魔物を統べるために…嫁と蒟蒻の攻防戦
改めて、リンドウとスズランの違いを見てみよう。レッドドラゴンでレッドスライムなのが元祖なリンドウ。ブルードラゴンでブルースライムなのがスズランである。え、2人はウロボロスだって…それ、シリーズ化しそうなんですが。
まあ、呼称はリンドウとスズランで良いとの事。赤き導きの巫女、青き導きの巫女なんてデフォルトネームよりはマシだってさ。オラはソールでお願いします。で、こっちは嫁以外初対面だから自己紹介させました。
「また増やしたんですね…」
「増やしたとは心外なん。勝手に増えたん…積極性に欠ける連中だから手すら出してないん」
「嘘言うにゃ」
猫がなんか言ってるが知らん。またもふられたいなら毛並み綺麗にしとけ。
「しかし、イルムの時といい今回といい…リンドウには驚かされてばかりじゃの」
「リンはあのドエムゴンとプライムの子だから仕方ないと思う」
「「あははは…」」
「でも、完全同位体なのは驚くのん。オラは悪くねぇとか言わないようにするんなー」
「身内の話ばかりで退屈ですわ」
「そうですの…」
シャルロッテとミリルが拗ねている。が、お前らの事は気にしない。むしろ、そこは根掘り葉掘り聞いて親睦を深めていくところだと思うん。
「じゃあ、ソールさんの話を教えてください。オレの知らない話もきいてみたいです」
「おれとしては、同じ人を好きになったんだから仲良くしたいし」
リンドウとスズランはええ奴である。良妻である。え、チェリアとアイリスですか…まあ、日和見というか楽しんでやがるのですよ。オラだから大丈夫とかいう根拠のない考えです。
「ところで…キッシュさんの嫁とかって話を改めて詳細にお聞きしたいんですが」
「マールがオラの話を冗談としてしか聞いてなかったのはよーく分かったのん」
神だった事、前世の事とか話しているんですよ。ただ、飯時だったのもあるのでアイリスしか聞いてないという…そんな事より飯作れという事ですか。マグロ丼とか作ります。リンドウとスズランが手伝いを申し出たが、今回はオラの英雄譚を教え込んでもらう事にした。
が、それを聞こうとしない奴も居たりする。イリスである…まあ、アイリスの記憶を見れる立場であるからだろう。後、露骨な点数稼ぎ。何もしないよりええんやけどな。
「で、この世界はどういう攻略をするんですか、お父様」
「ドエムゴンかプライムが成長したらクリアなん。その為には強い魔物を食って特定の魔物も食う必要あると思うん。つまり、グロ注意なん」
ゲームの時はひたすら倒しておくだけの簡単な作業でした。くぎゅうの育成に力入れました。エンジョイガチ勢でしたん。サポートが良かったからな。
とはいえ、今回はドエムゴンとプライムの育成……正直、気が乗らない。リンドウとスズランにとっては親だが、さっきから盗み食いしようとしているこのスライムとミニドラゴンは別個体と割り切っているらしい。むしろ、前世でも再会出来なかったそうな。どこぞのアホ勇者が倒して経験値にしたとか。記憶の引き継ぎは失敗していたらしいんですねー。所詮、勇者でなくなった者の末路なんてそんなもんです。
というか、そこまでしてでもリンドウ何とも思っていなかったという…まあ、娘を救いたいって気持ちは理解出来なくもないが、やり方を間違えてはいかんと思う。それに、桐生柳の消滅がリンドウたちの消滅なわけないやん。自分の愛を信じてやれよである。
◇
「では、後何人か居ますのね。キッシュの嫁というのが」
「そうじゃの。全員と会うまではお主たちは眼中に無いと思うのじゃ…というより、わらわたちもそういう対象ではないのじゃろうな」
あやつはスケベ大魔王のはずじゃ。それが全く手出ししてこぬ。心の傷はかなり深いのじゃろうな。まあ、その辺りはわらわたちも同じじゃが。
「ソールは自制心が強い。でも、全員で積極的に行けば陥落する。結亜たちみたいに…特にシャルロッテとマールがやれば効率的」
「そういうのだけでなく、きちんと気持ちを伝えないと。話を聞いただけだと責任取れって一方的に迫ってるだけだよ、それ」
スズランの言う通りなのじゃ。あやつは甘いから口にはせぬが、きちんと言っておかねばのぉ…
◇
なんか、口論しているが聞こえないふりなのん。え、なんだってである。正直言って、そんなにしてまでオラを陥落したいなら手伝えである。イリスしか手伝ってくれない現状では微妙なのである。
「お父様、実際のところどうなんですか。真意を聞きたいです」
「オラの嫁になりたいならまず耐えろなん。鬼のような姑な嫁と小姑みたいな嫁がわんさかいるん。余計なお世話ばかりしくさるから耐えなきゃどうにもならんのん」
「まあ、それは確かに」
「聞こえておるのじゃ」
それはお互い様なん。魅力が無いなんて言わないが、オラは人気者な気がしないん。あくまでもオラはソールなん。キッシュでもなければウィローでも、ましてや桐生柳でもない特別な存在だからです。そんなオラをはっきり見てくれてないうちは手出し出来ないん。
そんな些細な事はさておき、おかずはナスとピーマンの味噌炒め、豚汁、ゴマだれサラダにするん。リンドウに美味しいご飯沢山食べさせてやるんなー。
「いいから口を開けなさい」
「こっちもありますよ」
「これも食えにゃ」
「食べるのです」
自分が作った飯を食わせようとする責め苦が始まった。せめて、手作りからすべきなん。後、イリスに任せたサラダが美味しくないん…ゴマ多過ぎなん。市販のドレッシングだけでええのにゴマ足しやがったん。粉っぽいんよ。
あーんはええシチュエーションかもしれんが、せめて手作りしたもので頼むんと言い聞かせておこう。後、マグロ丼にワサビ乗せてなくて良かったん。せめて醤油垂らしてから食わせろなん。
「ところで、このスライムとミニドラゴンが成長したとして、きちんと魔物を統べる王になるんですか?」
「まあ、一応特殊個体という扱いですし。オレたちとしても両親はともかく魔物の統率は必要だと思ってます」
「この世界は魔物との混血人や変異してる魔物も居て、元の世界みたいな状態ではありません。そもそもあの王子みたいなのも居ませんし」
魔物の統率ねぇ…ドエムゴンとプライムがしてたのは被害女性保護と動物保護程度だったのだが。まあ、睨み効かせていたってレベルではあったのだろうが、大したレベルでもなさそうなのである。
というか、リグナとチギリとてつをはどうなったのだろうか。そちらの方が心配である。嫌なフラグが立ってないかという…
というか、全く話題に上がってないがチェリアたち忘れてるんじゃねぇの?