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2回目のイベント(攻略モード)

とりあえず、アイリスをベッドへ座らせる。前の部屋ならソファーとかあったんだが、教師用の部屋は簡素なものだ。そんな部屋に押し込めたお前の母親が悪いのだよ、ゲヘヘヘ…いや、あいつの事だから「生徒の寮に学園長であるわらわが通うのは問題じゃが、教師用の寮なら問題ないのじゃ」とか言いそうだわ。だからって部屋を狭いのにする理由無いが。



「キッシュ…ケガ、だいじょぶ?」


「あ、ああ。きちんと回復魔法で完治してある。気にするな」


「でも…刺したから…」



確かに刺されたけど、刺されるくらいの事はやってる自覚あるからなぁ…いや、まだ黄泉の国行きのボートには乗らんぞ。せめて、中に誰か仕込んでからじゃないと死んでも死に切れん。



「あれは事故だ。単なる偶然だ…悪いのはあのバカ元担任であってお前が負い目感じる事じゃない」



ついでにあの件だけに関しては完全に俺は悪くねぇ…いや、ゴキ腐リ発言があったからああなったわけで、やっぱ俺が悪いのか?



「それでも…刺したのに、キッシュ庇ってくれた。また助けてくれた」


「また?」


「坑道で、手引っ張ってくれた。してくれてなかったら、今頃カタタの胃の中」



あー…無意識にそんな事した気がしなくもない。まあ、あれで死んだら俺が疑われる状況だったし、間違いなくチェリアが泣くパターンだったし、俺自身も仕組んだ事とはいえ命の危険感じたし…



「だから、キッシュは命の恩人。なのに刺した…それなのに庇ってくれた。だから、信じられる」



ちょろインの娘もちょろインでした。しかも、計画して助けたわけじゃないからフラグの折り方が分からない。きっと、本当の事とか言ってもダメな気がする…



「そうやって簡単に信じたらダメだろ…その結果、傷付くのは信じた側だ」


「…カタタの事ならだいじょぶ。あんなの信じたのがバカだった…少し考えれば分かった。あいつは勇者になりたかったバカな子ども」



いや、その通りなんだけどもさ。バカな子ども扱いされる魔王(笑)に同情して…やる義理もないからどうでもいいか。



「でも、なんだ。その…」


「…トルスの事?」



まあ、ぶっちゃけるとそれだ。少なくともアイリスとトルスはカップリングの中で一番良かったと個人的には思っている。ネコ勇者にならなければ助けてやりたかった程度には良キャラだった。だが、ドラフト1巡目でヴィオレが持って行った。俺はチェリアのためにもアイリスを獲得する必要があったし諦めた。どのみち2巡目はフィルムットしかまともなの残らなかったし。



「……だいじょぶ。トルスは優しかった。魔物から庇ってくれた。でも、弱い魔物だったからきっと無意味だった。キッシュは違う…2回とも助けてくれなきゃ死んでた」



庇ったシチュエーションで上回ったわけですね、何か微妙です。というか、そんな理由で恋心抱くのか…設定甘すぎるだろ、おい。



「それに、トルスもう居ない。フィルムット以外の皆も居ない。居場所も無い…わたし、造り物だから、勇者じゃなくなったら必要ない」



最後のその言葉、5年の時にトルスへ告白する台詞なんですがそれは。トルスは「勇者じゃなくても、造り物でもアイリスはアイリスだよ。僕が大好きな女の子だよ」なんて口に砂糖製造工場でも入れてるのかって甘い台詞吐いてたな。俺には無理だ…そんなの言えない。だが、言わなきゃまた刺されるか自殺エンドでチェリアが泣くパターンだ。



「…別に必要ないなんて誰も言ってないだろ。むしろ、必要とされるはずだ。魔王を倒した勇者として利用される形でな」


「…それは嫌」



母親同様にジト目で睨んできた。まあ、そんな必要性求めてませんよね。俺もそんな事させるつもりは無いんだけども…



「なら、どうしたいか自分の口で言わないと誰も理解してくれないぞ。利用してやるって考えてる奴は聞いてくれないかもしれないが」


「……………………うん」



とはいえ、この世界のクリア報酬とか、これから言われそうなのを考えると…ロリえもんが何とかしてくれる事に期待しよう。



「キッシュ。まず、一緒にお母さん捜して欲しい。今はそれだけでいい…」


「…分かった」



我々スタッフが一生懸命、一生懸命捜しました。お母さん見つかりましたっていう展開だな。いや、スタッフって誰だよ…それに俺なら「私お母さん、今あなたの後ろに居るの」って方にする。実際、扉の向こうからこちらを窺うお母さんの気配してるんだよな、これ。


そもそもだ。俺はまだアイリスが人工生命体だとかうなじに証があってジロジロ見られるのが嫌だとかいう表ストーリーにあったイベントをこちらではまだやっていないんだぞ。なのに、俺がその事を知っている前提で話が進んでいるのを分からないとでも思ったかロリ魔王。


アイリスにチェリアが何か吹き込んだのは間違い無い。何かまでは分からないが、少なくとも母親とは名乗っていないだろうし、魔王と明かしてもいないはずだ。ハニートラップとか思いつくが、アイリスは真剣そのものだ。こいつ完全に、俺に惚れてやがると自惚れる。だって、母親と同じ目してるもの。



「とりあえず、チェリアに何を吹き込まれたのか吐いてもらおうか。返事はそれからだ」


「………………分かった」



アイリスは淡々と語りだした。曰く、俺が調査委員会を後にして事情聴取に呼ばれた事。その中で詳細を語ったらロリえもんが発狂しかけた。あいつは斧を持ち出してきてアイリスに襲い掛かりかけたらしい。病みかけとるな、あいつ…


まあ、それはダンディライ○ンがとめたらしいので構わないんだが、チェリアは色々とゲロったようだ。俺の素性を惚気と狂気に任せて…で、許して欲しかったら俺の愛人になれとか言ったらしい。肝心なところで欲望入れてきやがった。



「別にあいつに許して…モラワナクテモイイトオモウヨ」


「なんで、途中から片言?」



それはあなたが許してもらいたいのはお母さんだからです。折るのも回避も不可能じゃねぇか、このフラグ。そんなに親子丼が好きか…俺はカツ丼の方が好きだ。あのメスブタ絶対鳴かせてやる。精神的に柔らかくなるまで言葉責めで叩いて着衣のまま美味しくいただいてやるっ!



「…キッシュは、嫌?」


「嫌というわけでは…」



普通に考えて好みの美少女から迫られているのは悪い気がしない。そうです、ロリ系大好物です。最初のワールド選択はアイリスで決めました、そして絶望しました。トルスが良い奴だったから諦めました。ヴァンならゲーム辞めてた。


俺の嫁とか言うまでキモオタではなかったはずだが、チェリアとは別ベクトルで………言い訳すんな、俺。ハーレム作れるチャンスを逃すようなバカな事を考えんな。ロリえもんがこうやって仕向けてるんだからどうにかなるだろ。なら、懸念する事は…



「もし、トルスが生きていたら…ヴァン以外の勇者が生きていて、魔王も生きていたらどうする?」


「………え?」



嘘がバレて離れたり、嫌われたら…というか、裏切りだ。俺は正直でありたい。隠しておいた方が幸せな事もあるだろう。だが、罪悪感なんて持ちはしないがそれは誠実じゃない。酷い事は言っても嘘だけは言いたく無い。


全てを見せる事にした。バカな事をすると思う…が、子どもに嘘をつく親はろくな奴じゃない。でも、四天王と交尾してるのを見せるのはろくでなしだと思う。だが、それでもやるったらやる。それで納得出来なかったら最初の計画通りアチェロのペットなわけだし、余計な情を出したと割り切れるはずだ。






というわけで、地下深くにやって来て見たくもない他人の変態プレイを見た。何か、ポン・デ・ライ○ンが女人化してた。あのおっさん、実はキメラなんだってさ…やったねエグニス、子孫残せるよ。


他にも、合同で乱れ交わっているのがあったり、俺の義理の息子は純愛路線爆進中だった。おかしい…相思相愛の俺とチェリアよりこいつらの方がよっぽどリア充してやがる。これでは表ストーリーと大差無いではないか…地下ってどうやって爆破すれば地表に影響無いかしらん?



「………皆、幸せそう。トルスも幸せそう」



マジマジとマジックミラー越しにやってる姿を見ているアイリス。情操教育に悪いけど仕方ないね。掛け算の嫌いな女子は居ないらしいし…というか、ちゃっかり人体改造されとるやん。何処がなんて言わない。言ったら男としてなんか終わりそうなんだもん。


後、ヴィオレが反省してない。頑張れアチェロ先生。そっちに目覚めても中古品の引き取りは不可だ。責任もってどうにかしてくれ。



「……とりあえず、全員がこうして生きているのは分かってもらえたと思う。そして、先生たちが異常な性癖の持ち主…もとい、勇者にこんな事を出来る変態であるとも」


「………キッシュ。どんな変態でもキッシュならだいじょぶ」



おかしい。好感度上がってる。むしろ、バッチコイな雰囲気する…ロリえもん、このまま寝取られていいかな?


陰からこちらを覗き見てるチェリアにアイコンタクトを送ると嫉妬に満ちた目で見てきた。いや、お前がこうなった原因だろうと…



「…でも、どうしてキッシュは、この事知ってたの?」


「あー、うん…俺が仕向けた。魔王カタタに洗脳とかされていたからな」



そこは平然と嘘を吐く。安心しろ、魔王カタタ・マーキン…お前の名誉だけは絶対に守ってやるからな。お前に関する嘘はまったく心痛まないんだわ。



「カタタが……それ嘘。カタタは食ったって言った」


「魔法の力を食ったんだろ。意識を取り戻すために先生たちは頑張ったんだ。そして、愛が実り目覚めた…実に感動的じゃないか」



だが嘘っぱちな台詞だ、無意味だ。そこら辺はこの結果を見れば過程なんて要らないだろうと。というか確信した。こんなんでバッチコイの雰囲気を出せる娘が確実に折れないフラグを形状記憶合金で作っていると。



「…もし、俺が魔王だとしても大丈夫か?」



実際にはその夫なわけだが、大して意味は変わるまい。もうこれで折れなきゃ大丈夫だろ。正直、これ以上折る方向に考えたくない。チェリアじゃなくても良いからこのムラムラした気持ちぶつけたい。うん、最低だな俺(笑)



「……皆、幸せそうだった。わたしも幸せになりたい。キッシュに、幸せにして欲しい。魔王でも、何でも構わない」


「…分かった。幸せにしてやる…とりあえず、空き部屋に行くか」



俺はさっとアイリスを抱きかかえる。お姫様抱っこという奴だ。残念、チェリアの正妻の座は陥落したっ!



「ま、待つのじゃっ…お主たち、というかキッシュ。アイリスの母親の件がまだなのじゃっ!?」



半泣きで元正妻、現姑が現れた。「嫌だわお義母様、これから夫婦で楽しみますのに野暮ですわよ…」と脳内鬼嫁が囁いた。



「口にしとるのじゃっ…わらわが魔王でアイリスの母親だとキッシュの口から言って欲しいのじゃ。後、キッシュはわらわのじゃっ!」


「失礼な事を言うな。お前もアイリスも俺のものだ。ついでにこの世界も俺のものだ」


「酷いガキ大将思考なのじゃっ!?」


「……どゆこと?」



しょうゆーことで分からないのだろうが、醤油はあるからギャグとしては使えるな。うん…そんなバカな事を考えてないで部屋に戻ろう。新妻と古女房を抱えるのは無理だな…



「とりあえず、背中ならしがみ付いて良いから部屋に戻るぞ、古女房」


「まだ結婚してないのに古女房は酷いのじゃっ!」



だって、ロリババァだろ。お前…とか言ったら泣くので言わない。だが、嫁がさせてくれないから愛人作るのに、嫁が自分の娘を愛人に仕向けるなんて何処の世界に居るよ…ここに居たわ。古女房が嫌なら新古妻だ、この野郎。


とにかく、状況を飲み込めてないアイリスに事情を話すため部屋へ戻る事にした。何処から俺の知らないイベントになってたんだっけ、これ…あ、最初からか。

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