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再びの教室

どうしてか、ロリ魔王の奴が悪人には思えなくなってきた。話を聞いたらフィルムットを殺すように仕向けた偽勇者を暴くためにあの場に現れたが話をする間も無く魔王である事を暴かれてしまった結果、自棄を起こして戦闘になって敗北…憐れでしかない。


まあ、他のボスをそう思えない可能性はあるが人徳というかキャラ絵の影響だな。完全に信用したわけではないが、裏切り者の上にリア充な偽勇者が居るというのは信じても良いと思う…完全な逆恨みですが、何か?


チェリアからの情報引き出しは今後も行う事にして、暫くは学園での暮らしに励むとしよう。


チェリアはゲームからというか表の記憶を持っているが他のNPC…チェリアの言葉を信じるならこの本に閉じ込められた世界の住人は表や裏の扱いも知らない。魔王だけが使えるかどうかは知らないが、勇者たちも俺や他のプレイヤーと出会う前…早い話がリア充前の状態まで記憶も能力も何もかもリセットされている。


つまり、人間関係は最初からやり直しという事だ…









「学園側が見つけ出した勇者キッシュくんです。皆さん仲良くしてあげてくださいね」


そう俺を紹介したのは勇者クラスの担任兼四天王の一角、蒼炎のヴィオレだ。ちなみに、プレイヤーが担任の場合は副担任だったらしい。


俺が紹介されたのは勇者クラスの教室で…今回は賢者ではなく偽勇者として仲間入りなわけだが。


突然現れた10人目の勇者にクラスの見慣れた顔が困惑している…ぬるぬる動いているのが違和感でしかない。そう考えるとあの魔王の表情はやたらと優遇されていたような気がする。


いや、どうやら運営の面子を洗脳して表情グラ多めにしてたから違和感無かったんだろうと思う事にした。


そんな些細な事はさておき、改めて級友という名のターゲットを観察する。


まずは、皆大好き不遇のイケメンリーダーこと閃光の勇者フィルムットだ。冷静沈着で勇者メンバーの中でずば抜けてステータスも高いし人望もある…のに4人の女勇者に惚れられなかった残念さはシスコンだからだろうか。いや、そんなストーリーは無かったはずだ…とにかく、チェリアの言い分が正しいと仮定した上で表と設定が同じであれば間違いなく本物の勇者であるはずだ。最悪、フィルムットを殺して俺が魔王一派と共闘すればラストイベントは表とは違ってくるので切り札としておこう。


で、その前に座っているのが熱血最強(笑)のバカ一直線。主人公らしいキャラクターの炎剣の勇者ヴァン…熱苦しいが現状では実力の無い大器晩成型だ。主人公らしいキャラクターとしてかなりの絡みが多い奴で正直ウザい。勇者メンバーの中で最低位の人気者という嫌われ者ポジションをプレイヤーからめでたくいただいたおいしい奴でもあるが。勿論、俺の中でもダントツでぶっ倒したい勇者でもある。次のイベントでやろうかと悩み中だ。


で、その隣に座っているのがツンデレの勇者…もとい、氷剣の勇者シャルロッテだ。とにかく誰に対してもツンデレに加えて高飛車なお嬢様気質というより実際に姫様だったりする。姫騎士って奴だがくっ殺イベントは無かった。薄い本ではあったかもしれんが。男性プレイヤーには受けがいい反面、女性プレイヤーにはイマイチだった気もする。とはいえ前衛キャラクターとして見れば使い勝手がいい。


その後ろが聖命の勇者リリアン。清楚で可憐、ヒロインオブヒロイン…なんて書き込みしている狂信者が居るほどのキャラクターだった。但し、回復役オンリーで歩く救急箱みたいなものだと思う。仮にこの9人を一度に相手にするなら一番最初に倒しておくべき相手ではある。まあ、ゲームではの話だが。


更にその後ろで爆睡しているのが雷槍の勇者ムルド。ガキその1ともいう。一部の女性プレイヤーからは特殊な攻撃役として好かれ、多数の男性プレイヤーからはとことん嫌われているキャラクターだ。戦闘においてはあまり使う機会の無い前衛キャラクターであり、一部の女性プレイヤー以外の需要は少ない。


で、その横がもう1人の一部の女性プレイヤーから特殊な防御役として好かれている地拳の勇者トルスだ。まあ、使い勝手がいいキャラクターの1人であるし普通に防御役としてなら一部以外のプレイヤーからも好かれている壁役ではある。その分、「殴る壁が無いならトルス殴ればいいじゃない」とまで不遇なネタにさせられたりもするが…


その前に座っているのが無口な無限の勇者アイリス。彼女の個別イベントは特に重い…そのくせ解決する事も無い無駄なイベントだったりもする。運営のお気に入りで壊れスキルのキャラクターともいわれている。後に彼女のイベントを全部見る事が無属性魔法スキル習得のフラグの1つだったと明かされたら不信にも繋がるはずだ。むしろ、これで勇者でなかったならおかしいほどのゲーム展開だと思う。


で、その前で寝ているガキその2こと風雷の勇者ルーチェ。何もかもにおいて中途半端なキャラクターだ。典型的な後衛タイプであるにも関わらずに気付いたら前衛をしている。まるで効かない即死魔法を連発する某有名キャラクターみたいな奴だ…正直、要らない子。だが、猫耳娘という一部のオタク向けキャラクターでもあるから人気が無いわけではない…はず。その分、好みとかに合わせてパーティに加えると無駄に足を引っ張るので重しみたいなキャラクターだと俺は思っている。実際、こいつのお陰で命属性を上げられたって書き込みは多かった。


で、最後にその隣が風斧の勇者エグニス。このメンバーの中では最年長でありサブリーダー的な存在でリーダー様に代わって仕切る事も多い。面倒見のいい兄貴分という人格者で戦闘においても攻撃力としては最高…だから、ネタか本気かは知らないが色んな意味で男性プレイヤーのみならず運営からもそういう扱いを受けている。後はご察しください。


正直、どいつもこいつもアク強すぎてゲームならまだしも現実的に関わりたくない連中ではある。この中から1人連れていけるのなら、どいつも要らないというのが本音ではある。今更鍛えるのも面倒だと考えを改め始めたところだ。



「先生、質問があります。彼の二つ名はなんでしょうか?」



このクラスの委員長気取りのシャルロッテが唐突に質問してきた。勿論、ロリ魔王から俺の事は味方だと四天王を含めた配下には通達してあったが、二つ名なんてものまで考えが及ばなかった。


炎剣の勇者とかなんて二つ名は使うスキルと武器による安直なものだ。早い話がプレイヤーからも分かりやすい仇名ってところでしかない。閃光、聖命、無限の3人は大層な名前だが単属性しか使えないという事だし…


さて。そうなると俺はどう名乗ったものか…全部を表したら楽ではあるが、それだと「もう全部お前1人でいいじゃん」とか言われるか逆に怪しまれるわけだ。


あえて魔王側が使う機会が多い闇属性って手段もあるが怪しまれるのは確実。というより、賢者の時はそんな事考えもしなかったしアクセサリーで闇属性も覚えて普通に使ってた気もする。闇属性主体としておくか…



「俺の勇者名は…そうだな。『冥闇』とでもしておこう」



「厨二だ」

「厨二ですわね」



そこの剣士カップル、後で泣かす。むしろ、何故に厨二とか知っているんだと言いたい。だが、後悔はしていない。冥闇というのは暗闇を指すだけでなく冥土での迷いという意味を持つ。ある意味では今の状態そのままとも言えるわけだ。決して、厨二だというわけではない…アバターの年齢がそのまま中身の年齢なわけないじゃないか。いい歳して厨二なわけがあるはずないだろ。ハハッ…



「はいはい。仲良くしてくださいね。他の質問は席に着いてから行ってくださいね」



少しだけ虚しく感じているとヴィオレ先生が助け船を出してくれたが遅い。本当に味方なんだろうなお前…


俺の席は無いなんて事もなくエグニスの後ろだ。女勇者たちを3方から囲むようになっている。交互とかにも出来ただろうがそうしなかったのは何故なのか…それは誰にも分からない。俺が女だったら席替えもあったのだろうかとも思うが、ストーリーでも席順については言及してなかったし。


そんな事を考えつつ、俺は席に着いた。前にはイイ男、横には無口なフード娘。まあ、四方を囲まれていきなり襲撃される心配は無いだろう。



「ちなみにキッシュくんはあなた方とは違って一度卒業しているので素性とかだけでなく色々聞くと良いと思いますよ?」



この淫乱サキュバス教師、とんでもない事を言いやがった。進級試験の時は覚えてやがれ…

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