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オクタグラム チェインテイルズ  作者: 紅満月
9章 新訳・学園編
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天からの一撃、合体魔法大勝利…というブラフ

さて、食事を終えた我々はホテルの屋上に居たりする。理由はタイトル通り、シャルロッテ、マール、ルーチェ、ミリルの合体魔法である。え、ブラフって分かってるのにわざわざするのかだって。当たり前だろ。


別に倒すのが目的ではないのだ、学園から引き離してこちらへ向かわせるのと天候魔法の実験なのである。シャルロッテとマールだけでは雲を出したり雨や雪を降らせるのが精一杯だったが、ルーチェが加わり風雷が使え、今は光属性のミリルまで居るのだからなんだって出来るはずである。多分ね…


というわけで向かい風に吹かれても冷たい雨に濡れてもどうにもならなそうな巨ビッチーノに雷を当てた上で紫外線で焼いて、アフロガングロビッチーノになってもらおう作戦である。ついでにひんやりした温度でゆっくりしていけである。



「ソール、暇」


「アイリスにはやってもらう事があるから待ってろなのん」



そう言ってワイはアイリスに指輪を投げ渡して作業に戻る。対ビッチーノ貫通用超弩級魔法弓ですん…え、既に貫通済みとか言うなやん。これはアイリスの無属性魔力を矢にしてぶっ放す平気な兵器である。が、ここで問題が1つ…



「ソール…この指輪……」



アイリスに渡した指輪…それはかつてキッシュが嫁に贈ったものの1つであると同時に、嫁たちの記憶を詰め込みワイが編纂中に取り出した、本来ならば決してかつての嫁たちには渡してはならないもの。前世の記憶と能力そのものである。早い話がパワーアップイベントです。今のアイリスでは矢の魔力足りないのん。


と同時にそれは束縛でもあるのだ。まあ、今のアイリスには大差ないけども。とはいえ、こっちの覚悟の問題でもある。失う覚悟出来ましたかというわけである。本の世界に閉じ込めておけば永遠はあるよんであるが、どのみち世界は復元する。勇者不在で滅ぶ可能性は前の世界より少ない。



「装着したら外せない呪いの指輪なん。途中で諦める事も投げ出す事も出来ない呪いの指輪なん…そして何より苛烈な生き方を求める呪いの指輪なん」



そう脅しても怯まないのはアイリスがその意味を知っている何よりの証拠である。ある男は指輪を贈った相手に逃げられた。ある男は指輪を贈った相手たちと敵対して命を捨てた。またある男は指輪を贈った相手と死に別れた。はい、ある男ですよ。また繰り返そうとしてますよ。



「ソール、それでもいい。ううん、それが良い。だから、今度こそあんまり抱え込まないで。健やかなる時も病める時もいついかなる時も愛し、敬い、慰め、助け、尽くす事が夫婦だから」



そう言ってアイリスは左手の薬指に指輪を着けた。おいそこの猫、羨ましいのは分からなくもないが詠唱中断してるんじゃねぇよ。お前らの分も心配せんでも用意しとるわ。特に猫が複属性だったので材料費掛かったわ。


そんな事を考えている間におめでとう、アイリスは真アイリスに進化した。といっても光の6枚翼を展開しているだけです、普通の白い羽根でなくなっています。いわば終わりの無い円舞曲バージョンです。え、それ機体が爆砕しますよね?


というか、既にビッチーノさんに向けて光の弓矢を構えてますよね。いや、チューコゴーレムには有用かもしれないけれども。え、「見てて」って作戦は。シャルロッテたちの見せ場は?


とか言ってる間にアイリスは魔力を込めた光の矢を3射しました。インです、命中です。ジャースティースじゃねぇよ、駄猫が詠唱中断したから天候魔法使いそびれたじゃねぇか。巨ビッチーノは穴だらけになって萎んでいく。いや、風船じゃないけども。むしろ風船の方が良かったけども。いや、風船でもチューコーノはお断りだけども。


よくよく考えてみてください。推定15メートルの巨体を維持するにはどれだけのカロリーが必要でしょうか。それを補う方法はなんでしょうか。そして、補うために食べたものが、巨体が萎んだからといって小さくなるものでしょうか?


結果、グロ注意な肉の塊がそこに残るだけになったのでした。速攻魔法でモザイク入れました。あれはサブでもヒロインでもない。脳障害負ってないから可愛いおんにゃのこにはまったく見えなかった。よーく噛んでいても酷い有様で惨状です。え、脳に異常無いのはヤブ医者に診てもらったからだろとか言うなし。


そして、グロ肉は学園から出てきた連中によって燃やされた。あーあ、ビッチーノまで燃えてらである。神は言っている、転生して清らかさを守れと。そういえば、カタタマとかはどこ行ったんやろ…まあ、食われたんだろうなと思うけれども。むしろ、巨人より決戦兵器な人造人間みたいな食欲でしたね、南無南無。


こうしてボス戦は終わりを告げた。この超弩級魔法弓どうしようである。え、ホテルがオブジェとして引き取ってくれる。それは助かるのん。









街から少し離れた高台に2人の人物が立っていた。例の黒マントと白マントである。



「所詮あの程度か…偽物とはいえ、かつての勇者が聞いて呆れるな」


「…そうは言っても、相手はあのアイリス。しかも力の一部を取り戻しては対抗出来るのはまず不可能」


「まあ、そうだな。とりあえず第一段階は成功という事にしておこう…バケモノが大聖堂を破壊し、街も1つ破壊。と同時に領主を追放した街の人間が聖女も殺害……元に戻ってからが楽しみだ」









一部を除き全てが瓦礫と化したがオラは悪くねぇである。いや、マジで。今回は何もしてないのである。後片付けと瓦礫の中からの救出活動はやった。が、破壊は何にもしてねぇ…オラの知ってるストーリーは破壊されてたけど。後、豚ムットは死んだ…養豚する前に食い物がなくちゃ生きていけないとハーレムごと焼かれたのだ。グロ肉のキャンプファイヤーで。ここの領民おかしいよ、さすが違法座薬の常連さんである。救いは無い。追悼碑として豚の銅像建ててやった。成仏しろよである。



「なんか、もうこの世界ヤダのん」


「同感ですわね…」


「はい、領主代行を辞めれて良かったと思います」



ミリルは豚ムットに愛想尽きていたらしいから泣きはしなかったのん。親が死んだ兄の代わりと飼い始めたが飽きて捨てたのでミリルが仕方なく育てていたと白状した。領民の血肉になるなら本望だろうと…健気なのかドライなのかよく分からない奴である。


まあ、ここから領民の多くは学園で寝泊まりしつつ復興していくのだろう。そういう学園ものだったのねと。え、私たちはここに居ますとか5人に言わせる展開は危険が危ないから無理なん。ここには夢とか無さそうやもんな…パーティなら仲間でしょなんや。だから言ってみるんな…



「正直、まだ好きかどうかは分からない。好きがどんな気持ちだったのかも思い出せない…それでも構わないというのなら受け取ってくれ」



シャルロッテにはシャルの指輪を、マールにはリングを調整したウィローの指輪を、ルーチェとミリルにはそれぞれ新しい指輪を差し出した。



「変な告白ですわね」


「でも、ソールさんらしいです」


「構わないからきっちり責任は取ってもらうだけにゃ」


「いつか本気で好きになってもらうのです」



それぞれ躊躇いも無く指輪を着けた。まあ、そういう連中ですよね。チョロサブヒロインですよね。メインヒロインも頷いてますよ。さてさて、後は全部フの字に押し付けて次の世界行きますか。ゲートオープンなんよ…あ、その前にホテルの備品失敬しておこう。歯ブラシとか掃除に便利やし。さすがにベッドはあかんやろうな…あ、作り置きもしておかねば。まだ少し滞在せにゃあかんのか。やれやれ。


でも、色々と面倒だから40秒でなんとかするん。ハト逃すくらいは出来ると思うんなー…え、せめて40分は欲しいって。仕方ないんなー。


こうしてオラたちはこの世界を後にした。何か忘れてるような気もするが構わないだろう。地鶏の長男が次の世界でも無限増殖するかだけが心配ではあるが。

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