表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/371

主役不在の快進撃の裏側

見事に風邪をひいたキツネ娘と、ずぶ濡れお化けの俺…誰がバカやねん。俺も体調不良ですわ。野菜不足な気がするん…ビタミンが足りない。いや、ただの解毒してない状態ですからとリンドウに言われて気付いたが、野菜不足な気がするのは事実。イルムに白菜鍋の材料を調達するように頼んだ…必ず近い将来に手を出す事を対価にしてだ。等価交換の限度超えとるわ。


まあ、指導していたとはいえ日はまだまだ高い…朝一で穴塞いで帰ってきただけだからまだ昼過ぎなん。お腹空いた気もする…タヌキ鍋でも良かったん。え、ボスに嫌悪してるのにタヌキ鍋はええんかと…なんか、魔物食ってたし今更じゃないかと思い始めた今日この頃。倫理観が破綻したともいうが、前々からだった気もする。


とりあえず、気絶して寝かされた蓮華の看病を監視下でしております。別に気絶した娘を食べはしないよ。



「少しは信用して看病くらい任せてくれよん」


「ダメ…パパはやり過ぎる。看病って言って口移しで強烈な回復薬飲ませそう」


「むっ…」



口移しはともかく、強烈な回復薬飲ませるのは考えてた。E○が取ってないなら他を飲ませれば良いじゃないという発想だ。だが、時間経過と共に回復とか体に馴染んで消えたというなら仕方ない。俺としてはしっぽのある天使のままがええんやで。12人も嫁は要らんけど。


まあ、普通に気絶して寝ているだけだからやる事は無い。着替えさせたり、体拭いたりはアイリスとリンドウがさっさとやった…俺は部屋を追い出されて風呂に入ってた間の出来事だ。いや、構わないんすけどね…


ボス肉を食べるのに抵抗感じなくなってきてはいるものの、未だ蓮華に手を出すって気になりきれてない。割り切れてないし、このままでは破綻する未来が変えられないって現状でそれを伝えてもいない。そもそも、蓮華が理解した時点でボス狩り止める可能性もあるから言い出せないってのもある。蛇はともかく鯨食いたいです。



「おそらく、最後の戦いは過酷なものになる。相手は鯨だからな…犬のモンスターが沢山出てくる気がするんだ」


「そ、そうなんですか…」



リンドウは素直に俺の言葉を聞いている。え、シーシェ○ードがこの世界に居るのかは分からないから当然適当言ってるだけですよ。本当に出るかもしれんけどね…出たら間違いなく駆逐ですわ。


とりあえず、鯨とかの類いは知能高いらしいからあまり抵抗無い。話せるくらいなら大して変わらないだろうと…毒されてきてるのは分かる。だが、割り切らなければ生き残れない。


そんなのより、問題はタヌキと雪ババアの事だ…さすがに食うつもりは無いが倒さないと前へ進めない。とはいえ、乗り気しないのは当然だ。戦って勝つまでなら問題無い。だが、その先を強いられている…味方の犠牲とかって展開は大嫌いだとも。サブヒロインすら攻略したいってのは無きにしも非ずだが、それでどうにかなるわけでも無し。


案は無い事もない…1つはタヌキ娘に渡した刀、豆狸丸まめだぬきまるだ。命名したのは俺じゃないからな、絶対に。でだ、それを妖刀にするわけだ…つまりタヌキ娘の魂注入して精神的に3倍の攻撃力って話だ。あくまで可能性の話だが。


後は式神って奴だが、そちらは蓮華が使えるか不明だし成功する保証も無い。つまり、完全なる運と奇跡頼りの投げやりな案だ。後は、「力となって傍に居るよ」なんて慰めしか思い浮かばない…そんなので納得するような女なら蓮華は置いていく。1人でも逞しく生きれますがな。


正直なところ、もう1つ愚案はある。蓮華が笑ってくれるなら悪にでもなる…但し、その笑いは病んでる感満載仕様。そして、間違いなく俺は嫁たちにも嫌われる。場合によってはここで旅が終わる方向の案だ。それでも構わないと思うのは失うものが大き過ぎると知っているからだ。


結局のところ、蓮華せんだいに託されたと言われてもぽっと出の他人の俺より共に暮らしてきたあいつらとの方が時間も絆も深く長いわけだからな。


というか、俺は最適解も分かっているつもりだ。最強の力を持ったとしても孤独を感じていては意味が無い。不完全でも構わないと思う…むしろ、完全ではないから人は支え合えるのだと。なんて、らしくもない事を考えたな柄じゃない。とはいえ、最強のペット嫁が居るから何とも…


ほら、ペット嫁が帰ってきましたよ。手には巨大な蛇を持って…お前、それ次行く池沼のボスだろ間違いなく。しっぽにも頭がある蛇なんて奇妙なものだから確定だわ。まあ、等価交換としては適正な価格なんでしょうけど……いやいや、俺の貞操中ボス級とか軽すぎるわ。



「ご主人、穴も塞いで来たし、豪雨で浄化済みだったよっ!」



確信犯だ、こいつ…え、意味がちょっと違うって。俺にはどちらも同じだし…とりあえず、今夜は蛇鍋だ。ヘビーな夕食になるぜ…寒いから熱々でオネシャス。








遡る事小一時間前…



「幼き者よ、お前の不運を嘆きながら死ぬが良い」


「ふぅーん」



あたしは目の前の白いアホヅラの蛇を一瞬にして無力化する。2つの頭に拳を叩きつけて脳を破壊した…と思う。


ご主人が頼んだ白菜はすぐに見つかった。屋敷の氷室に保存してあったのを知っていたからだ。でも、それでは等価交換が成り立たない…だったら、蓮華のしっぽを回復させるものを持ち帰ったらご主人が喜ぶと思い立って池沼にやってきた。さっきの豪雨の影響で何処までが池沼か分からないくらい水量が増えていたので明日から攻略するのも難しいとも思えた。


あたしならば他の魔物から得た技で水上でも移動が出来るし、ご主人の嫁になるならば神魂の欠片が必要。この世界のは蓮華のだろうから早く攻略して他の世界に渡らないと手に入る機会は無い。早くクリアしたいのが本音。


あたしとしても、他の面々と対等にしてもらいたいのが本音だし、蓮華の境遇には考えさせられるものがある。あたしとしても、一度は親のようなご主人と離れ離れになった身だ…あの時の絶望は計り知れたものじゃない。ご主人に甘えたいって気持ちも分かる。そして、あのタヌキがそれに反発している気持ちも分かりたくないけど分かってしまう。だから、まだ齧ってない。少しずつではあるけれど魔物を食べる度に成長しているけど、タヌキは食べるとお腹を壊しそうだしやめておこうと思う。ご主人は食っていいって言ってるけど。


おそらく、あたしがご主人に手を出してもらえるには神魂の欠片は不可欠。それと悪者(ご主人の敵)に部類する魔物の肉だけ…タヌキはそういう点では敵と言い切れないと思える。まあ、ご主人に不要な胸だけ抉って献上という手もあるし…


とりあえず、水が落ちてる穴を持ってきた投網で塞いで帰ろうと思う。ご主人にお土産の宝箱は諦めよう。








俺、来世はオスのライオンに生まれ変わって生き残ってやる…ではなく、ヒモな状態にちょっと憂鬱なんです。白菜鍋は沢山あるし、蛇の唐揚げとかもある…また肉かよ。やっぱり来世は肉食獣に生まれ変わりたい。



「本日も豪勢であるの」


「野菜を食え、野菜を。そんなんじゃお通じ良くならないぞ」


「食事中に下品なのじゃっ!」



品も何も栄養偏るのは体に良くないし、お腹の調子は良いのが一番だろ…いや、プレイ云々関係無いからな。どうして和風の世界なのに肉中心の食生活しないといけないんだっていう気持ちだけですよ。


でも、鯨は魚…って言い張れば良いわけないじゃない。本当に嫁たちが肉食で困る……その割に夜の方はそんな素振り無いんですがね。


さて、肉食嫁の横で一緒に蛇を食べている蓮華のしっぽが回復している。いや、起きた時には7本回復してましたがね…出し入れ自由になったらしいが、「ただの巫女には興味ありません」って言ったら出しっ放しにした。それで良いのか当主様。


さて、イルムの快進撃によって鯨を残すところになったわけなん…つまり、それが終わればタヌキ娘と不愉快なババアとの底辺決戦が待っとるん。それを伝える機会は後僅か………仕方ない。二番煎じと参りますか。


その夜、俺はこっそり遠洋漁業に出掛ける事にした。魚食いたかったし。








「居らぬ、居らぬのじゃ…」



深夜、屋敷の中を探し回ったがキッシュの奴は何処にも居らんかった。今後の事を話し合うつもりで部屋を訪ねたのじゃが、そこに居ったのは同じ腹積りであったであろう面々じゃ。具体的には全員といった方が良いやもしれぬ。


おそらく、キッシュは何かやらかそうとしておる。全ての事情を無駄に知っておるからこそ、あやつは何かをしようと行動するじゃろう。それがより悪い方向に行くのも毎度の事じゃ…が、あやつが居なければ誰が慰めるのじゃ。



「…キッシュ殿が居ないキッシュ殿が居ないキッシュ殿が居ないキッシュ殿が居ない…」


「ご主人ご主人ご主人ご主人…」



特に蓮華とイルムは重症なのじゃ…わらわたちも大して変わりは無いのではあるが。本当に迷惑な奴なのじゃ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ