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未確認モンスターで攻略刑

翌朝。萎えた昨夜はチェリアの言いつけ通りに服着て寝た。もげる気力も無かったよ…こうやって夫婦は冷めていくのだな。



「……朝から刺激的だな」


「パパが悪い」



アイリスたんはそんな事無かったよ。添い寝…そんな甘ったるいシチュエーションだと思ったか。加減はしてるけど朝から腹パンだよ…DVですよ。鬼嫁ですよ。昨夜はスライム娘が泣き止まなかったから寝不足と言われて寝起きどつきりふじんだよ。



「アイリス、程々にするのじゃ。また5日も眠られては動けぬのじゃ」


「分かってる」



そう考えると寝不足なのかとも思えてくる…ではなく、やはり神魂の欠片を持っているかどうかの違いだったんだと思う。思えば良いんじゃないかな…


それより、這い寄るゲル娘は…調理してる。土ミミズをぶつ切りにしてる…俺の土ミミズは無事だよな?


うん、ぶつ切りにされてない。大丈夫だ、もげれる…



「ところで、キッシュよ。お主はどうやって炎の鞭を取り返すのじゃ…どうせお主の事じゃからあの着ぐるみを着て参戦するつもりなのじゃろうが…」


「その通りだ」


「…となると、普段もそう振る舞わなければ怪しまれるのじゃ」



チェリアが当然の指摘をしてくる。四六時中アナロベアで居る覚悟をしろと…そういうプレイが良いなら最初からそう言えば良かったのに。


とはいえ、四六時中着れる改造をしなければならない。ついでに各属性強化形態とか…そこまでやるとアナロベアではないか。まあ、牧場へ行ってこいつらが鞭の扱いを教わる間にこっそり何とかどうにかしよう。



「とりあえず、飯を食ったら牧場へ移動だ。最初のモンスターを手に入れてからでも構わないだろう…俺の世界の昔話には熊と山奥で激しく体を押し倒し合う男の物語があって、更には巫女と暮らしたり上半身にシャツ着たりと熊と人は共存関係にあるから突然変異種、人にもなれる熊怪人という事にしておこう。なんなら首輪つけても構わないぞ。熊男だけで足りないならアイリス用の猫耳フードとチェリア用の犬耳フードを用意して…」


「お主、嫌なら嫌とはっきり言わぬか」



別に嫌というわけじゃない。ノリノリで皆殺しグマーは出来る…というかしたい。だが、それが果たして正解なのかと聞かれると疑問だ。変なところでプライドが邪魔をする…チートせずに優勝するのが正しいのではないかと。いつもいつでも上手くいくなんて保証はどこにも無いが…とはいえ、マスターになると家を出た風来坊みたいな余裕は無いし。


王国の大会に出るには幾つかある小さな大会に出て優勝しなければならない…最初の大会で優勝しても4つか5つほど出なきゃいけないゲーム仕様。その間に伝説のモンスターを食い漁ったり集めたり、悪の組織を壊滅させたり…色々混ざってたな。モンスターの数自体は数百を超えない…というか、属性違いの使い回しが多いので全然少ない。進化枠も少ないし、伝説のモンスターを食わない限り、それ以外は見た目重視のザコモンスターでしかない。何が言いたいかといえば…アナ○熊より見た目が良いモンスター居ないね。もし、と○てつたちが存在していたらロボに行ってワイルドに吠えられる武装を造った。見た目ただのスプレー塗装した動物だもの。


そう考えると、スライム状態のリンドウ…略してスラリンが着ぐるみの中に入れば最強じゃないかなと。いやダメだ…属性強化使えなかった。一時凌ぎが精一杯か。仕方ない…今日から熊だ、熊だ、俺は熊になるんだ。そして白いベッドのジャングルでもげるんだ。あ、養護施設に寄付とかはしない。だって熊だもの。



「早速着なくとも良いのじゃぞ…」


「がうがうがうががー」


「なりきるでない」



熊だもの。だけど「ぽんぽこたぬ○さん」は伝わらなかった。なりきらなければ生き抜けない。とはいえ、意思疎通が難しい…パンダなら看板で出来るんだが、ホワイトボードってこの世界に売ってないかな?






とりあえず、熊になりきったら飯がテーブルで食えなくなりました。キッシュは犬食いをマスターした…唐揚げが熱くて口の中ヤケドした。が、やれば出来るものだ…虚しいけど。



「パパ、なりきり過ぎ…」


「好きにさせておくのじゃ…どのみちキッシュは1人でエンシェントドラゴンを倒したのじゃ。これ以上の戦力はないのじゃ」


「がうがうがうがー(はち○つくまさん)」


「パパ、ちゃんと話して」



アイリスが日本語でおkという…そういや、言語修得とかはどうなっていたんだという些細な指摘…いや、全部日本語ですからね。ゲーム的な異世界だから金の単位以外は同じで読めるんだ。書くのは自信ない…ならホワイトボード要らんやん。熊の手で書けないだけだもの、仕方ないわ。



「あの…昨日の事を気にしてるなら、オレは大丈夫ですから…」


「がうがう(ちゃうちゃう)」



身振り手振りで否定する。気にしてるわけないじゃん。むしろ、もっと撫で回したい。というか今は人型なわけだが体積が明らかにスラリンの時より減っているリンドウ…よくある話だな。



「キッシュよ、面倒じゃからわらわたちしか居ない時は話すのじゃ」


「がう、がうがう(たが、断る)」



嫁から横っ腹に蹴りを貰った…バカめ、それは防弾チョッキより頑丈だ。つまり、痛いものは痛い。が、傷は無い。根本的にダメじゃん。だが、俺はリ○トの言葉で話すつもりは無いっ!



「この阿呆は放っておくのじゃ。とりあえず牧場がどうとか言っておったが、詳しい事はエンシェントドラゴンか、その妻に聞くのが一番じゃな」


「母上ですか…もう1本を失った事をきちんと話さないといけないですよね」


「お母さんに隠し事、よくない」


「がうがうがうがーがうがうがー(作詞者が死んだから堂々と歌うのも如何なものか)」



こんにちは、森の熊さんでふ。まあ、隠し事があろうが無かろうが構わない…むしろ、どうやったらドラゴンとスライムの間に子が出来るのかを明らかにして欲しい。



「わらわたちもサポートするから色々と覚えねばならぬ。肝心の頼れる輩がこれではな…」


「パパ、役立たず」


「がうがううがーがががうがう(男は役立たずでも肝心なところが立てばええんやで)」


「そ、そこまで言わなくても…お話では1回優勝しているみたいですし、オレは居るだけで心強いです」



例えば俺が居るだけで何より大切なものに気付いたという事なんですかね…米食いたい。唐揚げだけだったから炭水化物食いたい。俺、米無いとおかず食わない主義だけど今回は仕方なく食べた。そういや2人も唐揚げ食ってた。土ミミズなのに良かったのか?



「お主、その分あのような仕打ちをされるのじゃぞ。わらわたちも軽率だったが、嫌ならばお主はここで待っておるという選択も出来るのじゃぞ?」


「…元々はオレが招いた事ですし、あれは驚いたのと称号が『人食いスライム』になったショックだけで嫌だったとかじゃ…」


「がうがうがう『がうがー』がぅ(俺の称号は『変態熊』なぅ)」


「パパも、ごめん、気にするなって言ってる」



アイリスが勝手に解釈している。まだまだ以心伝心には程遠いようだ。俺は反省も後悔もしない。そんな事を気にしてるなら最初からやらないし…反省や後悔する奴が自分を抑え込めないわけがないじゃないか。


結局、俺が何を言っても理解されずとりあえず牧場に行く事となった。まあ、構わないんですけどね、ドエムゴンは役立たずだし出戻りさせないとクリア出来ないわけだし。でも、これ俺必要なくね?

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