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いつか再び巡り会う日の為に

キツネの嫁入りから数日の時が流れ、ダニに食われた痕も何とか治った。ノミだったかもしれぬ…あ、こっちはキスマークだった。キスマークで血栓出来て梗塞するから止めろというのに嫁たちの攻防が凄まじくて困ります。ハーレム主人公も楽じゃないね。


まあ、何故か嫁たちが全員ではなく個別に襲ってくるわけだから楽ではありますが。イルムたんが何かしてるんでしょうな…約1名、リーダーシップ気取って他の嫁を洗脳している古女房対策ですかね。あいつ、1対1なら可愛げあるんだけど姑根性が染み付き始めとるから何とかせねばならん。


で、朝に昼に晩に真夜中にと子作りに励んでいますがその間にも屋敷は変わっていってるわけですよ。雪ババアによる凍結によって不要な部屋から順に結界が張られていってるらしい…さすがに風呂を凍らせようとした時は殴って止めたが。



「ご主人、そろそろ誰か妊娠させた?」


「イルム、俺種無しかもしれない」


「ふざけたやり取りをするでない。それよりつららと霞が呼んでおったぞ。さっさと風呂に入って行くのじゃ」



スライム風呂に入ってますがなと思いつつ、早朝に出歯亀イルムと心配性チェリアに叩き起こされた。リンドウがとろける程昨夜はしてやったぜ。ちなみに蓮華が完全なる九尾狐になる事は無かった。まあ、そっちの趣味はありませんが。まあ、初日にしっぽを全て消費させるまで調教したんですけどね。







というわけでひんやりした風呂で温まって……何故冷やしたし。湯は温かかったが浴室が総ヒノキならぬ総氷壁だったんやで。ここは立山黒部アルペンルートかと…しかも、限界突破してる炎の魔法でも溶けない仕様。松岡○造でも連れてこないと無理だわ。


とりあえず、湯が温かかったので良しとしよう…冷たかったら湯じゃないよな、うん。


そんな愚痴は後でぶつけるとして、タヌ雪の待つ部屋へとやってきたわけですよ。まあ、何がしたいのか分かるので入る前に閃光弾投げ入れましたけど。



「な、何をするんですか。いきなり」


「この卑怯者がっ!」



卑怯者結構。うろ○んだーで構いませんよ、俺としては。もっとも、入った途端に蓮華に相応しいかどうか戦って見極めるって展開がありありと感じられる部屋の中に居たのが悪い。ほら、この奥から禍々しい気配が感じられるとかって注意テロップが流れてたんよ。え、氷風呂入らされたから幻視が見えたんだろうって。そうともいうのん。



「卑怯者と罵られても、俺は愛を貫くのみ…さあ、勝負だっ!」



エスカリボルゲインを構えますよ、当然。そろそろこの武器もお払い箱ですからね…真エスカリボルケインが完成していますから。トゲトゲバットはそろそろ卒業せねばならんから窓ガラス壊して回ろうと思うん。支配からの卒業なのねん。



「いや、戦いませんよ。結果は分かりきっていますから」


「え、つららさん。こいつと決着つけるって…」


「あれは嘘ですよ、霞ちゃん。今、最強の水属性魔法が使えるのはキッシュさんですからね。封印の要である我々を封じる役目を託そうとしているために呼び出しました」



話が見えないけど、つまり凍る部屋の中ひんやりした温度も時間も気にせずゆっくりしていってねって事なんですな。俺、シューティング下手なんだ…だから、意味分からないんだってばよ。



「……俺の魔法は俺にしか解けないとか、俺が死んだら解けるとかそんな代物かも分からないのに、それにすがるつもりか?」



今後、女神との戦いは避けられないわけですよ。で、勇者な魔王曰く前回の封印作戦で死者も出てるんですな…で、明らかに弱体化してる魔王な勇者と未熟な嫁たち+最強獣イルムたんが居ても死者は出ると思うん。勿論、嫁たちを見殺しになんて出来ない我輩は旦那である…はい、間違いなく俺死亡確定。それは構わないし刺し違える覚悟はあるさ…一度死んでるし悲しいけどこれ戦争なんよ。


でだ、俺死亡の後で魔法解けて蓮華の帰る場所があれば構わないが隙をついて急襲してくるのが魔族クオリティじゃないかしらと。魔族汚い、汚いよ魔族。


そんな事になれば蓮華は大切な人を全て失うわけですよ。再びロータス・自虐・シトラスの系譜が始まりそうで怖いんなー…え、だったら俺が生きろとか言うな。死にゆく男たちは守りゆく女たちに残せるものなんて子どもくらいしかないん。本当に俺ってその能力あるんか不安になってきてるんやで。



「キッシュさん。我々には生きる道を示したくせに自分は死を受け入れているなんて矛盾していませんか?」


「矛盾結構。俺の安っぽい命で好きな女たちが生き残るならカッコつけて死んでやるさ……それに、俺はただのしがないちょっと強いだけの村人Aだぞ。そんな奴が勇者な嫁たちをいつまでも守れるなんて思ってねぇよ。今でさえ愛想尽かされる寸前なんだし………また目の前から居なくなる前に守って死ねたら心には一生残ってくれるだろ。いや、忘れられたって構わない。俺が満足して死ねるならそれで十分だ」



まあ、嫁たちには言えない言葉だとは理解しているからこそ、こいつらには言える。同じ考えを持っていたからこそ尚更に…所詮、俺は偶然この世界にやってきた1プレイヤーに過ぎない。いや、真実は違うんだろうけどもう戻れないのは確定事項ではあるし、仮に無事女神倒して平和な世界になったとして…平和な世界になるわけがないのも知ってるけど。とにかく、どうにかなるとはしてもそこで御役御免となって世界の復元と共に消滅しないとも限らないわけですよ。この手の話にはよくある話ですね、分かってます。


期待はしてるんですけど甘いのは分かってますよ…期待すればする程裏切られたと知った時の絶望は極まりないっすからね。なら、期待なんて最初からしなければ良いんじゃないかなと思うし、正直先代蓮華が目の前であぼんして思ったわけですよ…モテ期終われば嫁たちも離れていくだろうけど、これ以上の嫁居るかと。


まあ、蓮華の事は吊り橋と刷り込みのダブル効果みたいなので仕方ないし、イルムは病んだら危険だし仕方ない。ほら、イフォルマ女体化計画もどーでもようがすだし。


ネガティヴ思考で参りましょうや。俺の十八番なわけだし………いかんいかん。俺はおちゃらけキッシュくんであってネガティヴが服着てる桐生さんちの柳くんではないのですよ。



「まあ、そんな事はどうでもエンデバー。とりあえず、タヌキ娘には武器やってるからお前にもやる…これ使えばイルムレベルの相手じゃなければ太刀打ち出来るはずだし」



というわけで、エスカリボルゲインを進呈しんす。諦めたらそこで家屋終了なわけだし捨てるよりマシなん……前の世界から立て続けに手持ちのアイテム失ってる気がするん。次は何を失うんですかね。失うのは怖くないけど予備を作るのは面倒臭いんなー。



「構わないんですか?」


「ようがすようがす。俺には真なるエスカリボルケインありんす。光のトゲトゲを使える上に収納が簡単。更に歯が立たない敵は居ないはずの最強の杖でんねん」



真エスカリボルケイン=相手は死ぬはずってスペックで作っとん。レベルを上げて物理で貫くともいう…いや、一応光属性の杖ですけどね。闇の杖とか作ろうかしらん?


というわけで雪ババアにエスカリボルゲインを渡した…老人用に多少作り変えておけば良かったと思うのは俺だけだろうか。ついでに車椅子も作れば良かった気もする…時速300キロくらいは出せる代物が良かったな。まあ、とりあえず打法教えておくとしよう。野球なんてゲームでしかやった事ないけど。













そして、俺は嫁たちと合流する。別れの言葉は要らないと2人は眠りに就いた。エターナルフォースブリザードった…死んではいない。コールドスリープってやつですわ。氷漬けのタヌ雪なんてレーティング上がりすぎて嫁たちには見せられんですわ。



「…やったのじゃな、お主。屋敷の雰囲気が変わってしまったぞ」


「ダンジョン化した」



魔族な親子はダンジョンマスターの素質でもあるんですかね。俺はダンジョンより牧場運営したいんですけど…というか、ダンジョン運営しても楽しそうじゃないんですよね。俺、冒険者の殺戮とかやる気ないんで。



「キッシュ殿、2人は……」


「安心しろ。次に会える時まで眠りに就いただけで叩き起こそうと思えばすぐ起こせる……さっさと女神ぶっ倒して戻って来れば良いだけの話だ」



涙目になっていた蓮華にそう説明してやる。まあ、今までのタヌキ一族と雪ババアの別れ方が最悪だったのだから後ろめたいのもあるんだろう…蓮華には一応伝えてくれと言葉を預かっているが伝える気は無い。だって、そういうのって死亡フラグだからな…実際、目の前でそれかまされた立場としては言いたくないんす。万が一にもそれで何かあったら傷付くのは言われた側なんだぞと…



「大丈夫ですよ。つららさんも霞さんも待っていてくれます。オレだって両親が待っていますし、みんなが一緒なら女神だって倒せます」


「みんながっていうより、あたしとご主人が居ればって感じだけどね」



リンドウとイルムが励ましとるん…まあ、待ってくれてる連中が居たら心強くあるわな。だが、忘れてならない…嫁の実家との付き合いは大変なん。だからその手のゲームでは嫁姑問題とか起こらないように主人公やヒロインは一人暮らしとか天涯孤独扱いなんよ…俺も実家に帰りたい。ではなく、イルムにも帰る場所作ってやらねぇと死ぬに死ねないって事じゃないのん?


まあ、リンドウのところあるし何とかなるですかね。しかし、俺が女神と刺し違えた後に戦火の火種残ってるというのも微妙だな。まあ、それを言い出せば女神だけじゃなくてこの世界の全てを破壊しなきゃいけないけど、そんなデデーンな力までは持ってないん。せいぜい一欠くらいなん。え、そっちの方がある意味怖いって…一理ある。



「さて。では次に行くとしますか…さっさと全クリして帰ってくれば済む話だからな」


「少し待ってもらおうか。魔族の宿敵である妖狐の娘と魔族を裏切った偽の王とその一行よ」



何か出た。黒く光るボディーに真っ赤な目…残念なのはバッタじゃないよ、イナゴだよって顔。いや、違いがよく分からないんですけどね。なんか、イナゴは甘いらしいですけど…さすがに昆虫は食いたくないです。

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