ブーツに取り込ませただけなん。後でコキノボデーはスタッフが美味しくいただくん…誰がスタッフやねん。
正直、悪漢なら容赦はしないオイラだって慈悲はあるのだ…ババアなら別だが、萌えキャラを無闇矢鱈に倒したいとは思わないフェミニストなのだ。むしろ押し倒したい、そんなの当たり前だろうが。
コキノはおバカキャラだが悪いキャラではなかった…と思い込みたい。少なくとも完全ババア化したアバズレ殺戮女王に比べたら良キャラなん。ただし、他の奴が好きとかいただけんが。
だから、心と体を分離させたらええんやないかな。そんな結論で現在に至るん…ぶっちゃけ赤から緑に塗り替えてオイラの「茉莉花」パーツの大元にしてやるん。それが供養なん…残りはあざといの使うん。
それに必要じゃないですか………傷を舐め合う仲間って奴は。近い未来に俺がやろうとする事はほんらのリンドウが進むはずだった結末よりも酷く幸せなものとなるんだし。その時に胸を貸してくれる仲間が居ないと…まあ、ブーツですが。
「ドエムな父親と不倫好きな母親じゃあ何の慰めにもならんからなー……」
『キッシュさん、聞こえてます』
聞こえるように言ったから当然なん。そろそろ嫁たちにも覚悟決めて欲しいものなん。いずれ居なくなる盾代わりの居なくなった後の事を…
「百合るのは不倫に含めないから思う存分やればいいんなー」
『そんな趣味はありませんっ!』
はいダウト、ウソダドンドコドーンなん。ダメソファースライムになって密着して他の嫁たちを癒してるのは知っとるん。それを人はゆるい百合と言うはずなん……え、スライムだからノーカウントだって。むしろスライムだから危ういと思うん。スライムに寝取られるのはよくある展開なん…え、もう俺不要じゃね?




