友と君とそんじょそこら辺で…という夜宴
蓮華と天華の死闘という名のジャレ合いが終わった。というか、本気になるまで互いに煽った結果ダブルノックアウトである。勝ったら望みを1つ叶えたると言ったが、ドローなので両者負けである。
「出来もしない約束で煽る意味すら無かったじゃないですか…」
悲観してる鬼クソトメは蓮華の願いが叶う事無いと分かっているから、恨めしそうに睨んでオラの手を握り潰し、あいたたたと叫んだ。何でもないような爵位級の防御力のワイに敵うものか。
とりあえず、水ぶっかけて起こせばええやん。紅蓮のタチ悪い太刀に水の欠片ぶっ込んどくんなー…え、シャルロッテやマールには指輪あるだろ。水系統多すぎやねん。炎の方も3人居るけど、そっちはメ◯ゾーなのとかイオ◯ズっぽいのとかベギ◯ゴったりすれば分類出来るねん。完全に紅蓮のポジション余分やねん。
さて、朱雀まで攻略はこれで確定である。互いに全力尽くしてバタンキューなわけだし…え、もう5人も増えて記録タイですよ。現地嫁だって多いんだぞ、ここ。あと1人増えたりせんよな。そんなお粗末な展開要らんし。
「あの、夜宴の準備中ですが緊急事態です」
今日の警備係であるAチームの骨女、黒夢姉さんが緊急事態宣言してきたん。え、大きな骨が出汁とってくれと進行中ですって…さすがに人骨ラーメンは遠慮したいんなー。
既に一つ目小娘の陽乃姉さんや般若の那由多姫さんも応戦に行ってるそうな。ガシャドクロとかいうリセマラしたくなる名前の奴ですわ、相手…いったい何武なのか。
「あんな妖怪が屋敷を襲えば一たまりもないですね。総力戦といきましょう…皆さん、ご準備を」
「うむ、分かったのじゃ。されど、蓮華と天華は休ませておくのじゃぞ。戦えぬものも無理をするでない」
「戦えるオラは無理するんなー。召喚・八天の武具」
雪ババアに呼応して最強形態になるのである。この世界での八天の武具はガシャドクロのリセマラで出せと本能が叫んでるんなー。あれ、絶対2つの指輪で合体した玄武やもん。
何故かって…額に『げんぶえーす』ってご丁寧に書いてあるんです。どっかのコミック誌みたいなん。那由多姫さんが必殺の頭飛ばししても復活するんですよ。意味分からん。
えーすは2人で1つだったはずなん。え、敵サイドに豆狸が居るから間違いないとか言うなし。ハンマーぶつけんぞコラ。
きっと、八天の指輪とかピアスなんだろ。2人を合体させてパワーアップさせるリンドウとスズラン専用装備…いや、蓮華と天華も使用可能なん。アイリスとイリスとかもありなん。アレカレは知らんがな。
「というわけで、全力全壊でやってくるんなー。八天の武具出すまで粉砕してくるん」
「つらら、皆を避難させた方が賢明」
「そうですね」
アイリスが酷いと思うん。せっかく改築し出した屋敷を壊したりはしないん。ただ地下の掘削が半端ないから地盤が弱くなっているだけなん。あんな大物来られたら穴開くという方が心配なん。
「さあ、肉骨粉にしてやるぜ」
「肉ありませんが…」
イリス、野暮なツッコミは要らんですたい。というわけで速攻魔法『骨は大地に還り、魂は天に還れ』を発動。これはフィールドにいる相手アンデット系モンスターにのみ有効な命属性の魔法である。浄化以下略…黒夢姉さんは巻き込まれないように注意するんやで。というか、般若な那由多姫さんが般若心経唱えたら成仏する簡単なお仕事だと思うん。ほろーみー。
ガシャドクロは地に還った。つまり土葬である。という事で精進落としである。遺産は「八天の足輪」でした。1回使ったら解除出来ない仕様なので改良しておきますねー…単なるサビ落としともいう。左右対称に装着してキックで重ねると合体するらしいんなー。試しにリンドウとスズランでやったらスズリンになった。オッドアイでした、パーフェクトノックったともいう。効果時間は放送一回分でした。
「寿司と刺身と焼き魚なん。カニは入ってない安値折詰だから気にせず食うんなー」
とりあえず、折詰用意したん。オードブルもあるん。酒は勝手に飲めばええ…こちとらまだまだ用意してるん。酒まんじゅう山盛りなん。天華は甘いもの要らんと突っぱねやがったのだ…あいつ激辛党だったん。寿司にワサビたっぷり仕込んでやっても平然と食べてるん。あ、顔は真っ赤だわ。
「これで残るは第八天魔王ですね…」
「長年の悲願が遂にすぐそこまで…蓮華様、先祖累代の無念を晴らす時です」
あっちはあっちで不穏な話してるん。というか、先祖累代の無念って前世のものだと思うん。雪ババア、色々吹き込み過ぎなん…今の蓮華が14代目ってのも眉唾なんな。まあ、そんな事よりも蓮華の親友を泣かせた時点で罪は最重である。ガシャを送り込んだ時点で敵対行為なのだからぶっ潰すのは確定っす。
◇
「元に戻る方法があるというのか?」
「まさか、あいつらが自我を失って出て行くとは思わなかった…だから、そのアフターケア」
白マントが持ち込んだ足輪によってガシャドクロ・げんぶえーすとなった大鬼とぬらりひょんは自我を持っておらず何処かへ出て行った。あれはもうダメだと見切りを付けられたともいう。
だからこそ、白マントは別のアイテムを提供する事となった。損失補填である。ぶっちゃけ、足輪を提供するのは他の目的もあったから織り込み済みである。
「キツネやタヌキが葉っぱで変化するのだから、貂のあなたでも出来るでしょう。この金色の葉っぱなら、一応」
白マントが取り出したのは胡散臭さ満点の葉っぱである。金メッキが施されているようである。ところどころハゲている。
「一度だけの使い捨てとなるもの…という伝承です。自身が思う最強の妖怪に変化する事をオヌヌメします」
「フッ…分かっておる。以前の我に、戻ろうではないか。ハッハッハッハ」
高笑いする第八天魔王…白マントの「最強って言っただろ、バカめ。プギャー」という声は聞こえなかったようである。
◇
「葉っぱ一枚あればいいとかって歌があってな。つまり、これが朴葉の味噌焼きなん。葉は食わなくてええんやで」
何故か好評なん。キツネやタヌキは葉っぱ使った料理好きなんなー。オラは鍵葉好きだったんなー。キャラメリゼしたスナック菓子は無い。ハト狩ってこないとな、東の方で。
さて。そろそろ最終決戦に向けて武器の新調の為のヒヒイロカネ採取とかに行かなきゃならんのん。考えてみればクボタイトの採取してなかったんなー。だからこの屋敷に死神さん居ないんやな。
しかし、紺混城は無いわけで…そういえば神殿の材質って何やろ?
鳥肉確保しにいくついでに調べとくんなー。ついでのついでに神殿の先の城へ行ったらあかんやろか…とかいっても鍛治の才能とか無いんですけどねー。サビ落としが関の山なん。
さあ、天狗どもを絞めに行くんな。カラスも一応は食えるらしいし、期待してみるん。え、ゲテモノ食いとか言うなん。魔族よかマシですたい。