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オクタグラム チェインテイルズ  作者: 紅満月
10章 新訳・都市編
150/371

もしもifがあるならば…畏怖は無くてええ

マンションのテナントと化して新装オープンである。1日だけ臨時休業しました。オラは建築で休めなかった…社員研修という名の慰安旅行もせなあかんなー。


コンビニも普通のコンビニはどこもフランチャイズ契約結んでくれなかったのでフライドチキンの原料とかは元値で渡してやってるんなー。ただともいう。ゾンビ専用スマホ販売とかもせなあかんのやろか?


昨日休んだから客足遠退くかなと思ったらそんな事無かった。新装オープンでゾンビちゃん店員もシフト分けて全員出勤するからと、いつもより多かった。昨日のうちにほぼ全員の入居終わってるから警備体制も強化しておるのだ。ストーカーみたいなゾンビは自我もてないしモテないので天に召させてますが。


ちなみに、子ども食堂は列に並ばなくて良いようにしてある。腹を空かせたままの子どもが居るという時点で、この国は歪んでおるのだ。ゾン結亜ちゃんがゾンビになったのは仲間にガードベントされたからだがやったのはやってしまったと主犯が出頭してきたが許してやった。その仲間はきちんと地獄送りにしたので償いに軍へ志願したのも許すポイントとなった。


おっちゃん思うわけよ。ゾンビ生み出したのはこの国の歪みのせいじゃないんかと…まあ、実際は何処ぞのマッドさんがサイエンスティックな事した結果やけど、解決策なんて無いんや。ゾンビになるって事は死んだって事なんよ。聖水とか意味無いん。そんなものそもそもありません。


強いて言えば、うどん食ったら自我や理性が戻ってきたという点である。歪んだ結果、何かしら腐っているのよね、目が腐った魚みたいとか。例えば、とある牧場のゾンビバカ息子がうどん食ったら理性取り戻したので格安で取り引きしてくれるようになったとかの事例もあったとか。腐ってもうどんである…それだと腐ったうどん販売してるみたいなん。当面持ち帰り分は取り引きの為に使うんなー。協力してくれる魔族も居るし…ツケで破産しかけたバカたちとか。



「店長、手が止まってますよ。早くおにぎり追加してください」


「人使い荒いバイトなのん。手袋して手伝えなのん」



塩を触りたくないからという理由でゾンビちゃん店員のおにぎりは廃止されました。百万というぼったくり価格がいかんかったのやろうか。利益はゾンビちゃん店員のものなのに。高価な酒オーダーするのと同程度だろうに…あ、そんな客が来るような場所じゃなかったのん。







新装開店から数日、ちょっとは客足が落ち着くかと思ったらそうでもなかったん。コンビニでフライドチキンやら弁当買うゾンビが居ても三食の内、確実に一食は食いにきてるん。安いのがお好みですん?


とはいえ、ゾンビだって稼げなければ食えないのだ。偽魔王ちゃんによって新貨幣が発行されたり色々あったのだ。魔族による経済侵攻の開始であるが、もうこの国の人間の内65%がゾンビ化やその影響で御臨終済みで、その内4割近くが理性のあるゾンビ化しつつあるので経済的に終わった感もあるのんと報道していた。為替市場は破綻する寸前だとか。まあ、関係ない話である。


ゾンビさんたちはしっかりと働いている。あるものは農産物の生産、あるものは畜産、あるものは生前の能力を使い発電などなど向いた仕事に従事している。その割にうどんしか食わんけど。まあ、レストランやりたいとか言うゾンビアルバイターがまずはノウハウをと弟子入りしてくるケースはあるんですが、独立する気配というかやる気ないんですわー。賄い目当てですわ。


そんなこんなで今日も忙しい。孫の手は借りぬがお子たちが水差しの交換などやってくれるので助かっている。ゾン結亜ちゃんは開店から閉店まで居る…というかゾンビ孤児院とか必要なんなー。保育園や学校関係も要るはずなん。また街づくり待った無しである。


と、いつものソバスキーたちがやって来た。不審人物に仮装した偽魔王ちゃんを連れて。なんか久々なんなー…おっと、ソバ茹でなあかんのや。あいつら茹で立ての釜揚げ麺じゃないと食わん贅沢でめんどくさい客なんなー。



「いつもの」


「同じく」


「分かってるんなー。ソバ4玉ずつとソバ湯はちょっと待つん。で、そちらさんは?」


「う、うどんを4玉分頼むのじゃ。1玉ずつ分けての」



そういうところは血の繋がりなん。めんどくさい客なんなー。だいたいそういうのは毎日違うつゆで食べたい奴がやるん。一度でやるもんやない。



「最近冷やしダシもざるうどん以外で始めたん。良かったら試してんなー」



追加で倍頼まれました。言うんじゃなかったん。本当にしちめんどくさい客なんなー。相手がこいつらじゃなかったら釜茹で注文は1人3玉までって決まってるから追い出せるのに…所詮店主程度の権力ではお上にかなわないのん。







ここ数日で様々な事があったのじゃ。まずは人間の軍隊による一方的な攻撃…これは、いつの間にか鎮圧されておった。わらわは知らんぞ、勝手に部下たちがゾンビたちと結託して終わらせておった。そういう事後報告はダメじゃと思う。


イリスによって既に有能なゾンビが軍に組み込まれておった。まあら人員不足なのは否めんので仕方あるまい…じゃが、有能なゾンビたちとは何なのじゃ?


そして、最近イリスが嫌がらせなのかうどんを買ってこなくなったのじゃ。正直、この世界の食材で魔族の料理を作るのは無理があるので…有り体に言えば不味いのじゃ。うどんが食べたいのじゃ。そう言ったらアイリスも来て両脇を抱えられて連れてこられたのじゃ。


どのツラを下げて会えば良いかと思うたが、あやつは普通じゃった。いや、死んで3日経った魚のような目をしてはおったのじゃ。が、普通の接客であった…何故か胸がズキズキと痛んだのじゃ。栄養足りてないからかのぉ…などと逃げはせぬ。悲しい気持ちになったのは理解出来た。



「おみず、おかわりです」


「おお、済まぬのじゃ」



小童なゾンビが水差しを交換してくれたのじゃ。はて、こんな部下はおらなんだが…イリスに聞くと、あやつは不遇なゾンビの子に食事を与えておるとの事じゃ。ふむ…やはり見所のある男には違いないのぉ…






ゾン結亜ちゃんが偽魔王ちゃんらの食事量を見張るために水交換に行ったのん。お残しは許さないんなー。8玉も頼んだのだから自業自得だ、カバめ。いや、バカめ。うどんやソバは別腹なんですかね、あいつら。


まあ、ゾン結亜ちゃんを見ているとオラもこれくらいの子の親になっていても不思議ではないという父性が芽生えてくる気にもなるのですよ。え、キッシュはきっと種無しだったから無理だし、やなっさんは魔法使いだったから不可能だとか言わんでええねん。


そういう感傷に浸りたい時だってあるん。心的傷だらけのソールですん。まあ、パパと呼ぶ嫁も居たから子どもにそういう事しないか自分に疑いも持ってますがな。ロリは合法のみでお願いしますと魂に刻んでおくんなー。



「店長、そんな事より味噌煮込みうどんのオーダーです」


「そんなメニュー無いん。え、賄いだと…ゾンビちゃん店員たちで作ればええやん。は、パワハラですか…分かったのん、作ればええんやろ…ほら、偽魔王ちゃんまでオーダーしてきたやんか」



この後、偽魔王ちゃんは完食するまで帰らせてはもらえなかったのは言うまでもない。9玉も頼むからや、バカめ。

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