表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/371

これからの事、これまでの事

ここで改めてアイリスの事を語っておこうと思う。


無限の勇者アイリスは人造人間である。出身国にかつて現れた強大な女魔法使いの残した血液を元に魔法学の力で生み出された「イリスシリーズ」と呼ばれるホムンクルスの1号体であるが、女魔法使いと同じ魔法は使えず失敗作の烙印を押され研究施設でモルモットのように過ごした。ちなみに男研究員とかに襲われてはいない←ここ重要。


だが、その暮らしの中で無属性と呼ばれる属性魔法を修得し唯一無二の魔法使いとなる。それと時を同じくして勇者の証が体に現れる。ちなみに勇者の証は先天的に持つものと後天的に現れるものがある←ここ重要じゃない。


そして、国を離れて学園に送られる事になった。遺伝子的な母を捜したいという心の支えを胸に秘め、姉である0号体イリスに見送られて←ここ重要そうだけど、姉妹丼まで今は要らない。


で、ゲーム紹介時のキャラ絵はご存知の通りフードを目深に被り目すら見えない典型的な取ると美少女予感の立ち絵。実際に美少女だったわけだが、攻略サイトでは最初不評キャラだった。良さが分かってない奴はこれだから…まあ、フード取った後でトルスに盗られるんですが。でも、今は俺の腕の中で寝てるぜ…お姫様抱っこ中に全身弛緩するのはやめて欲しい。持てなくはないが背後に子泣きババァがしがみ付いてるから腰やられそう。


そういえば、子泣きババァから過去の事を聞いた記憶が無い。女の過去を聞くのは野暮ではあるが今後の介護には必要な話だと思う。ボケたら苦労するのは嫁や娘と決まってる。俺はそんな介護逃れしない。安心して過ごせる施設に入れてやる。



「というわけで、どんな老人ホームに入りたい?」


「いきなり姥捨てはやめて欲しいのじゃっ!」


「結婚云々言ってたくせに愛人送り込むとか婚約破棄した上で慰謝料貰ってウマーなクソ女の典型じゃないか。そんな事されたら100年の恋もエターナルフォースブリザードだっつうの…捨てられて当然だろ」


「嫌じゃ嫌じゃ嫌なのじゃ…」



無い胸を押し付けて抱き着くロリババァ。本当に単純で愛くるしい奴だ。でも、あまりやり過ぎると斧を持ち出すから程々にしておこう。考え無しでこんな事をしたならちょっと本気で考え直さなきゃいけないが、伊達に学園長してないんだから大丈夫だろ。



「そもそも、NPCは1人しか仲間にならないって制約あるだろ。だからお前を選んだってところもあったのに…」


「あー…まあ、当てが無いわけではないのじゃ。お主も持っておるじゃろ…『神魂の欠片』じゃ。あれがあればどうにかなるのじゃ…わらわ以外の誰かから貰えば良いのじゃ」



神魂の欠片ねぇ…そういえば、この世界にやって来た時に女神が魔王とかって話をしていたな。チェリアが勇者だったとかも言っていた…この話には覚えがあった。



「勇者たちか…いや、箱庭の暗黒騎士団と言った方が良いのか?」



エデンの箱庭のストーリーに登場する堕ちた騎士たちの話…その中に闇の魔法と斧を操る魔族の魔王という御伽噺の登場キャラが居た。その幻影とのバトルもあったが、その幻影は男のグラフィックだった。それにチェリアが斧を使うなんてさっきが初耳だった。



「まあ、全てというわけではないが似たような話じゃ。わらわたち9人で世界を滅ぼそうとした女神を封印した。じゃが、間に合わず世界は8冊の本に押し込めるしか出来なかったのじゃ。この世界は女神に壊された世界の欠片じゃ…わらわたちは世界を元に戻すため動きお主を召喚した。じゃが、お主を含めたプレイヤーの達成度とやらで不完全ながらも女神の封印が解けた」



どっちもどっちで状況が動き出したというわけか。ちょっとおかしな部分あったが、よくよく考えれば数字合うな…



「神魂の欠片は全てで10あるのじゃ。お主の以外は、お主たちが言うところのボスが持っておる…アイリスはこの本の住人じゃが、1度だけなら他の本へ移動させる事が可能じゃ」


「成る程。そこでボスから殺して奪い取るんだな。つまり、俺のハーレムは最大9って事か」


「お主やはり色々と最低じゃの…普通は仲間と言うべきところなのじゃ。譲ってもらうとか考えるところじゃ」



仲間になるとして、どうしてわざわざ男と組まないといけないのか。ゲームならまだしも、現実というクソゲーだぞ、ここは。お前は他の男に寝取って欲しいのか。欲しいのならお前殺してアイリスが正妻だ…と言わないが、男は却下だ。だからこそ次の目的地は簡単に決まった。ただ、チェリアとアイリスを除いて7人も気に入った女キャラ居たかなと思う。何人かは居るが敵対するのが多いし…



「まあ、10人になったら古参順から控え室行きだからちゃんと譲ってやれよ」


「ホント最低じゃの、お主…」



ロープレなんてそんなもんだろ。だから俺はポケ○ンとかは最少ゲットにしてきたんだ。必要以上に仲間にしたって抱え切れないんじゃ意味無いからな。今でも抱え切れてないわけだが…部屋が遠い。転移装置を俺の部屋にも設置しやがれ。








地下から這い上がり、教師用の棟の最上階にある俺の部屋まで徒歩数十分、眠り姫と子泣きババァのオプション付き。さすがに疲れた。バッドステータスに疲労が付いてる。これ、初夜迎えられないパターンですわ。


部屋への扉を蹴り開け、アイリスをベッドへ放り投げて、背中に貼り付いている子泣きババァを引っぺがしてお姫様抱っこしてやる。



「な、何をするのじゃ。離すのじゃ…というか、年頃の娘を投げ捨てるでないわっ!」


「やかましい。足持って振り回さないだけありがたいと思え、この子泣きババァが」



真っ赤な顔をして反論してくんな。疲労付いてなかったら張り倒されてでも初夜するような事をしくさって。俺の背中に無い胸を擦り付けて荒い息してんじゃねえっ!







数分すると茹でダコ魔王が気絶した。辱しめてやったぜ…というか、お姫様抱っこで気絶するなら先が思いやられる。他に何もしてないというのに。云百年生きていてどれだけ乙女なんだよ…


で、入れ替わるようにアイリスが起きてきた。outロリ魔王、in魔王の娘って事でベッドへ放り投げた。いや、むしろベッドインだから逆か?


まあいいや。投げた時に変な音が聞こえたが首寝違えただけだった。アイリスは大丈夫だったというのに…これが老いか。


とりあえず、寝惚け眼のアイリスに飲み物を用意して飲ませた。麻婆豆腐は飲み物じゃないと怒られた。激辛だったのでポコポコ叩かれた…アイリスの攻撃力は低いなぁ。



「キッシュ、意地悪…」


「意地悪で結構。運んでる途中で寝る奴に言われたくない」


「キッシュが温かかったから、仕方ない…」



俺は湯たんぽかと言いたいが、不安やら後悔やら色々とあって寝不足だったんだろう。誰だって死んだ後の事とか考えたら眠れなくなる。隣の見知った人が居なくなるのだから当然だな…その隣の見知った連中は真下で盛ってましたが。そんなもんさ、人生なんて…それより夕飯どうしよう。麻婆丼の材料無くなった。後で食いに出よう。


とりあえず、アイリスには担任として俺が義理の父だと告げなければいけない…担任関係ねぇや。まあ、幸せにして欲しいと言われたのだ。幸せの基準は人それぞれと思うが、捜していた人が見つかるってのは不幸ではないはずだ。



「…学園長がお母さん…そして、魔王…」


「後、俺の新古妻な」



チェリアの説明その1を終え、アイリスにここまで静かに拝聴していたご褒美を渡す。死亡フラグ、ミスリルの指輪だ。



「で、今日からアイリスは新妻な」


「……キッシュのお嫁さん…愛人じゃなくていいの?」



外国では愛人とは伴侶の事をいうのだから同じようなものだ。つまり、愛人が何人居ても俺の妻と言い張れば良い。今、オタクが「俺の嫁」を取っ替え引っ替えしている理由がやっと分かった気がする。



「ああ。その代わり、次に新妻入ったらただの妻だが」


「…キッシュと一緒なら、関係無い」



よく言った。新古妻にも聞かせてやりたいがニヨニヨしながら寝てやがる。しかもヨダレ垂らして…枕がヨダレまみれだから後で抱き枕にして絞めてやる。



「そうか。だったら、ここから更に選択だ。俺と一緒に居続けるために沢山の苦労をするか、現地妻で我慢するかのな」



説明その2、打倒女神。あわよくば奴隷化構想の説明をアイリスに行う。詳しくはヨダレ魔王が知っているから改めて説明させるが、早い話が俺と一緒に居続けるなら強くなれって事だ。アイリスは「子作り、頑張るから一緒が良い」と勘違いしていた。ベッドにヨダレ魔王居なけりゃ子作り頑張ってた。床に投げとけば良かった。



「…キッシュとお母さんと、一緒に行く。頑張って強くなる…だから…」



俺は言葉を遮るようにきつく抱き締めてやる。誰が置いていくかよ…そんなチワワみたいな目をしてこっち見るんじゃない。この母娘は本当に俺の加虐性を刺激するような言動しやがって…


こうして、これからも俺はこの母娘を弄ぶ事を改めて誓った。え、女神を倒す事を決意するのが普通じゃないかって…そんなのついでに決まってんだろ。俺の女がそうしてくれと言ってるからするだけだし。仮に倒したら元の世界へ強制退去とかになったら嫌だし。だから、奴隷化構想を抱く事にした。成功するかは知らん。


そんな事を考えていたらいつの間にかアイリスにスリーパーホールド決まって落ちてた。いや、眠っただけだ、気絶なんてしてない。俺の温もりで安心して眠ったんだ、そうに違いない。というか、体勢変わる程嫌だったのかお前…ただ全力で抱き締めただけなのに。ジタバタもがいてた気もするが恥ずかしかっただけだろう。子作り頑張るとか言ってたのにウブな奴め。


とりあえず、息してるの確認してヨダレ魔王の隣に寝かせてやった。母娘水入らずで語りたい事もあるだろう…それより腹減った。麻婆丼食いに行こう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ