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そして始まる、別れの始まり

タヌキ娘に辛味噌を塗っておくのをイルムに頼んで、俺たちは今後の事を話し合う事にした。



「少なくとも、このまま放置すするつもりは無いのじゃな?」


「はい。母の…ご先祖様の力を放置しては行けません。それに、今のわっちでは皆さんの足手まといでしかありません。キッシュ殿の新しい嫁として、強くなりたいんです」



もう嫁として扱って欲しいごかインが現れた。もうちょっとお母さん失ってしんみりしといてや、マジで…嫁筆頭のチェリアも何を納得しようとしているのか。アイリスとリンドウも頷くんじゃありません。



「でも、嫁になりたいなら別の強さも必要。3人がかりでもパパには勝てない」


「そうですよね…レベル差もですけど色々鍛えないとキッシュさんには勝てないというかやりたい放題されますよ」



頷くだけじゃ飽き足らず、そんな助言的暴言をプレゼントするんじゃありません。というか、受け入れる気満々じゃないか…イルムもそうみたいだったし、俺に逃げ道無いじゃん。少しだけもう3人と1匹だけで構わないんじゃないかなと少しだけ思い始めてた俺の邪な純情返せ。


まあ、嫁たちの気持ちも分からなくはない。俺に救われたとか思い込んでる節のある嫁たちだからなぁ…そこ、普段の引き下げを目論んでいるとか言わない。


確かにタヌキ娘と雪ババアを始めとした多くのモノノケが傍には居たのだろうが、当主という重責やら何やら関係ないねってのは俺たちが初めてみたいなものだと思うし、母親の信頼が一応ある俺に対して一定の信用を持つのは理解出来る。でも、まだやってないんだよな…口説く的な事。いや、慰めはしたがそれで嫁になりたいとか…蓮華、重い子?



「まあ、どういう強さかはさておき…俺たちに付いてくつもりなのは構わないんだが、それは勇者の子孫だからとかふざけた理由じゃないよな?」


「新しい嫁としてです。確かにチェリア殿と共に旅をした初代の事、女神の事、それに他の勇者の事や世界の事は気になります。力があるのなら少しでも役に立てたい…だけど、一番の理由は母の……母様なら、キッシュ殿への恩返しをするんじゃないかって思ったからです。当代の橘蓮華としての恩返しもあります。そして、復活した女神を倒す事はご先祖様の悲願です。それに…あの薙刀を受け継ぐ者の宿命だと思うのです」



まあ、言いたい事は分からなくもない…先代蓮華なら仲間になってもと思っていた面もあるし、実力は不足しているだろうが娘である彼女なら仲間になる資格だけなら十分ある。


だが、巻き込んで良いものかとも思うわけだ…確かに託されたわけだが、無理にどうこうとか弱みを利用するつもりは無い。というか、俺の方がナイーブになってるだけなのは分かってる。


目の前で知っているキャラが死んだ…勿論、目の前に居る少女に対しての憎悪とかは無い。だからこそ、複雑なのだ…予定調和なんて言うつもりは無いが、彼女を続いていく世界の歯車にしたくないのも事実。かといって、ろくな解決法が見出だせない現時点で滅びゆくこの世界を放置してというのも後味が悪い。きっちりとした解決法があれば楽にいけるのだが、そんな都合の良いアイテム○号とか心当たりが無い。


というか、そもそもそんな穴とかいつからあったんだと問いたい。この世界は8つに分かれた世界の一部だったはずだ…何処ぞのゲームみたいに穴の中に別の大陸あって後々昨夜はお楽しみ的な子孫を生み出したんやろか。それなら世界の半分貰って酒池肉林やわ…酒飲めんけど。


むしろ、俺は勇者って柄じゃない。むしろ魔王サイドだ…実際、魔王の婿なわけだし。キッシュ・ブロッサムとか名乗るつもり無いけどよ。だいたい、俺の体って何か秘めたパワーとかあるんですかねと思うわけですよ。こう、霊気の銃とかぶっ放したり魔王化したり……いや、探偵とかやりませんからね。後々やらなきゃだけど犯人は知ってますし。


そういえば、あの漫画にも穴あったなと…その後始まったのは作者が休みまくって穴開けてたけど。確か、穴の中に網あってそれで通れないとかって仕様だったなとうろ覚えな知識を引っ張り出す…で、手元には城の材料たるヒヒイロカネが沢山ある。巨大な金網しとけば大丈夫だ、問題無いって気がしてきた。


まあ、ダメならダメな時だ。俺とイルムのレベルはともかく嫁たちとキツネ娘のレベリングしとかないと後が大変だ。でも夜のレベルは上がって欲しくないかもしれない。



「とりあえず、イルムをサポーターにして4人でパワーレベリングしてくれば良いんじゃないかな」


「突拍子も無い事を言うの、お主は…」


「でも、そうでもしないと強くならないだろ。多々買わなければ生き残れないっていうじゃないか」


「うむ、それはそうであるが…」



ちなみに俺は課金しない派だ。所詮有象無象がやってるデータ上のゲームなんだから、追加ストーリーでもなければやる気起こらない。つまり、俺はその間に刀を作るんだ…クボタイトで。



「パパが一緒じゃないと不安」


「そうですよ。キッシュさんが居ないと張り合いが…」



嫁に頼られるのは悪くないが、金網も作らないとだし忙しいんだよな。無論、心配でないとは言わないがイルムは優秀だ…優秀過ぎてロリコンでも良いやと思い始めてる自分が居る。俺、二次元ロリ好きだからなぁ…いや、ここはリアルだ落ち着け俺。



「俺が居ないだけで弱くなるわけでもあるまい。か弱さとレベルは別問題だ…いざという時に自分の命を守れないのは良くないだろ。いずれ守るものが増えた時に俺だけで守らせるつもりか?」



頼られるのは悪くない…が、将来の事を考えたら嫁たちには強くいて欲しい。俺がどうなるかも曖昧なこの世界で嫁たちと生まれてくるやもしれん我が子たちを守れるのは云々…勿論、その前にやられないよう現時点での最強防具を渡すとも。かといって、ヒヒイロカネのより強そうな武器を持ってる嫁たちですよ。あ、弓直さないと…







「まったく、あやつは…」



アイリスの弓を直すからとわらわたちの話も聞かずに出て行きおった。この世界に来てから落ち込んでおるのは仕方ないのじゃが、少しは甘えて欲しいものじゃ…



「あの…すみませんでした。わっちが余計な事を言ったから…」


「レンは悪くない。パパがひねくれてるだけ」


「キッシュさんはああいう人ですよ…でも、悪い人じゃないんです。悪い人であろうとする事はありますけど」



まあ、キッシュの気持ちも分からなくはないがの…わらわがレベルを代償に戻した本の世界でも経過した時間を再びというわけにはいかぬ。ロータスのした事を全て否定出来ぬし、歪みがこの世界に多いのはわらわたちの責任じゃ。


その結果、わらわは娘と出会えたが、目の前の蓮華は母を失ったのじゃ。ましてや、キッシュはかつての仲間じゃ…わらわにも子孫だからと思う事はある。じゃが、それを責めるのは間違っておるし、少し違えばわらわも似たようなものじゃ。



「何だかんだ言って、あやつが一番堪えておるのじゃよ…蓮華を責めるのではないが、それなりにお主の母を大切に思っておったのじゃろう。わらわにもあった…大切な仲間を守れなかった事、教え子を救えなかった事がな」


「……でも、わっちは…わっちのした事は…」


「知らぬ罪はあるじゃろう。じゃが、それを責めるのは筋違いなのじゃ…キッシュはそうせなんだ。愚かにもそれを自らの所為にさせようとまでした。そういう男なのじゃ。そして、お主の母もおそらく…」



あの時、わらわは憤っておった。仲間を裏切ったという偽りに…じゃが、それはあの事があったからじゃ。それを言えぬわらわも十分裏切り者じゃな。



「…ともかく、わらわたちは強くならねばならぬ。キッシュも言っておったからの…キッシュ1人に守らせたらとんでもない事をするはずじゃ」



それこそ、命を落としかねないのじゃ…おそらく、あやつは喜んで命を差し出すのじゃ。それがどんな理由であれ…わらわたちのリーダーとしても、夫としても。


あのような思いは、もう2度としたくないのじゃ。








「上手に出来ました〜」



とりあえず、アイリスの弓をヒヒイロカネとハゲガエルの弓を使ってリデコしてみた…強くなり過ぎワラエナイ。魔法の矢が使えるようにもなったん…え、三角形とか探さないといけないんやろか?


まあ、それでも構わない気もしてきた。だって、オカリナって一度やってみたかったし。後、草刈りとか…どうでもいいか。それより、とりあえずヒヒイロカネを針金状にして金網を作ってます。地味に疲れるけど、意味分からないほどよく出来る…これで焼き肉したら美味そうに焼けましたって出来そうなん。いや、モン○ンやった事無いけどさ。だって、キャラがリアルすぎるんよ…萌えないゲームはやらない主義なんでね。



「加工しているのはこちらなんですが」



心読むな雪ババア。だいたい、母蓮華だけじゃなくてずっと知っててやらせてたってのを知ってるんだぞ…ほら、俺の何とかを踏み越えてけってのと同じだよ。クリアした事無いけどさ。つまり、こいつが黒幕…ついでに言えば、不老不死な時点で神魂の欠片持ってるの明白。でなければ、母蓮華生きとるはずやし…



「どうせ、初代のしっぽの10本目の化身とかなんだろ…そして、ヅラなんだろ?」


「ヅラじゃありませんし、10本目の化身はタヌキ一族ですよ。11本目の化身です…ちなみに水の薙刀は12本目が化身した武器です」



酷いネタバレを聞いた。ヤスより酷いのはあるが、それより酷い。真のラスボスが目の前に居るよ。後、タヌキ一族って言うな。タヌキ一族がヅラだったか…砂操るんやろか?



「……この世界の住人はもののけを除けばもう居ません。そして、最早この世界に意味は無い。最初から、この世界は不完全なんです…初代はそれを理解してこのような世界を、そして封印を構築したんです。女神の怨みを全て受け入れるために」



なんか語りだしちゃったよ、この黒幕。蓮華を解き放て、あの子はケモミミだぞって言ったら黙れって言われそうなん。食い千切られそうなん。


だいたい、女神の怨みを封印したなら解き放てば良いやん。復活しとるわけだし…むしろ、その怨みで穴開けるとか何処の夢世界なん。転職するなら遊び人がええのん。



「しかし、それも終わりです。歪んだ継承によって怨みを封印し続けるのは不可能でしょう…いずれ、この世界が消えバランスを崩した他の世界の封印も壊れる。そして封印が解けると大地は元に戻るでしょう…」



戻るんならええやん。そもそも、魔王よめちゃんから封印した理由には戦争回避とかもあったって聞いたん。まあ、武力差とかあるから大変なのは分かるけどさ。



「そして、女神がなぜ産まれたのか…あなたには話しておかなければならないのです」


「あー…なんとなく理解してるからそれは構わねぇっす」



あれだろ、迷惑神みたいなんだろ。だから、俺なんだろ…そんなのうちの魔王よめちゃん見てたら分かるさ。言えない理由だって、分かってるさ…でも、俺は三大主人公じゃないけどハーレムルート目指したんだし、それで云々言われたくない。だって、俺が望んだ願いはもう永遠に叶わないんだし…


坊やだった桐生柳は何故か死んだん。誰がチェリーボーイやねん。別に操立ててたわけじゃないんだからね…世界の笑い者になって相手されなかっただけなんじゃい。三次元怖い、生まれ変わって良かったん。



「そんな事より、それが茨の道どころか修羅の道って分かってるのか…育てのババアと姉妹同然に育ったバカダヌキを蓮華は殺さないといけないってことだぞ?」


「いつか、そんな日が来る事を初代は望んでいたんですよ…真なる仲間、真なる戦いの時に備えて。そのいつかが当代にやってきた…それだけの話です」



残酷な事を雪ババアは軽々と告げる。回避方法は思い浮かばん…というか、それが初代様の望みならどれだけ歪んどるんやねん。そもそも、勇者連中がまともじゃないのは知っていた…魔王なのに勇者だったり、ハゲだったり、ドエムだったり。ここにきて、自己犠牲どころか子孫の親殺し連鎖だけでは飽き足らず身内惨殺ですよ…何処かの反逆以上の残念さですがな。


それを年端もいかない女の子に強いられているんだっ…なんて展開、俺は嫌だね。はよ鎧とか外部装甲とか作りたい。でも、焼け野原は生き残るん…あれ、これって俺の死亡フラグやん。



「蓮華のためにお前を殺す」


「それも殺せないフラグですね」



メタい、こいつヤダ。まあ、そうしなくて良い方法を考えますかね…嫁にするのは無しの方向で。

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