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学園生活と仲間たち1

とんでもない事を言いやがったお陰で囲まれた。野郎だけに…そんなイベント要らん。



「卒業してるなら、魔王を捜し回ってたんだろ。見つかったのか?」


「いや。捜し回っていたのは仲間となる勇者たちをだ…仮に魔王を見つけたとしても1人で殺すのは不可能だからな。逆に俺を含めた勇者の誰かが倒れた時点で魔王を倒すのは不可能になる。そんな無謀な事はしないさ」


「ですが、闇属性のあなたが1人で旅をするだけでも十分危険なのでは?」


「おいおい。仮にもここを一度卒業してるんだからそんな事は無いだろう。進級試験の方がよっぽど危険だぞ。無茶する連中に引っ張られて行く方が危ない。1人だからこそ無茶する必要ないからな」



ガチムチと草食系細マッチョからの責めを思考力を働かす事で回避する…とか書いたら貞操の危機と思われそうでなんか嫌だが金を稼いである程度の装備を揃えるまではボロ出したくない。本当に余計な事を言ってくれたものだ。


今のところ、支給された学園の制服しか装備がないわけだ。実技の授業になれば一番弱いながらも武器やら魔法を使うためのアクセサリーが一式手に入れる事が出来るようにロリ魔王が手配してくれている。賄賂ではなく誠意だと言っていたが、まあ一番弱いのでも無いよりはマシだが低い誠意な事で。



「おい、食い物野郎。俺と勝負しろっ!」


「………死にたいらしいな、貴様」



響きが良いからと適当にこの名前にした後に食い物と知ったのはいい思い出だ。だが、それでも変な名前のプレイヤーは他にも居たし指摘される事も無かった。それを人を厨二だとか言って後々リア充になる奴に言われたくはない。スリーアウトチェンジだ、この野郎。



「やめろ、ヴァン。仲間で争うな」


「フィルムットは黙ってろ。こいつ闇属性なんだぞ。偽者に決まってるじゃないか」


「偽者かどうかは些細な事だ。少なくとも目立つところに勇者の証はあるし、先生の話が本当なら卒業しているのだから僕たちより遥かに強いはずだ。返り討ちにされて情けない姿を晒すのはお前だぞ?」


「やってみなくちゃ分かんねぇだろっ!」



主人公ポジと、リーダーポジの不毛なやり取り…やらなくても分かれよ、このタコ。本当にウザいキャラクターだ。分かっていたイベントとはいえ、本当に腹が立つ。一応、この後の実技で戦うが勝敗無関係のイベントなのでこの段階ではゲームならば退場させられない。が、ヴァンをとことん嫌う連中はどんな装備を用いればこのウザキャラを精神的にも追い詰められるか妄想するスレを立てるほどこのイベント戦闘に執着心を持っていた。


後、あのロリ魔王が偽の勇者の証を額に書き込んだ事は絶対許さないと改めて心に誓った。時間が経てば消せるらしいが絶対許さない。それはさておく。



「そうだな。やってみなくては分からない。では、こうしよう…俺は次の道具作成の授業で作ったものを武器として戦う。ハンデと魔法は無しのバトルだ。勿論、お前は最高の装備で挑んで構わない」


「言ったな。手加減なんてしてやらないからなっ!」


「勿論、手加減なんて不要だ」



俺はわざと黒い笑みを浮かべた。妄想するスレの結論を試してみたかったからだ。『目の前で作ったふざけた武器でズタボロにしたらいいんじゃね?』という最強武器でとか毒付与とかではなく、ふざけた武器で一方的に殴るだけの簡単な汚仕事でな。どのみちリリアンが回復するから身体的ダメージは皆無なわけだし。






で、ヴィオレ先生の常識的な一般教科の授業が終わって、入れ替わりで道具全般の教科担当である教師兼四天王の1人絶風のアチェロ先生が入ってきた。ナルシストインキュバスともいう。



「さあ、可愛い教え子たち。今回はこの太くて逞しくいきり勃つ棒を使ってアイテムを使ってもらうよ」



訂正。変態ナルシストインキュバスだった。


その変態ナルシストインキュバスが持ってきたのはただの木の棒と細々した材料だ。削って弓に加工するも良し、先端に研いだ石を着けて槍にするも良し、ただチャンバラで振り回すも良し。熟練度とか関係ないので素材との組み合わせで設定として登録してあるのなら何でも作れる…のはゲームの話。


ここはあくまでも現実という受け入れたくもないが今のところ疑えるものが無いので、アレが作れるかもしれないと思い立つ。失敗作になってもやる事は同じなので構わない。



「何してんの?」


「闇雲に作っても出来ないにゃよ?」



今度はガキの群れが現れた。面倒な…というか、闇雲に作って折れた槍らしきものを持ってきたお前らには言われたくない。



「対ウザキャラ用血戦兵器の作成中だ」



そう煽るとこっちを睨んでくるウザキャラはさておき、目の前のガキキャラを追い払いたい。特にその2は要らない。猫耳は嫌いではないが今更、命属性のスキルを上げる意味も無いのだから付き纏われても困る。



「あー、ヴァンの奴が喧嘩売ったんだっけ」


「またかにゃ…」



寝ていたくせにそういう情報はしっかり耳に入っているのがウザい。どういう経緯かを知っているから更に微妙だ…まあ、だからこそ嫌われるんだが。



「そんな話をしている暇があるならムルドはリリアンに、ルーチェはエグニスに作り方を教えてもらえ」


「ど、どうしてリリアンなんだよ…」


「そ、そうにゃ。エグニスは関係無いにゃ」



分かりやすい奴らだ。だからこそ、ムルドの方は嫌われるんだがリリアンも純情系ビッチとかって一部で書き込まれていたわけだが。一方でエグニスとルーチェは割と好意的に思われていた。ここまで語れば誰と誰がカップルになるかは分かるだろう…しかも、互いに思っているからどう足掻いても回避不可能な無駄恋愛ストーリーが絡む。寝取りは無い表ストーリー…裏はとりあえず全員倒す事になるし死んだ描写の無いキャラも居るらしい。リア充絶対殺すマンとなるつもりだから関係ないね。


とはいえ、一度殺した勇者を仲間にするとなるとわだかまり残るから選んでおかねばならぬと思うわけだが…それはそれでわだかまり残りそうでなんか嫌だな。まあ、とりあえずは偽者を廃する事にしよう。そうすればカップルの片方の心が折れるわけだし、状況によっては魔王の所為にしてどっちでも状況が転がるわけだ。


裏ストーリーを攻略するなら戯れる必要も無い…が、現状ではゲームのNPCと同程度の価値しか見出せていないが何が真実かを見極める必要もある。



「関係ないか…それ、この中の誰かが偽者だと分かっても言えるのか?」



明らかに教室の空気が凍りついた。カップルになって互いの時間を優先するようになってもゲーム内では仲良しこよしの描写以外は無かった。それがいきなりの急展開…フィルムット斬殺へと発展するような事になる。俺を含めた多くのプレイヤーが思った事がある。



『フィルムット以外、外道勇者すぎるだろ』



主観は多々含まれているし、実際の戦闘をしたのはアバターではあるが、いくら偽者だとしても仲間や恩師に何も感じず躊躇いも無く殺した勇者たち…何処で狂ったのか。そんなの簡単だ…



「この中に偽者は2人。魔王の手先か、あるいは別の理由かは分からない…だが、仲良しこよしである日突然殺されたなんて洒落にならない。はっきり言おう…俺はまだお前たちの誰1人として同じ勇者だとは認めていない」



そもそも、表ストーリーだって偽者を探し出すのが目的だったはずだがそんな描写の無いままフィルムットが偽者として断罪された。それが正しいわけがない。


偽者を見つけるまでが賢者の仕事なのにいつの間にか魔王を倒す事になった。最初からミスストーリーだったわけだ。そのミスを繰り返すのもシャクだ。


表でも裏でもない、俺だけのストーリーを作り上げてやろう。

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