次の世界へ
翌朝、とりあえず8回はもげた後の事は覚えていないが俺の隣に2人が幸せそうな顔をして寝ていた。「もう嫌じゃ、やり過ぎじゃ…」「パパ激しすぎる」と可愛らしい寝言を言ってる…とりあえず、回復しておいてやるか。レベルが上がりすぎて性的に強くなり過ぎていたようだ。テヘペロ。
回復させるついでにステータス見とこ。チェリアが「もしかしたら交わる事で魔法の分配があるやもしれぬから最後までするのじゃ」と照れ隠しで言ってた。勿論、最後の最後までしましたとも。とりあえず、2人のも見とこ…む、見れない。やはり他人だと承認が必要か。チェリアの年齢とか知っても今更だから構わないが。2人とも攻略サイトでおおよそのパラメータ値算出されてるし。自分のだけ見よ…
《ステータス》
名前 キッシュ
年齢 18
性別 男
種族 人間
髪色 青銀
瞳色 エメラルドグリーン
利き手 右
称号 魔王と勇者の伴侶
《パラメータ》
レベル 93
耐久力 730/930
魔法力 999/999(補正+258)
攻撃力 999(補正+258)
防御力 999(補正+258)
魔攻力 999(補正+258)
魔防力 999(補正+258)
瞬発力 999(補正+258)
《武器スキル》
剣 10/10
斧 99/10(上限突破)
槍 10/10
弓 10/10
拳 10/10
鞭 10/10
銃 10/10
鎧 10/10
《魔法スキル》
炎 10/10
水 10/10
風 10/10
地 10/10
雷 10/10
光 10/10
闇 99/10(上限突破)
命 10/10
無 10/10
《ユニークスキル》
精霊 0 /10 New
あー…うん。ステータスバグった。ユニークスキルの精霊魔法覚えてた。レベルも1上がってた…性的に魔王倒したからだな。違いない…昨日までそんな事は無かったのに。称号の事は当然なので構うまい。最新更新なわけだし…とりあえず、さすが俺の嫁。もう1回もげよう…
3回ほどもげてたら、目覚めた妻にもがれそうになった。それに頬には手形がくっきりだ。この恥ずかしがり魔王め。
「せめて、説明してからするのじゃ…腰が痛くて起き上がれぬではないか。わらわのステータスには変化は無いし、お主だけが異常ではないのか?」
「人を異常性欲の持ち主みたいに…」
その通りではないかというロリ妻の訴えは無視した。まあ、もげても更に変化無かったし可能性の問題かもしれないな。
「…わたし、覚えてた。精霊魔法」
そうでもなかったようだ。アイリスの話を聞けば精霊魔法だけ覚えていたらしい。上限突破は無いらしいが、ステータスにはきっちりと表示されていたらしい。だが、ステータスは俺に見せてくれない…まあ、それ以外のものははっきり見たから構わないんだけどさ。
「つまり、キッシュを媒介として覚えた可能性があるのじゃな…」
「俺は蚊か」
「蚊でもネズミでも構わぬではないか。お主に抱かれたら精霊魔法が覚えられると知ればハーレムも作れよう」
「作らなきゃ、体保たない」
失礼な。そんな無闇矢鱈の節操無しな事をするわけないだろ。きちんと妻にしかしないし…後、病気怖いから中古もお断りだ。まあ、アイリスの神魂の欠片を奴から奪い取ったらきちんと嫁増やして負担減らしてやるよ。体力的に後70回は出来るみたいだし…まあ、ビンタとかで現状20回程まで落ちてるがさすがにマジ泣きされそうなので今日はやめておこう。入浴介助も拒まれたし…風呂はまだ仕上がらんのか?
チェリアとアイリスの事はヴィオレに任せ入浴した後に学園長室にやってきた。本来なら今日中に次の世界へ旅立つつもりでチェリアは準備を進めていたらしい。が、腰抜けたから延期だそうで、それをヴィオレ以外の3人に伝えて各種調整しなければならないらしい。回復しても違和感は取れないらしいし…魔法も万能ではないという事か。
とりあえず、ウィローが学園長代行で魔王代行もするらしい。まあ、代行止まりなのは元勇者を伴侶にしようとしてるから威厳的に無理だかららしい。チェリアに威厳あるのかとは思うが。
「でも、帝国だけじゃなく王国に共和国、首長国に神国等々をよく黙らせられたな」
偽勇者はともかく、死んだ事になってる王国以外の勇者の件で文句言われて会議に乱入するまで考えてたんだが、そんなの無かった。送った親書の写しを見ると…俺が暇潰しに話した勇者イベントを参考にしてある。昨日のビッチ聖女の事もある。いつ仕事したよ…まあ、優秀な部下は沢山居るみたいだが。
「だが、ずっとというわけにはいくまい。魔王様が新婚旅行という名目で不在の間、学園は我々が守るが…」
不安そうなライオン先生。まあ、言いたい事は分かるが連合軍で挑んできても追い返せるからな…コランダムベアも居るし、釘バットも沢山あるし。ダメならチェリアを連れて戻るわけにはいかない。俺は学園より嫁の方が大事だし…
「まあ、それで構わないさ。魔王様が無駄死にするため戻られても、誰も喜びはしないからね」
俺の気持ちを話すと変態先生がそう言い、他の2人も頷いていた。愛されてるなぁ…一番は俺だけど。まあ、チェリアにしてもアイリスにしても見捨てるという選択は無いだろうし、俺もそれはあまりにも気持ち悪い。という建前はさておき、イフォルマくんが女体化出来る方法が見つかれば戻ってくるさ。
で、チェリアとアイリス、ヴィオレがやってくると宴会になった。授業しろよと言いたいが、披露宴の代わりみたいなものだと押し切られた…それでいいのか、四天王。
だが、それでまだマジだったと知る事になるとは思いもしなかった。
数日後…
「もう別世界行ってもいいよね…」
あるはずのない飛行機雲を探すために空を眺めつつ俺はそう言った。原因は学園長の人望だ…それと多少の勇者の威光。早い話が連日連夜披露宴という疲労するだけの作業を繰り返していた。四天王に勇者クラスだけならまだしも、学園の各学部の生徒、教職員、学園外の店の組合やら卒業して冒険者になった連中などなどなどなど…チェリアとアイリスに祝福を。そして俺には怨念をという宴が行われているのだ。まあ、費用は向こう持ちだから懐は痛まないが病むわ。精神的ではなく生活習慣病になるわぁ…そうです。脂肪フラグ乱立してるんだよ。まあ、夜は3人で運動してますが。
「…ママも遠慮覚えるべき」
「仕方ないのじゃ。付き合いとはそういうものじゃ」
そう言いつつもぐったりしているチェリア…「そんなものよりおうどん食べたいのじゃ」が最近の口癖だ。まあ、毎日披露宴的な豪華料理だからな…こいつ貧乏舌だし。むしろ、母娘揃って貧乏性で安いもので腹を満たせればいいらしい。アイリスは蕎麦派だ。似た者母娘の似た者夫婦ですが何か…ハハッ。ああ、カツ丼食いてぇ。
「まあ、次に行く予定の『都市』はろくに食えないから今のうちに食い溜めしとけ…どうせ、あのクソ天使殴ってさっさと次に行くけど」
「ああ、それが一番じゃ…というより、先にキッシュが行って終わった頃にわらわたちが向かうべきな気がしてきたのじゃ」
「不倫するためか…良いだろう。この世界壊してやる」
「パパ、それは無い。でも、いつもパパだけ待遇悪いのはもう嫌」
毎回嫌がらせのように俺の飯は親子丼だよ。アイリスがチェリアの娘とばれたらダメだった気もするが呼び方で手遅れだ。戻ってきた時何か起きるな、これ…海鮮丼出されるのか。マグロ入れたらしばき倒してやる。うちの嫁はマグロじゃねぇっ!
「わらわもそう思うのじゃ…今宵も同じならば深夜にこっそり学園を抜け出すのじゃ。キッシュのいうその『都市』におうどんあるのじゃろう?」
別世界へ旅立つ理由、ロリ嫁のうどん禁断症状。勿論、夜の宴もうどん出なかったし俺は親子丼だったよ。せめて鮭とイクラの親子丼出せや。
で、運動を中止してさっさと準備を済ませた夜半過ぎ…俺たちの部屋には見送るために義理の息子ウィローだけが居た。他の四天王はペットの世話だ…コランダムベアは来なかった。あのホモグマめ。
「『キッシュ…母上を頼む』って言えよ、おい」
ずっと無言で見てるだけの代行。ここで挽回しろよ。死神化しろよ。無視すんな、こら。まだおめでとうって言ってねぇだろお前。
「キッシュ、よいからさっさとするのじゃ」
嫁がせっつく。俺が先に行って安全を確保するためだ。アイリスを強制転移しチェリアもその転移に同調して『都市』へと一緒に向かう。アイリスが欠片を手に入れたらそんな手間が減るらしいが今回は仕方ない。まあ、連日の運動で多少レベル上がったし仮に別の場所へ転移したとしても…フラグ?
「なあ、やっぱり一緒に行かないか?」
「原理的にも無理じゃと言ったであろう。そんな無理をすればアイリスが死ぬ」
「うっ…なら、せめて襲われないように…」
「パパ、大丈夫。パパ以外にされたくないから頑張る」
我が娘は弓を片手にガッツポーズしている。ちょっと俺が襲いたい。ウィロー邪魔だから出てけ。
「早く行くのじゃ。でないと明日も朝から親子丼じゃぞ…」
「…チェリアとアイリスの親子丼なら1日6食でも足りんがな」
「わらわたちが保たんわっ!」
ロリ嫁から愛の飛び蹴りをもらった。我々の業界ではご褒美と言うと思っているのか…俺はそんなマゾじゃない。ただ、この蹴りなら安心か…向こうに行ったらこの痛みを快楽で返してやる。
「分かった分かった。先に行って寝床とうどんと蕎麦を確保しておくから安全に来いよ」
「最初からそう言えば良いのじゃ」
独占欲強いから仕方ないだろ…好きな女を囲みたいのは男の性だ。守りたいこの笑顔なんて言わない…泣き顔の方がそそるから。まあ、どんな顔でも中身が肝心なんだけどな。でも、あの世界にあるのはカップ麺だけ…100単位で買い込んで泣いて喜ばすか。ただ、キスをして先に行くとフラグになるので涙を飲みながら耐えた。これが良かったのか悪かったのかは後々分かるだろう。
「では、神魂の欠片を取り出して念じるのじゃ。そうすればあの部屋を経由せずとも別の本へ行けるのじゃ。但し、お主の言うところのクリア後限定じゃぞ」
女神に気取られる事無く移動出来るらしい…別に女神の所へ行って殴ってもと思うがチェリアが言うにはレベルドレインあるから気を付けなきゃ弱くされておしまいらしい。昔は俺並みにレベルあったとか言ってた。何処かで聞いたような話だな…寺子屋か?
「…まあ、やってみるか」
俺はアイテムボックスから神魂の欠片を取り出す。鎖の円環にしか見えないそれを握り締め、チェリアに言われた通り念じてみる。すると欠片が光り出し、目の前にミニサイズの半透明な本が8冊現れた。訳が分からないよ…まさにファンタジー。
「…これが、わたしたちの世界…」
「まあ、正確には違うが似たようなものじゃ。キッシュ、選ぶのじゃ」
興味津々な娘と急かす妻…それと微動だにしない息子。お父ちゃんはそんな家族に見送られて単身赴任する気分だよ…まあ、実際は息子だけ残ってやりたい放題する展開なんですけどね。代行になって女生徒とやりたい放題か…それなんてエロゲ?
まあ、一番可愛いのは俺が連れて行くから…勿論、チェリアとアイリスの同列一番だぞ。その下にシャルロッテとルーチェだな。え、ビッチ聖女はどうだってか…壁の向こうに決まってるだろ。むしろ、壁の向こうで巨人すら食ってるわ。
さて。俺は間違わずに『革命都市』を手にする。正直、アイリスの件が無かったら無視しておきたい1冊である。いや、だからこそ行くのだが…
「チェリア、これだから間違うなよ。間違ったら女神ど突いて聞き出すしかないんだからな」
「分かっておるのじゃ…お主の愛は重たすぎる」
釘バット作った時点で察してくれ。それが俺の愛ってやつだ。まあ、嫁にするのは命に関わらない事だけにしてるはずなんだがな。
そんな事を考えていると、手にした本が光り出した。またあの移動か…次はサングラス調達しとこ。
「じゃあ、先行ってクソ天使の羽を抜きながら待ってるからな」
「…わらわがキッシュの好みで良かったのじゃ」
「うん、同感」
「やっぱり大魔王」
ビッチじゃなかったら俺はフェミニストなんだがという間も無く光に包まれていった…ただ、息子よ。別れの台詞がそれかよ。魔王の夫だからそれでいいよ、もう…
こうして俺は『ブレイブ・スクール』をクリアした。まあ、「 I'll be back」と言っておこう。イフォルマくんの女体化方法を見つけるまで暫しの別れだ。




