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オクタグラム チェインテイルズ  作者: 紅満月
10章 新訳・都市編
146/371

はじめまして、愛しき人よ。いや糸色違う

新訳・八芒星物語集

第ニ章 『デッドリーシティ』


都市に突如として現れた異形の存在…いや、巨ビッチーノ違います。それはゾンビですが…え、学園暮らしじゃありません。


時は東歴20XX年…突如として現れ、瞬く間に増殖したゾンビ集団によって都市機能は麻痺。政府は首相を直轄とする軍、通称エンジェルガードを結成。ゾンビ殲滅作戦を展開していた。


一方でこちらも突如として現れた魔王軍を名乗る謎の集団は独自にゾンビ殲滅へ乗り出す。2つの組織は同じ目的を相対して行っていく。果たして、勝つのは天使か、悪魔か、それともゾンビか…混迷かつ混沌の戦いはまだ始まったばかりである。



「というお話なのん」



蒟蒻者5人にこの世界の事を説明する。え、大雑把だって…それくらいでちょうどいいのや。転移の影響で未だに4人は混乱しているのだから。アイリスは慣れたものである。離れ離れにならなかったから良かったとの談である。


さあ、今回プレイヤーな我々には2つのルートが示されている。まずは天使軍ルート。あのハゲガエルの部下になって、ハゲガエルの頭髪を退治する簡単なお仕事ルートである。え、違う…卜部のまこぴーと共に天使軍に助け出されて天使軍幹部の四天女と共にゾンビや魔王軍を倒すルートだって。無いわー。


次に魔王軍ルート。魔王を名乗るロリ魔王と四天王と共にゾンビを倒しつつ天使軍と対峙していくのだ。別に人間支配とかっていう意思はない。転移したら人間が襲われていたのでゾンビ倒しているのにゾンビ生み出した奴だと誤解されている件というベタである。記憶を失ったとしてもあのロリ魔王ちゃんに人間を襲う気概なんてあるものかよ。


というわけで我々は魔王軍ルートである。但し、正確には魔王軍ルート寄りの第三軍である。ハゲガエルだけは絶対に毟る。私は知っている。てめぇがキッシュ消失後の世界再誕に加担した事を…勝手に息子扱いして神に要らぬ青汁…もとい救済を進めた結果があのザマであった事を。そして何よりウィローの給料低下の原因であった事を。オラァクサムヲブッコヌク。


さてさて、方針は決まった。蒟蒻者たちはアイリスが説得しているのだから大丈夫だ。何より四天女が仲間になるとか嫌だろう…オラも嫌だ。だって水乃ちゃんなんだぜ。残念水乃ちゃん居るんだぜ…





ストーリーを始めよう。今はとある廃墟ビルの一階に居る。ここから西へ進むか東へ進むかによってルートが決まるのだ。ロリ魔王ちゃんは関西風のダシが好みなウドラーであるから西一択である。蕎麦なら東だったろうがこればかりは仕方ない。レッツラゴーなん。



「魔王軍ですの…正直、アイリスが言っても納得いかない部分もありますわ」


「本当に悪い人じゃないんですよね?」


「成長は著しく悪いんなー。でも、シャルロッテもマールも心配し過ぎなん。あれはただのうどん好きで生まれが魔族ってだけなん。中身は純粋なロリババアなんなー」


「それはそれで逆に不安にゃ」



文句ばっかりブーたれるのは豚ムットの呪いか何かやろか。ミリルみたいにこの景色を不思議がるくらいの素直さをもう少し身につけて欲しいものだ、まったく。


都会のビルディングが並ぶ大通りを魔法カード「ゾンビ避け」を使いつつ進む我々一行。ほら、ビルの窓からゾンビたちが手を振っているよ。あいつらはきっと社畜だから出られないんだろうなー…死んでもブラック企業に居るとか大変なんなー。


次第に諦めたのかワイたちに近付くゾンビが減ってきたん。まあ、アイリスとミリルが倒しているのも一因なんよ。噛まれたら感染する可能性がある以上、遠距離かつ強い属性で倒すのは基本である。特に駄猫は特攻野郎なので首に縄巻いて引っ張っております。プレイじゃなく教育的指導なんなー。


しかし、そろそろ魔王軍の誰かと出会っても良い頃合いなのだが誰も居ない。転移させられた魔王城の正面入り口まで来てしまったのに。四天王の…いや、あんな奴らとは会いたくないけどもよ。なーんか、あいつらの事だからどこぞで羽目を外してハメている気がしなくもない。


と、突然入り口の門が開いた。観音開きです、巨大な門です。出合えー出合えーである。八天刃を構えてシャキンとかって言わせないといけないと思うん。峰打ちなん、誰が貧乏な三男坊か。


と、逆光の中から誰かがやってきた。む、攻撃中止、攻撃中止なん。このオーラは攻略可能ヒロインオーラなん…え、そんなの分かるのかって。分からないが、少なくとも変態臭はしないのん。皆を止めねぇと。



「誰も攻撃してませんわよ」


「さすがに、出会い頭に攻撃するのはソールさんくらいですよ」



氷水コンビが冷ややかな目で見つめてないと。そんなバカな…特攻とかしないのか。魔王軍はトップを除いてほぼほぼ変態の巣窟なのに。基本的に攻撃しても興奮する奴らばかりなのに…



「待っていましたよ、アイリス。そして愉快な仲間の皆さんと……元お父様」



とか考えていたら逆光の中の人物が声を掛けてきた。アイリスの関係者みたいですわ……というか、ウィローの後釜さんでした。唯一の良識人かどうかは知らんが、アイリスの元お姉ちゃんなイリスたんではありませんか。



「イリス……元お姉ちゃん…」


「元とは心外ですね。今も昔も変わらず、イリスシリーズの最初期はこのイリス・0・シュトヤールですよ」



虹色に輝く髪と瞳、アイリスより幼いその姿…イリスシリーズの原点にして零号機…イリス・ゼロ・首都ヤルである。いや、シュトヤールである。これでもアイリスより年上である。つまり、ロリババア一族の遺伝子を十全に受け継ぐハイブリッドロリババアである。そして、出会った事も無いのに色々知ってそうな不確定要素がまた出たのである。



「だがら、オラァはフラスコに入った事ねぇだ。誰かと勘違いしてるんでねぇべか?」


「ネットワーク構築は完璧ですよ、元お父様…例えそれが世界を越えようとも。アイリスが失わなかった記憶を共有しているからこそ、こうしてお迎えに上がったのです。それとも、元お兄様と呼んだ方が趣味的に宜しかったですか?」



ふむ、個人的には「おとーしゃん」とか「おにーたま」とか舌足らずな方が…ではなく、お迎えに上がったというのなら初乗り運賃から請求されそうなん。え、オイラが初乗りですよね、何処ぞのビッチーノみたいなのじゃないですよね?



「ソール様、行きましょう」



とか考えている間にミリル以外の面々はさっさと門の中へ行っていたという…ちょっと冷た過ぎやしませんか。というか、駄猫いつの間に縄抜けしたよ。







城内を歩く事しばらく、いかにも魔王様のお部屋な場所に通された。あの学園長室でうどん食ってた時とはえらい違いである。そして、いかにも魔王の玉座に座っていたのは…



「ほう…お主らがイリスの言っておった連中か。ようこそ、我が魔王城へ…わらわがこの城の主にして魔王、チェリア・キルシュ・ブロッサムじゃ」



ロングストレートな白髪・・に赤い瞳のロリババアじゃない背丈の少女がそこに居た。だ、誰だお前はである。驚愕である。オラの初恋は無惨に散ったのだ……え、それ何度目の初恋だってか。クール変わるたびに嫁変えるオタクには言われたくないんなー。

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