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受け継がれるもの

さすがにスラリンとはいえお食事風景を見るのは辛かったので俺は周囲を警戒すると言って逃げました…いや、リンドウがあそこまでするとは思わなかったのが本音だ。


正直、感謝してるさ…でも嫌な役をさせたとも思う。テイムしたも同然じゃないかとも…これでリンドウも引き返せない。その気は無くとも逃げ道は無くなったも同然だ。勿論守るさ…命に代えても。だが、くぎゅうたちはあくまでもモンスターであってリンドウは嫁だ。代わりなんかじゃない…


薄情な奴だと思う。安堵している部分もあるのだ…データとして消えたのではなく死という抗えない別れをした事によって、現実を突きつけられて。勿論、生きていて欲しかったさ…こんな場所で俺を待たずに、4匹仲良くでも別々でもさ。いかん、ネガティヴまっしぐらだ…


仇は取るさ。仲違いで喧嘩して殺し合ったならあの量の肉片なはずが無い…だが、心当たりは無い。最強とまで言わないがそれなりの強さの4匹を倒すモンスター…ドエムゴンかプライムに匹敵するかそれ以上の敵。あるいは…



「パパ、だいじょぶ?」



そんな事を考えていると察しの良い第2夫人がやってきましたよ。リンドウがモンスターを食うのを見たくないってやつですかね。チェリアはロリババアですから、慣れてるだろうけどさ。



「大丈夫だ、問題ない」


「嘘。だいじょぶな顔してない」



一般人には死亡フラグ理解されないものなんです。後、ブラック企業もな。そういう話じゃないか…心配してくれてるんだよな。アイリスも同じような経験してますし。まあ、仲間を奪われたその経験の首謀者は俺とチェリアなんですがね。



「パパは…泣いても良いと思う」


「俺は男…涙見せられない者」



但し、下戸なので酒も飲んで飲んで出来ませんが。それに泣いたら認めてしまうだろ…もしかしたら肉片はあいつらのじゃないかもしれない。耳とかは見間違うはずないが、欠損しただけで……淡い期待だなと自覚してますよ、勿論。



「わたしじゃ、パパの事、慰められない?」


「…慰めてもらいたいとも思うけどな。泣けないのもあるさ…仇討つまではな」


「…うん…」



もし、アイリスの仲間たちを手に掛けていたら俺たちは敵同士だっただろうな…え、カタタは最初から仲間の振りした敵だろ、間違えちゃいけない。


俺は薄情な奴だと思う。それでも、あまり命は奪いたくない…都市で沢山やったじゃないかって。テロリストに屈しないだけである、獣に慈悲は無い。後、役所の連中は人を殺し過ぎたし他のだって投降勧告してからやった。それは終わった話だ…



「パパ…わたしは今、幸せ。でも、パパが幸せじゃないと、やっぱり幸せじゃない…」


「十分幸せですよ。ボカァ幸せだなぁ…」


「わざとらしい…」



失礼な、本心ですともさ。だから、アイリスを抱き寄せてやる…旦那の特権ですよ。汗臭さと血生臭さと失神の恐怖であまり抱き締めさせてくれないのだけどな…ハハッ


というか、いつもの俺ならこのまま野外でもげたろうなんですがそんな気があまり起こらない。弱ってますわ、やっぱり…もっと早くここに来ればとか、最初にここを選んでいたらと考えないわけじゃないが…


それやってたら、キッシュとして生きるつもり以前に壊れてたのは間違いない。やっぱり、幸せですよ俺は。








そんな温かな時間を過ごして心も多少落ち着いたので洞窟へ戻ってきた。なんか、アザラシとイーグルのお化けが居た。ボールみたいにまんまるだったのが進撃しそうな程巨大化してますねん。進化するとか無かったよな…


そういえば、トラ型モンスターも大きいとか言われていた。が、そんなすっごく大きいですと言われるようなサイズじゃなかった。まあいいや。アイテムボックスに入れたら同じだし。



「チギリが、大っきくなった…」


「急にこうなったのじゃ…後、リンドウには影響無いから安心するのじゃ」



チェリアは暗に肉片の所為だろと言ってる…うん、変なもの食べさせたらダメだね。その内縮むだろ、たぶん…その時不思議な事が起こったんだよ。安心しろ…仮に中から爆発しても掻き集めて復活させたる。


まあ、考えても仕方の無い事だ。大きい事は良い事だ……………嫁が巨乳になったら俺は泣く。大きいのも考えものだな。


リンドウの方を見る。うん、変化無し…ギリギリ許容範囲内だ。むしろもう少し抉れろ。



「あの、キッシュさん…」



む、いやらしい視線に気付かれたかと思ったがどうやら違うようだ。話をきけばリンドウはレベルが50も上がったらしい…まあ、4匹の合計が274レベルだから妥当なところじゃないですかね。という事はリグナとチギリも初期カンストの50レベルに達したのか。配合する以外は食うしか強くなれないが明らかに強くなってないか…だからどうでもいい。



「レベルだけじゃなくって、魔法も色々覚えましたし…武器のスキルも多少上がりました」



スラリンぱないの…相性が良かったのかあいつらの遺志が認めたのか、劇的に急成長したらしい。が、胸は退化してええんやで。むしろ、くぎゅうの呪いで小さくなるんとちゃうん?



「後、4匹の死に関してなんですけど…キッシュさんが気にする事は無いです。少なくとも、キッシュさんがこの世界に来る前に4匹は…」



リンドウが言うには、少なくとも俺が来る前日か来た当日に4匹は倒されたらしい記憶を得たらしい。そういう記憶の受け継ぎとかも出来るん…臓器移植とかならあるって聞くけど、モンスターって不思議だね。だから俺は蜥蜴派だと…いや、初代はまだ僅差だけどさ。



「最期までキッシュさんの事を大切に思っていました…だから、必要以上に悲しまないでください」



そう言いながらリンドウは一筋の涙を流した…記憶を見たという事は、そういう事だ。死の追体験と心の同一化をしたとも言える。ピッ○ロさんですね、分かります。


まあ、強くなるためと割り切るつもりは無いが目一杯舐め合おうじゃないか…心の傷も体も。後、もげますとも。だが、その前にやる事があった…






というわけで、今日はここで夜を明かす事になった。洞窟の中にある湧き水から形作られた地底湖とも言えない小さな池で釣りキチが魚を釣っている。アイリスとチェリアもそれに倣って釣りバカやってる…俺はというと新しい腕輪を作ると共に指輪作り直していた。


指輪といっても嫁たちのではない。俺が魔法に行使してる指輪の方だ。造形をあいつらに模して作り直している…後、リグナとチギリにも。え、死亡フラグ立てるなって…大丈夫だろ。後、獣の頭をモチーフにした指輪は意外と趣味悪い…ファンシー顔のモンスターが悪いんだ。頭数揃えるために光と闇の指輪はコランダムベアにしといた。他意は無い、あってたまるか。


そっちはさておき、腕輪の話だ。シンプルさは増したがデザインは悪くない…で、桜、菖蒲、竜胆の花がきちんとあったのでデザイン通りに加工した。まだ3分の2の余裕がありますよ…嫁に出来るかどうかは別として。


とりあえず、デザイナーの確認してから着けよう。じゃないと先程からチラチラとこちらを見ている釣りキチの心の安定に繋がらない…アイリスは外で励ましてくれたし、リンドウは4匹の遺志を継いだ。だがわらわは何もしてないのじゃ、嫁失格なのじゃとかって言い出す。面倒な嫁様ですよ、あのロリババアは…


とりあえず、魚釣りに夢中な釣りバカたちは置いといて釣りキチを手招きで呼ぶと犬が如く飛んできた…今度、狼のしっぽでも作りますかね。



「ど、どうしたのじゃキッシュよ。わらわに何か用事か?」



構ってオーラが半端ねぇ…心配しなくても釣った嫁には餌付けも種付けもきちんとしますよ、俺は。ただ、釣り人にはあまり近寄りたくない…昔、自分を釣った事があるから。釣り人とスナイパーの後ろに立ったらダメだよ。



「まあ、用事という程でもないが…これな」



腕輪を手渡す。後、リグナのモンス○ーボール…後者はノリだ、どうせ使えないガラクタですよ。



「これは新しいウキじゃのっ!」



釣りキチは何を勘違いしてんのか…まあいいや、好きに使ってくれ。というか、ミスリル製だから浮くのか分からんが…



「それより、腕輪のデザインはどうだ。これで良いなら早速着けるんだが…」


「うむ…しばし待つのじゃ。アイリスとリンドウにも確認せねばならぬし、お主の事じゃからすると言うのじゃろう…その確認もしておくのじゃ」


「そこまで気を遣う必要は無いんだが…」


「落ち込んでおる夫を慰めるのは妻の役目じゃ…お主、ならば毎晩とか言うでないぞ」


「へいへい…まあ、たまには甘えてみますかね。役目とかそんなんじゃなく、心の赴くままに」



とはいえ、甘えっぱなしなんですがね。チェリアとアイリスとリンドウが必要だと言ってくれる限りは、俺は桐生柳を捨てていられる。ただのキッシュで居られるのだ…なんてな。


そういう意味ではチェリアたち勇者には感謝してる……訂正。チェリアとこれから嫁になるであろう勇者のみにはだ。ハゲとかドエムとかプリン脳はあかん、人としてあかん…人じゃないけど。



「それと……チェリアは堂々と無い胸張ってろ。アイリスもリンドウも勿論大切だけど、お前が居たからこそ俺は救われてるんだからな」


「無い胸は余計じゃが…救われておるのはこちらも同じじゃぞ」



チェリアの言葉を否定したかったが、水掛論になるだけだからと諦めた。別に俺は俺の気持ちが赴くまま勝手やってるだけで、救世主なんて柄じゃない。思うまま我がままに旅を続けて…ドエムゴンを倒せる俺はドラまた扱いになるんだろうか?


どうでもいいや。あまり湿っぽいのは俺の望むところじゃない…さっさと魚を食って嫁も食いたいものだ。

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