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オクタグラム チェインテイルズ  作者: 紅満月
11章 新訳・牧場編
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招く猫、招かざる猫

ルーチェの人生は悲惨である。あ、前世の事な…


忌み子として扱われ、勇者となったがさほど待遇が良くなるというわけでもなく逞しくも儚い生き様を晒す事になり変態の飼い猫として壊される結果となったのは記憶にある。同情したけど遅かったである。


だからこそ、今回は命を救う展開を選んだ。なんか変身猫になってたけども。使えない猫であるけども。まあ、使える猫なんてそんなに居ないですよ。移動販売ではちょっと頑張っているが、飲食店で動物を飼うってのはどうなのと思う時もある。



「というわけで、お前には招き猫として頑張ってもらおうと思う。ただじっとしているだけの簡単なお仕事です」


「ちょっと失敗したからって酷いにゃ」



大皿の焼き鳥セットを落とした損害は大きい。落ちた焼き鳥はスタッフという名のコアドラゴが美味しく食ってました。まあ、セクハラしようと尻尾触った酔っ払いが悪いんだけどね。酔っ払いもコアドラゴが不味くいただきました。



「ソール、ウチ思うんにゃ。ウチも前世思い出したらマールみたいになれるんにゃ」


「それは無い」


「即答かにゃっ!?」



確かにマールはマルフォイくんの記憶を得てやる気スイッチオンになった。それをアピールしてるのも事実である。が、前世に夢を抱くのは間違いである。それは終わったものであり、2度と繰り返してはならないものであるからだ。ましてや、不幸な結末であればあるほど。


ルーチェが不幸な結末だったかは知らないし知る気もない。が、幸せであったというわけでもないのは明白である。だって、アチェロのペットなんだぜ…ヴィオレのペットたちともなんだぜ。


ぶっちゃけ、今なお同情の方が強いのである。前世と今世は別とは頭で理解してはいるが、おにぎり好きの猫という新事実以外は大して差はない。まあ、魔法少女化するコスプレ猫でもあるが自重はしている。


更にぶっちゃけると、イルムが恋しい今日この頃。でも、イルムは神で従妹だったのだから易々と会えないのである。つまりペットによる癒しが足りない。故にペット成分をルーチェに求めるのである。奴が寝た後にたまにもふっているのは秘密である。


なんだかんだで気に入ってはいるのだ。所謂弄りたい相手というわけである。だから、他人に触られるなんて許せるわけないだろうと…本人には言わんけど。ウィローの記憶が邪魔しなければもう少し進展してもええんですけどねー。トラウマになってるんなー。







翌日の移動販売はタコ焼きっぽい何かである。タコが手に入らないので地鶏の長男が入ってます。かしわ焼きやな…え、違うとか言うな。サルモネラ菌感染させるぞ。



「頼もう」



ほら、早速注文が入りました。ソースはあるん。都市で大量に仕入れてたん…どうしてタコを仕入れなかったのかが悔やまれる。マヨネーズは自家製なんなー。ケチャップや醤油などもいけます。オヌヌメはポン酢なんなー。



「はい、お待ち。ソースは自分で好きなだけ掛けてくださいなんなー」


「そうではない。バトルを頼もう」



客じゃなかった。いつものバトル狂でした…ややこしい頼み方するんでねえ。というか、なんか見た事がある魔物連れてるんなー。風の中の大虎です。風に立つ大虎でもええ。つまり、かつてくぎゅうのエサとなった虎である。



「我が名はジムリーダー・タカト。風属性の魔物を操るテイマーだ」


「知らんがな」


「先日、とある者よりこの風の大虎を託されてな。その者の話では、お主らがシゲタのジムを襲い奴を倒したと聞いた。強者との戦いが我も好きでな…こうして出向いたというわけだ」



あ、こいつ話聞かないパターンなん。後、ジムに穴開けたけど倒してはいない。精神的ストレスとかで倒れたんやないか、それ?


戦えとせがむので多々買えとかしわ焼きを売りつけた。今日のコアドラゴ担当はルーチェなん。日替わりでやってるん。非番ともいう…オラには無いという悲劇。まあええねん。


ルーチェとコアドラゴはお惨歩中である。散歩ではない、歩き回ると悲惨な結果になるからだ。今日も周辺には死臭が漂っております。客減るから他所でやって欲しいんなー。


ジャパなんとかタカトにはそっちに行くように言っておいたん。え、見届け人がいるってか。スズランにでも任せよう。かしわ焼き買いに来る客少ないんなー。やっぱタコ仕入れよう。金利分割手数料負担して売ってないかしら?







「我が名はジムリーダー・タカト。その魔物と勝負をしたい」


「にゃ…スズラン、変なの連れてくるにゃや」


「ソールさんに押し付けられたんです…」



あいつの差し金かにゃ…面倒にゃ。でも、ドラゴの世話当番だから仕方ないにゃ。



『気高き猫の獣人よ。その力を示せ』


「にゃ?」



魔物が喋ったにゃ…いや、違うにゃ。ウチだけに聞こえるんにゃ。変な虎にゃ…まあ、やってみるにゃ。








思ったより、かしわ焼き売れない。今晩はこれが飯になりそうである。やはり、事前に鶏肉加熱してるからパサパサするのが敗因なんなー。負けた負けたといったジャパなんとかタカトに大量購入させたが、こっちが手数料負担したん。目論見甘かったんなー。


で、なんか知らんけどルーチェがパワーアップしてたん。え、風の大虎に力を注入された……



「盛ってたんか、このメス猫」


「違うにゃ、そういうんじゃないにゃっ!」


「えっと、属性強化というか…力の譲渡ですよ。ドラゴが勝って、大虎に認められたので潜在能力を引き出されたというか…」



スズラン曰く、交尾はしていないとの事。なら構わないが、魔物が人間に力を羽生くんとか意味分からん。あ、猫だったわ。猫科の特殊能力なんですか、ルーチェ猫又になるん…ゲゲゲなん?


まあ、ただの猫が虎になって白いベッドのジャングルで戦いたいんなら構わんですたい。元のストーリーならルーチェはダテじゃないが孤児院に寄付とかするタイプでしたん。ランドセルにはビーム剣が似合うと思うん。


で、風の大虎はコアドラゴに美味しくいただかれませんでした。毛で進化してるから要らんかったらしいん。チェリアたちにも毛でどうにかなると伝えておくん。ジャパなんとかは栄光騎士団との関わり無かったからええん。悪のジムリーダーに渡ってたら容赦しないんな。


ところで、わざわざジムリーダーにレアな魔物渡す危篤な奴って誰やのん。オラならそれでジム制覇してチャンピオンになってやるのに。掴み掛けた熱い腕を振り解く展開が嫌だったんですかねー?


とにかく、ルーチェの毛並みがパワーアップした。もふもふ度がレベルアップなのだ。ちょっともふもふ用のシャンプーとか開発しようと思う。今後の為にも。

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