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学園生活と仲間たち2

道具の授業が終わり、実技の前に昼食タイムだ。とはいえ、あんな空気にしておけは仲良しこよしで一緒に食事という展開になるはずもない。


ついでにバカ担任へ釘を刺し込むためにロリ魔王以下を呼び集めていた。勿論、学園長室でだ。ついでに昼食を準備しておけとも。



「何故じゃ、何故なのじゃ。わらわは学園長なのに生徒の方が豪華な食事なのじゃ…」



俺が食べているのは学園の外にある高級焼肉店の特製弁当1600Gだ。一方でロリ魔王は学食最安値の素うどん160G。四天王も同じだ。



「負けてますからね、私たち…これで逆なら殺してでも奪いとられますよ」


「理不尽じゃ。せめてわらわも同じのが良い」



癇癪ロリ魔王をたしなめる淫乱サキュバス。どうでも良いが黙って食え。他の四天王は黙って食って…はいるが、中にわんこそばみたいに食ってるの居たわ。


轟雷のダンデラというライオンみたいなガチムチのおっさん改め実技の物理戦闘術担当教師が…ついでに、鼻までマフラーで隠してる実技の魔法戦闘術担当教師の水流のウィローの顔も初めて見たし。後、変態はポーズ決めながら食うな。マジでこんな魔王軍に誰がした…



「とりあえず、食いながら聞け。あまり俺の事に関して口外するな…余計なところで矛盾が生じて疑われでもしたら根本的に問題だ」



チェリアを通し四天王にも俺の事は知らせてあるが、学園が探し出した勇者と言った以上は聞いてくる輩は居る。本当に知らないならそれで済むが、知っているからこそ話したくなるのが人間だ。いや、こいつら人間ではないけれど…


とにかく、偽者の勇者に関しては魔王軍が送り込んだ刺客ではないと本人たちが言っているのだから互いに疑心暗鬼な状況になり始めたであろう今、その矛先が俺にだけ集中して偽者の有利な状況になっては困るのはこいつらだ。


第一、賢者として送り込まれた時は流れに身を任せて誰が得をしたかといえば、その偽者だけなわけだ。フィルムットに偽者の汚名を着せ、実際には倒せていなかったが魔王を倒した勇者の1人として本物になった。その後の事は知らないが、魔王に唆されたのでなければ偽者の狙いは本物になる事だ。


実際、裏ストーリーのリザルトでそう言い残して死んだ奴、似た言葉を残して死んだ奴は複数居る。まあ、魔王を倒せない勇者が勇者であるのかという自問自答とかあるといえばそれまでだが…


それに、俺はこう思うわけだ。



「第一、お前たちが敵である女神の…お前たちにとっての魔王の言葉を信じていいのか?」


「どういう意味じゃ?」


「簡単な事だ。お前は本当に勇者8人がかりでないと倒せないのかって事だよ…きっと、俺なら復活出来ない程粉微塵に出来ると思うぞ?」


「や、やめるのじゃやめるのじゃ…」



ガクガクブルブル震え出したロリ魔王…しやしないから安心しろっての。


だが、8人である必要があるのかと本気で考えてる。特にこれといった特殊な武器や魔法があったわけでもなければ勇者の証なんてものに証明以上の効力が無いのは解析済みらしい。だからこそ勇者の力というもの自体が疑わしくあり…



「そもそも、証なんてものを体に刻めていればお手軽に勇者扱いだ。偽者だってそれだけでここに来ている…その偽者が本当に1人とは限らないだろう?」


「う、うむ…そう言われればそうじゃ」


「だからこそ、仲良しこよしの状況はよろしく無い。表ストーリーでは賢者の仕事として丸投げしたからこそ疑いの心を捨てたわけだ。その結果がフィルムット殺害になり、魔王を力でねじ伏せた歪な幕引きになった」


「う、うむ…」


「仮に、そのフィルムットが…いや、フィルムットだけが魔王を倒す力を持っていたとしたらどうだ?」



閃光の勇者であるフィルムットは闇属性を用いる魔王軍にとっては天敵だ。このゲームの属性強弱を考えれば尚更…


炎は風に、風は地に、地は雷に、雷は水に、水は炎にそれぞれ打ち勝つのが魔法の特性だ。また、光と闇は互いに勝ち合う。命は回復専門であり、無は他の属性の強弱に関係せずダメージを与えられるが最強属性という程強くない。


また、武器も近距離、中距離、遠距離の強弱はあるがこちらは力量次第でどうとでもなる。


だからこそ、あの場面でフィルムットを殺害したのは悪手も悪手。仲良しこよしのままどうにか出来たはずでもある。



「第一、魔王を討伐だとかいうが魔王軍が侵攻とか血を血で洗う戦争やら虐殺をしてるのか。してないだろ、絶対」


「うむ。そんな事より学園経営と子どもたちが学び幸せになる姿を見る方が楽しいのじゃ」



ほら見た事か。このロリ魔王は多少悪さはするかもしれないが人畜無害だ。魔王を倒すための勇者であるのに連中を生徒として扱い、フィルムット殺害の件を問おうとしたら殺されかけた間抜けな魔王だ。


だからこそ、俺はますます勇者が勇者だと思えなくなってきた。例えば国の領土拡大なんかを目的に騒ぎを起こすためとかこの学園を陥れるための間者や捨て駒ではないかと…勿論、中には本物が居るかもしれないが、目の前のロリ魔王が最初に言った表ストーリーのその後を考えれば無い話ではない。



「覚悟を決めろ、ロリ魔王。生徒だから勇者だとしても無力化するに留めたい気持ちは分からなくはないが、勇者を殺さないと魔王軍がやらなかった血で血を洗う戦争や虐殺は必ず起こる。お前たちの屍を踏み越えたその先でな」


「…そうかもしれぬ。じゃが、わらわたちは…」



急にそんな事を言って決められないのは理解してはいる。だが、魔王は魔王らしくしてもらわないと困る。好感は持てるがな…



「俺は勇者たちを殺す。だが、命を奪うだけが全てじゃないとだけ言っておこう。社会的に殺す事も出来るし死んだ事にも出来る…中には本当に死んでもらわないといけないのも居るだろうが、些細な犠牲だ」


「…大魔王」



おい、マフラー野郎。こっち見て失礼な事を言うな。他の四天王も期待の眼差しでこっち見んな。









そんなキッシュたちのやりとりを扉の向こう側で伺っている1人の勇者が居た。


学園長が魔王であり、キッシュが偽の勇者であると会話から知った勇者は悩んだ。


この状況で学園長が魔王だと、キッシュが偽の勇者であると騒ぎ立てても消されるだけだと思い込んでいた。


だから、この勇者は気付けなかった。既に己がキッシュの術中にはまっている事を…











さて、無事に釣れたようだし後は引き揚げるだけだとして…



「……そういえば、この後ウザキャラと授業中に戦う事になるからダンデラ先生には迷惑掛けると思うが、授業では殺しはしないので安心してくれ」


「…心得た」



そういえばと、思い出す。ゲーム中に食べ物を使うと体力やら魔力回復は当たり前として一時的な付与効果もあるんだった。この弁当の場合は全回復と…



「…チェリア、食い掛けで良ければ要るか?」


「よ、良いのか?」



先程までの悩み顔が一転して明るい笑顔になった。勿論、やっぱりやめたとかはしない。むしろ、この弁当はパラメータの一時倍増の付与があるからウザキャラをイベント戦闘とはいえミンチより酷い状態に出来そうだから完食したらヤバかった。ステータス確認したら、1.5倍にまで上昇してたわけだが…作った武器が耐えられるかも心配だ。


ロリ魔王は嬉しそうに食い掛け弁当を受け取り食べ始めた。そこには魔王どころか学園長としての威厳も無いようにしか見えない。というか、間接キスとか気にしないのな、お前。

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