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オクタグラム チェインテイルズ  作者: 紅満月
11章 新訳・牧場編
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旅の始まりはもう思い出せ…記憶障害ですか?

トンテンカントンテンカンとプレハブ小屋を改造しています。タイヤが無ければジェットエンジンでも付ければ良いじゃないである。ホバークラフト化するだけです。



「ソール、少し話がありますわ」


「なんなん。手を止めるなって言うなら構わんのん。明日には動くようにしないと旅が出来んのん」


「それで構いませんわ」



シャルロッテが作業の邪魔しに来たんなー。他の連中はさっさと寝やがったん。まあ、防音魔法してますからな。



「話というのは……わたくしの事ですわ。きちんと話した事が無かったので」


「あー…まあ、それもそうなん。でも、知ってるから構わないのん。第三王女で氷しか使えないから邪険にされて、家出したなんて噂話としては知られすぎなん」


「そ、そう、ですわ…ね…」


「だから、そんな似た境遇の奴の昔話ならしてやるん」



それは、ウィローとシャルのお話。まあ、今のシャルロッテに言ったところで作り話と割り切られるだけなん。まあ、暇だから構わないん。


個人的には記憶戻してやりたいが、シャルロッテにしてみれば前々世の話なのだから無理ですん。前世でさえロクな展開じゃなかったのだし。


だから、これはあくまでも作り話。不遇の勇者だった女の子が、新しい魔王と幸せに暮らしましたという御伽噺なのだ。



「むかしむかし、あるところに氷の魔法しか使えないお姫様がいました。ある日、彼女は突然勇者に選ばれ、他の勇者と共に魔王を倒すために学園で学ぶ事になった…」



後は嘘を交えつつ話を作っていく。真の魔王カタタご勇者として紛れ込んでいた事、その魔王を学園の仲間たちと倒した事、次期魔王として選ばれた教師と恋仲になった事…え、ほぼ嘘っぱちとか言うなん。一応史実だ。



「作り話にしては上出来ですわね」


「信じてないのん…証拠もあるのん」



俺はあの写真を取り出す。ミリルの家にもあったにもかかわらず、こちらは全然色褪せていない結婚式の写真だ。



「前にも見たものですわね…これが証拠ですの?」


「んだ。これが証拠の1つ…もう1つはここなん」



新郎新婦の指を指差す。まあ、言わずもがな指輪です。シャルロッテとマールに渡した指輪です。単に似たものだろうと言われればそれまでですん。



「…こじつけですわね。だいたい、仮にそんな話が実際にあったとして、わたくしが知らないというのはおかしいのではなくて?」



これでも一国のお姫様なんだから、魔王の話を知ってても当然とおっシャルロッテ。まあ、それも一理あるが前の話はリセットされてますからねー。残念である。まあ、嘘松というならそれでもええねん。嘘やし大袈裟やし紛らわしいんやし、そうじゃろ?



「なら、嘘でええねん。ハッピーエンドなんてそう易々とあってたまるかなん。シャルロッテだって、オラと結ばれてハッピーエンドなんか求めておらんじゃろ?」


「そ、そんな事は…」


「今一度考えて欲しいのん。このまま一緒に世界を解き放つ旅を終えた時、全員が世界を救った勇者や英雄扱いなん。そうすれば欲しいものは手に入るん。富に地位、名誉や名声その他諸々…それこそ、ええ男なんて山のように集まるん。その時になって、どうしてこんなのを選んだと後悔する可能性は無いのかとオラは聞きたい。最初に抱いた気持ちは俺の隣にあるのか否かを」



冒険者なんてものは大なり小なり野望を抱くものである。有名になるだとか、金持ちになるだとか、やばい類いだと合法的に人を殺してみたいだとかだ。


シャルロッテはある意味有名だし金持ちだし合法的でなくても法がどうにかしそうではある。結局はシャルロッテのみぞ知るである。明日の朝は味噌汁なん。



「わたくしが最初に抱いた気持ち…」


「よーく考えて答えを出すん。そうじゃないとさっきの話のように一応のハッピーエンドの後に何も残らない未来しか残らないんなー…きちんと向き合ってゆっくり答え出すん。少なくとも、逃げない限りは近くにいてやるから。それに、このパーティのリーダーはシャルロッテなん。リーダーから解散って言わない限りはすぐそばに居て支えるのがメンバーなん」



嫌うつもりは皆無なのだから、時間はたっぷりあるん。たっぷりミルク使ったプリンが食べたいんなー。牛型の魔物を捕まえなければいかんのですよ。豚はいつの間にかボックスの中で繁殖していた。豚ムットの仕業であろう…ハーレムの一部を隠していたとか有能な豚だったのだろう。



「まあ、本気で嫌がるなら前世と前々世の記憶戻してからお話しようよなんなー」


「さらっととんでもない事を言いましたわね…」


「運命的な再会で言えば、チェリアたちよりシャルロッテの方が上なん。思い出したくないならそれでもええ…でも、少なくとも俺をまた本気にさせるような言動をするなら覚悟してもらうからな」



オラの愛は重いかもしれんが、ウィローの愛はドン引きするくらい重い。だって、やなっさんの生まれ変わりだぜ。学生結婚しようとした奴の生まれ変わりだぜ。何年も世界からバカにされても1人の女を待ち続けた大バカの生まれ変わりだぜ。


もし、シャルロッテが離れようとしたら監禁くらいはやってのける。間違いなく…だが、それが間違いという事も同時に理解しているからこそタチが悪いのである。


とりあえず、そのままシャルロッテはオラの徹夜の作業を見るかのように明け方まで近くにいた。風邪引くと言っても動かなかった。おバカなんだから考えても意味だと思うんなー。






朝飯は味噌汁と玉子焼きと納豆なん。長男しか居ないのに鶏卵が出来ていた不思議…オラのアイテムボックスの中は性転換も可能になっていたのか、単に地鶏の長男の特性か。育成ゲームは何故かオスメスの区別が曖昧なのに孵化器があれば無精卵でもヒヨコ生まれるという不思議ですん。アイテムボックスが箱庭になってまんねん。


さて、飯を食いつつも完成したホバークラフトで何処へ行くかの相談である。目的地は9つ…各属性最強の魔物のところである。


炎の獅子

水の金鯉

風の大虎

地のゴーレム

雷の大ネズミ

光の大蛇

闇の大狼

命の不死鳥

無のリッチ


だったと思う。多分…あんまり覚えてないんです。一年前の晩飯のメニューなんて覚えてないように。全部くぎゅうたちのエサでしたん。



「あの、ソールさん。相談なんですが…」



と、リンドウさんがドン引きするくらいとんでもない事を言いだしました。


ルート半分ずつに分けて、最後にドラゴンとスライムで食い合えば唯一無二のドラスラが生まれると。やっぱネグレクトはいかんなー。親恨まれてます。復活のMとかありません。というわけで採用ですん。


問題はメンバーの振り分けなんですよね。東ルートと西ルートで、最後に何処かで合流してバトルなん…オラ、そんな別バージョン求めてないんやけど。ハンバーガー屋で稼ぐだけでええねんけど。あ、聞いてないわ。


で、メンバー分けは仲良く殴り合いである。オラとアイリスしかホバークラフト操縦出来ないもん…ホバークラフトは魔法カードでコピーしました。後でもっとコピーして売るん。

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