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思い出、その最果てに

というわけで嫁たちに罵倒されながら自転車を漕ぐ。バカめ、誰がリヤカーのままで引っ張ると思っていた。俺だって中で会話に加わりたいからポケ○ンのロケ○ト団よろしく中で動力源として動けるよう改造しておいたのさっ!



「まったく…お主のバカさ加減には呆れるのじゃ」


「パパ、救いよう無い」


「まあまあ…キッシュさんだって考えてくれた事ですし。オレだって気にしてませんから」



そう言うリンドウの左手の薬指にはミスリルの指輪が輝いていた。嵌めておいたのさっ…え、しつこいって?


ここへ運び入れる時にきちんと嵌めてやった。目覚めたリンドウはその指輪をまじまじと見つめながらまじまじまじかだった…俺と結婚して魔法少女になったよ。いや、炎魔法は最初から使えたけどさ…


やったね、キッシュちゃん。嫁が増えたよという事だ。まだプロポーズしてないけど、リンドウにとってはされてるらしいし構わないんじゃないかな。あいつも話を聞かないからな…



「そんな事よりミミズの美味しさに気付いてもらえてボカァ幸せだなぁ」


「それ以外に食い物を用意しておらぬお主が悪いのじゃ」


「パパ、横暴」



唐揚げなら美味しく食えるくせに丸焼きと刺身が苦手だった2人は渋々だが食っている…だが安心してください、照り焼きですよ。煮付けも行けますぞ。たたきでも合いますよ…1匹ずつ盗んできたら良かった。まあ、時速30キロだからそんなに時間かからず王都へ辿り着けるから構わないんですがね…農村もあるし。ほら、こっち見て「未知のモンスターだ」って遊牧してるおっさんたちが逃げてますのん。はい、未知のモンスターアナロベアが乗ってますよ。え、戦車の事だって…機械型モンスターなんて居ませんの。俺はスカルグレ○モン派だよ。



「窓から欲しいモンスター見えたら言えよ。停まるから」


「そこまでして食いとう無いのじゃ」


「パパ、食い意地張ってる」



そうではないが、欲しいモンスター居ないのかと。個人的には…牛丼さんが居たら良いのだが。その時は2号ロボをドリル列車にしてグレートダッシュ決めるんだ。銀の翼に望みを乗せるんだ…どうしてブラック○インをマイ○ウイングと置き換えなかったのか。まあいい…さて、嫁たちは必死に漕ぐ俺の横で優雅なブランチを楽しんでいる。アーンのシチュエーションに最適ではなかろうか。というかカロリー消費し過ぎて腹減ってきた牛丼食いたい。やっぱり食い意地張ってるのか?



「だいたい、いきなり王都近くまで行って良いのか。幾つかの大会に出なければ出場資格云々とお主は言っておった気がするのじゃが…」


「その件は周回特典でどうにかなりそうだから大丈夫だ、問題無い」


「何それ?」



というわけで、なぜなにナデ○コのお時間です。急に何だってか…慣れろや、いい加減って事にしといておくんなまし。さて、周回特典とは強くてニューゲームとかここから先は一○通行だぜって場合にボス前からやり直したりするけど星マーク付いたデータとか色々あるよな。それの応用だ…この世界は俺が初テイムモンスターを既に取得している前提の世界だ。つまり、クリア済みの世界というわけだ…裏の物語が導入するまでの間に俺は譲り受けたさすおにとくぎゅうを含めた4匹のレベリングと食い荒らしをやっていた。伝説のモンスターを食い散らかして全滅させたキッシュくんです。


それはさて置き。一度優勝しているプレイヤーにまた最初から大会に出たいかー…なんて言って頷くのは高○生クイズとかだけだと思うわけで。さすがに今回のような豪華アイテムの場合はディフェンディングチャンピオン扱いは無理でも無条件で本大会参加は可能なわけですよ。え、嫁たちがクリアしてないから無理じゃないかって……ところがどっこい。チームなら適用されるのはリーダーの戦歴なんだなこれが。バグでしょうか、いいえ仕様です。



「つまり、プライムにも確認させたが無条件で俺らは出れる。出れなきゃ脅す…それだけの話だ」


「脅しはどうかと思いますけど…」


「だが、予選となる大会の殆どはもう終わっているじゃないか…というか、炎の鞭が優勝商品と伝えられた時点で参加キボンヌ殺到してエントリー不可だってプライム言ってた」



伝えてなかったのか…俺が居なかったら世界が終るまでは大都会行けなかったよリンドウさんや。ほら、手際の悪さに青ざめてるし…ゲームだったらプレイヤーが参加するまで待ってるけどリアルはそんなに甘くないんだ。クソゲー舐めたらあかんぜよ。



「…じゃが、お主がリーダーとなったらバトルに加われんではないか」


「そのために変身ベルトと革手袋を作ったんじゃないか。つまり、スライムてつをの出番は無い…というか、置いてきた」



スライムてつをには他のスライムの人型変身を指導するように命じてある…近い将来、あそこはスライム娘天国となるだろう。但し恋仲になったらプライム地獄だからおいしくない。慰謝料待った無し…そういう収入源の確保も良いかもしれぬ。え、美人局じゃないかって…お前それドエムゴンの前で同じ事言えんの?



「本当だ、居ない…」



リンドウはようやく気付いたらしい。まあ、人がせっかく作った革手袋を消化するようなクソモンスターはさよならバイバイですよ。だからリンドウも指輪大切にしろよ…消化したら鍛えた技でヤりまくるぞ。



「…お主、酷くないか?」


「そうは言うが、今から行く洞窟に俺のモンスターが揃っていたらリグナとチギリも控えだぞ。レベル差が大きすぎるからな…というか、たった数日で30以上にしたのを褒めて欲しいものだ」


「でも、てつを持って来なかった…プラマイゼロ」



そう言われても、あいつではアナロベアになりきれないんだから仕方ないじゃないか。むしろ改名させたい…のぶひこにして銀色のアナロベアを送ってやるさ。バイクとかも調達すべきか?


そんな事は後だ後。とりあえず、今はバイシクル戦車の名前を考えないと…西○殿とか。まあ、どうでもいいですよね。というか、汗だくだから休憩しても良いかな。さすがに着ぐるみのまま有酸素運動は疲れる。







休憩している間に強くするんだとモンスターを連れ出したチェリア新古妻アイリス新妻リンドウと俺だけが取り残された。まあ、30以上ならクリア出来るレベルだからな。そこらのモンスターに倒されはしないだろう…変に気を回しすぎなんだよな。家族になったというのに…



「…まあ、さっさと終わらせて牧場戻っててつををのぶひこに改名するから」


「えっと、何の話ですか?」


「あいつではアナロベアRXにはなれない…あいつはてつをにはなれないんだ」



全く訳が分からないよというリンドウの表情。うん、後できちんと説明してやる。ではなく、言いたい事があったんた…



「…まあ、また会える。ドエムゴンもプライムも…そして何よりお前自身がそう望むなら会わせるさ」


「……オレは大丈夫ですよ。オレはリンドヴルム…エンシェントドラゴンとミス・ライムの娘です。そして、あなたの妻なんです…だから、また会えたとしてもその時はキッシュさんと皆と一緒です」


「…聞いたんだな。あいつらから…」


「はい…2人が知るあなたの全てを」



全てっすか…キッシュとしての恥じない人生と、桐生柳の恥だらけの人生を知ってるんですか。そこ、逆じゃねとか思うな。俺は俺らしく生きていくんだ。とりあえず、俺のトラウマを理解した上で俺を選んでくれたというのなら感謝しかないわけですよ。その上で両親を安心させるという出来た嫁だ…いや、別にチェリアとアイリスを悪く言ってるわけじゃない。2人だってリンドウだって俺には過ぎた嫁様ですよ。魔王と勇者と英雄の子だぞ…こちとら、婚約者に逃げられ無気力廃人となったクズオタクの転生者だぞ。勝ち組すぎるな、俺。



「知っているなら、分かってくれるよな…俺が何が嫌かを」


「……オレは、水立葵みずたちあおいって人みたいな事はしません。絶対に」


「あー…うん。出来ればその名前2度と言わないでくれ。軽く死にたくなるから」



もはや過去の女の事なんてどうでもいいがトラウマですねん。カウンセリング通えば良かったん…リンドウが謝ってくるが、お前さんが悪いわけではないでござる。だからちょっときつめに抱き締めた。



「まあ、まだ割り切れていない部分もあるけどさ。チェリアが居て、アイリスが居て、リンドウも居てくれる。桐生柳みたいな不幸の塊のまま終わった人生よりは何倍も幸せだよ、俺は」


「キッシュさん…」


「そうやって押し倒すつもりじゃろ、お主」


「パパとする時は、絶対に1人じゃダメ。死ぬ」



人が真面目に愛を囁こうとしたら古女房たちがしゃしゃり出てきたんだが。え、真面目なんて似合わないからだろって…そうなんですけどさ。真面目じゃなかったら抱き締めながら撫で回してるくらいの純粋さあるよ、俺は。


まあ、最近スキンシップ足りてなかったからな。というか、俺汗臭かったんだ。このまま押し倒して3人ともげても良かったんだが夜のお楽しみにしとこう。というわけで、俺の必殺汗臭抱き締めを古女房たちにもお見舞いしてやるっ!








嫌がるアイリス、臭いフェチ疑惑が発覚したチェリア、感無量って感じで臭いの事には触れないリンドウを乗せて再び戦車型自転車を漕ぐ私…あ、リグナとチギリもついでに抱き締めた心のコスモってやったら泡吹いてペガサスのように羽ばたいた。気絶ともいう…そんなに臭かったか。それともちょいときつく締めすぎたか…というか獣臭さと混ざって吐き気する程臭くなったからシャワー浴びたわ。


そんなこんなで目的地に到着した。明日は筋肉痛だな、これ…休憩しながらも5時間漕いでたわけだし。このままじゃ夜のお楽しみが延期になってしまう…由々しき事態だ。洞窟の中に温泉作ろう。その前に調査せねばならぬというわけで…



『ギチギチ』

「変…身っ!」


「それ、せねばならぬのか?」


「パパ、カット」


「ちゃんと消臭しておきました」



嫁たちが察してくれない。リンドウに消臭剤を掛けてもらうように頼んだのは俺ですがね…いいもんいいもん。無理してでも夜は狼に変身してやるもん…


というか、アナロベアになってたらくぎゅうたちも警戒しますわな。このままで行こう…ちなみにリグナとチギリは未だにファンタジーから帰ってこない。そんなんで大会出て大丈夫か?


とりあえず、俺がまず洞窟へ単身向かう事は確定だ。俺のモンスターならかなりの強さだからな…違っていても嫁を危ない所に行かせる気にはならん。


だが、数分後…俺はその判断が正しくもあり間違いであったと知る事になる。それも、最悪の形で…

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