モンスターをテイムしてみた…嫁たちだけが
結局、スライムの口から語られたのは箱庭のストーリーそのままだった…勇者一行が女神を封じる物語。差異があるとしたら、勇者一行とプレイヤーが戦うような事は当然無かったし、箱庭の時みたいに勇者一行の詐称が無かったくらいだ…まあ、ボス連中が一行なわけだから当然か。
だが、それ以上に異なる点はいくつかあった… が、逆上せる頭で思考回路が熱暴走だわ。鼻血出てきて後の事は覚えてない。覚えてるのはスライムが鼻血吸って赤く染まったくらいか。いや、リンドウが助けに来てくれたんだったか…よく覚えてない。
翌朝、起きるとアナロベアが動いていた。ミス・ライムの千切った体が中に入って動かしているんだと。やっぱりバケモノですわ、あのママン。あのスライムが話したところによると、俺がゴミアイテム…もとい、神魂の欠片を手に入れたイベントのスライム提供者だもの。チェリアも認めた…というか、どうやってイベントを起こしたのか未だに謎謎謎なぞなぞうーいぇいいぇいなんだが。揚げパン食いたい…
だが、千切った体がモンスターともげて卵を作ったのは確定した。だって、朝ごはんはモンスター玉子のTKGでした…いや、俺は混ぜた玉子にご飯を入れる派なんだけどね。器が余分に汚れないわけだし……というか、スライムって卵生?
「いっぱいコロッケが食べたい…後、嫁をぺろぺろしたい」
「朝っぱらから何を言っておるのじゃ、お主は…」
「パパ、もう欲求不満?」
昨日はもう少しでダブル不倫されそうだったのに嫁たちが冷たいでがんす。もう新婚生活は終わったんですかね…俺は嫁以外愛さないと決めているのに。増やさないとは言ってない。
「食後は3人には最初のモンスターをテイムしてもらいますね。でも、いきなり6匹も与えられないので1匹ずつでお願いしますねー」
ケチな経営者がモンスターのピンハネを要求してきた。まあ、くれないという事ではないのでいいんじゃないかな。
「あ、リンドウはこの熊さんですよ」
娘には更に厳しい。何処かの孫を可愛がるクソ博士みたいな事は無かった…いや、ある意味最強のパートナーだけどさ。俺、「か」で始まって「る」で終わる名前に改名しなきゃいけないん…カ○ルはチーズ味が好きやで。おやつじゃなくても食うんやで。
とりあえず、改名の事は後回しにして着ぐるみからスライムに退去してもらって着なければならないと思うが…
「キッシュさんはこちらをお願いしますねー」
そう言われて、プリン脳スライムからハンマーを手渡される…え、タル投げてくるゴリラを殴ればええのん。それとも、大乱闘するん?
いや、雨漏りしそうなボロ小屋とか逃げ出しまくりそうな柵の修繕ですね、分かってます…最初のイベントでモンスター逃げ出しますものね。せっかくだからボロ小屋からダブルベッドやら何やら入る豪邸にしてやろう。俺、この戦い終わったら牧場経営してのんびり暮らすんだ…そして、牛の乳搾りしたり金の鶏卵取ったり羊の毛を刈ったりして生きていくんだ。そして夜は嫁の……そういえば、イフォルマくんの女体化方法探さないといけないな。スライムならなんか知ってるかも…
「おい、実スライム。女体化薬ってこの世界にあるか?」
「ありませんよー」
希望は潰えた。豪邸に心血注ごう…その前に柵だな。電気柵にして支柱は釘バットにでもしとこう…都市で作り過ぎた在庫があるし。それにビニールハウス作って、周辺耕して野菜とか植えよう。ミスリルの農具作って釣竿貰って悠々自適な暮らしをしよう…まあ、先にやらなきゃいけない事も沢山あるけれど。
さて、食事も終えたので柵の杭を抜いてサクサクッとバットを埋めていく…今回の釘バットは学園の坑道で広い集めた雷属性付与の効果があるサードニクスを埋め込んであるので電気柵が簡単に出来る上に、雷属性のモンスターが突撃してきたら逆に吸収する仕様。だから何だと…柵にこれだけ使う義理はないが将来の家に先行投資しているだけだ。
そんな事をしつつ、実スライムが3人を指導しているのを見る。嫁たちの服装は普段通りだ…猫耳フードとかはどうした。あ、エチケット袋の代わりにされてたんだった。洗濯しても無理そうだったから新しく作らねば…
「じゃあ、まずは初期モンスターを選んでくださいね。この5匹の中からですよー」
「ふむ…」
「…あんまり強そうじゃない」
実スライムにそそのかされて嫁たちがモンスターを選ぶところだ。が、俺は口出ししない。だって、俺最強。嫁は守る…というより、土ミミズを見てないし。土ミミズが居れば食料事情は改善出来るわけだが無理強いしない…食い物で選ばないのも必要だ。どのみち弱いけど…土ミミズ以外は好みの問題だ。だが、俺が何で炎ウサギと風タイガーを選んだかには理由がある…勿論、好みだ。前足や後ろ足が大きくなって必殺技とか覚えなかった。技マ○ンとかありませんよ、あったら間違いなく使ってたけど食わせて無理矢理覚えさせた。
「…こやつにするのじゃ」
「わたしは、これ」
チェリアは水アザラシ、アイリスは雷イーグルを選んでしまった。やっちまったなぁ…
水アザラシは、あの中で最弱も最弱のモンスターだ。ステータス弱すぎ笑えない…見た目は5匹の中でダンドツなんだが、愛嬌だけでは生き残れない。
雷イーグルは一見強そうだが…柵しかない牧場で飼うのだから飛べないように羽を切られているという処理加工済み。飛べないワシはただの餌だ。
つまり、きちんと鍛えないとさっきの出っ歯ネズミのご馳走です。そこでゲームオーバーになる奴も多い。最悪の組み合わせといえよう…でも、安心してください。俺が居ますよ。アザラシカレーとローストチキンが食いたいな。
「じゃあ、まずは鞭を使ってテイムしてみましょうねー」
ちなみに、もんざえアナロベアを必死にテイムしようとリンドウは炎の鞭を使って頑張っているが中のヌメ○ンに効果は無さそうである。コランダムベアのテイムはやはり無理か…あんなホモグマ要らんけど。
テイムしている光景を見ながらも電気柵の設置を終えて、ミスリル斧を作って自然破壊をしながら木材を確保して増築中…増築中…ゲームだとそんなに時間掛からないけど現実は甘くない。木を乾燥させたり、土台工事したり…まあ、ゲーム的に作れちまうチートな体なんですがね。建築業始めたらぼろ儲け出来そうだわ。やらんけど…
「なんか、物凄いものが出来つつあるのじゃ」
「…要塞?」
テイムしたモンスターを抱えて嫁たちがやってきた…というか鞭の才能無さ過ぎて今の今までテイムしてたようだ。こっちは鉄の城を作っているというのに。今宵は嫁たちとパイル○ーオンしてやる。いや、別にロボット作ってるわけじゃなく坑道で大量に仕入れてたのに売り損ねた鉄鉱石を在庫処分して家を鉄板で強化しているだけなんですがね。
「とりあえず、テイムしたら名前付けてやれよ。4文字以内で」
「そうじゃの…まあ、すぐには決めかねるのじゃ」
「考えて、名前付ける」
ああああとかじゃなければ大丈夫さ。カレーとローストでいいんじゃないかな。というか、そろそろ昼食食べたい。よくよく考えたら昨日は朝飯しか食ってない。欲求とカロリー足りてない。嫁たちが美味しそうな食材を抱えている……嫁たちの胸の感触楽しむとは許せん。マルカジリにしたろか。
「出来れば…その、なんじゃ。お主にもアイディアを出してもらいたいの」
「パパと、わたしたちの初めての子」
「人外の子は要らんけど、気持ちは分からなくはない」
じゃあ、やっぱりカレーとローストでと言ったらネーミングセンス疑われるから熟考しよう。ペットのネーミングセンスはどんなに痛くても大丈夫だとは思うが。
「あの…良かったらオレのも一緒に考えてくれませんか?」
いつの間にか中身をテイムしたリンドウも嫁の少し後ろに立っていた。さすがに中身はアナロベアに突っ込んだままだが…さっさと出てこいや。それは俺の熊さんだ。
「てつを。アナロベアに入れて普段から使うなら、てつを以外認めない」
ブラァッでもいいけど、俺が入った時にも呼ばれるのだからチートの中のチートの名前で呼ばれたいに決まってる。戦う時はてつを…俺の誇りさ。
なんか、白い目で嫁たちが見ている…ネーミングセンス疑われる眼差しで。お前たちは仮面ライ○ーてつをの素晴らしさを知らないからそんな目が出来るのだ。あいつ1人でいいんじゃないかなと思われる最強のラ○ダー様だぞ。出来ることなら4体揃えて不思議な事を起こしたいじゃないか。
「てつお…良い名前だと思います」
「てつおじゃない、てつをだ。そこ間違えちゃならない」
リンドウはこんなにノリノリだというのに。まあ、知らないという事は罪ですな…後、ただのスライムだけだったらゲルルンって名付けてた。スライムごときにてつをという名は大き過ぎんだろ。
この後、試行錯誤の末に水アザラシには「リグナ」、雷イーグルには「チギリ」と名付けた。チギリは某ニンジャたちの技「雷○」と「○鳥」から。リグナはゴマリグナンだ…アザラシといえばゴマフアザラシだもの。勿論、名前の由来は嫁たちには言ってない、言えるわけが無い。俺が考えてくれたと喜んでくれてるからもげもげタイムのチャンスだというのに…
しかし、その夜。嫁たちはお気に入りのモンスター抱いて今夜はお休みしやがったので無理だった。獣臭ぱないの…俺の土ミミズはそれに耐えれず萎えたままだった。くぎゅうが恋しい今日この頃。俺だってお気に入りのモンスターもふりたい。せっかく豪邸にして客間に寝ているというのに酷い仕打ちだ。リンドウが実スライムと一緒に寝ていなかったら、こっちが這い寄るターンだったな。




