決意の朝と少しの日常
翌日からさっさと次の本へ行くための集中授業を始める事にした…かったのだが、麻婆丼を食いに行った先で四天王以外の教師という同僚魔王軍に囲まれ酒盛りをしたのて二日酔いだ。アルハラ良くない…でも、ロリ魔王親衛隊を名乗る連中を無下には出来ない。したら襲われて、返り討ちにして学園機能崩壊するからな。それに、帰る部屋は水入らずだと決めたのだ…ただ、俺下戸だった。頭ガンガンするから今日は休講だ。
「酷いのじゃ酷いのじゃ。アイリスを気絶させる程の事をするなんて酷いのじゃ…わらわを先にすべきなのじゃ」
ああ、頭ガンガンする原因はチェリアが一斗缶で頭叩いてくるからだった。何処から持ってきたよ、その一斗缶…って、天ぷら用に買っておいた特選ごま油じゃねぇか。頭油まみれになってる。血じゃなかったのかよ、これ。もう許さん。後でお望み通り気絶するまでやってやる。スリーパーホールドしてやんよ…
「酷いのじゃ…首絞めなぞ望んでおらんのじゃ…」
魔王だからか気絶耐性高くて落ちなかった。5分やって何ともないとかバケモノですわ、こいつ。それより一斗缶のごま油が全部こぼれて部屋中が臭い。チェリアとじゃれあってたから横で寝てるアイリスもベトベトだ…これがその手の液体だったら食べるんだが、スタッフ的にもごま油臭の中で食うのはちょっと…
「アイリスだって喜んで首絞められてたから気にすんな。むしろ、首絞められながらすると気持ち良いらしいぞ」
「なんとっ…いや、騙されぬのじゃ。確かに首絞められておる間はお主に触れられて気持ち良かったが、そんなの嘘じゃっ!」
それはお前が気絶耐性あったからだろうが、知った事か。こっちはある意味不気味で気持ち悪かったわ、ドチクショウ。いや、現在進行形でベタベタして気持ち悪いわ。
「まあいいや。とりあえず、3人で風呂入るぞ…気持ち良い事してやるから、早く用意しろ」
「……したいのは山々なのじゃが、ここ混浴や個別の風呂は無いのじゃ」
「なん…だと…」
よくよく思い出せば、ここ共同浴場しかなかったなと。前の部屋はシャワー付いてたけど浴室無かった。だが学園長ともあろうものが個別の風呂無し…というか、ペット勇者たちの事もあるのに個別の風呂が無いだと…桶か、桶と手拭いで体清めてるというのか?
「…まずは衛生改革していけよ。風呂場プレイをするために」
「せんわっ!」
真っ赤になりながら全力で否定しやがった、こいつ…そんなプロポーションが貧相だからって気にする事は無いというのに。むしろ、個人的には貧相な方が今後の成長とか楽しみ…ああ、ロリババァだから無理か。
結局、母娘は女風呂へまな板を洗濯に。俺は部屋を丸洗いしてから風呂へ向かった。普通なら女風呂へ向かうイベントなんだが、今回は見送ろう。二兎を追い掛け回したら9枠が簡単に埋まる。ハーレム増加は計画的にだ。少なくとも2枠は確保しておきたいし…
で、ごま油を洗い流しゆっくりと風呂に入った。時間が良かったのか貸し切り状態だと思っていたのに、炙り焼きされた2人が入ってきた…勝った。
「キッシュも入っていたのか」
「先生を付けろ、この丸焦げ野郎」
フィルムットは懲りてない。性別変更アイテム使って…不毛だ、やめとこう。それに、そこまでするならハーレムに入れなきゃいけなくなる。無理、生理的に無理。イフォルマくんなら…ちと悩むところかもしれない。どうしてヒロインじゃなかったのかとまた投書しておこう。運営のメアドってなんだったっけ?
「あの、キッシュ先生…クラスの事なんですが。どうして勇者クラスに変わらないといけないんでしょうか?」
そんな女体化候補からそんな質問があったので「イフォルマくんだからさ」と答えてやった。まあ、実際に学園の英雄になったわけだし。魔王カタタ・マーキンの正体を暴き、最後の一撃を加えた新たな勇者として多くの生徒が目撃している。俺の炎はストーリー特有の改竄で有耶無耶になってるんだろう…悲しくなんてないんだからな。むしろ、断末魔忘れたのが悲しい…
まあ、どちらにしてもこいつらはアイリス鍛えるための数合わせでしかなくなってるし、あんなトラウマ抱えてたんじゃ今後が不安だ。炎に……あれ、もしかしてこのトラウマの原因はカタタ焼いた俺の炎じゃね?
まっさかぁ…そんなの絶対あるわけないよっ!
のぼせるので一足先に出た。決して、アイリスのトラウマが俺のせいだと確信しないうちに逃げ出したのではない。戦略的撤退でもない。ごま油の臭いは…また風呂入ろう。
「キッシュ副学園長、よろしいか?」
両性具有ライオンが声を掛けてきた。今は男だ…ビーストモードとかもあるらしい。コランダムベアがメスなら擬人化もあったかもしれない。というか、いつの間に副学園長になったよ?
話によれば件のフィルムットの妹が到着して学園長室で待っているらしい。されど、チェリアは入浴中で、フィルムットもイフォルマくんと禁断の関係に進むからと…ホモライオンの願望はどうでもいい。とにかく、俺が応対しなきゃいけないみたいだ。新しいフラグ立たなきゃいいけど。
で、学園長室にやって来た。そして、フラグどころかイフォルマくんリア充計画が計画倒れした事を悟った。
「兄様はまだですか…ブヒ」
フィルムットの妹のミリル…正真正銘のメスブタでした。いや、オークなんですけども…そう。ピンクのミニブタ人間現る現るって感じです。しかも、実妹じゃなかった…ヨスガじゃないなら兄妹でどうなっても構わないよねっ!
学園編第2弾あるな、これは…どうして、ゆるふわ系妹でフィルムットとイフォルマくんが取り合う事にならないのだろうか。いや、まだ希望は捨てまい。俺はオーク嫁とか要らんけど…結論、うちの嫁たちは可愛い。
だが、オークになってしまう病なんて無かったと会話していて分かった。こいつ、兄の気を引くために仮病使ってましたわ。マジメスブタ…うちの嫁たちマジ天使。まあ、フィルムットのために言ってやるまい。後、フィルムットがB専だから相手居なかったんだね…さすがにブタ専門は予想してなかったわ。イフォルマくんのために女体化の方法を探して本の世界を回ろう。牧場か大和ならありそうな気がしてきた。
結局、チェリアがやってくるまで小一時間汚話していたよ。チェリアの長風呂に関してはとやかく言うまい。俺のため綺麗にしていたんだからな…というか、未だに来ないフィルムットの方をとやかく言いたい。まさかホモライオン…いや、フィルムットだけなら犠牲になっても構わないんだが不安だ。
「まあ、後の事はこちらでするのじゃ…キッシュ。お主はアイリスのところへ行くのじゃ」
「分かった。先に手を出して待ってる」
「そんな事は望んでおらぬのじゃっ…アイリスのレベル上げに同行して行く準備を整えておくのじゃ」
話を聞けば、この権力者…一存でアイリスの卒業を認めやがってた。まあ、試験官が四天王で相手が魔王の娘なら接待試験になるからな。勇者という事もあるし、俺の傍を離れないなら一般常識は俺やロリママが教えてやれるし…アイリス以外の2人は炎の克服からするとか。何故だろう、ホモライオンにロウソクで責められてる姿が浮かぶのは…
そんな事はどうでもいいが、学年上がるごとに少しずつ手を出していって最後はおいしくいただきますというシチュエーションが潰えた。今日はよく計画が頓挫する日だ。
「よろしく、お願いします。パパ」
教室に行くといきなりパパ呼ばわりされた。また何か吹き込まれたな、アイリス…後でロリママを問い詰める必要あるな。まあ、パパと呼ばれるのも悪くない。魔法にハッピガってあったかな…最初に永続魔法として掛けられている事を望む。但しオーク妹には効果無い方向で。
「とりあえず、レベルを上げて物理で殴れる程度には強くなってもらうからな。まずは武器に慣れる事からだ」
ミスリルのナイフは持ってたから杖や槍、グローブと弓と鞭をアイテムボックスから出す。銃は材料不足で作れなかったから仕方ない。とりあえず、目標はアイリスが使いやすい武器を見極める事だ。いくら後衛でダメージの通る無属性魔法があっても魔力尽きたら倒れるのだから武器無しというわけにはいかない。
「まあ、魔物を倒す事に慣れていく事が肝心だな」
「うん」
この学園では5年になるまで魔物と戦う訓練とかは無い。が、生徒だって小遣いが欲しいから坑道へ鉱石や宝石を取りに行ったり、森で採取したりする。その中に魔物討伐もあるが血気盛んな奴じゃないと受けない…ヴァンとか片玉とかカタタぐらいなものだ。経験値か魔物の素材が必要じゃなければ稼げる額は少ないからだ。素材売るなら鉱石や宝石を売った方が良いし…
「…でも、これ強過ぎ。弱い魔物、一撃死」
「全部ミスリル製だからな。この世界では一番強い部類だ」
ミスリルより強いオリハルコン、アダマンタイト、ヒヒイロカネなんて部類の鉱石はここでは採掘出来ない。強いて言えばミスリルの加工とかは成功率低いから購買では鋼鉄製の武器防具が最高品だ。その中でアイリスのナイフは姉から渡された物なので…というか、勇者が全員ミスリル装備持ってるなんて生意気だ。勇者のくせに…おっと、これ以上はいけない。後、アイリスは俺の嫁だから許す。許すったら許す。
「まあ、弱い武器で手間取ればこちらが危ないからな。嬲って良いのは嬲りたい奴が居る時だけだ」
そう考えたら、釘バットが作れてしまったのが大失敗だったの巻。でも、それだと玉潰す前に止められてたか…どうでもいいか。終わった事だ。嬲りたい奴はまだ沢山居るし。
「パパ、これ以外…返す」
アイリスは弓だけを手にし、他は要らないと言った。まあ、鞭を使って俺を調教しようとしたらやり返すが…ミスリルは痛いか。だが、イフォルマくんと同じ武器なのは裏があるのだろうかと思えてならない。後、弓は意外と難しい。体が覚えているから俺だって何とか出来るレベルだ…つまり、出したは良いが教えられない。見て覚えてもらうしかない。ゴルフを教えるセクハラインストラクターみたいな事が出来ない。いや、魔物に立ち向かいながらそんな事はしないけどさ…
とりあえず、使いたくないものを強制するつもりは無い。他のは殴ったりする感覚伝わるからなぁ…それに華奢なアイリスには無理だ。早く銃器作れるよう頑張ろう…