雷槍の国2・影なるものの月光花
それにしても、機械人ですか。作られた命という点ではイリスシリーズと似てはいますが……その名の通り無機質な方が多く感じられます。所詮作り物というより、ただただ動いているだけでしょう。
屋敷のバルコニーから見える街に暮らす人々の生活には人間らしさというものが感じられなかった。魔族に魔人、魔物と使役する人々、妖怪など見ては来たものの、この世界の機械人は異質に映った。
「イリス様。それがこの世界の真実です。機械人の多くはコアを持たぬ新たな機械人として生み出されたはずの紛い物。一部には旧型のコアを用いていますが、その犯罪率は目に余るものがありましたので現在では数だけ増やしたハリボテが大多数です」
「ハリボテですか…まあ、イリスシリーズも2人を除いて最初はそんなものでしたからね。魂の限界数とかあるんでしょう。神のみぞ知るというところですか」
この屋敷の主人であり、契約して鎧となったカプリレッテ・ガーネこと山羊座と戌のプレーネと会話を行いつつ物思いにふける。
プレーネの担当販売は新造や中古の機械人の販売及びボディー交換という一大産業。需要がある以上、供給は大切でしょう。中身が空っぽであっても。
◇
脳みそ空っぽって言われた気したん。その通りですん。さて、銀色である、王道な邪道タイプである。使うのはこちら、オラのゲロと交換したクボタイトですん……オラ、皮膚緑色じゃないよな。神様になって変な特殊能力とか無いよな…どうして腹に埋め込まれたはずのキングス◯ーンが口から出てくるん?
まあしゃーない。銀色は単なる簡易強化なん、硬いだけなん。刀に追加アタッチメント付けて、簡易鎧身に纏うだけなん。アタッチメントは蛇腹になるんなー。合体して大剣にもなるん。
ノリはノブ◯コなん。影な月なん…まあ、ダイナゼノンの武器と防具と予備の右腕や肩可変も兼ねてると大変なん。ダイナゼノンの時の標準パーツとしては王道の大きな剣なん。
え、王道の剣といえばエクスカリ◯ーですか。パーですか…そういう技使う山羊座が居たんなー。いや、オラが作った山羊座はどちらかといえば犬です、メイドや男装執事したがる純真なチワワです。
それはええねん。白マントに言われてコア出したが大して悪影響とかオラの一部が魔王っぽくなった感じは今のところ無いわけですが精神的ダメージあるんなー。
なんか願い叶う球でも作らなきゃいけないんやろか。ドエムヌッシー捕まえてきて閉じ込めろってか…絶対嫌なん。願い叶う前に発狂するわ、こっちが。
◇
「なかなか難しいものですね、このシンクロというものも」
「いえいえ、イリス様ほどの操作能力がある方はさほどおられませんよ。普通は能力値のみのアップが出来れば十分ですが、こうまで本質たる鎧としての操作を行われる事が第二段階に至る為には重要なのです」
プレーネの説明では、支星'sが纏っている鎧に彼女たちの意識を写し、それを契約者が身に纏うのが第二段階という事です。その間、本体は指輪に収納されるのが前提なので指輪が必要との事…
代わりの鎧でもあれば共闘も可能らしいとの事ですので、お父様がどうにかしてくれると期待しておく事にしましょう。ですが…
「この金ピカ鎧を身に纏うのは抵抗ありますね…」
「そこは我慢してください。それに、使いこなせた場合はそれぞれのパーソナルメタルカラーに変色するらしいので」
なるほど、意味が分かりません。
◇
代わりはあるのん、ここにあるのん。これは蛇遣い座の鎧製作フラグな気もするん…ダイナゼノンパーフェクトモードを重視したらレリアは無装備なん。え、そんな事じゃなくてホットケーキのお代わりの話やて。レリア、お前食い過ぎなん。
食い過ぎといえば主食は紙でもええんやないかという山羊座である。白かったり黒かったりするのでモチーフはスーパーなガン◯ムである。カツは揚げたてを使用してドーンである。カツ丼は美味いんなー。やるな、座敷童子。お代わりだ。
山羊座の鎧は銃火器によるレーザー攻撃である。レーザー出しっ放しで斬り刻むのも出来るん。バックパック分離したりも可能なん。
どっちかといえば揚げの2代目の気もするん。どっちも2やからええねん。肩装備じゃないし…一応、可変して飛べたりするのだがフライングする犬はどうなのだろう。まあいい。
「ましたー。この銀色装備は光反射して目に悪い」
「緑色のグラサン用意したるん。今ならついでにピンク色のおかっぱカツラも付属するんなー」
「そんな俗物なのは要りません」
まあ、ピンク系の髪はロリ大魔王が居るからええねんやけどなー。緑のバイザーは用意したるん…で、ついでに合体アタッチメントに吸収したビーム兵器を放つ砲を付けとくんなー。葉牡丹と似た構造ですん…まあ、作者がオラな時点でお察しくださいなん。だって、葉牡丹という新太陽の子に対抗するにはこの銀色装備不可欠なん。ライバル対決対策装備ですん。
◇
「機械人の廃棄場ですか」
特訓もそこそこに、この国を案内される事になったわけで…興味のあった場所へと連れてきてもらった。
「正確には再生工場ですね。新規格の機械人は地斧の国のみで行われていますから、現規格や旧規格のボディー回収後に使えるものを再利用しています」
「本当に量産される機械のようですね」
「当然です。しかし、一応は人としての倫理観は植え付けています。誰かを嘲笑ったり蔑んだりしないように…この世界は創造主に優しい世界として形作られているのです」
お父様が虐げられたのは皆の記憶を通してある程度把握はしている。ロクでもない世界に生まれ、ロクでもない女に付き纏われた挙句、ロクでもない結果となった事は。
でも、この世界は…
「まあ、結局は失敗しましたけれど。そんな箱庭のような甘い世界は作られませんでした。創造主という概念は残りましたが、敬意や崇拝なんてものは下位の存在止まりです。だからこそ、機械神たちは民を見捨てました。我々同様…」
「見捨てたとは?」
「そのままです。我々支星'sは今回のトーナメントが終わった後、あなた方と同行するのは既に決定事項です。その為の契約、その為の我々の存在なのです。創造主に敬意を示さない者など物でしかない…たとえ創造主がこの世界をそのままにしていたのが温情だとしても、それを我々は是としません」
とんだ狂信者もいたものですね。まあ、こちらもお母様に敬意を示さない魔族は粛正してきた立場ですので理解は出来ますが…この世界の全ての人がお父様に従って行動した場合には崩壊すら起こるでしょうし、仕方ないのでは。
でも、きっと…勝手に忖度した結果なんでしょうね。誰かさんたちと同じで。