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オクタグラム チェインテイルズ  作者: 紅満月
10章 新訳・都市編
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食は世界を救う。ついでに人外も救う

うどん屋は盛況である。きちんと衛生管理もしつつ足踏みも行なっている、ビニール使用してます。コシが強いうどんとして魔族だけでなく、一部のゾンビにも人気である。 余ったうどんを手を振っていたゾンビOLさんたちに差し入れしたら理性を取り戻してしまったのだ。そのままブラック企業退職した中から何人かバイト採用したのであった。賄い付きでシフト制の融通が利くゆとりのある楽しい職場ですん。制服支給ありですん。



「釜揚げうどん上がったのん」



人手が足りてきたから釜揚げとか焼きうどんにも手が出るようになってきたん。うどんメニューが増えました、ついでに持ち帰り始めました。それでゾンビに食わせて仲間を増やしていきたいん。ゆくゆくはチェーン店化するん。バイトの採用応募もまあまああるけど、ゾンビ優先なん。うどん屋に出会いを求めるモテない連中は容赦なく落とすん。


とはいえ、全てのゾンビが元OLゾンビみたいになるわけではないようだ。かなり腐敗しないまま腐っていないといけない模様。つまり、健全な肉体で腐女子や腐男子でなくてはいけないようだ。百合でも可。まあ、その傾向があるというだけなのだが、現時点では。


で、蒟蒻者たちの話である。全くもって手伝ってくれない。まあ、アイリスはイリスと一緒に時折来店してはソバを出せと仰るのでソバの取り扱いも始めましたが。きちんとソバ用のつゆも用意してあります。オヌヌメはうどんとソバのあいがけです。半玉ずつで二度美味しいのです。もちろん増量可能です。ちゃんと別釜で茹でてるのでアレルギー配慮も出来てます。


シャルロッテとマール、ミリルの高貴3人は魔王軍のブレインとして頑張っております。あまり危険な仕事させたくないが、一応銀等級だから戦力にはなってるらしいのん。時折出前注文してくるので丼もの始めました。オヌヌメはカツ丼、親子丼、海鮮親子丼などなどですん。天丼は天ぷらから勝手丼でお願いしますん。出前料は距離に応じて別途いただきます、魔王城内は無料ですん。一部配送出来ない地域もあります、天使軍制圧地域はご遠慮くださいなのん。


ルーチェは隠密として天使軍やゾンビの発生理由などを探っております。手早く食べられるようにおにぎり始めました。炊き込みご飯のおにぎりもあります。オヌヌメは具が何種類か入った爆弾おにぎりですん。何が入っているかはオラの気まぐれですん。嫌いなものある場合は申し出てくれたら除けて握りますん。オラの手作りおいなりさんもありますん。ゾンビちゃんに握って欲しい場合は別途料金いただきますん。



「店長、またマスコミの取材依頼が来てますよー?」


「追い返せなん。マスゴミの取材なんて信用ならないんなー。塩撒け塩。ネットの書き込みの監視も怠るななのん。どんどん名誉毀損する書き込みは管理者通報するん。食べてもいないのに味を否定する奴らは晒して構わんのん」


「店長、追い返すのはいいけどゾンビに清めの塩撒かせないでください。手が荒れちゃうんで」



マスゴミは敵なん。時折、魔族が並ぶ謎のうどん屋とかって店内に設置してあるテレビで流れるけど取材お断りなん。あいつら面白おかしく話題作りしたいだけなん。たまに興味本位で人間さんも来るけど、店内では戦闘禁止なん。お客様は神様かもしれんが、死神や貧乏神や厄病神などはお断りですん。仕方ない、オラが塩撒くんなー。ハラタマキヨタマカタタマなん。








「ふぃー…」



夜の始めとなり、本日も玉切れによりお店終了なん。営業時間は朝10時からですん。うどんやソバの生地の切れ端で作った新規ゾンビ獲得用のごった煮持ってアルバイトゾンビちゃんたちは布教活動に行ったんなー…理性を持った彼女らは他のゾンビに襲われない特性あるから安心なん。念のため彼女たちのファンな魔族たちが護衛してくれてるから天使軍とかの襲撃も防げるんなー。


さて、明日の仕込みをしようと思った矢先にいつも通り迷惑な客たちがやってきたん。否、営業終了した後で来る奴は客じゃねぇ、ただの迷惑集団だ。



「やあ、今日もお邪魔するよ」


「ゴチになります」


「まずはとりあえず生だ」



迷惑な元同僚3人である。アルコールやってますがきちんと年齢確認します。人間のみ…魔族に年齢聞くだけ無駄なんなー。3人は勝手に座って残り物を漁り始めた。後で魔王軍に請求しますねー。廃棄処分料が掛からないがアルコール分やサービス料はきっちりいただくのん。あいつらの活動資金はゾンビ倒して強奪してるのもあるから潤沢なん。


ヴィオレ、アチェロ、ダンデラの3人はいつも食い散らかして呑んだくれて朝まで居座るから宿泊費と清掃料も貰って良いよなと思う今日この頃。こいつらのせいでワイのみブラック企業生活化している。蒟蒻者たちはベッド作って待っているのに帰れないのである。



「店長さん、何か作ってください」


「別料金なん。お前は腐女子なのにゾンビ化してないだけでもややこしいのにカロリーが高いだの塩分控えろだのやかましいん。海藻サラダでも食ったろなん」


余ったワカメとタマネギ、レタスにシーチキン加えてレモン汁掛けて出すだけの簡単なもので十分なん。固定客や人気メニューも分かってきたし、材料調整もそろそろすべきなんなー。



「唐揚げはないのか、唐揚げは」


「やかましいのん肉食獣。こちとらうどんにはとり天と決めてんのじゃ。唐揚げ食いたいなら融資を受けて唐揚げ専門店作れ。鶏なら格安で分けたらぁ」



とり天は人気であるので売り切れメニューなん。隠しメニューで唐揚げ丼はあるが賄いか出前専用なん。揚げたて食えないなら生で食えである。



「太くて長いのは無いのかい?」


「じゃかあしい変態が。ちくわの磯辺揚げも売り切れじゃい。お前はゴボ天でも食ってろ」



メニューの入れ替えも検討しなきゃいけないのん。不人気メニューは打ち切りなん。新鮮さが無いとこの商売新規開拓は難しいんなー。でも、物好きも居るから難しいところなん。


そういえば、そろそろ天使軍の第一波が攻めてくる時期なんなー。放置してたら拠点攻めてくる定番パターンは面倒なのである。








その頃、魔王城の王座の間では…



「お母様、持ち帰りのうどんばかり食べていないでたまには普通の食事をしてはいかがでしょうか?」


「そういうわけにはいかんのじゃ。イリスよ、お主は言ったであろう…前のわらわはとてつもなく愚かであったと。あやつの涙でそれが理解出来た。であるからこそ、わらわはうどんを食べ続けなければならんのじゃ」



前世のわらわはただ忘れられなかったらしいのじゃ。そして、もう一度会いたかったのじゃろう…己を犠牲にしてでも。じゃが、そのせいで世界を犠牲にしたという話じゃ。大切な者も含めて。


その罰なのじゃろうな。それに加えて最近、部下が言う事聞かんのじゃ。勝手に警護とか仕入れとかゾンビちゃん嫁計画とかしておるのじゃ。魔王としてやる気無くすのぉ…

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