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オクタグラム チェインテイルズ  作者: 紅満月
10章 新訳・都市編
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クローバーのジャック襲来。新メニュー始めました


エンジェルガード作戦本部…そこは首相を頭目とする対ゾンビ殲滅軍として集められた能力たちの集う場所であった。その中でも四天女と呼ばれる優れた能力の少女たちらが首相と会議を開いていた。



「謎のうどん屋か。くだらん…そんな金儲け主義の民間人なぞ捨て置け。今の我々には大義がある。そして、魔王軍もろとも葬り去るのだ」



首相、天野司はそういう人間である。もっとも、彼の正体が能力者と呼ばれる天使の転生体のかつての長、聖天使ゲガエルであるからこそ能力者たちを従えるのであるが。



「…では、まずはクローバー隊が先行するべきですね。相手の実力は未知数。しかも魔王軍の総力が敵となるならば力で勝るクローバー隊が適任でしょう」



オブザーバーである人物が天野にそう進言する。指名を受けたクローバーのジャックである幼女は無邪気な笑顔を振りまくだけだった。









なんか、ちょっと外が騒がしいのん。え、テレビでは天使軍が大攻撃してたりするとかって放送してるけどそういう騒がしさじゃないんな。いつもよりちょっと待ち列が長いだけなのん。ゾンビ客が増えた気もするんなー…



「いらっしゃいませー、ただ今うどん茹で待ちですん。少々お待ちくださいなん。待てないって奴はさっさとお帰りくださいなん。ゾンビちゃん店員目当ての方は天にお還りくださいなん」



誰も帰る気ないので大変である。うどん諦めて丼もの頼みに行くのも居るが全然追いつかないのである。でも、うどん屋以外の新規店舗作る気も無い魔族の考えが一番心配なのである。






この日、魔王城の近くの公園を中心とした人間が勝手に定めた絶対防衛ラインを超えての天使軍の侵攻が行われ、対戦車砲などが城門目掛け放たれたが謎のバリアによって無効化。対接近戦へと持ち込まれたが魔王軍、ゾンビの群れが「我らのオアシスにしてパラダイスに何してくれてんのじゃ」と決起。天使軍はその猛攻によりあっという間に崩壊し、多くの天使軍は虐殺かゾンビ化という結果に終わった事をソールが知る由もなかった。知る気も無かった。





なんか、今日は疲れたんなー。いつもよりうどん玉早く無くなったのに、丼ものでええからという事でほぼ完売してゾンビちゃん店員たちも満足そうに帰っていったん。ちょっとボーナス出しときますねーなんよ。ちょっとうどん玉多めに作るべきなんやろか。まあ、余らせると問題やし様子見なんな。今日はワカメだけでも食わせてくれって変な客も居たから仕込みと清掃して帰るん。四天王(イリスを除く)お断りって貼り紙しとくん。


と、仕込みを終えて閉店作業をしていると客が入ってきたん。おや、おぜうさんどないしたのんと声を掛けるだけで事案になりそうな幼女ですわ。どっかで見た記憶があるような……ああ、確か前世ではまこぴーの異母妹だった三浦結亜みうらゆあちゃん6しゃいである。苗字が違うのは義母の両親が養子にしたからだったん。但し、今世では全くの他人扱いである。


さて、このまこぴーラバーズの1人…というか全員が旧訳の革命組織の幹部ポジ、つまりこの世界で言うところの天使軍四天女に再編集されているのはよくある展開である。でも、この結亜ちゃんはゾンビ化しているのである。



「おなかしゅいたぁ…」



まだ理性はある様子。噛まれたところも抉られるほどじゃ無い。噛まれてか腹減ってか半泣きである。イエスロリータ、ノータッチの原則を破ったゾンビは滅せられるべきなん。とりあえず、何か作って食わさせよう。子ども食堂臨時開店ですん。


余って冷凍保存しておる賄い用のご飯を解凍してチャチャっとチキンライスを作る。ロコモコ丼用のハンバーグも冷凍保存していたので調理。唐揚げとフライドポテトはいつでも揚げられるように仕込んでおります。エビフライはエビ天からの応用なん。あっという間にお子様ランチの完成である。さあ、召し上がれである。



「おいちい…」



ガツガツと子どもらしく頰をリスみたいにして食べている幼女。どうして守らない、その笑顔である。ちょっとゾンビたちに命じて虐待してる親を率先的に襲うように頼んでおくんなー。とはいえ、さすがに幼女を保護するのはゾンビでも人道的にまずい気がするんよ。魔王軍の人事課に対応お願いしようと思うん。



というわけで、出前専用電話の内線を使って連絡した人事課の担当の四天王、イリスさんはこうぬかしてくれました。



『そんな大物、普通の知性あるゾンビみたいに魔王軍で雇えません。元お父様がなんとかしてください』



丸投げである。母性というものがあいつには無いと思うん。同情するなら金をやれってレベルでもないからゾンビちゃん店員たちも呼び出して相談したん。ちゃんと残業代も多めに出しますよ。


その結果、ゾンビちゃん店員たちの要望によって、うどん屋の社員寮まで作らされる羽目になったんや。通いが遠いとか言われても困るん。ちゃんと家賃手当も出してたんよ。交通費もなん…え、バスや電車、タクシーは乗せてくれない。それは社会が悪いと思うん。


結局、偽魔王ちゃんに嘆願書出して店の横の土地の借地権と日照権の問題もクリアして店を改装してマンションの一階のテナントになるようにブロック魔法で建築したんなー。その一室にゾン結亜ちゃんを住まわせてゾンビちゃん店員が持ち回りで育児をする事になってん。なんか知らんけどワイ懐かれたし。


まあ、ゾンビちゃん店員の知り合いが空いてる一階のテナントにコンビニ開きたいって言ったので融通しとくん。後はコインランドリーでもあればええんやないかな。一部ゾンビは自分の体液とかで洗濯大変らしいし。腐ってるからその手の本見て鼻血出してるみたいなんなー。


そうこうする中で子ども向け新メニューお子様ランチとお子様カレー始めました。普通のカレーもあります。お子様づれにも配慮して専用椅子とか設置しました。分け皿や子どもサイズのうどんも用意出来ます。子ども食堂も常時オープンして、子どもだけのご利用はちょこっとお手伝いしてくれたら無料にしますん。勿論、種族問いません。


後、ノータッチ破ったゾンビは強制的に天に還します。慈悲は無いんなー。甘味の取り扱いも始めました。ゼリーとプリンのみやけど。お菓子作り担当のゾンビちゃん店員も雇いました。自家製ゼリーとプリンの実力やいかにである。


これでオラの人件費無いんやで。なんでこんな慈善事業してるんやろ。その内フランチャイズ化して楽したいわー。








エンジェルガード作戦本部…



「まさか、こうもあっさり破れるとは。そして全滅か。いくら若年層が集まるクローバー隊といえども実力は折り紙付きのはず。魔王軍とゾンビを共に倒そうとしたのが間違いだったやもしれぬな」



ゲガエルは憤りを隠しつつ己の判断の甘さを痛感していた。が、所詮失ったのは第四の部隊であり、まだまだ練度の低い者たちであったと思い込んでいた。



「次の作戦を考えましょう。今回の作戦は遂行するにはリーダーがあまりにも幼すぎた。ですが、次からはそうはいきませんからね」



オブザーバーである黒マントを身に纏った仮面の人物はそう呟くのであった。

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