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レッスンとその成果

昼間は練習場で松明を持ったライオン先生がフィルムットとイフォルマくんを追い掛け回し、妹オークがそれを見学している横で弓の使い方をアイリスに教えつつ、夜はアイリスの弓の改造をするといった日々を過ごす事数日…母と娘に挟まれながらも添い寝という腕枕拷問によって未だ手を出せないでいる。出そうとしたら泣き出す母と、母を優先させる健気な娘の絆は構わないんだが、まるで俺がヘタレみたいな扱いで嫌だ。ちょっと現地妻作りたくなってきた。まあ、作ったのはアイリス専用のコンパウンドボウなわけだが。


コンパウンドボウ…洋弓の一種で、滑車を使って引きやすくした弓で、それに加えてスタビライザーとかスコープまで付けた。詳しい説明をしろとかいうな、俺だって文献漁って試行錯誤して作っただけだ。ゲームに武器の詳細なんて誰も求めてないだろうと。それを俺に求めるな…強けりゃそれでいいんだよ。



「…これ、前のより強い」



アイリスには強過ぎて大不評なんだが。強いは正義だ、可愛いも正義だ。つまり強いは可愛いって事なんだぞっ!



「いや、ボウの見てくれがごつがましいのが嫌ならデコるぞ、超盛るぞ?」



重くなるだけだから要らないと言われた。軽量化が今後の課題だとも…もう無属性魔法で良いんじゃないかな。俺はよくやったと思うよ…もう話聞かない。ここからは等価交換だ。手を出させろ、弓じゃなくて子作らせろ。






だが、そんな望み通りの展開にはならなかった。さっさと使い方をマスターしたアイリスと一緒に森へ狩りをするためやってきた。練習してた成果でスキル上がったんだ、間違いない…ステータス確認はいつかやろう。ステータスと裸のどちらを見られるかってシチュで…間違いないなく裸の選択無いな。風呂の増設はまだ終わらんのか?



「また倒した…でも、強過ぎ」



弓本来の攻撃力によって狙われた魔物がミンチより酷い状態になりまくり…嘘だと言ってよ、どんどこどん。森程度じゃ相手になりませんわ…コランダムベアでも20発打ち込めば倒せますわ。ちなみにコランダムベアの体力は2万です。やはり、矢をやり過ぎたか…無属性魔法を上乗せして放てと言ったのが悪かった。でも、それやらないと実戦じゃ使えないもの。それに、次の世界は対人戦だからオーバーキルも甚だしいですわ…まあ、アイリスが人間殺せるか分からないけど護身用レベル超えてるなと。


とりあえず、ミンチより酷くない部分の肉塊を拾い集めて処理をする。ゲームならドロップ頼りだったが、今夜は焼肉パーティーだぜ。皮をなめして加工も出来るぜ…ちょっとやり過ぎたから隠蔽しとかなきゃ肉片で他の魔物呼び寄せた犯人とバレて出入り禁止になるからな。まあ、バレなきゃいいんだよ。バレなきゃな。


数日後、森に凶暴な魔物が集団で現れたらしいが偶然だ。ライオン先生がフィルムットとイフォルマくんと蹴散らす事になるがどうでもいい事だ。アイリスが卒業扱いになった時点で専属コーチになったし…というか、ごま油臭い部屋を引き払ってチェリアの部屋に押し掛けて住んでる。生徒に手を出せない担任なんて興味無い。ましてや男しか居ないクラスの担任なんて…お前ら満足か、そんな仕事で。俺は嫌だね。






その夜、室内で淡々と焼肉焼いても食べ放題パーティーが行われた。何故か四天王も一緒だ。コランダムベアは居ない…肉食わんしペットたちも肉に対する欲求のベクトルが違うので居ない。交尾見せつけられても嫌なだけだし…



「…というわけだ」



義理の息子が妹に魔法について教えていた…寝取らせないからな。いくらチェリアが頼んだ事とはいえ焼肉という対価あるんだから。


ウィローの話した内容は魔法に関する基礎と応用だ。魔法スキルは先天的なものと後天的なものとがある。勇者を含めたこの世界の住人が使うのは先天的なものだけだが、俺たちプレイヤーがアクセサリーを用いて魔法が使えるのと同じように補助具を使えば使用可能だ。但し、先天的属性との関係で強弱のある魔法は使えない。つまり、炎属性を元々持った者なら炎に強い水と弱い風は補助具を使っても使用不可だ。逆に言えば、残りの地や雷、光と闇は補助具があれば使える。命属性は強弱に左右されず使えるのだ。


が、無属性だけは根本的に違う。無属性は気とか超能力とかって感じの先天的な属性魔法に分類される。プレイヤーも最初は使えずアイリスとの会話イベントで無属性を知り、都市と大和でイベントをこなして初めて使えるようになる後付け魔法に分類される。これはそもそも無属性のアイリスを偽勇者と思わせるミスリード仕様であり、他の勇者にもその仕様はあった。特にビッチ聖女のは酷かった。魔法を高めるためと言われて何処ぞの双子妹みたいにぐるぐる回されていたという話…わけワカメのイベントだったよ。アチェロに確認したらやっぱり中古だったよ。これだから外見清純派は…やっぱ合法ロリが一番だよ。



「…つまり、わたしもアクセサリーで、色々覚えられるはず?」



まあ、通常ならそうだろうさ。だが、ゲーム中ではそんなの無かった。他の勇者は覚えられるのにアイリスだけは無理だったのだ。つまり、ビッチ聖女の時みたいに先天的な属性持ちと交われば…ダメだ、俺後天的なんだった。それを理由にして子作り出来ない。



「……なあ、チェリア。お前ってユニークだよな?」


「誰が愉快なのじゃっ!」



口の周りタレでベタベタにしてる時点で十分愉快なんだが、俺の言いたいのはそういう事ではない。愉快なのは否定しないが…


魔王チェリア・ブロッサムとの戦いで苦戦するのはその特異な魔法攻撃だ。ちなみに斧は使わない。その魔法というのが全ての属性を使えるプレイヤーをもってしても覚えない、言わば敵専用魔法の類いに分類されるであろう攻撃。これは他のボスたちも持っているのであるのは間違いないというのが攻略スレの見解だ…というか、普通に分かるだろ。何を論議してたんだと…


そんな事はさておき。俺のチェリアとアイリスは母と娘だ。ウィローがどうやって生み出されたかは知らないが、同じ性別ならば遺伝しているのではないかと思うわけだ。つまり、何が言いたいのかというと…



「3人で組んず解れつすればアイリスも色んな魔法が使えるようになる」


「ホント何言っとるのじゃ、お主はっ!」



ナニの話ですが、何か?


呆れている四天王を横目に性女リリアンの事例を参考にしてやったら、「そんなの嘘じゃ、やりたいだけの言い訳じゃ」と言われた。表ストーリーであのビッチ、嬉々としてお爺様にヤってもらったと言ってたんですが、それは。この世界の宗教のトップがただのどエロクソジジイと発覚した瞬間だった。この世界やっぱりおかしいよ…後、俺は言い訳じゃなくて本心だっ!



「確かに、わらわの魔法は精霊魔法といって特別なものじゃ。じゃが、それは教えるのではなく精霊と契約して出来るものじゃ…その精霊も女神に滅ぼされ既に存在しておらぬ。わらわが教えるのは不可能なのじゃ」


「……残念」



チェリアが言うには精霊と契約して魔法ロリ魔王になったらしい。つまり…このままではチェリアが首から食われるという事か。だから俺に食われろ、性的に。という本気はさておき、チェリアとて無属性が扱えるというわけでないのだから、チートな俺を除けば唯一無二の存在だ。特別な存在だ…飴のように舐め回したい程に。欲求不満極まってるな、俺…






そんなこんなで、レベルを上げて無属性を極めたら強いだろという結論に落ち着いた。風属性魔法を換気に使っていたから必要無いと判断されたのだろうか…嫌だな、それはそれで。


で、酒盛りしようとしていた四天王を追い返し風呂へ行って戻ってきた。風呂で絡まれる事はなかった。フィルムットとイフォルマくんはライオン先生の調教で早風呂と早飯と早寝が身に付いたらしいからな…野郎の情報なんてどうでもいい。


弓の改造も終わったし、アイリスの魔法用アクセサリーも不要になったから作る必要も無い。釘バットも在庫品あるから新しい注文も無い…ぶっちゃけ暇です。こういう時は釘バットでも作ろう。別の世界で売るから大量にあれば良いのだし…とりあえず、寝室に保管してある材料を取ってくるか。そう思い寝室の扉を開けるとネグリジェ姿で座っている嫁が2人居た。



「……さて、釘と木の棒は何処にしまったか…」


「無視するななのじゃっ!」


「パパ、放置禁止」



無視とか放置とか言われても、そんな煽情的な姿でまた腕枕しろとか言うんだろ。俺は世界の平和のために釘バットを作る事に目覚めようとしてるんだ。入浴中にステータス久しぶりに確認したら、称号が「釘バット職人」になってたのを悲観したわけじゃない。絶対に匠を目指しているわけじゃないんだからなっ!


というか、いつも長風呂のお前らがこんなに早く戻ってくるはずなない。ヴィオレが何かやったか…どうせ欲求不満極まってるの見越してチェリアが何かやるよう仕向けたんだ。だが甘い…それは俺も分かってたからサウナで汗ごと流してきたわ。いや、煩悩をという意味でゴキ腐リわくような事はやってない。そう考えると風呂に長い時間居たな、俺。



「…とりあえず、ドッキリ成功って看板持った仕掛け人何処だ?」


「言っとる意味が分からんのじゃ。そんな事よりさっさと来ぬか…渡すものもあるのじゃ」


「引導か、用済みなのか…」



アイリス育てたから後は美味しい経験値として処分するつもりか、このカマキリ魔王。良いだろう…お前ら殺して俺も生きる。



「パパ、釘バット装備しない」


「お主は何を錯乱しておるのじゃ…」


「俺の嫁たちがそんなスケスケのネグリジェ姿で誘惑してくるはずがないっ!」


「わらわだってこんな姿恥ずかしいわっ…じゃが、こうして夫婦めおとの証は用意出来たし、これ以上お主に我慢を強いたら捨てられると思うて…」



チェリアは俺に向けて包みを差し出してくる。さっきまでの決意に満ちた姿は何処へやら、いつも通り顔を真っ赤にした茹でダコ魔王だ。ということは、これは幻じゃない?


釘バットを片付け、チェリアの手から包みを受け取り開くと…ミスリルのブレスレットがあった。



「…巨人族の指輪?」


「パパ、そういうの、要らない」


「わらわとアイリスがデザインして作ってもらったのじゃ…じゃから、これでわらわとアイリスはお主と夫婦めおとじゃ」



ブレスレットには桜と菖蒲あやめが彫り込まれていた…隷属の効果は無いがそういう事だ。しかも、全部に彫り込んでいない…つまり、まあそれは今考えまい。



「…これを俺が着けたら、もう逃げられないぞ。地平の果てまで追いかけて行って子作りしてやる」


「そんな執念要らんのじゃ…それに、逃げるつもりは無いのじゃ」


「パパから逃げたら、釘バットで襲われる」



そんなストーカーはしないぞ、俺は。不倫したら相手の玉潰して切り取ってトイレへ流すくらいは最低でもやるが、自暴自棄になって世界滅ぼしても愛する者を手に掛けるなんてそんな事…まあ、不倫した時点で愛されているとなんて思うなよと。



「…まあ、それが分かった上でこれを贈ってくるなら構わないんだけどな。そこに俺だけしか愛はなくとも」


「バカな事を言うでないのじゃ…世界とか女神のために身を捧げるのは1度で懲り懲りじゃ。少なからず気持ちがあるからこそ贈るのじゃ」


「キッシュが、助けてくれた。ほんとの事、教えてくれた…お母さんに会わせてくれた。だから、次はキッシュに、幸せにしてもらう番。そのためにはキッシュが幸せにならなきゃダメ」


「……はぁ……素直に愛してるって言っとけ」



俺はブレスレットを左腕に着けた。別に信じていないわけじゃない…こいつら、ちょろいし。まあ、そこまで言われて何もしないじゃ本当に最低だからそのまま近付いて2人を押し倒しましたとも。


食い物の親子丼は苦手だけど、この母娘丼は嫌いじゃない。むしろ、大好物です。よっしゃ、いっぱいもげてやるぜっ!

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